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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「いやーよかった。君が無事で」


 そういって現れたのはスーツに身を包んだ。金髪細目の外人だった。とても流暢に日本語を話すその人は、こんな場所でも笑顔だ。きっとさっきの声はこの人なんだろう。


「あ……あのありがとう」

「いえいえ、お礼何ていりません」


 お礼を言おうと口を開いたが、すべていう前にさえぎられた。そして彼は肩膝をついて腰を折ると、更に地面に手をついて僕の耳元に顔を寄せてくる。


「なぜなら、君を誘拐した先が彼らから私たちになっただけの事ですから」


 その瞬間、僕は体をひねって体の向きを逆にして奴の顔を足蹴に距離をあける。そしてうまい事バランスをとって立ち上がり、走り出す。


「おやおや、酷いですね。人の顔を足蹴にするなんて……こんのクソガキが!!」


 細い眼を見開きそういう奴は、さっきまでの柔和な感じは微塵もなかった。奴は迷いなく、スーツの内側から出した銃をこちらに向ける。一瞬ギョっとしたが、僕は焦らずに物陰に飛び込む。直後発砲音が聞こえたが、今のは僕に当てる気はなかった。


「ちっ、確かに普通じゃねえな。だが殺す事出来なくても、痛めつけることは出来るんだぜ。逃げられても厄介だからな。足位なくなっても構わないよなぁ?」


 そういって無暗に発砲を繰り返して近づいてくる奴。いや奴ら……か。あいつがまえに出てるから見落としがちになるが、奴の仲間がちゃんといる。後ろや横にまわりこんでる。けどまだ近くからは別の銃声も聞こえる。こいつらだけじゃない。


 スーツのあいつは僕の周りに銃を撃つことでここに僕を足止めしてるんだろう。下手に動けないように。素子やって自分はちゃんと近づいてる。なんか箱が積まれてた場所に逃げたが、ここからどうするか……でかい扉でしまった建物の中にでもにげれば……いや、それこそ袋のネズミだ。それなら……僕はさっき死んだ誘拐犯達の死体をみる。

 そんなに直視したくないが、しょうがない。あそこには武器がある。自分で銃を撃つなんて考えたこともなかったが、このままじゃまた別の組織に捕まるだけだ。


 とりあえずこの手の縄を切りたいが、箱の隅でガリガリした程度で切れるような感じはない。後ろ手に縛られてるから、武器なんてとって意味はないかもしれない。ナイフの方が先決か? 流石に持ってると思うが、探る暇は多分ない。けど銃は死体のそばに落ちてる。あれで切れる? 


 うまく発砲させれば……


(いやいや、絶対に無理だろ!)


 自分の体に銃弾がめり込むことは確実だ。そもそも今の状況でどうやって引き金を引くのか……


(自分で撃てないのなら――)


 

「そうだ、じっとしとけよ。俺の手を煩わせるな。なに、捕まえて二・三発足に鉛玉ぶち込むだけだからよ。あとはまあ、良い待遇で迎えられるだろうよ」


 それのどこが良い待遇だ! と言いたいが、こいつにそんなことを言ってもしょうがない。無駄にバンバン撃ちやがって……ほんと普通なら身がすくんで動けなくなる。けど僕は自分を奮い立たせて飛び出した。ちょうど奴が引き金を引くタイミングでだ。


 今、僕が信じれるのは、頼れるのは僕自身だけ。幸いにも僕の目は可能性領域が開いてる。よく見れば銃弾がどの軌道をとるかはわかる。あとはタイミングの問題。奴は僕のいるところの近くの地面を撃ってる。だから体を低くし、滑るように転がって後ろ手を撃ち抜かせた。一瞬熱かった――が――


「よし!」


 拘束は解けた。僕は素早く立ち上がり、死体に向かう。銃をとり、とりあえずやみくもに撃って奴らをひるませる。そして、更に奴らから距離をとるように走り、闇に紛れた。

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