820
僕は前を歩くエロいお姉さんのお尻を見てる。いやーだってエロいよ。身体は細いのに、出てる所がばいーんと出てるのは外国人の特徴だよね。しかもこのお姉さん、その大きなお尻をフリフリしてるんだもん。健全な男子高校生には毒みたいな物だ。日本人には出来ないスタイルしてる。頭身が高く、脚も長くて出るとこでてる。
まさに完璧といえるスタイルだろう。どこかの泥棒をいつも手球に取ってるお姉さんがリアルに出てきた様な感じ。しかも黒いボディスーツだから余計になんかね……イメージに合うみたいな。
そんな事を思いながらお姉さんの後ろを歩いて、奥の部屋へ。そこには何やら見たこと無い機材が一杯だった。まさに映画とかで見るオペレーターの部屋みたいな感じ。なんかライブハウスのイメージと合わないんだが……まさにライブハウスは隠れ蓑だな。
ガチャンとイヤな音に聞こえるドアの閉まり。ただの音なんだけど、異様な光景だから、そういう感じに聞こえる。
「どうぞ」
そういって指し示されたソファーとテーブル。既にコーヒーが要られており、白い湯気が立ち上ってる。
「さてと、君は亡命してくれるのかしら?」
「亡命って」
それってあれだよね……どこぞの国の方達で時々ニュースが流れる……まさかそんな事を自分が提案されるなんて。ほんと人生は何がおきるかわからない。
「ちょっと聞きたいんですけど……亡命するとどうなるんですか?」
普通に暮らせる物なの? もしかしてずっと監視つきになるとか? まあやる気ないんだけど、一応ね。
「君の場合はこっちの都合だから悪いようにはしないわ。衣食住に困ることはないし、かなり贅沢出来るわよ」
なるほど、逃げ込むわけじゃなく、向こうからの提案だから高待遇なのね。それは中々に魅力的。
「けど、亡命すると今度はこの国から狙われるでしょうけど」
「この国でもそういう事あるんですか?」
日本はそういうイメージが出来ないんだけど……アメリカとか中国とかイメージ出来まくるんだけどね。
「どこの国なんて関係ないわよ。自国の為には黒い事もやってるものよ」
「ですよね。じゃあやっぱり無理ですかね」
「この国が好きなのね」
そう言われると微妙だが……でも嫌いではないのは確か。それにそんな多くないけど、知り合いいるし。それにそれに英語なんて話せないじゃん。不安しかない。まあだけど、お姉さんの言葉には何も返さなかった。少しの間流れる沈黙。コーヒーはブラックでミルクとか出してくれると助かるなーとか思うんだが、お姉さんが口をつけたから、こっちも手持ち無沙汰だしそのブラックコーヒーをすする。
うん……やっぱり苦い。よくこんなの飲めるな。僕はそっとカップをおく。
「ちなみにここから帰してくれるんですか?」
「……どうしようかしら?」
その気になれば拉致ることなんか簡単な筈。結構僕は冷や汗流してる。
「そんなに怯えなくても強制はしない。今わね。けど……わかってて、君は色々な組織に狙われてる。それは信じてるこの国にも同じ」
「それって……」
どういうこと? と言おうとしたが、お姉さんはコーヒーを飲み干して立ち上がった。
「当分は二番目でもいいわ。あの子は上手くやってるしね。けどいつまでもこの均衡が守られるとは思わないでね。互いに牽制し合ってるけど、きっと他にも接触を図ってくる。充分に気をつけて」
そんな忠告と共に、小さなバッジを貰った。
「亡命したくなったらソレをいつでも使って。直ぐに我が国は君を向かいにいくわ」
部屋から出てそのバッジを見る。アメリカ国旗のバッジはわざと分かりやすくしてるのこれ? 使う気なんてないが……けど一応ポッケに突っ込んで置いた。