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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ん……んんんぷはっ!」


 壁から押し出されるように僕は投げだされた。まずは現状確認ということであたりを見回す。さっきの通路とそんなに変わらない感じがする。けど通路というよりは一部屋みたいな広さはあるかもしれない。そう思ってると別の壁から同じチーム奴らが吐き出されてきた。


「うげ……」


 吐き出される瞬間を見た僕はしかめっ面になる。だってなんか……ね。皮膚が引っ張られて顔とか結構ひどい感じになってた。


「んうっ……ここは?」


 そういってるのは女性プレイヤーの方だ。LROらしく綺麗な容姿の人。けどさっき酷い顔してたんだよね。あれがなければ普通に綺麗な人だなって思えてたのに……この人を見る度にさっきの顔か脳裏にちらついてしまう。


「他の人達は別の所へ連れ去られたって事でしょうか?」


 もう一人はエルフの男の人だ。エルフらしくかなりの美形で長身で現実味がない美しさしてる。けどこの人もさっき……まあ身近に感じてるし……いいんでないかな? だってLROじゃ僕ってかなり見劣りするというか……いや確かに誰もが美形って訳でもない。


 受け狙いなのか、特殊な容姿をあえて作る人もいる。けどそんなのは一握りだ。それにそういう人、そういう人として目立つからね。僕なんてLROじゃ没個性だよ。空気と言ってもいい容姿だ。だから気後れとかしちゃうわけだけど、美男美女も変な顔をしてくれるとちょっと身近に感じれるという物だ。


「ううーん、どうしたらいいのでしょう?」


 最後の一人はモブリの少女だ。モブリはいいよね。マスコット的だから気後れせずに済む。ここには僕を含めた四人が連れてこられたようだ。


「私たちを分断したのが目的なら、必ず何かある筈です。気を付けひゃい!?」


 ひゃい? 案外キリっとしてる割に可愛い声を出す人だなって思った。ギャップ萌えだね。


「うう、上に何かいます!」


 僕たちの視線が集まったのが恥ずかしかったのか、彼女は自分の首筋をさすりながらそういった。


「上?」


 僕はそう呟きながら上を見る。するとそこには肌に出来たニキビの様な……いやここは体の内部なのだからいうなれば腫瘍とかの方がいいのかな? なんかそんなのがボコっと天井から出てた。そしてそこから確かになんか嫌な色の汁が出てる。


 あれ絶対悪性腫瘍だよ。このぬいぐるみ癌に侵されてるんじゃないだろうか? お可哀そうに……なんて適当思ってると、鼓動の様な動きを腫瘍が見せる。


「ひっ、生きてる?」


 モブリの少女がそういいつつひきつった。確かに血が通ってそうな生々しい肉が突然ビクッと動くとキモイ。しかも腫瘍は中央程黒ずんでて、血管の浮彫も激しいからなおさらだ。


「マイ、ツクツク――それと君もこっちに。固まった方がいい!」


 格好いいエルフ様がそう言ってくる。そうですか、僕の名前は覚えてないと。あれ? そもそも自己紹介したかな? してない気がする。じゃあしょうがない。僕もこの人たちの名前なんて知らないしね。マイはいいとしてツクツクとはどうして? と思わなくもないが、ゲームだし変な名前の人は割といるか。


 それよりも腫瘍から汁がめっちゃ出始めた。まるで破水でもしてるような……するとそんな嫌な想像が当たったのか、腫瘍からデロンとした……それはもうデロンとしか言い表せない物体が姿を現した。そいつはキョロキョロとあたりを見回して僕たちを確認すると、怖気が沸き立つような咆哮を汁と一緒に吐き出した。


 どうやらやる気満々のようだ。

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