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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 攻撃を僕とエルフの人で受けつつ後衛の二人には強力な魔法の準備をしてもらう。魔法には詠唱が必要だから前衛の僕達の役割は重要だ。僕とエルフの人で十分にデロンの攻撃をいなす事は出来る。でも問題もあった。それはデロンがまき散らす汁だ。


 別段それほど痛い訳じゃないが、当たるとチクッとはするんだよね。それが後衛の二人に当たると集中力を乱される原因になりかねない。かといってデロンがまき散らす汁を完璧に防ぐのは難しい。なにせ小さくて数が多い。剣で物理的に防ぐのはほぼ不可能な部類だ。


 だから僕は風を使う。小さいだけあって軌道を変えることは簡単だ。まあけど、なかなかに神経使うけどね。なんせいつそれが来るかわかんないし……風の制御の練習になりそうな位、微弱に維持してそれが来ると、風の流れを考えて発動してる。


 最近、風の流れを意図的に変える事が出来るようになってきた気がする。熟練してきたかもしれない。まあまだ枝風というか……枝毛みたいに別の所へと流れるのがあるから完璧ではないけど。僕は風でどうにかできるが、エルフの人はそうでもない。


 しかも彼は武器も細長いからね。ご自慢のスピードで叩き落すのも難易度が高い。だから彼は沢山の汁をその体で物理的に防いでた。確かに汁の威力は微々たるものだけど、塵も積もれば山となる――という言葉もある。大丈夫だろうか? 既に何回か、アイテム使ってるしね。


 僕はまだアイテムを使う程に攻撃を受けてはいない。デロンの物理攻撃無効化はほんと厄介な特性だが、強さ的にはそうでもない。完璧に避けれない攻撃は大体汁くらいだ。後は僕には止まって見えるといって過言じゃない。


 そうこうしてる内にマイさんとツクツクさんの魔法が発動する。二人しての炎の魔法だ。二つの魔法の相乗効果で効果はきっと跳ね上がってる。炎は渦を巻いて巻き上がり、周囲に熱気をまき散らす。更に天井まで届いてるその炎は天井も焼いてそう。まあこの壁は壊れない仕様のようだが……


 僕はちょっと風を操って更に火力の補助をするように炎の方に風を向ける。生きてるような赤い炎に、黄緑色の風が躍るように混ざる。すると何か起きた。そう『何か』――だ。その何かは正直わからなかった。だって僕が自身の風を向けた時、いきなり火力が跳ね上がって目を開けてられないくらいの熱気と熱風が吹き抜けたんだ。

 そして気づくとデロンは炭になってた。デロンだけじゃない……デロンのいた周囲の床もそして天井も炭化してなんかブロックノイズか出てた。なんかヤバそうだ。


「凄い……すごい! 私たち!!」

「まさかこんなに威力が出るなんて……」


 マイさんとツクツクさんは自分たちの魔法が予想以上の効果を発揮したと思ってる。いや、もしかしたらそうかも。だって僕は風をくべただけだ。それにいままでも同じように火に風をくべた事はあった。アギトはよく炎を使ってるから、あいつと組むときはよくやってた。それに火の魔法はポピュラーな攻撃属性だ。これまで一心に無理矢理やらされたエリアバトルでも同じような事はしてたと思う。

 

 けどその時はそんな意識するような変化は見られなかったと思う。けど……今のは……


(何が違ったんだ?)


 考えられるのは魔法がシンクロしてたって事かな? 二人はそれを意識して発動してた。やっぱり上の方のエリアバトルともなると、そういうのも使うようになってくるみたい。やっぱりシンクロ魔法は通常の魔法よりも威力が高いし、大人数のエリアバトルならよくあるのかもしれない。


 僕は大体少数の小粒なエリアバトルしかしたことなかったしね。まあだけと今は二人でだったけど……


(シンクロ魔法になら風が乗りやすい?)


 もともと混ぜ合わせてるみたいなものだからだろうか? 一人で完結してる魔法よりも外部の力が入りやすいとか? よくわからない。この一回じゃね。けどシンクロ魔法ってそんなポンポンと出せる代物でもないからね……二人は息が合ってるみたいだし、他の皆と合流するまでにあと一回くらいそんな機会があるとちょっと確信持てるかもしれない。


「とにかくよくやった二人とも。取り合えずここを出て皆を探そう」


 そうエルフの人が言う。デロンを倒したおかげか、壁の一部に穴が開いてる。まさにそこをお通りくださいと言った感じだが、僕達はいくしかない。たとえそれが敵側の誘導だとしてもだ。

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