表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
886/2700

886

 予鈴の音が響く。それに伴って騒がしくなる教室内というか、学校その物。ここからは放課後というのも相まってガヤガヤとした喧騒がどこの教室でも起きてるんだろう。厳密にはホームルームと掃除の時間があるが、授業に比べればそんなのは短時間で終わる事だ。


 皆放課後の事を話し合ってる。僕も伸びをして立ち上がる。そして担当ヵ所に向かう。僕は摂理の補助係だから摂理と同じ場所担当だ。となると、勿論鈴鹿も同じだ。後二人位同じ担当の奴はいるが、そいつらはもういない。


 いつもの事だな。実際それなら向かう必要はないんだが、一応向かわないとサボりとみなされるからな。しかもサボりとみなされるのは何故か僕だけだ。


「早くスオウ!」


 すごく急かしてくる摂理。こいつ、授業が終わると途端に元気になるな。そして摂理の車椅子の取っ手を持ってる鈴鹿はいつものクールな顔を張り付けてる。近づくと何も言う事なく、車椅子を押し始める鈴鹿。教室を出ると、何やらうるさい集団が……まあ誰の集団かはわかるけどね。


「イエス、さあ皆ここからが学生の本番デス。準備を怠ってはいけませーん!」

「「「はは!」」」


 うん、やっぱクリスとその愉快な仲間たちだな。学校は授業が本番な気がするが……まあああいう集団には関わらない方がいい。というか何の準備なのだろうか? 掃除のって訳でもなさそうな? 何人かはスマホでどこかに電話とかかけてるしな。


 とりあえず通り過ぎる時に何やってのか聞き耳立てるとこんな言葉が聞こえてきた。いや、聴き耳立てる必要もなく聞こえては来るんだけどね。


「クラブの予約が取れました! 数十人単位で大丈夫そうです!」

「よーし、今日も皆でパーティーデース!」


 クリスの言葉で湧き上がる奴ら。今日もって昨日もしてたのだろうか? パーティー。なんか外国人ぽいな。外国人って毎日パーティーしてるイメージがあったが、案外間違いじゃないのかもしれない。てかクラブを予約とか、そもそも数十単位がいつも参加してて、予算とかどうしてるんだろうか? 

 割り勘だとしても、一介の高校生はそんな毎日のパーティーについてけるほど、皆懐事情が温かい訳でもないと思うが。まあどうでもいいか、僕には関係ないし。するとボソッと……今度こそ、聞き耳立ててないとわからない様な言葉が聞こえてきた。


「さてと、今日の重要人物リストはっと――やっぱり日鞠派の主将陣は落としとかないとデスね」


 おいおい、どうやらこれは楽しいだけのパーティーって訳でもないらしい。落とすってどうやって落とす気だろうか? 日鞠や摂理はいやらしい事はしないだろうが、クリスの奴は違う。あいつは自分の武器をよくわかってて、そしてこの年頃の奴らがどういう事に弱いかも知り尽くしてるような奴だ。


 なんたって生きる世界が違う奴だからな。今はこっちに寄ってるが、本来のあいつは敵とかに対して容赦なんてないような奴……の筈。落とすという事は身も心も……その体で持ってだろうか? ちらりとみると、この季節だというのに随分と要所要所を見せる工夫をクリスはしてるよ。


 ミニスカートはまあ、当たり前だ。腕まくりとかもして白い肌を見せてるし、ブレザーの前部分は全開で、リボンなんて取り払って鎖骨を見せる執念。恐れ入る。あいつは全身から男を誘惑してますオーラが半端ない。けど不思議と反感は買わないんだよな。


 あれが金髪白人効果なのかもしれない。あいつの周りには尻尾振ってる男子だけじゃなく、華やかな女子も多い。あのクラスってあんなレベル高かったか? 確かこの学校で一番女子のレベルが高いのは家のクラスだった筈だ。それなりに綺麗所がいて、更に今は摂理がいる。


 それだけで大抵のクラスをワンパンでキルできる戦力だが、今クリスの周りの奴らはレベル高い女子ばかりだ。皆キラキラしてみえる。化粧のせいだろうか? それとも内から出てくる自信のような物? 多分両方なのだろう。


 この時期の女の子は一気に変わったりするらしいと聞いた事がある。まあ以前の彼女達なんか知らないんだが、きっとクリスが何かを変えたのは間違いない。


「クリスちゃんはやっぱり凄いな」


 とかなんとか摂理はポツリと言ってた。けどそういう摂理もなんだかんだ、廊下を移動してるだけで沢山の生徒に声を掛けられたりする。大体は鈴鹿が止まる事ないからちょっと手を振るだけなんだが、すれ違ってちょっとして後ろを見ると、ガッツポーズをしてる姿をみる。


 摂理は摂理で圧倒的に男子人気高い。車いすの病弱な美少女というのが男子高校生には響くんだろう。きっとこの学校の全男子が摂理を守ってあげたいと思ってる筈だ。そしてそんな奴らの夢の役割を担ってる僕はというと、肩を故意にぶつけられたり、すれ違いざまに舌打ちされたり、睨まれたり……日常茶飯事だ。


 けどそんなのは既に慣れっこな僕にとってはどうって事はない。とりあえず掃除を終わらせてどうやって逃げ帰るかの方に意識を裂いてる。

 生徒会の奴ら、普段は僕を毛嫌いして呼ばない癖に、忙しい時だけ執念燃やして僕の事こき使ってくるからな。今はその戦いの最中なのだ。ゲームでも戦ってリアルでも戦う……僕は安らぎが欲しい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ