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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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宣戦の儀

 僕は再開した二人組「エイル」と「リルレット」と共に行動を開始する。まずは無くした武器の調達だ。そうしないとセツリを助ける事なんて出来ない。初めて使う競売所で目に付いた武器は超高額!? 

 諦めかけた時、リルレット達の助言で職人との交渉へ。そして出された条件は好都合だった。

 僕達は再びアギト達に合流して大パーテーを編成してあの悪魔に挑む。三度目の決戦の火蓋があがる。


 僕とリルレットとエイルの三人は近くのエドッホ村と言う所に来ていた。長閑な田園風景が続く昔の日本その物だ。プレイヤーもそんなに居なくて僕達を入れても十数人位だ。ほとんどはNPCで農業やってる。

 そんな村唯一の雑貨店に入るとそこに並列して競売所が設置されてあった。競売所はこのLROの全部と共有されてるからどんなに離れた位置にいるプレイヤーが出品したものでも買える。ここは職人スキルを上げて居る人たちの収入源らしい。

「てかこんな事も知らずに何やってたんだよお前。死ねば」

 なんて口の悪いモブリだ。外見の可愛らしさがなかったら踏みつぶしてるぞ。

「もうそんな事言っちゃだめだよ。エイルは本当に口が悪いよね。そんな口はこうしちゃうぞ。えいっ」

 リルレットに口を引っ張られるエイル。

「いででで、痛いよリルレット。だってこんなの常識じゃんか」

 ごめんね常識知らずで。取り合えず画面をスクロールして金額と合った武器を探す。二刀流だから単純に武器の費用が二倍になるのかと思ったらちゃんと二刀用の武器も出品されていた。

「だけど、別に片手剣を両手に持ったっていいんですよ。それなら武器に付いたスキルが一気に二つもとれる訳だし。だけど二刀流専用武器にしか無いスキルもあると思いますけど」

 そう改めて言われると悩むな。このLROは最初にスキル制だと言ったけどそれからさっぱりだったのでここらで補足説明を入れよう。

 基本LROの世界で技を発動したり自信を補助したり魔法を会得したりはレベルが上がって自然と覚える……なんて訳じゃなく、この世界に無数にある武器や防具にいろんな技や魔法がスキルとして付いてるんだ。

 それらは装備する事で使えるように成り、ある一定回数使い続け熟練度を上げるとマスターした事になり武器や防具を変えてもそのスキルは自在にスキルスロットに組み込んで使えるようになる。

 要はそのスキルの多さが強さの証でもあるわけだ。アギト達はきっと数百に及ぶスキルをマスターしてるだろう。そしてそのスキルの組み合わせは無限大と言われている。

 繋がり易い技があったり反発する物も合ったりしてそれは人それぞれでそれを追求していく事に多くのプレイヤーは魅了されてるんだ。

 自身にしか出来ない技の連携……それを突き詰めるともう一歩先のエフェクトが発生して必殺技に出来るとか。だから熟練プレイヤーはみんな決めの一撃を持っているらしい。

 僕のスキルはまだったった三つ。一つは乱舞で多分希少なレアスキルなんだろうけど使いどころがね……これって火事場のバカ力だし。こうやって見ると僕がアギト達と一緒にあんな悪魔を相手にしたことが信じられない。

 こんなの素人の中の素人だよ。最初の街を出るときには最低でもスキルは十に達しているらしいからね。まあそれでも始めた期間が違う友達とも一緒に楽しめるのがレベルを無くしたスキル制の良いところ。

 おかげで僕でもセツリを救える可能性があるんだからね。レベル制だったらレベル一の僕にお姫様を助ける役目なんて絶対に回ってこないだろうし。

「さっさと選べよ……てか死ねよ」

 横から暴言を吐くちっちゃな影に言われて脳を再び画面に戻す。値段とスキルの関連制が重要だ。

「これなんか良いんじゃないかな?」

 そう言ってリルレットが指さしたのは値が張るけど二刀流に使えそうなスキルが四つも付いている武器。名前は『シルフィング』青い刀身をした綺麗な剣だった。

「いやいや高過ぎだよ」

「う~ん、でもその悪魔ってかなり強いんだよね? 熟練プレイヤー十数人で行って手も足も出なかったんなら相当だよ。半端な武器なんて棒と同じだよ。折角このゲーム装備制限がないんだから最高の物にしようよ」

 それは確かにリルレットの言うとおりだけど……目の前に表示されている額は桁が違う。こんな額、おいそれと貯まる金額じゃ無い。悠長にやっている暇は無いんだ。

 確認したけどセツリは今もあの場所に居る。まさにとらわれのお姫様なんだ。なんであの悪魔がセツリを狙ってそして殺さずに居るのかは解らないけど彼女はきっと待っている。だから一刻も早くアギト達に合流して助け出したい。

 それには武器は絶対に必要だけど……ジレンマだ。

「だから死ねよ」

「なんだよさっきから死ね死ねウルサいな! 何かしたか僕?」

 流石にこれだけ言われたら切れるよ僕だって。すると二人の間にリルレットが入ってきた。

「まぁまぁまぁ、二人が仲良いのは分かったから。良し、じゃあ交渉しようよ!」

「交渉?」

 疑問符を浮かべる僕の横でリルレットは競売画面に乗り込んで来て何かを操作した。するとウインドウにキーボードが表示される。それをタイピングする。

 てかこの子近いよ。どっかリルレットも抜けてるよね。

後ろから突き刺さるエイルの視線が痛い。

【初めましてこんにちは。貴方の武器を購入したいのですが交渉の余地はありますでしょうか?】

 これはリルレットが打ちこんだ文章だ。すると直ぐに返信が来た。

【ない】

 簡素だった。だけどこの程度でめげるリルレットではない。

【そこをなんとか! 貴方の剣に一人の少女の命が関わってるんです!】

【これはゲームだろう。しかし俺の作る武器は名級品だがな】

 なんだ? 武器作りの腕をひけらかしたい奴なのか? まあ他の大多数のプレイヤーにとってはここは仮想だってわかってるけど……。

 僕はリルレットの横から手を伸ばしタイピングした。

【あんただってアンフェリティクエストの事は知ってるだろ! 全プレイヤーが協力して助けなきゃ行けない奴が居るんだよ!】

【そんなの攻略を目指す奴だけがやればいいことだ。ここは自由の世界だろう】

 歯噛みする自分が居る。確かにこいつの言うことも尤もだ。このLROには攻略を目的としないプレイヤーだって多く居ると聞いていた。そんな人たちはここで「活きる」事を楽しんでいるんだ。

 そんな人たちに取ってはクエストはさほど重要ではない。むしろ生活に影響するような強性的なクエストは嫌うだろう。

 だけど……それじゃ……。

【それじゃああんたはなんで武器を作ってるんだよ! その武器で何を示したいんだ! ただ作るだけに満足するんならあんたは職人なんかじゃねぇしそんなの武器じゃなくてアンティークだろ! 示してやるって言ってんだ! あんたの武器を武器として!】

 直ぐに来ていた返信が止まった。やばい……思わず訳の分からないことを書いて送ってしまったぞ。だけどしばらく画面を見てると返信が来た。

【別に出品してるんだからあんたじゃ無くても誰かが武器として使うだろ】

 あ……確かにそうだね。これは交渉失敗だ。そう思ったとき

【だけど、あんた面白いな。職人じゃない? そんなこと言われたのは初めてだよ。そこまで言うって事は俺の武器を華麗に使ってくれるんだよな?】

 む……どうする? ここで実は僕はまだ三つしかスキルを拾得してないド素人なんて事がばれたらやばい。

【勿論だ! あんたの剣が華麗に舞う様を見せてやるよ】

 思わずそう書いてしまった僕。

【なら、その証拠を見せて貰おうか】

 当然そうなるよね。

【俺の武器を使ってどっかのハイクラスモンスターと戦闘でもして貰おうか】

 ん? それって使えるぞ。僕の脳裏に次々と道筋が出来る。近くで不安げにしていたリルレットに耳打ちして作戦を知らせる。上手く行けば今日中にセツリを助けられるかも知れない。

【分かった。ハイクラスモンスターの心当たりはあるから場所はこっちで指定するけど良いよな?】

【オーケーだ。お前の顔拝みたいし、自分の武器をどう使うのか見せて貰おうか】

【腰抜かせてやるよ】

 違う意味で。よし奴は乗った。僕はリルレットの方を見る。すると満面の笑みで親指を立てる。良し! 鍛冶屋に落ち合う場所を教えて僕たちは競売所を後にした。

「どういう事だよ」

 外に出るとエイルが不満顔で聞いてきた。僕は簡単に作戦をはなした。

「つまりあの鍛冶屋は一回自分の武器を使った戦闘を見たいと言ったからその一回の戦闘をセツリ救出に使う事にした」

 ほら簡単。なんて単純明快。だけどそれを聞いたエイルは呆れたような顔している。

「お前最低だな。それって詐欺だろ。お前の目的だけ果たしてるじゃん。死ねよ」

 死ねよはこいつの口癖なんだろうか? 直した方がいいよ。まあ確かに卑怯なやり方だ。だけど手をこまねいてる訳にも行かないんだ。だって彼女の命は僕たちとは違う。あのライフポイントはそのまま彼女の命その物。

 悪魔が気が変わってあの腕で今にも潰さないとも分からない。そうなったら後は後悔しか残らない。自己中な考え方かも知れないけど……後で一杯謝るから、今は彼女の元に急ぎたかった。

「よし、飛ぼうか。エイル!」

 リルレットのかけ声にヤレヤレとエイルが杖を構えて詠唱に入る。彼もヒーラーなのかと思ったらソーサラーと言う攻撃徳化型の魔法使いだそうだ。だけど広い割に移動手段が乏しいLRO内において便利な魔法は拾得するようにしているとか。良い心がけだ。

 おかげでフィールドを何時間もかけて走らなくてすむんだからね。

 エイルが指定する街はあのフィールドに近い僕とアギト達が合流した街だ。だけどエイル達は行ったこと無かったから僕の情報を移す事でそれを解決。パーテーにすればそれぞれの情報が共有できる。勿論ある程度だけど。

 詠唱が終わり地面に浮かぶ魔法陣が僕達を包む。その様にちょっとだけあの時の事を思い出してゾクリとするけど今度はちゃんと発動して僕達はエドッホ村から飛んだ。


 ここも街と言うには少し小さいけどエドッホと比べると比に成らない。街の名前は『トマート』旅の行商人が通り発展した街と言うことだ。

 今更だけど二人はなんであんな田舎の村にいたんだろう? てか一緒に付いてきたけど良かったのか?

「ああ、うん良いよ。もう用事は済んでたし。クエストのアイテム取りに行ってたんだ」

 成る程ね。クエストなんて最初の奴しかやってないよ。そういえばクエストでしか手に入らないスキルもあるらしいから蔑ろには出来ないんだけど・・・今はより重要な事がある。

 そういえばさっきから目の前をちょこちょこ歩いてるエイルは一言も発しない。タクシー代わりにしたこと怒っているのだろうか?

「なんだよ。ジロジロ見るな。死ねよ」

 こいつは……本当にムカつくな。

「あはは、エイルが進んで言葉を発するなんて珍しいんだよ。やっぱり仲良しなんだね」

 隣のリルレットがそんな事を言うとエイルはもの凄い形相で反論してた。なんだ、その毒舌は照れ隠しなのか?

 だけどもうちょっと言葉は選んだ方がいいよ。

「うるせぇ!」

 おわ、矛先がこっちにきた。

 そんな感じでやかましく歩いてると待ち合わせの場所に付いていた。そこはこの街の中央広場で中心には荷台を押した行商人の銅像がある。根っからの商業の街なんだろう。

 そしてそこには二十人位の人がたむろっていた。その中には見慣れた赤毛に長い耳のアギトの姿がある。

「お~い!」

 その声に気付いたアギトが人垣をかき分けてこっちにきた。

「ようスオウ、無事だったか……ってあれ? 君たちって確か……」

「はい、リルレットです。あの時は大きな羊から守ってくださってありがとうございます」

 リルレットはなんて良い子何だろう。それに比べてエイルは今度はアギトにガン飛ばしてる。だけどそんな事気にした風も無くアギトは手を一回叩いて大きく笑った。

「ああ! いやいやそんなの当たり前だよ。君達がスオウを助けてくれたんだからおあいこだよ」

 そういって爽やかに手を握るアギト。こいつやることが無駄にかっこいいな。そんなアギトを見てエイルは自身の髪を逆立ててワナワナ震えている。

 LROが感情表現豊かで良かった。面白い絵図等だ。

「所であの人達は? 協力者?」

 僕の質問にアギトは頷いた。

「ああ、みんな仲間だよ。一緒に激戦を戦い抜いて来た戦友だ。流石にあの悪魔にはこれくらいの人数は必要だろう」

 熟練プレイヤーのアギトがそう判断したんならそうだろう。てかどれだけ顔広いんだこいつ。友達ながらこの人数を集められるアギトの事をすごいと思う。僕には無理だなきっと。

 その時広場の出口に人影が見えた。

「うお! なんだこれ!?」

 黒ずくめの服装がいかにも怪しい奴だ。だけど彼は集まっている人達の武器を目にするなり飛びついて行った。

「こここれは、アイセリム! こっちのはブリュフィン・スクライムじゃないか! なんだここは宝の山か!」

 明らかな異常者だった。すると横にいたリルレットがささやいた。

「あの人が鍛冶屋の人じゃないんですか?」

「まさか……あんな変人とは関わりたくないよ。きっと彼はコレクターなんだよ。武器の収集が趣味だな」

 首を捻る彼女はトコトコと黒ずくめの人物に近づいて聞いた。

「あの、貴方がシルフィングの鍛冶屋さんですか?」

「いかにも」

 にっこり手を振るリルレットには悪いけど行きたくないよ。そう思っていたらこっちに来た。

「貴様が暴言を吐いた犯人か。周りの人達に比べたら随分弱そうだな」

 グサグサトと刺さる事を言うじゃないか。近くで見て分かったけどこの黒ずくめ「スレイプル」と言う種族か。顔に刻んだ模様が特徴的な種族で特有のスキルを使い物作りが得意なんだ。

 だけどその代わりに戦闘はきつく成るから全体でかなりこの種族は少ないと聞いた。座ったような目で人を見る奴だ。試し切りといって近くの人を切りそうな感じ。だけど顔は美声年風なのはまあゲームだからね。

「別にいいだろ。これはスキル制のゲームなんだから実力は腕次第」

 大きくはったりをかます僕。ここで武器を受け取らないと僕は戦力外になってしまう。

「それならお前のスキルを確認させろ。腕次第は同感だが、ただの初心者に俺の武器は貸さない」

 うう……結構マトモなこと言うじゃないか。スキルを見たら一発で僕がド素人だと分かる。まあ防具とかでも分かるけど。だけどここで見せない訳にも行かない。

 僕は自分のウインドウを開けて可視モードにして鍛冶屋に向けた。そこにはたった三つのスキルしかない。武器も無い、惨めなウインドウだけがある。

「プッ」

 そんな声が聞こえた。それはエイルの笑い声。自重しろよオイ! そしてそのウインドウを見てた鍛冶屋もため息混じりの声を出す。

「本当に……これじゃ素人以下じゃないか」

 だけどその時顔を覗かせたアギトが言った。

「おい、この乱舞ってなんだよスオウ」

「ああ、それはなんだか知らない間にあった」

 僕の言葉を聞いた後にアギトはポツリといった。

「これって『エンシャントスキル』じゃないか?」

 その言葉に周りの熟練プレイヤーの人達が目を輝かせて

僕のウインドウをのぞき込む。そして次々に「ほほー」とか「これがあの……」とか言っている。

「何なんだよ一体それは?」

「エンシャントスキルってのは特別なスキルなんだ。発現条件も解らないし武器から得られる物じゃない。このLRO内にいるプレイヤーの中でも片手で数える位しかいないんだよ」

 そんなものが何で初心者の僕に? と言っても誰も答える事は出来ないんだろう。

「噂では一つの武器の系統で一人にランダムでエンシャントスキルが与えられるって言われてたけど……それはちょっとあり得ないと思うし」

 確かにそれだけ重要なスキルを運だけで与えるのはおかしいだろう。でも他に僕にこのスキルが与えられた理由なんて思いつかないけど。

 すると黙って乱舞を見ていた鍛冶屋が言った。

「面白い。ただのーー初心者では無い様だな。エンシャントスキル……それは一度拝んで見たかった」

 僕は目の前の黒ずくめの男を見やる。

「それじゃ!?」

 ウインドウを開き操作して剣を実体化。そしてそれは僕の手の中に。鍛冶屋は片目を瞑って言った。

「ああ、俺の剣でエンシャントスキルを爆発させろ」

 僕は青光する二対の剣を受け取り早速装備欄につける。腰にその重さが伝わってきた。これが『シルフィング』の重さ・・・柄に手を置いて刀身を抜く。太陽に晒されて輝くその姿に誰もが見とれた。

「ありがとう」

 素直なお礼の言葉だ。

「貸すだけだからな。折るなよ」

「わかってるって」

 武器を手にした僕は今すぐにでも駆け出したい気分だ。

だってこれで戦える。だけどそれはグッと我慢。アギトには作戦とか色々あるんだ。

 それに二十人位の大部隊だ。作戦は必須だろう。そしてここに着て鍛冶屋が疑問を口にした。

「所でこれだけの大部隊で何倒しに行くんだ?」

 その言葉にアレを知っている人達は一瞬口を噤む。思い出すだけで鳥肌が立つんだ。だけど僕は気軽に言ってやった。だって僕には助け出したセツリの姿しか見えないから。鍛冶屋を見て軽く口を動かした。

「悪魔だよ」


 僕達は再びあの場所に来た。昨日何も出来なかったあの場所だ。その中央にはセツリが黒い影に縛られて十字架の様に掲げられていた。

 悪魔の姿は見えないけどあからさまだ。近づいたらきっと奴はでてくる。僕達は日が暮れるのを待つ。夜にしか奴の目撃情報はないんだ。だから倒すなら夜しかない。

 黄昏色の光がセツリを照らす。それも次第に斜めに消えていき空は黒ずんで行く。

 そして完全に太陽が隠れ空には星が瞬く時になった。今夜は新月で空に月はなかった。それが暗闇の濃さを増しているように感じる。

 みんなが息を潜めている。みんなが既に見えない緊張感を感じていた。その時、隣のアギトが手を挙げた。それは宣戦布告の合図。

 後ろで魔法組の詠唱が始まった。その中にはエイルの姿もある。そして僕の後ろにはリルレットの姿も……二人には街にいてもらおうと思ったけどどうしても参加させてくれと頭を下げられたんだ。

 そしてリルレットが行くならとエイルも当然という風に参加が決まった。鍛冶屋も特殊なスキルで参加している。

 なんだかいろんな人達を巻き込んでしまった。協力してくれるみんなの為にも負けるわけには行かない。

「開戦の狼煙を上げる看板は僕の役目だーー!」

 そう叫んでエイルの前方から炎の玉が放たれた。その砲撃はセツリを避けて壁に当たり石を焼く。そして目覚めたようにお出ましだ。

 黒い影からあの悪魔の赤い四つの目が煌めく。僕達は一斉に武器を握りしめ駆けだした。冷たい空気が死を感じさせる気がした。

 だけどそんな感じを振り切るように僕は地面を更に強く蹴る。

 三度目の決戦………夜の闇に無数の声が響いていた。

         

         「続く」


 どうも読んでくださっている方々ありがとうございます。そろそろ毎日更新はきつい事に気付いてるけど頑張ります。それだけが取り柄だから!

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