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僕はスカルロードドラゴンを追い越して側面から斬撃を叩き込む。進行方向をずらされたスカルロードドラゴンは建物に追突した。まあだからといって止まる訳ではない。それは今までも建物を潰して進んでたからわかってた事だ。
けど、少しは勢いが弱まる。僕は簡単にスカルロードドラゴンに追いつけるが、皆が皆そうではない。大きさが違うと歩幅が違うんだから、大きい奴は一歩で大量に進めるんだからそれだけ早い。大きくても鈍重な奴は居るにはいるけど、大体強い奴はある程度は早い。
少なくとも鈍重ではない。だから人サイズでドラゴンに追いつくというのは厳しいものがある。だからこそ、そこしでも足止めしないと。煩わしいように何回も何回もスカルロードドラゴンを刻む。けど奴は僕の事を意識に止めない。
「そこまでか」
そう呟くしかない。だって僕の攻撃で少しは奴のHPも減ってる。それでもこっちに意識を向けないんだ。それはもうそこまでここが……この場所が本当に嫌なんだろうって事。でもこのままじゃ不味い。攻撃すれば流石にこっちに意識を向けると思ってたんだが、その素振りさえもない。
僕は意を決して前に回った。前に回ると迫ってくるスカルロードドラゴンの迫力が凄かった。流石にあの巨体が全力で迫ってくるとなると、思わず体がすくみそうになる。けど、僕はぐっと堪えてこちらからもスカルロードドラゴンへと迫る。
狙うは鼻先だ。そこを思いっきり殴り飛ばす。スカルの兜があるが、関係ない。流石に視界が歪めば止まらざるえないだろうと考えた。妨害も何もないからそれ自体は簡単だった。スピードをのせて、更に風の余力を受けてフラングランの剣の腹で鼻先を叩き振る。
それは思ったよりも効いたようでスカルロードドラゴンの頭が右側に飛んだ。それにつられて体も片足が浮いて右側に思いっきり倒れる。着地した僕は倒れたスカルロードドラゴンをみる。するとそんな僕に影が落ちる。
僕はとっさに避ける。するとそこにスカルロードドラゴンの尻尾が落ちてきた。どうやらプッチンきた様だ。顔を向けてくるスカルロードドラゴンの目の部分から黒い炎なのか、それともただそういうエフェクトなのかが出てた。そして皆が追いついてきたとき、スカルロードドラゴンが大きく吠える。
「くるぞ!!」
アギトのその言葉通りにスカルロードドラゴンがその質量をぶつけようと向かってくる。直接攻撃……それはおおきさを考えれば確かに圧倒的。僕達にしてみればそれは避けるしかない……まともにあたったらひとたまりもない攻撃だ。
けど……オウラさんは違った。彼女は正面に出る。彼女はスカルロードドラゴンの腹を信じられない事に受け止める。押されてはいるが勢いは大分落ちた。そんな彼女にスカルロードドラゴンが口を開く。ブレスだ。オウラさんがこのままじゃ危ない。
けどその時、聖典が顔の前に出て来て、数機で重ねたレーザーを開いた口の中に打ち込んだ。それによって悶えるスカルロードドラゴン。その隙をオウラさんはにがさない。
「うんぬうううううう!」
「マジか……」
流石にこれには僕もあんぐりだ。まさかだが……オウラさんはスカルロードドラゴンを持ち上げたんだ。ローレもだが、この人も大概だと僕は思った。