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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「どっせい!」


 そんな一回の声が響き終わると同時に、兵士達が倒れる。まあ一人を残してだが。

 

「なっ……何が?」


 状況が理解できてないようだ。それも仕方ない。僕もビックリしたもんな。まさかこんなやわっこいとは思わなかった。最初の奴だけ殺しかけたけど、後は全員剣の腹で昏倒させたから大丈夫だろう。殺しかけたやつもメカブに魔法を使ってもらえば死ぬことはないだろう。意気揚々としてた同僚達のあっけない姿に残った奴はただその顔に絶望を浮かべてる。

 僕が視線を向けただけで、思いっきり仰け反って勢い余って倒れてる。そして立ち上がる事も出来ずに無様に地を張って逃げようとしてる。仲間を見捨てていくとか流石はクズ。いや、こいつからは生きてるなんてわかんないか。動かない仲間が死んでると思うのは仕方ないことだろう。そしてだからこそ「次は自分」と思ってこんな無様な格好を見せてるんだろうしな。

 

「おい」

「ひゃあああ、お助けを! な、なんでもするからああああ……」


 なんだろう、こんな姿みてたら哀れというか、心が冷えていく感じがする。別にこいつに同情なんて全然してないんだけど、見てられなくて殺したくなってくるっていうか? もしかしたら死刑とか執行してた人はこんな気分だったのかもしれない。いや、わかんないけどね。

 

「なんでもするんなら情報をよこせ。僕がほしい情報をくれたら生かしてやらないこともない……かも?」

「いう! なんでもいうから!!」


 忠誠心って奴はないようだな。まあこんな奴等はこんなものだろうって感じ。かも――とか、聞こえてないのだろうか? 聞こえてないのはそっちのミスだから確認なんかしないけどね。情報をくれるんなら遠慮なくもらっておこう。

 

「じゃあさっきの浄化ってのはなんだ?」

「それはこの街に流通してる食材を食べると毒が定期的に蓄積されてくとかなんとか……詳しい事はわからねえ。けど一定量蓄積してないと効果はないらしくて、効果ない奴等は身体からその毒が浄化されたんだろうっ事だ」

「なるほど……」


 それなら僕達プレイヤーが無事なのは納得できる。僕たちはここの食事もとるけど、ここに住んでるって訳じゃないから、どうしてもその毒の蓄積量は少なくなるのは当然。それに最近はあんまりここに居なかったしな。メカブは知らないけど。

 

「その毒? を取り除ければ、町の人達を元に戻せるのか?」

「それはわからない……本当だ!!」


 何故かとっても怯えた感じで本当だ!! って言ったな。そんなに怖がらせてないと思うんだけど……ちょっと鞘から刀身出しただけなのに大袈裟な奴だ。

 

「それじゃ、領主の目的はなんだ?」

「それも知らない」

「知らないのに協力してるのかよ」

「いい思いさせてくれるのならなんだっていいんだよ。権力と金を自由に使わせくれたんだ!!」


 うわー、とまじで思った。いや、まじうわーとしか言えない。清々しいほどの屑だな。まあでも本当だろうな。こんな奴等に目的なんて話すわけない。体のいい捨て駒でしか無い。そのくらいこいつらも分かってるのかな? こういう奴等ってわかってなさそうだよね。とりあえずこいつからはもう何も得られる物はないか? いや、大事な事を聞かないと行けなかった。

 

「領主の居場所は知ってるか?」

「それは――」

「答える必要なんてない」


 その声に希望を見出したような兵士。確かに領主はこの場に現れて、そして屈強な兵士達を引き連れてる。それはこの兵士には光明といえるかもしれないが、使い捨ての奴を助けに来た……とは僕には思えないんだが? 

 

「ははははは! もうお前ら終わりだよ! あの数、流石のお前も勝てるわけねー!」


 意気揚々としだした奴を無視して領主の方をみる。確かに多い。五十は居る。けど、数の問題ではない気がする。何故なら領主の周りの兵士達は明らかに目がおかしい。真っ赤に充血してどこ向いてるのかわからない感じ。

 

「なんのようかしら?」

「私も我慢の限界でね。わかるだろう」


 メカブの言葉にそう返す領主はその両目を隠し、何やら変な紋様の布を巻いてる。あれで見えてるのか? と思うがちゃんとこっちを向いてるんだよな。それになんだか前に見たときよりもやつれてるようにも見える。けどその声には力を感じる。胆力とかいうやつか? 

 

「領主様!」


 僕達が領主に気を取られてる隙に生き残ってた兵士が領主の側までいく。それを笑って向かい入れる領主だけど……

 

「ああ、まだ正気を保ってる奴がいたか」

「ええ、しかも奴はなかなかの強さで――」

「違う、貴様の事だ」


 そういった領主はなにかをした。たぶんしたはずだ。するとその兵士は苦しみだして、そしてボコボコと筋肉が膨張しだす。赤黒くなった肌……目は真っ赤で口には牙が見える。それはもうアンデッド化なんてものじゃない。明らかに魔物へと変貌した姿。そして領主が指を鳴らすと他の兵士達も、倒れてた奴等までそうなった。そして領主は力強く言い放つ。

 

「殺せ!!」


 そして奴等との戦闘が始まった。

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