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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 僕は確かに領主を一刀した。スカルロードドラゴンから切り離された領主は朽ちる消え行く。けど……それで終わりではなかった。詠唱の声はとまらない。それどころか、重なるように領主の声が聞こえてる。


 僕は足元を見る。スカルが消え去った体は黒一色だ。その体に口があった。ぽっかりとあいて、白い歯が浮いてるように見える口が無数にその体にある。そしてその口からはさっきと同じ詠唱が聞こえて来てた。


「そうか……」


 僕はぽつりと呟く。そうだったんだ。さっきまで見えてた領主は別に本体とかそういうのじゃない。意味はあったのかもしれないが、それはよくわからない。けど一つわかった。領主はこのスカルロードドラゴン自身。その前提は崩れてないんかない。


 無数の口が詠唱をつづる。スカルロードドラゴンにもローレの詠唱と干渉しあう影響がある筈だが、体のおかげが、それとも無数の口で分散されてるのか、その影響はみえない。とりあえずざっくりとスカルロードドラゴンの体に刃を突き立てて走ってみる。


 かなり詠唱を止めたが、やっぱりこの程度じゃ意味がない。流石に長い間詠唱してるだけあって詠唱が完成しつつある。


『隔たる……漆黒の王……来れよ』


 紡がれる……その王の名。


『オルガト』


 空に渦巻く暗雲が立ち込める。そしてそこから黒い羽を生やして仮面をつけた嘴を持った奴が両手を広げたポーズを決めて降りてくる。


「俺・様・登・場!」


 アホにしか見えないが、あれこそ間違いなく精霊オルガト。間違いない。どっちだ? どっちが召喚した? そう思ってると、スカルロードドラゴンの体にある無数の口が言い放つ。


『オルガトよ、贄を捧げる、契約を――契約を』

「ふむ、けどもうアンタにはもうなにもないっしょ? それとも何かあるんすか?」


 オルガトはスカルロードドラゴンと会話してる。って事はローレではなく、召喚したのはスカルロードドラゴンのほうって事か。


『あるあるあるあるあるあるある――集めたコードがある』

「コードっすか」


 コード……たしかにそれは度々重要な要素として出てくるが、なんか違和感があった。それは多分こいつらがLROの住人だからじゃないだろうか? 僕の記憶ではLROに住む者達からそのワードを聞いた事はないような? 


 例外はそれこそシクラ達の様な存在くらい。なぜならコードはこの世界の裏側みたいな事だからだと思う。裏側というのは正の反対というわけじゃなく、事実としての裏だ。この世界がゲームだと示すという意味での。


 けど、スカルロードドラゴンもオルガトもコードを普通に受け入れてる。神であるテトラはこの世界をゲームだと認識してたし精霊もある程度はわかってる。けどただの領主だった奴がそうだとは思えない。


「それはいいんすか?」

『よいよいよいよいよいよい! 我は生きるのだ!!』

「それなら、まあ俺っちにもメリットあるし、良いっすよ」


 オルガトはどこまでも軽い。このままじゃ更にスカルロードドラゴンは強化される。かといってオルガトに勝てるか? その考えと共に、一つのスキルがよぎる。もう……あれしかない。これ以上はダメだ。

 もう時間がない。呪いはもうすぐ発動する。僕はフラングランを鞘に戻す。そして手を掲げる。そして紡ごうとした時、その声は聞こえた。


『それは約束と違うんじゃないんですかね?』


 苦十……奴がそこにはいた。それも何故か家の学校の制服を着て。

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