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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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805

 前を見る。そこにはアンデット化した市民の姿がある。上を見る。そこに夜空はない。青紫色に染まる空間に覆われてる。どうしてこうなったのか……前もそれは思ったような気もするが、しょうがない。だってしょうがないんだ。こんな状況だよ? 誰だって思う。一体……何がきっかけだったのか。それともずっと事態は水面下で進行してたのか……多分進行してたんだろう。

 誰にも気づかれずにひっそりと……そしてそれはやってきた。今日という日にやってきた。ローレに連れ回されて変な会議から帰ってきたと思ったらこれだよ。まじで勘弁してほしい。ちょっと最近の日課の力の鍛錬をやろうと拠点としてるこの街に戻ってきたらこの通り。しかも最悪な事とは重なるのは経験済み。今、この街には僕意外にメカブの奴しかいない。最悪だった。

 せめてオウラさんがいれば。あの人なら戦力としては十分……でもメカブじゃな……今だってほら――

 

「ちょちょちょっとなんとかしなさいよスオウ! 我が下僕いけえええ!」


 ――とか何とか言ってる。誰がお前の下僕だよ。なった覚えもない。こっちにも上司を選ぶ権利があると思います! てかさ――

 

「斬って良いのかあれ? この街の住民だろ?」


 普通のゲームなら問答無用なんだけど、ここはLROだ。どんな行動が自分達の首を締めるかわからなくて、何が自分達の救いになるかもわからない。この人達を切り捨てるのは簡単だ。それこそ一瞬で済む。けど、この人達に罪はない。もしかしたら救えるかもしれない。普通はアンデッド化したらもうツミだろうけど、ここならまだ可能性は残ってると思う。

 だから下手に斬るのはどうかと……

 

「確かに知ってる奴等も居るわね。私の力が封印されてなければ……くっ」


 案外余裕あるなこいつ。まあメカブはいつもこうだな。寧ろこうしてないと冷静でいられないんだろう。なんとなくこいつのことわかってきてるな僕。

 

「とりあえず逃げるぞ!」


 そう言ってメカブをひっつかんで屋根に上る。アンデッド共はそんな機敏ではない。だから屋根には上がってこれないだろう。

 

「なんでこんな事に……事態急変しすぎじゃね? 異変とか感じなかったのか?」


 このアホはともかく、オウラさんは何かを感じてもおかしくはないと思うんだが? けどどうやら本当に前兆とかは無かったようだ。

 

「知らないわよ。ただいきなり街全体を覆う魔法陣が発動した。そしたらこうなったのよ。やっぱりもうちょっとしつこくやっとくべきだったわ」

「……何を?」


 なんか嫌な予感がするが、不穏なワードをこいつが発したから聞かないわけにはいかない。だってメカブだよ。何やるか一番わかんない奴だよ。すると案の定こんな事を言う。

 

「勿論領主への嫌がらせよ。決まってるじゃない」


 決まってるんだ。何をしてたか聞いてもいいのか?

 

「とりあえず悪夢を見る魔法とかを定期的に屋敷全体に掛けてたわね。それとここに雇われてる兵隊共を闇討ちとかしてやったわ」


 フフンと得意気にいうメカブ。なんだかここの兵隊たちがいつもピリピリしてると思ったけど、こいつのせいではないのか? そのせいで町の人達はそれなりに迷惑を被ってたような……こいつにそこまで回る頭があるわけ無いか。

 

「お前のせいで我慢の限界切れちゃったんじゃね?」

「じゃあ私の勝ちね。あーーーはっはっはっは!!」


 そう言って高笑いを始めたメカブを見て僕は頭を抱えるしか無い。飼い主に監督不行き届きをだしてやる! こんな状況なのにどうでもいいこと考えてた。

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