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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「大体絞れたと思います」


 そういうラオウさんはすぐにどこかへと連絡を取り出した。話してる相手はどうやら日本人ではないのか別の言語を使ってる。てか、気づいたけどどうやらラオウさんはいくつもスマホを持ってる。きっと何か理由があるんだろうなって思った。

 そしてその理由はきっと僕の様な学生には縁のないような理由だろうから聞かない。藪はつつかない主義だ。


 ラオウさんはスマホを変えつついろんなところに電話をしてる。置いたスマホも別に通話を切ったわけではないようだし、結構時間が掛かりそうだ。僕は壁とかにある銃を眺めることにするよ。目の前には僕を襲ったいくつかの組織が使ってたであろう銃もあるけど、自分に向けられた奴はなんか……ね。


 大きいのから小さいのまで……たくさんあるが、これでもきっと一部なんだよな。だって今銃が出てる部分は壁の所々だ。絶対に全部回転するようになってるでしょこれ。そして全部回転させたら壁一面が銃で埋まる筈。僕には同じような銃にも見えるが、きっと一つとして同じのはないのではないだろうか? 


 そこら辺ラオウさんはこだわってそうだ。そんな事を思いながら壁の銃を眺めてると、不意に影が落ちる。


「お待たせしました」


 ラオウさんが背後に立つと圧力が凄い。なんせ横にも縦にもでかいからね。LROの中でのオウラさんなら、縦に長いだけだから、まだいい。それに体はちゃんと女性的だし……けどラオウさんはもう女辞めてるよねって体だ。ラオウさんなら筋肉だけで服を破けそう。


 なぜゲームであるLROよりもリアルの方が非現実的なのか……まあけどいい人だからね。僕はいっぱいお世話になってるし、怖がったりはしない。


「何をしてたんですか?」

「旧友たちにちょっと。色々な方面から探りを頼みました。私はこれでも裏の顔は聞くんですよ」


 これでも? そうとしか見えない気がするが、僕はそんな無粋な指摘はしない。


「さて、外部の要因に対する対応はこのくらいにしときましょう。それでそのブシという方の事ですが――」


 僕は誘拐の事もそうだけど、ブシさんの事もラオウさんに話してた。だってもしもスキルとかを使わずに素の力であんな事が出来るとしたらラオウさんくらいしか思いつかない。だからラオウさんは出来るのかな? ってね。聞いてみたわけだ。


「――可能だと思います。LROは身体の限界を超えれるようですし、リアルで本物の達人とかなら、LROでも達人であれる。本物ならその技はスキルにも匹敵するでしょう。さらに向こうのスキルを組み合わせれば、それはリアル以上の技となるかもしれません」

「つまり、傭兵のブシさんは何らかの武道の達人だと?」

「可能性はあります。そうじゃないかもしれませんが」


 ブシさんは刀にこだわりある様だったし、やっぱり剣道の達人とかなのだろうか? けどリアルであんな事が出来るとなると、恐ろしいような。ニュースとかになってもおかしくなくない? それともリアルでは流石にあそこまでではなくて、LROの中だけであそこまで昇華したとか? 体の感覚はリアルと変わらないし、感覚を強化するくらいなら、すぐにスキルとしては手に入るらしいしね。

 達人が更に感覚を強化したら、あんなことも出来る……のかもしれない。


「少しやってみますか」


 そういってラオウさんは別の部屋の方に移動する。訓練で使う道場みたいな部屋だ。そこでラオウさんは竹刀を構える。僕にも竹刀を渡してくれる。二本くれたけど、流石にリアルで二刀流はね……けっこうきびしいから一本でいくことにする。


「どうぞ、どこからでも」


 体の正中に竹刀を構えるラオウさん。その迫力は大樹だ。きっと僕が全力で打ち込んでそれが当たったとしてもダメージなんてないと思える。シスターの格好に竹刀なんてアンバランス甚だしいんだが、なぜかラオウさんなら様になってるかどうかは怪しいが、もう闇鍋的な感じだから違和感さえ感じなくなってきた。


「行きます!」


 僕は駆け出してラオウさんに接近する。僕は側面から迫り、ラオウさんの胴体に向けて竹刀を振るう。けどそれは弾かれた。まあこんな単純な攻撃は通用しないよね。僕はラオウさんの周りをまわりながら打ち込み続ける。

 弾かれるが、リズムは作れてきた筈だ。けどそれは攻撃の為のリズムじゃない。誘うためのリズムだ。竹刀一本なんだから振らせてから打ち込めばいい。それなら間に合うわけないんだから。ラオウさんは僕のリズムを読んでる。

 それを利用してフェイントをかける。


(かかった!)


 僕はラオウさんの竹刀をかわして再び胴を狙う。面とか届かないだよ。だから胴だ。けど確実にとったと思ったとき、僕の、頭にこつんと竹刀が乗った。


「一本ですね」

「え?」


 ちょちょちょちょっと待って……ええっと……そのその……僕は片手で頭に乗っかってる竹刀を触る。確かにある。


「こういうことですよ」


 そう笑顔でラオウさんは言ってるけど、納得できないよ! いやいや、LROならまだなっとく出来た。何か種があんだろうって……けどリアルでやられると……もうわけわからない。えっと……ここは本当にリアルですか?

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