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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「はぁ〜ふぅ〜」


 深く大きく深呼吸をした。感じるは潮風。海の匂いは鼻腔に強く残る。なんだかいつもよりもべったりとしそうな風だ。何かそういうのも関係あるのだろうか? よくわからないけど、自身の風を伸ばして潮風をつかもうとする。

 けどやっぱり上手くいかない。少し重い気もする。絡みづらいというか。これを仕方ないと思うのが今まで。こういうものだと、今の自分にはここが上限だと思ってた。正直、この力がまだあることだけで嬉しかったから。

 でもそれは今思えば、自分の可能性をなくしてたのかもしれない。上を見ず現状に満足してた。それじゃ届かないとわかってたのに。まだこんなものだって……自分に向上心がなくてどうやって伸びるんだ。誰かがいきなり力を伸ばしてくれるのを期待するなんて、僕らしくもない。

 しかもそれをローレに気付かされるなんてな。


(掴む……絶対に)


 もう上限を決めつけたりしない。今が限界なんて思わない。風に意識を集中するのは疲れる。感覚だから、それに集中すること自体が大変だ。けど……逃げない。思い出せ……前の感覚を。

 それも一番絶好調だったやつだ。最高のポテンシャルを思い浮かべる−−それは有用なことならしいから挑戦してみる。


(強引に……じゃないんだよな。もっと自然にあの時はつかめてた)


 だからもっと優しくを心がける。やっぱり風も強引な力任せよりも、優しい方がいいのかも。けど、どうやらただ優しさを優先しても歯牙にもかけてもらえないみたい。ただ優しいだけじゃダメだってことか。

 リアルでも優しい人って分類では彼女とかできないみたいだもんな。それと一緒かもしれない。じゃな何が必要なのかを考える。優しさだけじゃないとしたら……た、逞しさと? いやいや風に逞しさって何だよ。わけがわからん。


(エアリーロはなんて言ってたっけ?)


 あいつは風の化身みたいな存在だ。あいつは色々と教えてくれた。風の掴み方だって教えてくれたはずだ。まずは流れに逆らわず。その流れに自分の風を紛れ込ませる。そして少しずつ周りの風を優しく掴む。

 そうして風の流れに自分を紛れ込ませることができたら、自身が掴んだ風たちの流れを自然と変える。すると周囲がついてくる。つまりはこういうことなのかもしれない。そしてそうなるとさらに風を掴みやすくなる。

 まだまだ時間がかかる。こんなに風だけに集中出来る戦闘なんてほぼないだろうから今のままだと使えないことに変わりはない。けど……これは大きな一歩だ。


(いける!)


 掴んだ風を周囲に纏う。すると体がわずかに浮いた。今までの比じゃない風の量。それでもまだまだ全盛期の比じゃなけど、それでもこれは大きな進歩だ。僕は上空を見る。繰り広げられてるのはどデカイ戦闘。

 今までならこんな戦闘には今の僕ては……って思ってた。けど、せっかく死ななくなったんだ。挑戦しないと損だよな! 僕はそう思い空を駆け出す。待ってろローレ、サラマンダー!!

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