表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
841/2700

841

「ひま……会長、どうしたんだよ?」


 食堂に現れた日鞠の奴に対して僕は思わず本名いいそうになった。だってこっちでも普段は本名で呼んでるからな。とっさには普通に日鞠といってしまう。けどここは大衆食堂だ。他のプレイヤーが一杯いる。そして日鞠こと会長の奴は目立つ。それはそうだ。だって今のLROでの全てのプレイヤーのトップと言って過言じゃないんだからな。

 

 テア・レス・テレスはこいつに導かれてここまで来たのは確実なんだから……尊敬とか畏怖とか混じった視線が会長には降り注いでる。まあそんなの全然こいつは気にした風無いけど。

 

「いやーどうだったのかな? って思ってね」

「お前ならもう知ってるだろ?」


 白々しい。ここはレスティアでここはお前のエリアだぞ。知らない訳ないよね。だいたいリアルでもなんで知ってるんだよって事が多いこいつに、こいつのテリトリーで隠し事なんか出来ると思ってない。

 

「ええー連れないなースオウ。私だって協力してあげたでしょ。アレがなかったらここのプレイヤーがこぞってスカルドラゴンに挑んでたよ?」

「むむ」


 確かにそれはある。会長の奴は、一時的にレスティアからプレイヤーを出さない様にしてくれたって聞いた。それがなければ、僕達がスカルドラゴンと戦う事は出来なかったかも知れない。僕の表情を見る会長の奴はトントンと机を指で叩く。いやいや、椅子持ってこいよ……こんな場所では恥ずかしいっていうか? でも会長は僕をじっと見つめてる。

 根負けして僕は椅子の半分を開けてやるよ。

 

「あっ」


 セツリの奴がそんな声を上げた。それも仕方ない。だってわざわざ一つの椅子を二人で座ってるからね。窮屈でしかたない。けど……LROでもこいつはこいつの匂いがちゃんとする辺り……やっぱりLROは凄い思う。見た目は違うのに……やっぱり日鞠なんだよ。大分リアルに寄せては居るけど、会長の姿の方が大分垢抜けてる。メガネしてないし、髪も三つ編みなんだけど、長いリボンも一緒っに揺れてるからかリアルとは印象が違う。

 

 それに服装もテア・レス・テレスが揃って着てる奴着てるからなんかオシャレ感出てる。リアルの日鞠はシマムラ感いっぱいだからな。

 

「で、これからどうするのかな? スカルドラゴンを誘導したいんなら協力してもいいよ」

「やっぱお前知ってるじゃねーか」


 しかもついさっき出てきた案までだよ! ここでタイミング計ってたのこいつ? そうとしか思えない。

 

「スオウ情報ってのは自分たちだけが持ってると思わない方がいいよ。そこら辺に溢れてるんだから」

「けど、それらは完全じゃないだろ。僕達が気付いた事は僕達の中だけでしか共有してないぞ」

「そうだね。けど、その情報もまだ一面だけだよ。情報はいろんな一面を孕んでる物なの。だから色々な角度で見る事が大切。そして本当に真実にたどり着くには量も大切。そうするといろんな多面体が見えるからね。あとは繋げてくだけだよ」


 それが誰にだって出来たら苦労しねーよ。自分に出来る事が他人にもできるなんて思うなよ。普通はそう簡単に大量の情報の中の一握りの真実なんかたどり着かないから。

 

「まあ、これはさっき丁度聞こえて来ただけだけどね。それよりもまだスカルドラゴンはここに居るから、上手くやれば、ゲートを使ってアレが生まれた街に送れるよ」

「本当かそれ?」


 ゲートってのはあのレスティアとニューリードを繋いでる大門のことだよな? なるほど、確かにここの支配者である会長にはそれが出来るのか。何日もかけて必死にスカルドラゴンを誘導するよりは現実的だ。

 

「いいのか? それってレスティアに何か影響あったりするんじゃ?」

「無いこともないけど、もう放っとける状況じゃないし。スオウ達がやってくれるのならそれが一番かなって。私的にもね」

「どういうことだ?」

「こっちの話だよ。じゃあそういうことで。予定が決まったら教えてね。こっちにも準備があるから」


 そう言って椅子から立ち上がった会長。そしてそのまま去っていった。なんか僕以外と話さなかったなアイツ。いつもならもっと周りに気を使う奴なんだけど。皆に聞くと、なんか入り込めなかった――とか? アギトの奴までそんな事言ってた。日鞠からそんな空気は感じなかったけどな。レスティアのゲートを使えるのならスカルドラゴンをあの街に戻す事も現実的になってきた。

 

 僕たちはその作戦を立てて、今日の所は解散した。めちゃめちゃメカブの奴が注文してたけど、なんと会計で僕たちは一円も払わなかった。なんと会長の奴が先払いしてたらしい。流石だよ。こういうことが普通に出来る奴だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ