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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ふぁ〰あ!」


 朝日がきつい。なんせ寝たの一時間くらいだもん。これほど起きたくないと思った朝も無かったかもしれない。てかよく僕は起きれたと思う。一人では絶対無理だったかな? 最近は日鞠もこないしね。けど、その代わりにこの家にはお婆さんとか、摂理とか夜々さんとかいるからね。そんな他の人の存在? があんまりだらけさせる事を防いでる様な? 

 これが他人の目って奴なのかもしれない。まあそれは僕だけかもしれないけど。誰かと住むなんて小さい時以来だし、あの時のはあんまり普通じゃなかったしね。

 

「大丈夫スオウ? てか、随分と長くLROしてたみたいだけど……」


 僕が押してあげてる車椅子から首を後ろに向けてそう言ってくる摂理。てかこいつは昨日居なかったよな? 寝てたのか? 

 

「昨日はかなり大変な事が起きてたんだよ。多分メールがお前の所にも来たと思うんだけど……見てないのかよ?」

「へへ、昨日はちょっと別のゲームのイベントがあってね。どうしもそっちが外せなくて、ごめん」

「まあ、なんとかなった……わけでも無いけど、摂理がいてもそこは変わらないだろうし、別にいいけど」

「あー! なんか私必要なかったって聞こえる!」


 そう言って摂理は頬を膨らませてプイッ前向いた。機嫌損ねたか。でも他のゲームね。最近はそんな活気あふれたゲームなんてあった? いや、LRO以外が絶滅したってわけでもないし、イベントくらいやってるか。寧ろゲーム業界はここが正念場か、それこそ再び注目が集まってるこの時をチャンスと思ってるかもしれない。まあ僕はゲーマーじゃないからそこら辺は全然なんだけどね。

 

「よっ、スオウ。それに摂理」

「おう秋途」

「ん」


 こいつ元気だな。僕と同じくらいしか寝てない筈なのになんでそんな普通なんだよ。あれかイケメン補正か? それとも彼女がいる余裕とか。ゆるせん。

 

「大丈夫かスオウ?」

「お前は大丈夫そうだな……」

「別にそんな事は無いけどな。けど慣れだよ慣れ。俺たちまだ若いんだしな」


 そういう秋途はデカイ身体で伸びしたり、腕を振ったりしてる。なるほど、これが若さって奴か。じゃあ僕にはもう無いかもしれない。慣れでどうにかなるのこれ? それとも気持ちの問題なのか? だって前の時は無茶一杯してたが、僕もあんまりその事を気にしてなかった気がする。けど今はどんなに向こうで危機が来ても死にはしないからね。

 緊張感の度合いが違うのかもしれない。

 

「若いとかこの中で一番老け顔の秋途に言われてもね」

「おまっ!? それいうか摂理!」


 そんなやり取りをしながら学校に向かってると、少し向こうに鈴鹿が見えた。すると摂理の奴は秋途の声なんて無視してそっちへ向かう。摂理の車椅子は電動だからね。はっきり言って後ろから押す必要なんて全くないんだよね。まあそれでも押してるのは、なんだろうね。体裁? とかとは違うけど、なんか車椅子みたら押したくならない? 

 それが自然っていうか……だから自然と二人ではああいう形になる。まあバッテリーの節約にもなるしね。学校ならいつだって充電出来るからやっぱりそれも押す行為の必要性にはならないけどね。とりあえず、鈴鹿と合流したら摂理は鈴鹿任せでいい。こっちはこっちの話をしよう。

 

「あのスカルドラゴン、どうすると思う?」

「さあな、流石にモンスターの行動なんてわかんないだろ」

「だけど、あればタダのモンスターじゃない」

「まあ、そうだが……自我があると思うか?」


 そう言われるとなんとも返せないな。既にアレは領主で有ったもの……ってな感じだし。実は昨日、あれからメカブが見つけた部屋を探索して領主の日記の様な物を見つけた。かなり重要なアイテムっぽいんだが、いかんせん読めなかった。いや普通はあの世界の文字はLROのシステムが勝手に翻訳してくれる。だから向こうでも困らない訳なんだけど……古い文字とかはその対象外みたいなんだよね。

 ようはあの日記はわざわざ読めないような文字で綴った物ということだ。重要っぽいじゃんね。

 

「とりあえずはあの日記を読める存在を見つけないとな。でもそっちにばかりもかまってられない」

「エリアバトル? そういえば秋途達のチームは何処らへんまで言ってるんだ?」


 なんか一番身近な日鞠がトップだから他をあんまり気にしたことなかった。いやほら、聞くのも悪いかなって? でも秋途に愛さんにセラだって居るんだよね? かなり強そうメンツが揃ってると思うが?

 

「中の中くらいだな。上はもう魔境みたいなものだし」

「そうなのか?」


 どうやらここ数週間、僕がやってきたエリアバトルはお遊びのレベルだったらしい。でもまあ、今は一番その中くらいが多いんだよね。そりゃあ魔境にもなるか。どのチームもそこから必死に抜け出してトップチームの仲間入りを果たしたいんだろうし……そこでふと思った。

 

「なあ秋途。お前たちみたいなエリアバトルとか頑張ってる奴等からしたら日鞠のチームとかどういう風に映るんだ?」

「……はは」


 なんか突然遠い目しだしたぞ。やっぱりアレは規格外か。まあ、そうだよな。日鞠は一月だったらしいもんな。もうどんなマジック使ったんだよレベル。

 

「アイツの事常日頃から凄いと思ってたが、こうも差が開くとな……まあ、必ず追いついて、俺があの位置から引きずり下ろしてやるよ。そしてアイリを掲げるんだ!」


 なるほどそれが今の秋途の目標なのね。それを聞いて、僕は……僕はどうしたいんだろうって思う。

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