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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 教師の声が耳から抜けていくのを感じながら僕は教科書に隠れて大きな欠伸をする。やっぱり昼休みが終わってからする授業程、眠くなる授業はない。だって腹に沢山食べ物入ってるんだよ? 人は物を消化するのに結構なエネルギー使うらしい。


 どこで聴いたのかはわからない。もしかしたら今の自分を正当化したいがための出鱈目かもしれないが、僕の体はそうだから、なんの問題もない。つまりは食べた物を消化するために今は寝ないといけないんだ。そもそも昨日、一心の奴のせいで遅くまでLROやってたから眠いんだ。


 ここまでは何とか頑張ってたが、五時間目は駄目だ。魔の五時間目と呼ぼう。せめて体育とかなら、寝るなんて物理的に不可能なんだけどな。机に座ってるだけってのは辛い。そんな事を思いつつ、夢うつつに誘われてると、気づかれたのか指名されてしまった。


 僕は力なく立ち上がり、そのまま指定されたページの英文を読み上げる。そして訳も……


「あれ?」


 なんか教室が静かだ。いや、授業中なんだからそれは当然だ。おかしくはない。けどなんか、空気が「マジか」みたいな空気になってる気がする。教師もなんか驚いてるし……えっとなにが起きた? あれか、全然違うページの英文を発してしまったんだ。


 しまった……眠いとこういう事ってあるんだよね。超恥ずかしい……


(ええっとじゃあどこだっ……け?)


 ここで僕は自分が教科書を持ってない事に気づいた。教科書は机で立ちっぱなしだ。これは……僕はもしかして寝ぼけてとんでもない恥ずかしい事を口走ったんではとないだろうか? なるほど、そう考えればこの空気も……いややっぱりこの空気はおかしい。


 大体そんな事をしたらクラスメイト達は容赦なく笑うはずだ。大体嫌われてるし……まあきらわれてるというか、厄介者扱いというかだが。なのに誰も笑わずにポカーンとしてる。これはもう自分が何をやったのかわからない。

 くっ……どうする? これはもうなんでもなかったように座るしかないんじゃないか? 


「もう座っていいですか?」


 務めて冷静にそう尋ねる。すると英語教師はなんとか許可をくれた。どうやらページを間違えてたとかはないみたいだ。だってその後も普通に授業に続いたからだ。なんか変な空気のせいで眠気がどっか行った。結局、僕は何をしてしまったのか? 


 その答えは授業の後にわかった。摂理や秋徒の奴が「どうしたんだよお前?」とか言ってきて僕が何をやったのか教えてくれた。どうやら僕は教科書も持たずに立ち上がると、信じられない程ネイティブな発音で英文を読んだ後に、完璧な翻訳をしたらしい。

 いや、全く記憶ないが……どうやらまじらしい。なんか摂理がキラキラした視線を向けて来てるし。でもそれはおかしい。だって僕の英語は教科書英語しかなく、中の下くらいだ。ネイティブな発音なんて、出来る訳ない。

 自分で自分の事が不気味だと感じたよ。

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