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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 今日も生徒会との戦いを経て家路についた。卒業式の準備とか、前の日に会場設営くらいでいいじゃんと思うが、寧ろその時だけ駆り出せって思うんだけど、何やら日鞠は卒業式をもっと感動的にしたいらしい。まあ気持ちは分かる。


 卒業なんてイベントは学生時代しかないしな。忘れられないようなインベントの一つとして残してあげるのが、在校生の役目だと思ってるのかもしれない。そんな日鞠の張り切りに触発されて生徒会の面々は張り切ってる。


 もう早く三年生方には卒業してもらいたい。僕なんて三年生と関わりとかないんだからね。部活動してたら、違うんだろうけど、残念な事に僕に感慨深いなんて感情は浮かばない。だから生徒会で卒業式の準備しててもなかなか乗れないよね。


 来年は違うと思うが……一応上級生の知り合いも生徒会にはいるし。けど今の三年生はほんと関わってない。


「あれ? 摂理の奴は帰ってないんですか?」

「友達の家に寄ると連絡がありましたよ?」

「そうですか」


 家の事をやってくれてるお婆さんがそういって教えてくれた。連絡を入れる事は喜ばしいが、それにしても遅い気がする。既に七時を回ってるぞ。既に外は暗い……


(友達って多分鈴鹿の事だよな?)


 摂理が家まで知ってる友達となると鈴鹿くらいしかいない。もしかたら交友関係が広がってるかもしれないが、基本学校外まで関わったことがあるのは鈴鹿だけだろう。あいつは車いすだから常にだれかと一緒じゃないと外出しないしね。


 まあ摂理はあの容姿で車いすだから、不埒な輩に攫われないか心配で外に一人で出すって出来ないんだ。力なんてないし、抵抗なんて男にしたらないようなもんだ。あれだけ攫いやすそうな奴もなかなかいなそうだもん。

とりあえずスマホでメッセージを摂理に送る。


 するとすぐに既読がついた。そして届くメッセージ。


『今、鈴鹿ちゃんと送ってもらってるよ~』


 そんなメッセージ。実は向こうで食べてくるとかお泊りするとかそんな事があり得るのかとも思ったがそんな事はないらしい。まあ鈴鹿だしな。けど鈴鹿も戦闘力ないからな……心配だ。なんかリアルで戦闘力を気にするのもどうかと思うが、夜道に女の子二人だし……まあ人通りもあるし、事件が起こる事なんかそうそうないとはわかってる。


 夜だからってまだ七時代だ。浅い時間帯だろう。けど、僕はカバンをほっぽって玄関の方へ向かう。


「鈴鹿に送ってもらってるらしいので迎えに行ってきます」


 すると優しく「気を付けて」とお婆さんはいってくれた。僕は街灯が続く道を進む。クリスの家から僕の家までどういうルートを通るのか考えてって普通にメッセージ送った方が早いか。推測する必要性なんてない。便利な時代だ。


 そう思って道端で立ち止まりスマホに視線を落とす。時々横を通り過ぎる車のライトが眩しかったりそうじゃなかったりしながら摂理にメッセージ送る。そして写真が送られてきた。言葉で説明されるよりわかりやすい。再び歩き出そうとした時、前から走って来たワンボックスカーがすれ違い様に止まった音が聞こえた。ちょっとした耳障りな音に振り返ると、腕が伸びて来てたのがみえた。


 咄嗟に僕はそれをかわす。すると更に素早く距離を縮めてくる。それは明らかに素人の動きじゃなかった。ラオウさんと似通った動きしやがる。更に三人ほどが回り込んでくる。


(まずい! とりあえず逃げ――)


 意識を近くの奴らに向けてたのがいけなかった。何かチクッとしたと思ったら、急に体が重くなった。そして服を掴まれて組み伏せられて頭に布みたいなのをかぶせられた。そのままどこかに……いや車におしこまれたんだと思う。僕は成すがままに誘拐されてしまった。

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