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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ふん」


 そんな軽く息を吐いて振りぬかれた刀。そしてそれが鞘に戻ってチンと音がなる。なんかの映像作品とかでよく見る武士の戦闘演出だ。それが今まさに目の前で再現されてた。


「なっ……」


 一心の奴が一瞬でブシさんの周りの敵が切り伏せられたことに驚愕してる。実際僕も結構驚いた。だって真後ろにいた敵も斬ってますが? 見てたが、後ろまで刀振りぬいてなかったんだけどね。剣線でも飛んでたのだろうか? 


「何が起きたんだ?」


 どうやら一心にはブシさんの行動が見えてなかったようだ。僕には普通に見えてたけど、どうやら普通の人にはあのスピードでもとらえきれないようだ。でも不思議な事に、最初に僕たちがやられた時はもっと……逆に遅かったって事になる。


 あれだけ早い攻撃も出来るのに……だ。ますますわからない。速い攻撃に対処できないってのは理解できる。実際それで、今のモンスター達は成すすべなく沈んだんだから。けど、遅い攻撃に対処できないってなんだ? いや、特別遅かったわけでもないけどさ……あのときの光景と今の戦いを重ねてみたりするが、やっぱりさっぱりだ。


 それにしても……見てて思うのはブシさんの動きには無駄がない。最小限の動きで最大限の攻撃を繰り出してる。僕がスピードで、一心が我武者羅にモンスターを相手にして動き回ってるってのに、ブシさんはほとんど動いてない。


 いや、ちゃんと前に進んでるんだけど、その道筋が気持ち悪いくらいにまっすぐなんだ。もしもモンスターの死骸が消えずに残ってたら、彼が通った道がもっとよりはっきりと見えるはずだ。


「くはー終わったー」


 そういって回復役をがぶ飲みする一心。こいつは自分の持ってきた回復薬使い切る勢いだな。まあ僕とブシさんはほとんどダメージを食らってないから、いざとなれば分けれるけど……三層でこれじゃあ、先が思いやられる。まあ一心は始めたばかりだし、しょうがないが。


「お前はもう少しその猪突猛進な行動慎めよ。戦闘は僕とブシさんが率先するから漏れた奴だけ対処するとかさ」

「断る!」


 こいつ……そもそもなんで一番弱い奴が一番先頭いくかね。そこは暗くても見える僕が行く方がいいだろうに。確かに周囲は明るいが、奥の方は真っ暗だ。けど僕ならみえる。罠だって事前にわかる。一心の奴は罠を気にしてる素振りないし……戦闘以外でもダメージ食らいすぎなんだよ。なのになんで……


「何事も経験だ! このゲームは最高の経験を与えてくれてるんだから、体験せんと損だろ」


 そういってやっぱり先頭で進みだす一心。僕はブシさんの方を見る。「何かいってやってくださいよ」的な視線を込めて。けど彼は「ふっ」と見えてる口の口角を少しあげた程度で一心の跡に続いてく。どうやら反対ではないらしい。そもそも傭兵だし……雇い主に文句なんかいえないか。


 僕も諦めて扉の奥にあった階段を下りて更なる攻略に続くよ。

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