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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 あれから六層くらいまで来た。流石にここまでくると僕もブシさんも油断は出来ない段階だ。今までは大概一撃で倒せてたが、今はもうそうはいかない。下手するとこっちが一撃だよ。道幅も広くなってある意味戦い安くなったが、その分敵も大きく、そして多くなってる。


 今はもうただの骨なんて出なくて、鎧に身を包んだ骨とか魔法使う骨とか、更には腐った犬とか、人の数倍のデカさの蜘蛛とか出てくる。ハッキリ言ってここでは一心が全く通用しなくなってる。戦力は僕とブシさんだけみたいな……さらにさらに、ここまで降りると、罠もえげつなくて、一心はもう縛ってる状態だ。物理的に縄でね。こいつじっとしてられないからしょうがない。


 一応余裕あるときは歩かせてるが、敵と出くわしてどうしても戦わないといけないときはそこらへんに転がしてる。いや、これが最善なのだ。だってウロウロされても邪魔なだけだからね。


「どうやらここは安全地帯のようだ」

「そのようですね」


 僕とブシさんで周囲を警戒して、そう結論付けた。ダンジョンには一部敵が湧いたりしない場所がある。ゲームだからそういう場所は用意されてるんだよね。湧水がポコポコと湧いてて焚火の跡があるような、いかにもな場所だ。わかりやすくて助かる。


 隅に人骨があるのは、先にここまできた冒険者の最後……を演出してるんだろう。僕たちはここでそれぞれのアイテムとかの残りを確認する。


「少し、よろしいか?」


 そう口を開いたのはブシさんだ。この人から喋りかけてくるなんてことは珍しい。まあ内容は大体想像つくけど……


「なんでしょう?」


 一応そう聞く。


「これからの方針を聞きたい。進むか、戻るか」


 もうそういう時点で、この人的にはここが限界だと感じてるんだろう。僕とブシさんで一心を庇いながら戦うのも確かにここらが限界だ。それは僕も感じてた。実際アイテムも心もとない。一心なんてもうほとんどないだろう。安全に戻るとしたら、ここが限界だ。


「進む。当たり前だろ」


 一心の奴はさも当然だとばかりにそういった。まあ僕はわかってたから何も言わない。でもブシさんはそうじゃない。


「だが、それは――」

「危険なんて百も承知だ。だが、進むぜ。あんただけ帰る? それは許されないぜ。なんせこっちは雇い主だ」

「それは……そうだが」

「初めからどこまで行けるか……なんだよブシさん。戻る事なんか考えてねえ。行ける所まで、魂燃やし尽くしていく気なんだよこっちは!」


 役に立ってない奴がよくもまあそんな事を堂々と宣われるものだと感心する。それに僕はそこまでやる気はなかった。ブシさんはそんな一心の言葉を聞いて大きく息を吐いた。


「承知した。出来うる限りの助力はしよう」

「おう、頼りにしてるぜ」


 もうほんとすみません――って気になる。それなりにブシさんの強さはここまでの戦いで見れたと思う。相手が強くなるほどにそれは顕著に見えた。ブシさんは戦闘中に乱れないんだ。どんな強敵を前にしても自分の呼吸とリズムに狂いがない。そしてそれは敵さえも巻き込む。


 リズムに合わせる? あわせられる? よくわからないが、彼は自分は斬れるリズムを、タイミングを捉えられるんだと思う。そうなったら、敵は斬られるしかない。それはスキルなのかどうなのかは判断できないが、もしかしたら彼も可能性領域を開いてるのかもしれない。


「まあもうそう長くないさ。俺の勘がこの先に強敵がいるって囁いてるからな」


 なんか一心が中二病を拗らせてきた気がする。

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