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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 駅からそう遠くない場所にその入口はあった。地下へと続く階段がそこには続いてる。てか地下かよ。

 

「日本はこういう所は地下が多くないですか?」

「さあ……行ったことないし。防音のためなのかもな。こういう所に来る奴等って煩そうなイメージあるし」

「それは偏見ですよスオウ。そもそもそういう場所ですしね」


 クリスの奴はそう言ってわざと暗く演出してあるのか、奥に行くほどに暗い階段を降りてく。いやいや、摂理置いてくなよ。摂理は車椅子だから進めないじゃん。狭い階段だ。スロープとか無いし、摂理の高性能車椅子でも無理だよこれ。一度摂理を背負って中において、それから車椅子を運ぶしかないか。

 

「ん?」


 クリスの奴が消えたライブハウスから、誰かが出てきた。しかもマッチョ。そしてどう見ても外人だ。いかついよ!! 二人くらい出てきたけど、どっちも威圧感半端ないマッチョだよ!! 何故かこの季節にタンクトップで見える二の腕の太さが怖い。恐怖感じるレベル。アレじゃね? ラオウさんと大差ないんじゃね? 取り敢えずここじゃ邪魔になるし一旦退くか……

 

「Hey you」


 ビクッとした。おいおいなんか話しかけて来たぞ。けどごめん、全くわかんない。話しかけてるってのはわかるけどさ……何言ってるのかはサッパリだ。なにやら摂理を囲んでる様な? あれか摂理は美少女だからな。目をつけられたか? けどナンパしてるって雰囲気では無いような? 

 

「スオウ怖い……怖いよ……」


 マッチョでしかも外人だからな。しかも言葉もわからないってなるともうお手上げなんだろう摂理は涙目だった。けど外人の方もなんか困ってるような? 摂理はそんな事全然気づかないようだけどね。車椅子でちいさくなって震えてる。

 

「コレ、モッテキマス」


 おお、片言ながら日本語である。黒人の方がなんとか優しい表情作ってる。黒人って見た目がめっちゃいかついけど、よく見ると優しそうな顔してるな。いかんせん、その色のせいで表情が見えにくいのが難点だね。白人の方が仏頂面してる。けどコレって? アレのことか? 車椅子。てかあのライブハウスは今クリスが貸し切ってるかなにかしてるのかもしれないし、それならクリスの関係者。

 某国の工作部隊……案外やばい空間に誘われたのかも知れない気がしてきた。敵意は感じないが……

 

「ダイジョウブ、コワクナイデスヨ」


 そんな風に気遣ってくれる黒人さんだけど、摂理は縮こまって首をふるだけだ。多分この人達は車椅子を運ぶ要員としてクリスが派遣したんだと思われる。なら丁度いい。

 

「おい摂理、この人達は車椅子を運んでくれるつもりのようだぞ。だから僕の背に来い」


 そう言って摂理の前で背中を向けてひざまづく。するとふんわりと良い匂いが香ってきてそして続いて柔らかい感覚が背中にあたる。うむ……無心でいよう。

 

「よっと」


 そう言って立ち上がると後ろを振り向いて、なれない「サンキュー」を言う。なんか気恥ずかしいな。普通にありがとうで良かったのかな? 取り敢えず外人の人達はなにも思ってなさそうだし、さっさと階段をおりよう、そうしよう。中々に重い扉を開くと、暗い中に、赤や緑とかの明かりが見える。こういう所はほんと薄暗いな。

 

 そう思ってると「Hey」と声かけられた。どうやら車椅子を持ってきてくれたらしい。

 

「えっと……ありがサンキュー」


 どっちをいおうか迷ってると謎の言葉になった。うう……恥ずかしすぎる。取り敢えず摂理を車椅子へと下ろす。辺りを見回すと既に結構な人数がいる。派手そうな奴等が多いな。類は友を呼ぶがよく分かる。でも皆さん、まだ静かなBGMみたいなのしか流れてないから手持ち無沙汰な感じ? ステージがあるし、普通はあそこでライブをするんだろう。

 けど今日はそんな歌える奴等なんていない? クリスが用意でもしてるのだろうか? そう思ってるとマッチョでいかつくタトゥーとか見える外人さん達がステージに現れた。

 そして最後に、なかなか際どい服を来たクリスが登場。男子は思わずつばを飲む。カンカンカンとドラムのスティックを叩く音。次の瞬間、音が肌にぶつかってくる。有無を言わさず、なんの始まりの挨拶もなくそれは始まった。けど最初は戸惑ってた学校の奴等も次第に身体が動き出す。まさにパーティーの感じが出てきたようだ。

 そんな中、隅っこに居た僕の隣にボディスーツに身を包んだボンキュッボンの女性が壁に寄りかかって来た。わざわざ近くに何故に? なんかドキドキする。きっとドラムの音が激しすぎて心臓のビートと混じってるだけ。そう思って僕は必死に気を逸らす。

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