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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「一旦、孤児院に戻るか……」

「それはどうかしら? 見たくないもの、見るだけの気がするんだけど?」


 見たくないものって、メカブの奴は既に諦めてない? 確かに子供達もアンデッド化してたらそれは見たくはない。そのとおりだけど、もしも無事な子が居たらきっと助けを待ってる筈だ。なのに「行っても無駄でしょ」みたいな言い方は流石に僕もイラッときた。

 

「お前な、まだわからないだろ!」

「わかるわよ。だっていきなり皆こうなったじゃない。NPCは多分逃れられてない。違う!?」

「それは……」


 強く出られてこっちがちょっと後ずさりする。迫力に負けたとかじゃないよ。ただメカブの目が潤んでて……女の子の涙はずるいんだ。無条件でこっちに罪悪感を植え付けるんだもん。でも確かにメカブの言うことはもっともでもある。考えてみたら、いきなりだった。街全体を魔法陣が覆ったと思ったら周りの人達が苦しんでそしてアンデッド化した。

 NPCに逃れる術はなかったのかもしれない。何故自分達は無事なのか……ただ単純にプレイヤーだから? けどそれもちょっと違和感はある。LROはそんな甘いゲームだろうか? ってね。アンデッド化するのにはなにか条件があると思いたい。そしてアンデッド化してない自分達がその証拠に……なれるか? けど何もわからなくても、そのままってのはいけない気がする。

 そもそも何故にアンデッド化したのかとかあるし……それをやる理由とかさ。

 

「油断してたな。孤児院が取られなかったら、事態は進まないって……勝手に思ってた」


 孤児院が立ってる場所が重要な拠点の一つだったはずだ。だから領主は孤児院から皆を追い出そうとしてたわけだし。それなのにこうなった……いや、だからこそ? 

 

「まさかこの魔方陣、まだ完成してない?」

「未完成ってこと? 確かにあの短期そうな領主なら、それをしそうでもあるけど……」


 けどって事はそうでもないってことか? メカブはなんだか納得出来てないようだ。

 

「アイツはけっこう完璧主義よ。それにこれだけ大規模な魔法って未完成のまま発動させるのは危険が大きすぎるでしょ」

「それはあるかもな。じゃあ完成してるって事か?」

「それはわからない。くぅ……私の力が戻ってれば……あんた風を読む力で魔力の流れもわかるんじゃない」

「そんな事……」


 無茶振りか? 風と魔力は違うだろう。でも絶対に出来ないとも言えなくもない。こういうのは挑戦である。何も情報がないのは確かだし、出来ることはなんでもやるべき。僕は静かに集中する。風はわかる。けどざわざわしてる。風は色々と教えてくれるから魔力を感じさせてもらえないかどうか頼んでみた。すると何か違う光景が見えるような気がする。

 でもこの魔方陣の中で魔力が渦を巻いてるくらいしかわからない。しかもなんだかどす黒い色してる魔力だ。

 

「どうなの?」

「なんだか不味いってのはわかる」

「そんなの私だったわかるわよ馬鹿」


 それもそうか。確かにこの状況だけで十分だな。けど、今の僕ではそれだけくらいしか……いや、魔力が一点に集中してるような? もっと集中すれば何かが感じれるかもしれない。僕はフラングランの風の方を抜いて真っ直ぐに伸ばす。輝く宝石が風を生み出す。そしてそれを淀む魔力の中へと混ぜる。

 

(もっと深く……より深淵に)


 魔力の流れの中心へと風を向ける。その間に淀んだ感情というか怨嗟の声みたいなのが流れ込んでくる。それにちょっとフラッとくるがそこは気力で持ちこたえる。もうちょっと、あとすこ――

 

「つっ!?」


 その瞬間、物理的に少しだけ吹っ飛んだ。どうやって……なんてわからない、けど……魔力の中心で感じたアレがそうしたんだと思う。

 

「どうにかしてこの儀式を止めるぞ!」

「儀式? なによそれ?」

「多分領主は何かを召喚しようとしてるんだと思う。アンデッド化した人たちはその生贄……とりあえずやっばり孤児院目指すぞ」

「しょうがないわね」


 僕たちは走り出す。二人で何が出来るかわからないが、やるしか無い。

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