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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「うああああぁぁぁぁああああああ!」

「何やってんだよお前は?」


 待ち合わせの草原で一人で転げまわる僕を見て一心の奴がそう言ってくる。今日一日、僕はずっとこんな調子だった。昨夜の事を思い出してはダウナーになり、そして今朝の日鞠との事で決壊するんた。おかげでクラスでの自分の立場がますます悪くなった気がする。


 けどそれはもう諦めてるからいいんだ。まあ鈴鹿に「気持ち悪い」って真顔で言われたのはさすがにショックだったけど、言えるわけもないからおとなしく気持ち悪い奴でいることにした。


(日鞠の奴はきっと知ってるんだよな)


 じゃないとあんな事……そう考えてまた僕はあの場面をおもいだして転がりまわる。草原だから転げまわるのも案外気持ちいい。それが余計にこの行為を僕に辞めさせない原因になってるね。そう思ってると何かにぶつかった。

 木なんて所々にしかなかったはずだが? そう思って顔を上げると、笠を被った和装の人がいた。下からなら、顔が少しは見える。間違いなく、この前のエリアバトルで鉢合わせた武士だろう。


「遅れ申したか?」


 低く落ち着いた声でそう言われた。多分この人は僕がこんな奇行に走ってるのも暇だったからだと解釈したんだろう。暇だとこうやって弄ぶ変な奴と思われたに違いない。


「いやいや、全然待ってませんよ。時間通りです。そいつの事は気にしないでください」


 くっ、一心の奴が常識的な対応をとってるのがむかつく。いつもは僕がその立場で突っ走るのはこいつなのに……


「俺は一心だ」

「僕はスオウです」


 とりあえず立ち上がって草を払いつつそう挨拶する。


「拙者の事はブシとお呼びくだされ」


 おお、キャラづくりしてますね。まあここまでやってるんだから語尾がブシでも別に驚かなかったけどね。そこまでじゃないか。てか語尾がブシじゃ、武士というより変人だしね。


「顔は見せてくれないんですか?」

「お見せできるような顔ではないので」

「気にしませんけど?」


 そもそも僕たちだってそんな超絶美形じゃない。一心もクリエイト出来るはずだったのに、そこまでの美形にはしてないし、僕に至ってはリアルと同じだ。僕だって別人を演じてみたいんだけど……この顔のままじゃ出来ない。


「いえ、実はこの笠は最近手に入れまして……それで」


 何となくわかった。この人、きっとこの笠を被ってたいんだね。武士っぽいから。なるほどなるほど、それならまあ、いいか。確かに武士っぽい。野武士っぽいけどね。そんなやり取りしつつ、ちらちらとこちらに視線を送ってくる一心。

 今回の目的はダンジョン攻略を餌に、この人の強さを見ることだ。そして色々と話を聞く。それこそ強さの秘密とかがわかるかもしれない。だから僕たちは普段以上にフレンドリーに接してる。一心とかは大体ぐいぐい行く奴だけどさ、僕は初対面の相手には人見知りするタイプだからなかなか難しい。


 けどブシさんは落ち着いた感じがあるからまあ大丈夫な方だ。ともあれこれからだな。僕たちは草原からダンジョンのある場所へと移動することにした。

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