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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「遅いわよ」


 レスティアの一角でそういうのはローレのやつだ。今はどうせチームでエリア戦もできないし、いい機会だし今のうちに戦力強化も図ろうとしてるのだ。フラングランを完全なものにするには雷の精霊の祝福が必要……鍛冶屋がそう言ってた。だから行かないと。

 そのためのローレとの協力関係だ。こいつもどうやら今、再び精霊集めに勤しんでるようで案内してくれるらしい。

 

「いいのか四国の方は?」

「私は人を使うの上手いからその場にいなくたっていいのよ。そもそも影武者いるし」

「またか……」


 そういえば前の時もこいつ影武者使ってたよな。そういうの好きだよなこいつ。

 

「影とかいるのか? 日鞠とかそんなの使ってないぞ?」

「誰よそれ……あっ、もしかしてテア・レス・テレスの会長とか言われてる奴のこと?」


 ああ、そういえばこっちでは会長だったな。日鞠って言ってもリアルでも知り合いでないと通じないか。でも会長って言ったことないから違和感半端ない。とりあえず頷いて肯定しておいた。

 

「あれってアンタのなんなの?」

「幼馴染」


 端的に教えてやった。するとローレは「ふーん」となんだか考え込んでる。

 

「あんたといい会長という奴といい、ふざけた奴が同じ場所にいるってなんなの? 運命とかだと思えばいいの?」

「いや、知らねーよそんなの。それにあいつは確かに特別だけど、僕は全然普通だから」

「普通ね。あんたは普通を知らないのよ。あんたみたいな普通はいない」


 なにその断言……結構ショックなんですけど。こっちは普通の高校生目指してるってのに嫌なこと言わないでほしい。

 

「普通ってのはね……埋もれるものなの。多数に埋もれるその他にしかなれないような奴が普通なの。あんた、他人の中に埋もれたことある?」

「それ……は……」


 確かに埋もれるというよりは槍玉に挙げられる方だったけど……けどそれは日鞠の奴が……ねえ。でもそれもローレに言わせれば普通から外れるんだろう。案外普通の基準は難しいようだ。

 

「お前は普通なのか?」


 なんとなくそう聞いた自分がいた。いやなんかね……さっきからのローレの言葉を聞くとそうなのかなって?

 

「ふふ、私が普通に埋もれるわけないでしょ。私を誰だと思ってるのよ。いずれ世界を取る女よ」


 えらくでかく出たなこいつ。世界まで取っちゃう気なの? まあ野望は大きいに越したことないかもしれないけど、そんなことないかもしれない。でも今のはただ誤魔化しただけのような気がする。

 まあ、そこまで詮索する気もないんだけど。

 

 二人で歩いてニューリードへと続く大門まで来た。他人のエリアではエリア間移動はできないようで、LROへ戻るにはやっぱりここを使わないといけないようだ。

 

「向こうへ出たら直ぐにエリア間移動を駆使してサン・ジェルクに行くわよ」

「おう! って言いたいところだけど、まだ新しく始めて一回も行ったことないぞ」

「……しょうがないから私のエリアを通して連れて行ってやるわよ」


 おお! ってことはローレのエリアが見れるってことだな。楽しみである。なかなか他人のエリアって見れないからね。それに四国では屈指のエリアなんだろうし、結構すごいんだろう。

 それになんだかローレのエリアって想像できないしね。ワクワクしながらニューリードへと戻り、続いてすぐにエリアに繋がる扉がある区域に来た。すると黒い布を渡された。

 

「なにこれ?」

「なにって目隠しよ。あんたにエリア見られたくないし」


 酷い! せっかく楽しみにしてたのに。それに僕一人に見せたってなにがどうなるわけでもないっていうのにな。そこまで気にする必要ないと思う。僕が明らかに不満な顔してるとローレが面白そうに顔を歪めて言ってきた。


「そんなに見たいの? 私のプライベートルーム?」


 くっ何かズルいな……見た目だけなら美少女なローレのプライベートルームみたいとかなんか罪悪感湧くじゃん。しょうがないからここは素直に従っておくか。そのうちきっと見せてくれるだろう。

 

「ほら、行くわよ」


 ガチャ−−と扉が開く音が聞こえる。そして不意に手に柔らかくて暖かなものが触れて引っ張られる。なんだろう視界が遮られてるからかやけに体温を感じる。

 

(ヤバっ手汗とか大丈夫かな?)


 そんなどうでもいいことを考えてしまうくらいにはドキドキしてた。

次回も近々あげます。

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