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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 爽やかな笑顔を見せる若い領主。僕はその笑顔を警戒するよ。確かにこの人に関しては良い噂しかきかない。良い噂しか聞かないけど……逆にそれって怪しくない? 何か裏があるんじゃないかって穿ってしまう。それにこんな場所に領主が来るってのもね……今の孤児院は確かに街の外れにあるんじゃないが……わざわざ領主が来るような場所ではないのは確かだ。


「警戒しなくてもいい。私はここの新たな領主となった者だ」


 ふむ……領主様の顔も知らない奴と思われた様だ。それよりも警戒してるとよくわかったな。別に武器に手を掛けたりはしてないけど……この領主様は結構出来る人なのかも。そういえば功績立てて貴族になったとか聞いたし、その功績が戦闘系なのかもしれない。戦争で武功を立てたとか。それが一番あり得そうだよね。


 まあ武功を立てるとかなるとゴリラみたいな容貌を想像してしまうが、ここはゲームの中だ。筋肉なんてある程度あれば、強くはなれる。いや、寧ろなくても強くなれる。パラメーターには関係あると思うけどね。


「失礼しました領主様。孤児院に何か御用でも?」


 とりあえず誤っておく。別段何か失礼な事をした覚えはないが、一応立場的には上だしね。


「いや、孤児院に用がある訳ではない。ただ君を見ておきたくてね」

「?」


 どういう事だ? だって僕達は多分だけど初対面な筈だ。確かに僕はプレイヤー間ではちょっとは有名だが、NPCにはそうじゃない筈。沢山いる冒険者達の一人……くらいだと思うけど……


(ん? NPC?)


 ここで僕は違和感を持った。この目の前の爽やかイケメン領主を僕はNPCだと思い込んでたが、今奴の頭上にはこの街の名前と領主という情報が表示されてる。注意して見ればそれが見えるようになる。モンスターなら種族名と危険度が色分けされてる。プレイヤーなら名前が表示されてる。まあ隠せる設定もあるけど。大体普通は隠してるね。それを見破るスキルとかもあるようだけど、僕は持ってない。


 僕は領主の両脇に居る兵士に目を向ける。彼らは間違いなくNPCだろう。彼らの頭上には実は何もみえない。特定の場所にいるNPCとかは頭上に表示があったりするが、大体ない。このイケメンも領主だからある……とおもえばそうだが、前の奴はどうだったろうか? なかった気がする。


 でもこいつにはある。実は裏技的に頭上の表示を変えたりも出来るとか聞いた事あるような? でも何のために? けど、やっぱりこの程度じゃNPCかプレイヤーかの判断は出来ないな。これもLROのNPCが心を持ったのが悪い。見分けつかない。


「なんの為……ですか?」


 とりあえず敬語で聞いてみた。僕なんかにどうして興味をもつのか? それは後ろで糸を引いてる奴がいるからでは? とか思っちゃう。


「いや、ある人から色々と聞いていてね」


 ますます怪しい。そのある人ってあいつじゃね? けど、あいつがこんなあからさまな事をするかといわれると疑問だ。


「君は良い目をしてるね。かつての自分と同じだよ」

「はあ?」


 何、ディスってんの? 目だけで後は全部自分の方が勝ってると? 卑屈になり過ぎかな? 純粋に懐かしんでるのだろうか? けど彼も若そうだが? NPCならね。プレイヤーなら年齢なんてわからない。


 それから領主は孤児院に顔出してた。やっぱり用は孤児院にあったのか? けど子供たちになつかれてるくらいで何か置き土産があるとかではなかった。まあ子供たちは嬉しそうだったが。よく来るのか後でメカブかオウラさんにでも聞いとくか。あの二人が一番ここに入り浸ってるからね。


 見てる限り悪そうではない。本当にいい人の様だ。けど、僕には子供たちと戯れる姿もさっきの発言もあって不気味に見えた。きっとずっとピリピリしてただろう。だから僕には子供たちが寄ってくる事はなかった。

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