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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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宣戦布告

挿絵(By みてみん)

 扉が開く。最初この扉が開いた時は不安が渦巻いてた訳だけど、今はそうじゃない。鳴り響くファンファーレと共に、全てが扉の中に吸い込まれてく。そんな中、戻ってきた会長が皆と手を叩き合う中、最後に自分にもその手を向けてくれる。

 無言で見つめられるとなんだか恥ずかしい。けど会長はこんなに凄くても気さくなんだ。壁を作らないと言うか……だから自分も歩み寄れる。


 パン––


 ––と軽く響く音。会長は可愛く「うん!」と頷く。まったく、最高だなこの人。そう思いながら扉の中に吸い込まれて、次の瞬間には騒がしい中に自分達は放り出されてた。ギャラリーがなんだか自分達以上に興奮してる。てか中継されてたのか。


「な、なんだか凄い盛り上がり様ですね」

「エリアバトルは視聴自由だからね。プレイヤーにはバトルの開始と相手と結果は速報で通達されるよ。それだけ重要度が高いんだよ」


 なるほど、会長の説明で納得。やっぱり今度のこの世界はエリアバトルという新システムがメインの様。でもエリアバトルの真意と言うか、目的は何なんだろう? この世界にクエストとかミッションは無くなってしまったんだろうか? 

 本当はそこら辺も全部、この戦闘の前……というか、この戦闘事態が予定外で、説明が後回しになったんだろうけどさ、説明してくれるんですよね? まあ今はやっぱり無理っぽいけど。だって周囲が五月蠅い。いやマジで。流石にちょっと気恥ずかしいよ。


「ほら、綴君背筋伸ばして。勝者の貫禄を見せつけてあげようよ」

「いや、そう云うのは会長に任せます」


 苦手なんでこういうの。会長はだけどそう言う自分を逃しはしなかった。わざわざ自分の手を掴んで手を上げさせたりされた。その度に周囲からは拍手が起こって、もうなんか恥ずかしくてむず痒かった。


「はぁ、最後らへんは調子乗ってたように見えたけど?」

「ルミルミさん柄悪いですよ」


 モブリなのに……そんな愛らしい恰好なのに柄悪いってこの人アレか寸動さんか? リアルの姿とギャップありすぎて気付かなかったけど、この溢れだす柄の悪さ間違いない。元が不良なんだよねこの人。

 でもマスクして長いスカートでとか言うのじゃなく、渋谷とかに居る野生というか野獣の様な生態の不良でもなく、なんというか生き様が……みたいな? 制服だってお洒落程度に着崩してちょっと手を加えた感じで、彼女は自分達の学校のファッションリーダーみたいな物に成ってる。彼女のファッションを一般生徒が真似したがるんだよね。

 生き様が不良というのもちょっと語弊があったかもしれない。不良と言うよりも男っぽいというか、男勝りな感じなんだ。女子はそんな彼女に黄色い悲鳴を上げてるよ。まあ、男勝りでぶっきらぼうな所があるせいで、一部の女子にはかなり嫌われてて色々と問題も多かったんだよね。

 そもそも自分はこういう人とは一生関わらない物だと思ってました。中学の時もかなり有名な不良というかなんというかだったらしいし、その名残がこの姿でも残ってる。外見は変わっても中身は変わり様もないよね。


「うっさい、殴るわよ」

「そのちっこい腕でですか?」

「フン!!」


 その瞬間、彼女の姿が見えなくなった––と思ったらスネを思いっきり蹴られた。激痛が骨の内側に染みわたるような感覚が貫く。思わずその場で転がりだすよ。超恥ずかしい。ギャラリーもいっぱいなのになんてことをしやがるんだこの人。


「弱虫の癖に舐めた口を聞くから。最近雨乃森先輩や日鞠様に近づけたからって調子こいてんじゃないの?」


 この身長一メートルも無い生物に見下されるって中々ないと思うんだけど……今まさに自分はその自分よりもずっと小さな彼女に見下されてる。超怖い……目がマジなんですけど。


「私はね、汚らわしい男なんて生徒会には必要ないと思ってるのよ。特にアンタみたいなナヨナヨした奴はね」

「す……すみません」


 思わず謝罪の言葉が出てくる。てかこの恐怖には勝てないよ。そもそも女子と言い争いとか出来ないんで。動物に例えると自分はカエル、彼女は蛇なんだ。睨まれると震え上がるんだ。それが『風砂 綴』と言う自分。少しは変わったかも知れないけど、でもこの人は無理。人種が違うんだ。

 そもそも同学年でこっちが一方的に敬語使ってる時点で察して欲しい。いやマジで苦手なんですこの人は。でも確かにちょっと調子に乗ってたのかも知れない。気をつけよう。あれ、でも勝利の余韻にすら浸れないとか、どこで喜びを現せば? まあそういう権利が自分に無いのはいつものことの様な気もする。


「は……ははは」


 乾いた笑いが漏れた。一応は謝ったし、後は笑ってやり過ごすしか無い。するとルミルミは鼻を鳴らして会長の背中に飛びついた。


「か〜いちょう! やったな」

「イエ〜イ!」


 パン––と手を叩き合わせる二人。ああいう風にルミルミが……と言うか、寸動さんが気兼ねなく話しかける相手は会長しか知らないな。いつもどこか気難しそうな顔してると言うか、周りを威嚇するみたいに睨んでるからな。

 まあそれでも生徒会に入ってから––というか、会長に出会ってからこの人も変わったらしいけどね。丸くなったらしい(これでも)。とりあえず会長と触れ合ってる時は柔らかくなるからこの間にちょっと距離を取っておこう。

 幸いにもギャラリーは会長に注目してるし、こんな下っ端が輪から外れても気に留めるや奴なんて––


「何やってるの綴君? 離れちゃダメだよ。言うことあるんだから」


 言うこと? それって自分が––って事だろうか? そうでないと呼び止める理由がないよね。でも待って欲しい。自分が何を言うと? アレか? 彼女の事……大々的に探せとか? でもリアルの名前叫ぶ訳にも行かいないよね? 確かにここで彼女の名前を叫んでメッセージを伝えれば後々反応が返ってくる可能はあるのかもしれない。

 けどあんまり意識出来ないけど、ここも一応はネットの世界だ。不特定多数の方々にプライベートな事をバラすのはどうかと思う。

 そう思って躊躇してると会長が手を伸ばして「早く」と言ってくる。その背中ですっげぇ睨みを利かしてるヌイグルミのようなモブリが一人。ヌイグルミの様なのに、自分の視点からはモンスターに見えてるよ。何あの禍々しいオーラは。そのオーラが形に成ってこういってるのが何故かハッキリ見える。


『ちょっと何困った素振りしてんのよ? 日鞠様に手を差し伸べてもらうとか––––羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい…………羨ましい!!』


 あの人怖い!! 近づきたくない……けど近づかなかったら後で殺られる! しかも多分リアルで!! それは嫌だ。自分は恐る恐る会長達の元へ戻る。ルミルミの睨みがきつい。これで自分がまた目立つ様な事があったらマジでリアルで殴られるよ。マジで勘弁して下さい会長。そんな空気を必死に出して伝わる事を願う。

 会長は特別だ。それにここは特別な世界。リアルでは伝わらない言葉が伝わるかも知れない。元にさっきルミルミの心の声は具現化してたしね。いや、アレは本当にそう見えただけの気のせいって事もあり得そうだけど、LROの力をここは信じよう。


(察してください会長。自分の為に!!)

「え〜とでは皆さん、運良く勝利で初戦を終えれた私達が宣言します」

(あれ? 自分が喋る訳じゃないんだ。良かった)


 ホッとしたのも束の間、会長はこの場の全員に……いや、この世界に参加してるプレイヤー全員に宣言した。それは勿論とんでもない事をだ。


「これで終わりになんてしません。私達『テア・レス・テレス』はこの世界の覇権を取りに行くつもりです。皆さん、覚悟しててください!!」


 誰に向けてもいいかも分からない指を、会長は天辺に……空を付くように掲げてた。それはまさにこの場に居ない、もしかしたらリアルの方に居るプレイヤーにまでも向けたかの様なポーズ。勿論周りは喧騒を沈めて、ポカーンな状態だ。ヤバイ……私達と巻き込まれた自分達が恥ずかしい。

 そもそも『テア・レス・テレス』って何ですか? 何語? 何も聞いてないんですけど……覇権って……とっても物騒な言葉だと思います。


 どう反応していいのか良いのか困ってるのが伝わってくる。自分達も何か決めポーズでも取った方が良いのかな? とか思い出してると、いきなり野太い笑い声が響いた。


「がーはっはははは! 面白い冗談だなお嬢ちゃん。覇権? 君にくれてやる程、この世界は安くはないぞ」


 ゴツイ鎧に身を包んだ無精髭生やしたオッサンだ。装備もそうだけど……雰囲気だけでなんか強そうだ。画面の向こうに居るモンスターのボスとかはその異様な見た目とかで迫力出すか、CGを駆使するかとかしないと脅威ってやつを魅せつけれなかったけど……ここは違う。

 自分達は雰囲気その物を感じることが出来るんだ。別にルミルミの様に常に周囲に敵意を振りまいてるとかじゃ無く、寧ろ気さくそうなオッサンである。けどなんだろう……妙な迫力を感じる。

 自分にこんな感覚があったなんてビックリだ。けど、そうだ……中々危機察知能力には自負があったかもしれない。昔から良くイジメの対象になりやすかったからね。とりあえず危険そうな奴には予め距離を置く様に努めるためにも、他人の力に敏感になるってのはある。

 だから自分の鍛えられた第六感がビンビンと伝えてくるんだ。あのオッサンは只者じゃないと。でもそれを感じてるのは自分だけなのかもしれない。オッサンの気さくな笑いで周囲は再び喧騒を紡ぎだしてる。

 オッサンが言ったように冗談と捕らえて笑い飛ばす人々が沢山。そしてそれぞれが「楽しませてもらったよ」とか言いながら去っていく。なんだか会長の宣言がいなされた感じだな。まあでも冗談と捉えるな––と言う方が無理があるのもわかるけどね。

 自分達は紛れもない初心者だ。多分経験者の人達は、自分達の格好でそれが分かるんだろう。だからさっき戦ったえっとシャドーなんとかさん? 達も自分達を初心者だと思って高をくくってバトルを了承したわけだもんね。

 まあそのせいで痛い目にあってすぐ側でずっと悔し気にしてるんだけど。敗者を見下すなんて自分的には初体験だ。ちょっと良い気分……だけど視点を変えれば会長とオッサンが視線交わらせてて怖い雰囲気。いや、どちらも笑顔なんだけどね。

 もうここでは自分の感覚が敏感過ぎるのか、空気のピリピリとした感じが静電気みたいに分かりやすい気がする。


「どなたですか? そう言うと言う事は貴方も世界を狙ってるということですよね?」

「当然。確かに名を名乗らないのは失礼だな。俺は『シデン』。そして世界を取るのは我等『全能男讃会』だ」


 全能男讃会? なんて暑苦しい名前。まさか全員男で入れるのも男だけと言う、そう言うホモホモしいグループなのだろうか? 気になる……けど、聞けない。自分なんかが口を挟める雰囲気じゃないからね。ここは大人しく縮こまってるよ。


「暑苦しい名前ですね。夏場とか臭そうです」


 言っちゃったよ! 流石会長……怖いもの知らずっすね。確かに想像するだけで夏場はくさそうではある。そこは全面同意だ。


「言ってくれるな。だ、だが臭くはないぞ。俺もまだ加齢臭……とかでる歳じゃないからな。全然臭くはない」


 なんか結構焦って否定してるオッサン。やっぱりオッサンともなると加齢臭とかが気になるらしい。まあ会長が言ったくさそうって汗くさそうってことだと思うけど。


「そうですね、ここはLROですし匂いなんてどうにでも出来ますよね。改めまして私は『カイチョウ』と申します」

「……カイチョウ? それが名前なのか?」


 オッサンのその反応はご尤もだと思います。やっぱりその名前は無かったと思う。会長は会長だけど会長ってのはやっぱり無いかなって……もっと可愛らしい名前でも良かった筈でしょう。残念ですよ。折角容姿はリアルよりも華やかに成ってるのに……カイチョウって名前は合ってない。

 でも会長は別段何事も無いように「はい」と返してる。


「不思議な奴だな。どうやら今の啖呵、単なる冗談ではないようだ。だがこの世界はぽっと出の奴がのし上がれる程甘くはない。本当の初心者の集まりでは……な」


 そう言ってこちらを見てくるオッサン。思わず目が合うと逸らしてしまった。いや、だって睨み返すとか自分にできるはず無いし……と言うかこの人の今の言葉……何か違和感があるような 。


「まあ頑張りたまえ。それと今回は良かったが、相手はよく選んだ方がいい。お嬢ちゃん達が勝てたのは奇跡の様な物だ。それだけだよ」


 そう言ってオッサンも背中を向けて歩き出す。大きな背中だ。それにその背に背負う大剣はいかにも強力そう。この人とは対峙したくない––と直感でそう思った。けど、どうやら会長は違ったようだ。


「貴方とはいずれやりあう気がします。その時は全力でやりましょう」

「ふはは! そうだな。そこまで来れたら、叩き潰してやろう」


 その瞬間肌がゾクゾクと嫌な感じを受け取る。気さくそうな人だったのに、一瞬にして息を飲むほどの殺気と言うか何かをぶつけられた感覚。背中の武器に手を添えて、僅かに見せる瞳の輝きに圧倒される。それは自分だけじゃ無く他の皆も同じだ。動けない。まるで体が地面にくっついてるみたい。

 けどそんな中、背中から吹き抜ける風が無造作に垂れてた会長の長い黒髪を激しくなびかせる。いきなりの突風に自分達は踏ん張って目を細めた。けど会長はまるでその風に乗るようにふふわりと浮いたように見えた。そしてトン––と言う音と共にオッサンの横に付く。


「行きますよ必ず。負けません!」

「ぬぐっ……」


 いきなり隣に付いた会長にちょっとたじろぐオッサン。けど、直ぐに笑い飛ばして、手を振って何処かへ消える。その数秒を息も付かずに見つめてた自分達は、苦しくなってからようやく呼吸というものを思い出した。


「はぁはぁ、会長……無茶やんないでくださいよ。寿命が縮まりましたよ」

「ルガラ君は心配症だね。大丈夫だよ。街中は決闘以外で攻撃は出来ないからね。それにあの人悪い人じゃないと思うよ」

「そうかもしれないですが、あのクラスの奴に今戦いを挑むのは無謀です。目を付けられるのも良く無いですし……」


 ルガラと呼ばれた戦闘に参加しなかった人がブツブツ言ってる。てか、何かこの人は自分よりも色々と知ってそうだ。アレかな? 自分達の戦闘中に暇だったから色々と情報収集でもしてたのだろうか?


「ごめんごめん、けどどうせいずれ戦うから同じだよ。それよりも今は喜ぼうよ、エリアいきなり拡張だよ。幸先いいよ〜」

「それはそうですけど……彼らはどうするおつもりで?」


 そう言うルガラ君の視線の先には敗者の方々が居た。まだ居たんだ。忘れてたよ。最初の威勢が嘘のように縮こまってる。


「エリアは既にこっちに常渡されてるからね〜、全てのエリアを失った者はこの世界に存在する権利をなくす。このままだと君達の冒険は終わりって事になるね」

「そ、それだけは!! お、俺達にはここしか……ここしか居場所が無いんだ!!」


 う〜ん、やっぱりエリアを無くすとかなりのペナルティはあるんだな。てかLRO追放ってヤバイリスクだよ。あの戦闘ハイリスク過ぎじゃないかな? 会長怖いもの知らずにも程がある。自分達が負けてたらやっぱり冒険終了だったんじゃん。


「まあそれならテア・レス・テレスの一員にしてあげる。家は自由がもっとうだからね。拒まないよ、何も」

「「会長!!」」


 複数人が一気にそう声を荒げる。まあね……自分もあんまり賛成出来ないよ。学校ならそうそう下手な事は出来ないだろうけど、ここはLROだ。匿名性が高い場所。裏切り行為とか普通に出来そう。そしてこいつらならやりそうだ。

 選り好みって必要だと思う。こういう場所だからこそね。そりゃあ大きくなるに連れて……ってのは仕方ないと思うんだけど、こんな初期で不協和音にしかならないような奴等を入れるってのは……


「大丈夫だよ。自由の意味をはき違えなければね。私は誰かを拒んだりしない」


 そう言って敗者である彼等をあっさりとテア・レス・テレスに向かい入れる会長。本当に大丈夫かな? 立場的には自分の方が上だよね? けどいつの間にか自分がパシリにされそうな気がするな。


「いや〜カイチョウさん凄いっすね。まさかあんな啖呵切るなんて痺れたっす!」


 あれ? 中々に好意的に成ってるな。もっと遺恨があるかと思ってたんだけど……いや、いきなりの低姿勢はある意味怪しいか? 取り入ろうとして––


「頭が高いんじゃあああああああ!!」

「ズベポ!!」


 ––あ〜あ、ルミルミが喋ってた奴の顎に頭突きかましちゃったよ。確かに頭が高かったけど、それは身長的にどうしようも……ルミルミ的には会長に話しかける時は常に跪いてろってことなのかもしれない。


「なっ……にしやがるこのクソモブリ!!」

「負け犬は負け犬らしくしてなさいよ。日鞠様の慈悲でアンタ達の様な役立たずを受け入れてやったんだからね。せめて様つけさない!」

「こんのクソチビ〜〜」

「はいはい、ルミルミも他の皆も仲良くしようね。仲間なんだから。役立たずかどうかはこれから次第。忙しくなるんだから」


 そう言って喧嘩の仲裁をする会長。忙しくなる……か、まあ今日みたいな事を毎日する訳じゃないだろうけど、この街から外に繰り出すとなると色々と忙しくなるよね。まさに冒険の始まりだし。


「会長、まさかエリアバトルをこれからも続ける気ですか?」

「モチのロンだよ! それが新生LROの醍醐味じゃない」


 ルガラ君の言葉に簡単にそう返す会長。えええ!? まさかこれからもエリアバトルなんてハイリスクな物をやってく気なんですか? 


「会長、それはせめて態勢が整ってからのほうが良いのではないですか? 今の私達じゃハイリスク過ぎますよ」


 ウンウン、ニーナさんの言うとおりだと思います。今の自分達にはエリアバトルは早過ぎると思う。けどやんわりと会長はそれを否定するよ。



「態勢は整えるよ。でもそれは最低限でいい。今ここはまだ真っ白な世界で、それほどプレイヤーも多くはない。さっきの人みたいな高次元のプレイヤーはそう多くはないよ」

「だったら……」

「ううん、だからこそ––だよ。だから今しか無い。私達の様な素人が彼等と肩を並べるほどに大きくなるには今エリアバトルを仕掛けるしか無い。まだ余りこのシステムを活用してる人はいないのは、沢山の人達が様子見してるから。

 それと同じように準備を整えてる部分が大きい。それは高次元のプレイヤー達も同じ。皆が準備を整え終えて本格的に始まったらもう遅いんだよ。私達が切り込むには今しかない。誰よりも早く……そして多くエリアバトルを仕掛ける。

 その為に私達はここに居るの」


 ドサッと膝から崩れ落ちる。だって……それってこれから毎日の様にエリアバトルを仕掛けるって事ですか? あんな事を一週間で何回も……流石に逃げたくなるかも。どうやら自分だけじゃなく他の皆も同じような状態に成ってる。

 けど会長は迷いなく言ってのける。


「大丈夫安心して、一週間は準備期間にするから。一週間後からは毎日放課後エリアバトルを仕掛けるからね。頑張ってこーー!!」


 自分達はその声に応えないわけには行かない。さっき入ったばかりの奴等はなんだかついていけてないようだけど、自分達は会長は有言実行の人だと知ってる。そしてそんな会長に地底ってるんだ。崩れ落ちてても自分達を拳を上げてひ弱にも声を出した。

 大変だ……大変な日々が始まってしまった。


 第六百八十五話です。

 遅くなりました。ギリギリセーフですね。危ない危ない。

 次回は水曜日に上げますね。ではでは。

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