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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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終わった時間

 鍵穴を通って光の中に飛び出す。足が地を踏む感覚。そして流れる空気に匂いが付いた気がした。さっきまではよく分からない空間に居た訳だけど、リアルとかでは街や、それぞれの家とかで匂いがあるじゃん。

 そんな、なんだかよく分からないけど、流れる空気に個性の様な匂いが乗ってる気がしたんだ。そして次第に聞こえてくる掛け声の様な音。なんだかそれは部活動の声の様な……真っ白だった空間に次第に色がつき始める。

 瞬きをする度に、曖昧だったこの場所が固定されてく。いや、元々この場所事態はこの形だったんだろう。だからただ僕がこの場所に受け入れられたって事なのかも。数回の瞬きの後には、僕は見知らぬ制服を纏、見知らぬ校舎の廊下に佇んてた。


「学校……だよな?」


 校舎って言ったけど、そんな感じがするだけで、外から確認した訳じゃない。でもなんとなくそう思ったんだよな。それにどうやら見える部分にある部屋にはそれぞれ『なんとか部』とついてるし、学校ではあるだろう。

 学校以外で部活動なんて無いだろ。会社とかでスポーツやってる所とかもあるだろけど、部なんて付けないんではないだろうか? よく知らないけど。それに普通はそう言う会社とかのクラブ活動は基本運動系だろ。

 今見えてる『なんとか部』はたぶん文化系だ。まあ茶道部とか新聞部とか囲碁部とかはわかる。普通だろ。だけど僕が立ってる扉の前の部は意味不明だ。えっと……何々……


「ダイバークランジェント・リーデヴァイブシステム研究会?」


 よくよく見たら部でもなかった。なんなんだこの思いつきで付けました感満載な名前のクラブは。そもそも何やってるクラブなんだよ。いや、研究会なんだし、何かを研究してるのか。そしてその『何』の部分はこのダイバークランジェント・リーデヴァイブシステムとやらになるのかな?

 だけど普通の高校(でいいのかな?)とかの研究会とかでまともに研究をやるとは思えない。大層な名前つけてるけど、実際はアレだろ? よくある活動内容はほぼないみたいな物だろ。お茶してるんだろどうせ。

 こういう訳分からない名前の会はそんな物だよな。


「だけど……この会の部屋の前に僕は居る。って事は何か関係あるのかな?」


 当夜さんと。関係ない訳はないよな。ここはある意味で当夜さんの思考の中と言っても過言じゃない……のかは分からないけど、とりあえずこの空間の全ては当夜さんに関係有るはずだ。だったら僕がこの部屋の前に居たのだって意味はあるんだろう。


「入ってみるしか無いよな」


 わざわざこの扉の方を向いてたんだ。それはこの中に招かれてるって事だと思う。つまりはこの中に当夜さんが……僕は扉に手を掛ける。そして開こうとしたその瞬間、馴染みない声に名前を呼ばれた。


「スオウ君、来てくれるのを待ってました」


 透き通ってる……とは言いがたい。だけど耳障りな訳じゃない。綺麗だと思える声、でもどこか歪さを感じる声。視線を向けるとそこには一人の女の子が居た。陶器の様に異様に白い肌。肩にかからない程度のおかっぱの髪。整って着られた制服。

 一見して物凄くありふれた優等生っぽいけど、その髪色が全てをぶち壊す異様さを放ってる。七色の色が渦を巻いた様な模様をしてるんだ。おいおい、どうやって染めたんだよそれ。そして黒目の部分が大きいのか、白目が見えないその瞳は黒で満たされてて見つめられると吸い込まれそうになる。

 なんだか……異様な雰囲気を放つ女の子だよ。


「えっと……」

「ああ、これは自毛ですので気にしないでください。私は見た目どおりの優等生なのでご信用してくださって結構ですよ」

「自分で優等生言うやつはあんまり信じれない様な……」


 優等生はそんな事言わなくないか。そもそも見た瞬間から危なそうなオーラを感じるんですけど。まあでもしょっぱなから髪のフォローをするって事は、この対応はデフォルトなのか。確かに絶対に突っ込まれそうだもんな。

 だから突っ込まれる前に自分から申告する様になったのかも知れない。密かな苦労が垣間見える。


「そうですか? う〜ん、そうですね。自分を信じてという人ほど胡散臭く感じるのと同じ感覚なのでしょうね。これはこれは失敗です。じゃあ私はこの髪の通りに素行不良な少女です。でも偶に捨てられてる動物に餌をあげたりします」

「そのアピールはあざといだろ!?」


 どうやら次に狙ったのはギャップらしい。確かに普段いかつい不良が、ダンボールに入った捨て猫や犬に餌を与えててドキュン! って一昔前ならあったけど……それを狙うなよ。普通そこは不良なんだから恥ずかしがってなきゃいけないんだ。

 自分優しいアピールなんてアイツ等出来ないんだぞ。それなのに自分からなんて……素行不良というよりも腹黒だろそれは。


「そんな誰しもがここに一物を抱えてる物でしょう」


 そう言って何故か彼女はお腹……よりも下の部分をアピールしてる。てかそこ、もうスカートじゃん。


「一物ってイチモツかよ! それは男にしかないから!」

「あれ? いつ私が女なんて言いましたっけ?」


 なん……だと? それは頭を鈍器で殴られた様な衝撃。まさかこの眼の前の女みたいな奴は女じゃな––


「まて、お前さっきに少女言っただろ」

「ふっ」


  何故かここでキメ顔を作る変な少女。しかも連動して変なポーズも取る。頭の上に両腕を持って行きクロスさせて二の腕からダランと垂らして、両足は肩幅よりも広く開き左足を九十度に曲げて腰を落とす。腰はそらして顔は無駄に角度をつける。

 いや、もう何のポーズだよそれ。ヨガかなんかか? 


「細かい事を気にしちゃって、底の浅さがしれますよ。男ならもっと大きくあって欲しい物です。男とか女とか……正義や悪とか……そんなのは小さき事ですよ」

「いや、男女の違いは大きいだろ」


 小さくはねえよそれ。男女の違いは大きいよ。目の前の女みたいな奴が男とか、男よりも筋骨隆々の奴が女とか……そう云うのは映画や小説の中だけにしてほしい。男の娘とかさ、流行ってるけど無いよね。


「しょうがないですね。メタルカメタリカ女の子にな〜れ♡ ハイこれで、私は女の子になりました。良かったですね。好みですか?」

「なんだそれ」


 結局最初から女だっただけじゃないか! しかも呪文もてきとうだなおい! 好みとかの前に呆れかけとるわ! なんか関わり合いたくないタイプの女だな。てか、そもそも誰だよ。なんで声掛けて来たんだ?

 この空間の何なんだこいつ? ここは当夜さんの中の筈……それなのに彼以外の何者かが居る。あれか? 摂理の中で見た当夜さんの代わりみたいな存在か? だけど何か……


「こんな可愛い女の子に声を掛けられてなんだとは失礼ですね。ようがあるんでしょ?」

「アンタには用はないけどな。僕が出会いたいのは自称可愛い女の子じゃなくて、当夜さんだ」

 ほんとこんな得体の知れない女に用はない。痛いよな。見てるのも痛いし、話すと心も痛くなる。残念な奴だ。


「なんかすっごく失礼な視線を感じる。全く、こんな可愛い女の子よりも男に会いたいとかホモですか? スオウくんホモですか?」

「二回も言うな」


 なんだ、大事なことだからか? マジやめて欲しい。ホモとかそんなおぞましい存在に見えるのか僕。


「だっておかしいですよ。もっと私を良く見てください。この私を! 何を感じますか?」

「変な女?」

「訴訟も辞さない覚悟です」


 どこに訴える気だよ。家庭裁判所か? てかそもそも人権は人の体あってのものなんで、思念体みたいな仮想空間だけの存在の訴えなんて認められないだろ。てかホモ呼ばわりされたことに対してこっちが訴えてもいいくらいだろ。名誉毀損だぞ。


「そもそも誰だよお前。僕は確か当夜さんのリーフィアに直接ダイブしてるはずだぞ。だから出てくるのはお前じゃなく当夜さんな筈だろ」

「そこまで分かってるのなら、私という存在が何なのか……少し位察してくれてもいいと思うのですが? オツム弱いんでしたっけ?」


 口元を隠してクスクス笑うこの女は……マジでムカツクな。なんだろう、誰かに似てる気がする。だけど察しろと言われてもな……でもここで黙ってるとオツム弱いのを認めることになって癪だ。考えろ僕。灰色の脳細胞を活性化させるんだ!


「……お前は……そう、アレだろ? ……うんうん、アレに違いない。分かってる。分かってるし」

「へ〜ふ〜んアレって具体的にはなんですか?」


 何故か凄く平坦で抑揚の無い、感情を捨て去った様な声が返ってきた。なにこの娘……豹変し過ぎだろ。女怖い。だ、だけど負けないぞ。攻めてきてるんだろうけど、僕には策があるのだ!


「あ、アレはあれだよ。こう……なんていうのかな? なんか表現が難しいなぁ」


 僕はなんとかジェスチャーを混ぜつつ分かってそうな空気だけは出す。


「だからなんなのよアレは。え? まさか私がただの当夜の代役とでも思ってたりするの? ブブ〜残念でした〜」

「いやいや、アレはそれじゃないし」

「それじゃあ実は当夜の内面の自己投影の部分がこの空間で漏れて形骸化した存在という私の仮説に乗ってみる?」


 新しい方法で来たな。自分で自分の存在を仮説して提案してくるとは……


(どうする? 実際僕はアレなる答えは持ち合わせてない。答えっぽい事を引き出してそれに乗る作戦で居たわけだが、なかなか凝ってる事言ってるし、これっぽい気もする。でもな〜)


 僕はチラリと奴の表情を確認する。殆ど黒目の目は、深い混沌の用でその心情を読み取る事は難しい。それにあんまり沈黙を続けてるわけにも行かない。こっちにアレがないと悟られる訳にはいかないからな。

 これは賭けだな。この女の事はよくわからないけど、この僅かな時間で得たこの女の性格を考えると––


「いいや、乗らないな。お前が当夜さんの自己投影? 形骸化まではしてそうだけど、それは僕の考えるアレじゃない。そもそもお前が当夜さんの自己投影とか無いだろ」

「ふ〜ん、それなりに鋭いんですねぇ。確かに私は直接彼と関わりはないんですよ」

「だと思った」


 この女に見えないように僕は自然と横を向いた。そしてこの女に見えない方で、冷や汗を垂らす。


(マジかよ。直接関わりはないってじゃあほんとにこいつ何者だよ。マジでなんでここに居るか分からないだろ)


 こいつの言葉を引き出して内に答えに辿り着こうと思ったけど、いまいちどういう存在かわからないじゃないか。当夜さんが用意した何か……じゃないって事なのか? でもそんな……ここは当夜さんの空間の筈なのに……そんなのあるか?

 それって自分の頭のなかに、誰か別人が出来上がってるってことじゃないか。まさか、彼は二重人格者だった……とかか? それならこいつの存在も幾分かは説明付くかも。でもそれでも関わりないって事はないよな。

 主人格が桜矢当夜で、そこから生まれた別人格がこいつなら、十分関わりはある……筈? だけど待てよ。二重……というか多重人格者の中には自覚してる人もいるけど、自覚してない人だっているんだっけ。

 それなら当夜さんはこいつの存在を知らないわけで、関わりがないというのも納得か……けど、果たして本当にそんな事が? でも絶対に無いとは言えない。当夜さんってかなりハードな人生歩んできたようだし、ストレスから別の人格を作り出した––ってのはあり得るかも。

 両親が死んで、残った妹の為に企業に使い潰されて……そしてそんな妹も自分が作った物のせいで引きこもってしまった。こうやって考えると、心が歪んでも仕方なく思える。そしてそんな歪んだ部分からこの変な女が生まれたんだとしたら……それはどこかしっくりくるかも知れない。

 だけどそれを当夜さん自身はしらない。


(行けるか?)


 当夜さん自身が知らない当夜さんの別人格。だけど……な。確証が薄いな。ここで確定は出来ない。まだ情報が必要だ。


「やっぱりそうだよな。アレなんだしなぁ〜」

「うんうんアレですからねぇ〜」

「だよな〜アレはな〜」

「うんうん、で––アレって? そろそろ聞かせて欲しいな」


 ヤバイ……情報開示はここまでか? いや、ここで諦めちゃ駄目なんだ! 遠くから聞こえる部活動の声がどこか白々しい。てか、声だけは聞こえるけど、僕達以外にこの廊下を通る者は居ないし、気配もない。

 どこか薄っぺらく感じてきたこの空間で、その存在全てが強烈なこの女が何なのか、知らないわけには行かない。とりあえずまだ誤魔化す! それしかない。


「だからまあ〜アレはさ〜なんて言うか言葉にするのが難しいというか……」

「ふ〜ん」

「んっ!」


 彼女は僕の顔を下から覗きこんで来る。近い近い。てか、足音も無く気付いたら超近くに接近されてた。なんだ今の? なんかおかしかったぞ。まるで場面を飛ばしたみたいな……一度完全に落ちてどこかおかしくなってる僕の眼なら、どれだけ速く動いたとしても見失うなんて無さそうなんだけど……今完全に消えただろ。

 間近で見るとその黒目の圧迫感が凄い。なんだか見透かされてる様な気さえする。するとこの変な女は怪しい笑みを見せて僕から離れる。そして窓の方に体を向けてこういう。


「しょうがないですね。じゃあもう一つアドバイスしてあげましょう。実は私、人間じゃないんですよ」

「––––––知ってる」


 分かっとるわそんな事。余りにも当たり前の事を言うから、一瞬僕は時間が止まったような錯覚を起こしたわ。そうじゃないんだ。そんなの求めてなかった。そもそも他人の思考にダイレクトでアタックしてる時点で人間じゃないだろ。ネットワーク上なら、どこかから入り込んだ誰か––って事もあるだろうけど、ここは完全ローカルな筈。僕以外に人間が居るとしたらそれは当夜さん以外あり得ない。

 だからこいつが人間でないなんて事は明白だ。


「知ってる? その本当の意味まで知ってるのでしょうか?」

「どういう事だ?」


 何を言い出した?


「ヒトとは人間とは何で表される物なんでしょう? 肉体ですか? 魂でしょうか? それとも心?」

「……その全てでヒトだろ。何か一つでも欠けちゃいけない。全部がそれぞれの個性を作ってる……んだと思う」

「まっそうですね。なかなか分かってるじゃないですかスオウくん。それでスオウくん、君はどうなんでしょう」

「どうとは……なんだ?」

「君は…………ヒトに成れましたか?」


 ズガンと真っ黒な瞳から放たれた黒い雷が僕の体を撃ちぬいた気がした。思わず足元がふらつく。壁に背中を付いてズズズ……と中腰になるくらいまで態勢が崩れる。だけど途中で踏みとどまる。何故なら、僕はもう人間だからだ。


「ん?」


 壁の向こうから何か聞こえる。短いリズムを刻む音。これは……キーボードの打鍵音? 居る––間違いなくこの壁の向こうに当夜さんが。この目の前の変な女のせいで目的から離されそうに成ってたけど、そうだ。僕は当夜さんに会いに来たんだよ。

 でも……だからと言ってこいつの正体を知らぬままってのもなんか後味が悪いのは確かなんだけどな。それに今の言葉……こいつ何を知ってるんだ? とりあえず、踏みとどまった態勢を戻しつつ僕は目の前の女を見つめる。


「お前は何を知ってるんだ?」

「私はなんでも知ってますよ。だからこそ、彼も怖いんだと思って私の事無視してるし。でもスオウくんはやっぱり違う。こうやって喋るのって楽しいですよね」


 スカートがふわりと揺れる。そのカラフルな髪も同時に揺れた。片手で口元を覆って中途半端に笑った様な顔。不思議な雰囲気を感じる。クスクスと忍ぶ声が廊下に響く。


「君となら当夜もきっと喋ってくれますよね。ここらへんで私の謎は伏線にして進めましょうか?」

「伏線って……」

「女の子は謎が多い方が魅力的な物でしょう。ああ、でも私がアレなのはバレてるんでしたっけ?」

「えぇ……ああ、だな。だから伏線にはならないなぁ〜」


 完全に棒読みだった。だってアレとか知らないし。こいつが何者なのかは興味津々だけど、これ以上の情報開示は望めそうにないからな……下手を打つ前に先送りにしてたほうがいいのかも知れない。それに当夜さんに会うのが目的だし。

 彼ならこいつの事も知ってるかも。


「伏線にならないのは残念です。ですが好意的に捉えることにしましょう。これが二人の馴れ初めですね」

「お前、別に僕の事なんか何とも思ってないだろ」

「あれれ……でも今は興味ありますよ。安心してください。もう私は居ますから。きっとこれからいっぱい関われます。そうなるように頑張ってください」

「いや、そんな気無いけどな」


 できれば金輪際会いたくないまである。不気味だし、こいつ見てると胸がざわざわするんだよな。恋じゃないよ。変の方だよ。とりあえず僕の直感がこいつと関わるなと言ってる気がする。そう思ってると彼女は扉に手を掛けた。


「ふふ、さて行きますか。今日は『やっはろー』がいいでしょうか? 流行ってるみたいですし。実は私、ここの自称四番目の会員なんです。だからこうやって毎日、通ってるのですよ。過ぎ去ってしまった場所を再現してまで引きこもってるから、どうせなら当時の賑やかさもあった方が追い詰めれると思って」

「おい、なんか言葉おかしいぞ」


 追い詰めるってなんだよ。追い詰めてるのかお前。嫌がらせじゃないか。でもやっぱりこの場所は当夜さんの過去を再現した場所ってことか。


「おかしくなんか無いですよ。尻を叩いて追い出すのも必要です。甘さと優しさを混合するほど迷惑な事なんか無いんです。ここにいつまでも居ても、何も始まらない。なにせここはもう終わった時間なのですから。

 ダイクラは一時の夢。そしてここは本当の夢」

「ダイクラ……」


 それって天道さんに教えてもらってやったジェスチャーコード。僕はこの部屋の表札を見る。


(…………略せて無いだろ)


 前半しかはいってないじゃん。リーデヴァイブ含む下半分はどこ行ったんだよ! そんな突っ込みを入れたい所だったけど、流石に野暮かもしれないから止めた。この変な女のせいで無駄な時間使ったしな。

 さっさと当夜さんに会いたい。


「やっはろーですからね」

「それ、僕も言うのかよ」

「当然です。礼がなければ失礼でしょう」


 その礼事態が失礼だと思うんだけど……いや、もうなんでもいいか。教室に入る時の挨拶なんていつだっててきとうな物だ。それならやっはろーでもなんでもいいか。


「ああ、それと私『苦十 苦来』といいます。やっはろー当夜〜」

「ええ!? やっはろーえぇ!?」


 一応やっはろーいったけど、自己紹介のタイミングおかしくね!? せめて名前言ったんだから一呼吸おけよ。なんで間髪入れずに扉開けちゃうわけ? あれか……実は恥ずかしがり屋さんなのか? だからさっさと扉開けてスルーさせようとしたのか?

 実際色々と文句言おうと思ったけど、なんか声が出てこない。だって扉の先にはその人がちゃんといたんだ。変な女……じゃなくて苦十 苦来だっけ? が着てる服の男バージョン。制服のブレザーに身を包んだ桜矢 当夜がそこに居た。

 


 なんか……若くなった姿で。


 第六百二十八話です。

 おそくなりました。今回は新キャラ登場ですね。ここに来て? って感じですけど、まあ多めに見てください。アレなんで。


 てな訳で次回は木曜日にあげたいです。ではでは。

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