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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「これは……」


 ぬいぐるみの中に侵攻して直ぐに気づいたことがある。それは足がチクチクするって事だ。チクチクというかジュクジュクというか……まあつまりはダメージが入ってるってことだ。一応体内って事で、酸でも出てるみたいなことなのかもしれない。敵と邂逅する前にスリップダメージを受けるのは地味に痛い。


 ダメージ的には微々足りるものだ。けど、こういうのって戦闘中に注意を払ってないと、何とか耐えられた……とかおもってもこのスリップダメージで死亡になる場合とかありそうだ。そんな事を考えながら僕は最後尾を歩く。道は一本道になってる。壁はなんか柔らかい。肉感的というか……外見はぬいぐるみ的だったのに、ここら辺はリアル寄りである。


「ん?」


 何やら地面が動いた様な? そう思った瞬間、平たんだった道がいきなり下り坂になった。多分あのぬいぐるみが起き上がったんだろう。僕たちはどこかに捕まろうとしたり、必死に踏ん張ったりとやってみるが、それをヌチョヌチョした粘液が許さない。


「「「うわああああああああああああ」」」


 滑って行くと、突如広い空間に出た。そして眼下に広がるのはぐつぐつとした酸の海。皆必死にスキルを使って海に落ちるのを防ごうとしてるが、何人かがそのまま落ちてしまう。何とか回避した奴にはどこかから攻撃が飛んでくる。


 壁に武器をぶっさして難を逃れてたり、障壁を張って酸の海を漂ってる後衛の奴らに遠距離の攻撃が叩き込まれて次々と酸の海へと落ちていく。周りを見ると、壁には横穴がいくつかあり、そこからこのエリアのチームが攻撃をしてるらしい。


 どうやら今回の相手は、エリアに仕掛けたトラップを駆使して敵を撃退するタイプのチームのようだ。一応風の刃を顔を出してる奴らに向かって放ってみたが、防御機構が働くのか、当たる前に壁が刃を防いだ。どうやら、攻撃よりも救出に労力を割いた方がいいかもしれない。幸いにも続いてる道には敵はいないようだし……


 僕は風を操って酸の海に入らないようにしてチームメイトたちを酸の海から助け出しては通路の方へと投げる。乱暴だが、時間をかけてると流石にやられそうな奴らがいる。悠長にやってる時間はない。流石にこの酸の海は通常のスリップダメージよりもダメージ量が多い。


 「ん?」


 ぽたぽたと何やら落ちてきてそれがジュクジュクといってダメージを与えてく。これはまさか……僕は上を仰ぎ見る。すると酸の雨が降ってきてた。とことん地味に削りに来る気のようだ。この雨で更にダメージが加算されたせいで三人がここでやられた。


「間に合わなかった」

「いや、君のおかげでこれだけの人数が助かった。本当ならここで終わっててもおかしくなかった。その事をローレ様に報告なんかしたら……」


 そういってブルっと体を震わせる彼。なかなかにイケメンな見た目してるが、ちょっと顔に疲れが見えるな。きっと普段からローレにこき使われてるんだろう。あいつが普段何やってるのか全然想像できないけど……取り合えず皆減ったHPを後衛の人達に回復させてもらう。

 まだ余裕はあるだろうが、持ってこれるアイテムだって無限じゃない。まだまともに敵とぶつかってもいないのに、アイテムやMPを使わされてる。皆難所を乗り越えられた事で一息ついてるが、きっとこんなのは序の口だろう。僕は覚悟を決めて皆に一つの提案をする。

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