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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「祝福はどうなったんだこれ?」


 苦十の奴の声が消え去って平和を取り戻した海上で僕はそう聞いた。波は静けさを取り戻し、空には穏やかな風が吹いてる。まさに平穏……それを感じる。

 

「それならとっくにあげてるわよ。何回も打てたでしょ?」

「……確かに」


 思い返すとなんかいも打てたな。何故と思ってたけどそういうこと? 

 

「黒くなってるんだけど?」

「それは知らないわよ。キャパオーバーしたんじゃない?」

「それはあるかもしれないな」


 とりあえず帰ったら鍛冶屋にメールでもしてみよう。このまま黒いままだと困るし、そもそもそれじゃあ祝福受けた意味がない。

 

「僕はサラマンダーに認められたって事でいいのか?」


 なんかこう、ちょっとした儀式でもあるのかと思ってたんだけど、ぜんぜん違うのな。期待ハズレもいいとこだよ。そう思ってるとサラマンダーがその雄大な姿をこちらに向ける。

 

『そのつもりでいい。まあ最低限のスレスレだがな』


 スレスレか……その基準がよくわからないな。そもそも認められるような事をしたのかどうかさえわからないし……てかローレと組んでたんだよな? 僕に祝福を与えることは既定路線だったのでは? 

 

『そこまで我は優しくない。認めない奴に我の雷は使わせないからな。その剣ももうしばらくすれば我の雷と馴染むだろう』

「そうそう、サラマンダーは気難しいからね。確かに計画通りだったけど、それはスオウが認められることが前提だったのよ」

「お前……そんなに僕を買ってたのか」


 ちょっと感動。ローレの奴がそんなに認めてくれてたなんて……何かがこみ上げてきそうだ。

 

「色々と都合がいいかなって思って。それに恩を売っとくのもいいでしょ? この貸しは高く付くからね」

「くっ……そういうことか」


 やっぱり良いように使われてただけでは。実際僕居なくてもどうにかできそうな雰囲気あったよな。僕は保険かなんかだったのか? それともローレは苦十の存在に気付いてた? でもローレは苦十とは面識ないはず。流石にわかるわけないよな。でも苦十の奴もそうだけど、ローレも大概謎だからな。どこまで知ってるのか……まあ、今回の事はありがたかったけど。

 

『我は戻るぞ。力を取り戻したからな』

「そうね。それであの村の依頼も達成だし、万々歳でしょ」


 そんな二人の会話を聞いてて僕は思った。

 

(これっていいのか?)


 だってそもそもローレとサラマンダーは繋がってた訳で……てか神官さんに張り付いてる式神で筒抜けでは? 依頼達成どころか責任追及されそうだが……それをぼそっと呟いたらローレは数秒考え込んでいい笑顔でこういった。

 

「じゃあ今日はここで解散で」

「おい」


 別に自分達はいいよ。落ちれるしさ、次にまた入った時に海上でもなんとか出来る。けど神官さんはそうじゃないだろ。せめて送ってかないとまずいだろ。一人こんな海の真ん中に取り残されるとか可哀想過ぎる。ほら、子鹿みたいに震えてるよ! 

 

「しょうがないわね。取り敢えず村の手前までは送ってあげるわよ」


 いやいやそうにそういうローレ。その言葉に明らかにホッと胸を撫で下ろす神官さん。そして僕たちはサラマンダーと分かれて、空を駆ける。基本僕が風で支えて移動してるんだけど、ローレの奴が風を補助してくれてやりやすくしてくれてる。こいつなんでも出来るな。しかもそれを何の事はない用に……魔法でこいつに並べる奴はいるんだろうか? 

 

「そういえば、まだしばらく付き合ってもらわよ」

「は? もうようないんだけど?」


 ローレといるとこき使われるから嫌なんだよな。けどローレは「貸し」と呟く。それだけで僕は「へいへい」というしかない。

 

「で、なにするんだよ?」


 僕のそんな言葉にローレは含み笑いをして言う。

 

「テア・レス・テレス潰し」


 一瞬ぴくっと耳が動いたかもしれない。けど振り返らず、なんでもないように「ふーん」とだけ返した。けど僕の心のざわめきを風が伝えてたかもしれない。

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