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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「じゃあさっさと始めましょうか。いつまでもあんたに居てほしくないし」


 余計な一言を付け加えるローゼにむっとしつつもとりあえず大人しくするよ。だってここはローレのエリア。やりあっても勝ち目ないからね。まあ普通にエリア外でやりあっても勝ち目なさそうなんだけど……そんな事を思いながらローレを見てると、ローレの奴は空中から杖を取り出す。銀色の杖の先端は半円になってて、その上に更に半円の部分が三段になって浮いてる。そしてその部分に色とりどりの宝石が見える。


 あれは初めて見る杖だな。いつも使ってるのとは違うような? まあ今見えてる杖もかなり特殊そうなものではあるけど。レアっぽいのばっかりよく持ってるよなこいつ。僕全然そんな持ってないんですけど? よくこんな貧弱装備でやば気な戦いに身を投じると僕自身思う。今の僕の装備で貴重なのってフラングランくらいなんだけど……それにこれにしたって鍛冶屋の手によって出来たものだしね。


 貴重かと問われればどうなのだろうか? って感じだ。僕がそんな事を考えてたせいか、視線に羨ましいみたいな感情が乗ったのかも……ローレが今しがた取り出した杖を抱きかかえた。


「やらないわよ?」

「杖とか僕が持っても意味ないだろ?」


 僕は前衛なのだ。前衛が杖なんて持っても意味なんてない。だって攻撃力低そうだし。あの杖見た感じもろそうだしね。


「そうでもないわよ。杖もって前線でる奴も最近はいるって聞くわ」

「そうなのか?」


 そんな僕の疑問の声にローレは頷くよ。へえーそれは珍しい。けど、別段前衛後衛とか勝手に言ってるだけだもんね。そんな明確な区分は実際存在してない。システム的にはね。だから後衛といわれる魔術師タイプが前に出ても悪い訳じゃない。ソロじゃ、必然そうなるし。でも基本、剣とかもって戦うタイプとかと比べるとHPとかに差があるし防具の防御力も違うからね……かすっただけで大ダメージって事になる。


 だから必然後ろに下がって前は接近戦タイプに任せる訳で……後衛といわれる魔術師タイプでそれが出来るって事はよっぽど強いのかね?

 

「いわゆる魔法剣士みたいな? まあ杖持ってるらしいからそれとも違うけど……そういう奴がいるって話。このLROならなんだってやれない事はないでしょ?」

「確かに……な」


 そう、ここは自由だ。レベルという概念はないし……どんな強敵にも工夫と努力で勝てる要素はある。多分。その後衛なのに前衛やってる人もものすごい回避能力があれば、可能ではあるしね。


「まあ今はそんな事はどうでもいいのよ」


 そう言ってローレは詠唱を始める。するとローレの足元に黒い魔法陣が現れた。そしてそこから黒い稲妻がほとばしる。ローレの前方には黒い何か……そこからまずは手が出てきて頭体……そして最後に足を砂浜につける。


「うぇーい! オルガト参上す! かわいこちゃんの呼びかけには絶対に応えるオルガト様っす――ってあつい! ここあついっす!」


 そう言って砂浜でぴょんぴょんするオルガト。うん、やっばり凄そうな奴に見えないな。ついさっきまでは異様な空間だったから、こいつがいかにも不気味に見えてたけどさ、今はほら……こんな晴天の下じゃん? それにこの輝くビーチ……正直オルガトの存在が浮いてるよね。


「あほな事やってないで、少しは威厳を見せなさい」

「おお、その目……ぞくっとするっすね! それで俺っちを呼び出した理由はなんすか? まあ寂しくなった――で、全然いいっすけどね。胸はいくらでもかすっすから!!」


 なんか腕を広げてどんどこーい! みたいに構えてるけど、ローレ無視してるぞ。オルガトがナンパ失敗したチャラ男に見える。大体間違ってないけど。まさにこんな奴ビーチに居そうだよね。ローレの奴はそんなオルガトは無視して取り出した杖をビーチに差す。そして呪文を更に紡ぐと何かが変わった。いや……これは……


「止まったのか?」


 そう今、この瞬間。このエリアの全てが停止してる。さっきまで引いては押してた波も、熱く肌を焼く光も、海のにおいを届ける潮風も……そしてそれにのってとんでた海鳥も……すべてが停止してる。そしてそんな全てが止まった空間で杖から幾重にも重なり連なる魔法陣が展開される。そしてローレはオルガトを見ていった。


「さあ、あんたの力もここの一柱に加えてあげる」

「ぐおあ!? 俺っち、責められるのは好きだけど……痛いのはあああああああああ !?」


 変な事言って苦しむオルガト。その体から黒い靄みたいなのが出てそれが杖へと流れてる。そしてそれは杖の宝石の一つへとなった。さらにローレは手を広げて複雑な魔法陣を組まれてた魔法陣をばらす。そしてさらに魔法陣はその形を変えていった。僕にはそれが何なのか……理解することもできなかったよ。


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