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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 サラマンダーによって拉致られた場所は海の上だった。そしてそんな海に立つ人物が見える。そうローレの奴だ。アイツを中心になにやら複雑な魔法陣が展開してる。一体全体何なんだ? ちゃんと説明してくれるんだろうな?

 

(待たせたな)

「別に、私的には予定通りだけど?」

(食えないやつだ)


 なにやら話してるサラマンダーとローレ。こいつらどうみても既に契約してないか? そうじゃないと精霊がこんなフレンドリーな訳無いだろ。全ては嘘だった……そう思わずにはいられない。けどだ、そうしたらなんで僕を巻き込んだのか? それがよくわからない。こいつなら事実かどうかは知らないが、手駒が居るだろう? そいつら使えばいいだけなのに……そうしない理由がわからない。やっぱり居ないのか? 手駒なんて一人も……けどそれだと、四国を統一してるって事も嘘になるような? 

 だってチームもなしに統一なんて出来るわけない。一人の力なんてたかが知れてるんだから。けどもしもそれが一人で出来るのだとしたらこいつは僕が思ってるよりもとんでもない奴なのかもしれないと思える。いや、わかんないんだけど……とりあえず事情を説明してもらわないことにはなにもわからない。

 

「おい、僕達をほったらかしにして話しするなよ。てか、まじで何がどうなってるんだ? 本当の事を言えローレ」

「本当のこと……ね」


 なにその「本当に聞きたい?」みたいな空気。いやいや騙されないから、ちゃんと話してもらうぞ。脅してもダメだ。僕が引かずにローレを見つめ続けてるとローレは一つ息を吐く。そしてこういった。

 

「そんな熱い視線で見つめられても困るだけど? ごめんなさい」

「なんの事だよ!?」


 ぶん殴っていいこいつ? 年下の女子だけど殴りたい。そうそう思わないことを本気で思うほどにこいつは僕の神経を逆撫でするな。流石ローレ、感心するわ。わかっててやってるのが質悪いよなこいつ。

 

「全く、この世にはね、知らないことのほうが良かったって事があるんだよ?」


 なにその心配してる風でそれ以上に小馬鹿にされてる感じがする言葉。どんだけ言いたくないんだよ。てか絶対に面白がってるだけだろうこいつ。

 

「そろそろ本気で怒るぞ」


 僕は本気トーンでそう呟く。するとローレの顔からすっと感情が抜けたかのような気がした。ぞっとするような事をなんとはなしにするやつだ。何その顔? 怖いんですけど……

 

「じゃあ端的に教えてあげる」


 その言葉にも抑揚がない。何? 演出だよね? そういえよ……思わずゴクリとツバを飲み込む。

 

「実はサラマンダーがあの場所に居たのとか全部、私の計画通りなの。スオウに話してた事はだいたい嘘」

「おいこら待てよ。可愛ければ大概許されるとか思うなよ。僕は男女平等パンチ打てるからな」


 そう言って拳を開いたり握ったりしてみせる。でもローレの奴は変わらない表情のままだ。だからその顔やめろよ……ちょっと怖気づきそうになりながらも僕は質問を続ける。

 

「全部が嘘ってことは、お前はもうサラマンダーとは契約してるのか?」

「そうね」

「じゃあなんで僕を誘った?」

「それはここからのため」

「ここから?」


 それはこの海上からってことだよな? ようはここからが本番? そう思ってると神官さんが言葉を挟む。

 

「それなら精霊……様が森を荒らしてたのは?」

「あれはそうね……サラマンダーの憂さ晴らしと私のちょっとした演出。素敵でしょ?」


 よし、殴っていいですよ神官さん。許します。けど、無表情のローレに神官さんはなにもできそうもない。その拳を握りしめるのが精一杯。

 

「お前とサラマンダーは何を企んでる?」

「私たちは企みを暴く側なんだけどね。サラマンダーが怒ってた事は本当。精霊と言う存在を犯す奴が居るのよ。それをこれから倒す。そいつを見たら、多分スオウも理解できるわ。全部ね」


 全部……それはそれでなかなかに怖いものがある気がする。つまりはこの戦いに僕を選んだ本当の理由がわかるってことか? 

 

「その存在とは?」

「それを今から見せて上げるっていってるの」


 神官さんの素直な疑問にローレが背筋が凍るかのような声で応えた。ネタバラシはしたくないらしい。ローレが作ってた魔法陣に更にサラマンダーが何かをしてる。そしてどんどん光と放電が強くなっていくと夜空が渦巻いて、そこから何かが出てくる。

 

「尻尾は掴んでるのよ。さっさとその姿を現しなさい!」


 その言葉の後にそれは姿を表した。それはもう一体のサラマンダー。奴は赤い体毛に金の角、そして黒い稲妻を纏ってた。え? 兄弟? とか思った自分は悪くない。うん、悪くない。

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