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「イエーイイエーイ、オレっちに何か用かい? キュートなレディ」
こいつ……本当に精霊なの? と僕は思ってしまう。だっていくらなんでもこう……ね。ノリが軽すぎてありがたみがないというか、精霊の神聖さが全く感じれない。いや、リルフィンの奴にも神聖さなんてなかったけどさ……ここまで軽いやつではなかったから、まあまだ納得出来た。それに最初対峙した時はそりゃあ強かったしね。
多分こいつも強いとは思う。だって軽い言葉とは裏腹にとても重いプレッシャーみたいな物を感じる。何かやられてる? 軽口叩きながらももしかしたら何かしてるのかもしれない。
「貴方、オルガトなの?」
「ウェーイ、そうさ! オレっちがクールでビューティーな常闇の精霊オルガト様さ!」
わざわざポーズを決めてそう名乗ってくれるオルガト。
「あんた、何やってるの?」
「オレっち? オレっちに対して興味津々な感じ? 超気になる系? ウェーイ、オレっちの魅力は底なしだぜぇ」
常々イラッとくる奴だな。質問にだけ答えてくれればいいのに、変な自慢入れるなよ。まあそもそも、このオルガトとか言う精霊が友好的なのかもまだ分からないが。けど、言葉とかから察するに、いきなり襲ってきそうではない。
「いいからさっさと答えなさいよ」
「うおっ全然俺に動じないし、超クールなんですけどー。あれ? なんかゾクゾクする。新たな感性花開いちゃう感じ? こんな小さなレディに威圧されてオレっちとっても興奮してる」
おいおい、この精霊大丈夫ですかね? 危ない性癖持ってますが? ローレの奴の高圧的な態度が逆に良かったらしい。まあ普通は精霊と分かってて接触する奴に、こんな横柄な奴はいないよね。
「で、どうなの?」
「うっす。オレっちは今、契約に従ってこいつらに罰を与えてるところっす。かったるいけど、仕方ないんすよー。これも社畜って奴っすかねー?」
軽! 言い方軽!? やってる事、すっげえエグかったけど、言い方超軽いな。けど契約ってそれはつまり……
「あんた既に契約してるの?」
「あんれー? 小さいレディは複数愛はお気に召さないタイプ? いやいや、オレっちってモテるからさー。もしもオレっちに惚れたのなら、そこら辺は許容ヨロシクー」
くそ、ほんとイラッと来るなこいつ。わざわざ遠回しに言わないと気が済まないの? しかもどうでもいい情報付け足して。
「別に私はそんなの気にしないわよ。誰にも私は縛られないし」
「おおー、小さいのに器は大きいレディだぜ。ますます気に入った! そんな君にはサービス超盛りで行くんで! ウェーイ!!」
うん、まあ……なんかローレは気に入られたみたいだ。とりあえず情報はくれそうで良かったよ。