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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 スカルドラゴン……その姿は勇ましいとはいえない。が、その強さは肌に響く。メカブとともに唾を飲み込む。

 

「どどどどどどうすんのよこれ?」

「どうするったって……来るぞ!!」


 スカルドラゴンはこちらを明らかに見てる。そしてその黒い虚空に光が灯る……それを見て僕はメカブを強引に持ち上げて移動した。

 

「ちょっ!! どこ触ってんのよ!?」

「いいからさっきまでの場所をみろ!」

「げっ……」


 その場所をみてメカブも理解したようだ。今さっきまで居た場所が石化してる。移動しなかったら自分達がああなってただろう。そうなるともうおしまいだ。これを食らうわけには行かない。

 

「こんの!」


 メカブは弱そうな火球をぶっ放す。だが当然そんなの効くわけない。というか、直前で消えてたように見えた。魔法が通じない? いや、まだそうと判断するのは早い。メカブの攻撃魔法が弱っちいだけかもしれないし。

 

「わー何か吐いてきた!!」


 白いブレス。絶対に触れちゃ不味い系だろうこれ。僕は孤児院の影に隠れた。回り込んでくる前に更に距離を取る。するとドカアアアンという音とともに孤児院が砕け散る。スカルドラゴンが低空飛行して僕達を追ってきてるようだ。

 

「あいつ……スオウ下ろして、ぶっ倒してやる!!」

「お前一人で何が出来る? やられるだけだ!」


 かと言っていつまでも逃げ続けられないのも事実。向こうは飛んでるんだ。あんな翼で……と思うがきっと翼は関係ないんだろう。自分達に取って幸運な事もある。多分街を囲ってた結界は消えた。だからスカルドラゴンを街から引き離せてる。まあでもあの街にはもう生き残ってる人は居ないだろうが。問題はそこじゃない。結界がなくなってるって事は救援を求めれるってことだ。

 僕はメカブを手荒く投げてフラングランを抜く。

 

「僕が時間を稼ぐ。お前はアギトやオウラさんたちに救援のメッセージを頼む」

「え? 結界は……」

「スカルドラゴンの登場と共になくなってるぞ。とりあえず自分達だけじゃどうしようもないからな」

「まあ私が本気を出せばいけるけど、今は制限付きだからその案に乗ってあげるわ」


 そういってメカブはそそくさと岩陰へと隠れる。面倒な事言わずにさっさといけと言いたくなるがグッと我慢してスカルドラゴンを見つめる。突進しつつその頭を上げて顎に何かを溜めてる。十中八九たぶんさっきのブレス。でも僕は動かない。その代わりに集中して風を集める。射程圏内に入ったのかスカルドラゴンは案の定さっきの白いブレスを吐く。

 僕は引かずにその煙向かって走り出す。

 

「ちょっ!? 何やってんのよ!!」


 そんな声が聞こえた気がしたが、僕はお前とは違うんだよ。無謀なことはしない。ちゃんと考えがある。このブレス指向性が薄い。煙だからなのか一直線に進むというよりは薄く広く広がってく感じ。だから風が役に立つ。周りに薄い風の膜を纏、更に周囲の風の流れを操って薄く薄くブレスの拡散を早めてく。広がりやすいっていっても本体に近い所は濃ゆいからな。

 少しでも薄くすることは大切だ。

 

「うおおおおおおおおお!!」


 真っ白な中を突き進む。どうやらおもったよりもブレスの威力が強かったようだ。髪の毛の先や服のなびいてる部分とかが石化してる。けどもう少し。スカルドラゴンのボロボロの牙が見える。二本のフラングランをその口の中に突っ込んで、そして横に広げてスカルドラゴンの頭をぶち砕く。思ったよりもぜんぜんやわい。交差するようにして地面に着地する。所々石化してたところがパラパラと砕け落ちる。


「え?」


 振り返ってスカルドラゴンを見てそんな声がでた。だって全然普通に飛んでる。僕のイメージでは交差した後にスカルドラゴンは地面に落ちる予定だったんだが……そんな様子は皆無だ。確かにその頭蓋を割った筈。だけど、ダメージは入ってない? そう思ってると空中にスカルドラゴンが骨を残して旋回してる。一つ一つが人間大はある骨だ。まさかアレが落ちてきたりしない……よね? とか思ってると嫌な光が骨に浸透したように見えた。そしてスカルドラゴンの一声で一斉に襲ってきた。

 

「ほらやっぱり!!」


 僕は極限まで集中して落ちてくる骨をみる。一本だって当たらない。その覚悟をもって行動を開始する。

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