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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 地獄の門みたいな扉を僕とテッケンさんで押し開ける。ローレの奴は肉体労働は男の仕事でしょ? みたいな態度で顎を尺ったから自然とそれに従った。なんかこいつへの手下みたいに僕たちなり下がってるな。扉を開けると中は真っ暗だった。そしてその闇からコーンコーンと何かを叩く様な音がしてる。不気味だ……

 

「明かりつけましょうか?」

「ダメ……そんな事したら引っ張られるわよ」

「え?」


 シルクちゃんのそんな言葉にローレの奴が不穏な言葉を返した。そして明かりの代わりにテッケンさんたちに魔法をかける。

 

「おい、僕には?」

「あんたには必要ないかなって?」

「いや、どういう事だよ」

「だって……その眼なら見えるでしょ?」


 テッケンさんや、シルクちゃんは首をかしげてる。けど、その言葉がどういう意味なのかは、僕ならわかる。こいつ……気づいてるのか。でも何かスキルが追加されたりしてるわけでもなんでもないのに……スキルを覗き見るスキルとかあるけどさ、そもそもスキルでもないこの力を見破るとか……そんな事日鞠にしかできないと思ってた。

 

 日鞠は特別だし、一番長く一緒に居るから、わかるかな? って思ってた。けど、ローレはそんな付き合い長くないし、こっちでしか会わないし……そもそもまだ数えられるくらいしか会ってないのに……それで看破されるとは思わなかった。ほんとこいつの株が上がりっぱなしだよ。

 

 結局、魔法はもらえなかったから僕は暗闇に目を凝らす。すると一瞬、視界全体にスキャンが入ったように目に負担が来た。そして恐る恐る次に開くと、もう普通に見えた。これは一体……自分でも理解できない力……それが自分の中にある。その実感が出てくるね。闇の中には、何かがいる。てかなんかここすごく広い。この家よりも広いんじゃないかって空間が広がってた。

 

 枯れた草木に、よどんだ地面……そこには沢山の盛り上がりがある。掘って埋めなおしたような盛り上がり……それが無数に地面に広がってる。ここは……まさに地獄ではなかろうか? だってこの地面の盛り上がりってそういう事ではないだろうか? それにこの音はなんだ? 僕たちは一つの盛り上がりに近づく。すると何かがぼそぼそとその土の中から聞こえた。

 

 え? なにこれ? 多分これはそうなんだろうなって思ってた。けど、普通こうなったら声なんて聞こえないだろ。それなのにこの盛り上がりからは声が聞こえてる。そしてそれは無数にある盛り上がりすべてから聞こえてた。

 

 テッケンさんはその盛り上がりに耳を近づける。よくそんな事できるね。

 

「苦しい……助けて……そう聞こえる」


 やばい。いや、大体予想通りだが、それでも血の気が引くことだった。けどローレの奴はそんな中を気にせずに進んでく。こいつはここが何なのかわかってるのか? 奥へと進むと、そこには何かがいた。そして貼り付けにされてる見覚えのある顔。それは領主の様に見えた。スカルドラゴンになったはずの領主……そしてそんな領主にその何かは杭を体に打ち込んでた。

 

 コーンコーンという音は金槌が杭を打つ音だったようだ。

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