表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
588/2709

思惑と流れ

 街の中が慌ただしくなってる。だけどそれもその筈だろう。このブリームスはモンスターの脅威なんて物からずっと無縁の物だったんだ。内側だけで完結してる世界。それがここブリームスという街。

 だけどそこに今危機が舞い降りた。いや、招いたのは僕達だけどね。僕達が逃げ込んだこの存在しない筈の街へ、奴等は来たんだ。そのこの世界の秩序に……ルールに……そして制約に縛られない力を持つ奴等だからこそ、ここまで追ってきやがった。

 ハッキリ言って……奴等はそこらを彷徨ってるモンスターなんかよりもよっぽど質が悪い。まず超強いし……超反則的な能力持ちだし……目を付けられたら最後……そう思って貰ってなんら間違ってない。

 だから可哀想かな……この街、きっと滅茶苦茶にされるんだろう。


「お兄さん」

「なんだい?」


 輝く太陽の元に戻ってきた僕達。その腕の中で太陽から逃げるように体を寄せて更に続ける。


「ごめんなさい」

「別に君が謝る必要はないよ。君はただの子供なんだ。我々大人には子供を守る義務がある。君はどこまでも巻き込まれた側だ」


 ……なんというか、その言葉が心苦しいな。確かにクリエは守られる側だろう。クリエはね。けど僕だとそうは言われない気がする。彼奴等の狙い完全に僕だし……この街を巻き込んだと言われても反論のしようが……取り敢えず曖昧な表情で笑って誤魔化しておいた。


「なんとか出れたのは良いけど、かなり騒がしいわね」

「そりゃあそうだろ」

「うん?」


 背中に大正義然として居座ってる孫ちゃんが家来の如し僧兵に向かって怖い笑顔を向ける。どうやら今の言い方が気に入らなかったらしい。それを敏感に察知した僧兵は急いで言い改める。


「いえいえ、ほら得体の知れない奴等が突然現れて信頼してた秩序を守る者達を倒したらそれは騒ぎますよ。これ絶対」

「まあそうね」


 取り敢えず怒りを沈めた孫ちゃんはそう言いつつ、彼を見る。信頼を裏切って倒されたどこかの隊長さんはどう思ってるの? みたいな視線止めろよ。それだけで責めてるみたいだぞ。


「はは、言葉もないよ。我々がこの混乱を招いたのは紛れもない事実だ。自分達の弱さを、我々は知った」


 慌ただしく成ってる光景を見ながら彼は瞳を伏せる。だけどそれも一瞬だった。彼はどうやらまだ、諦めてなんか居ないようだ。次に開いた瞳で見える今を、強い光で受け止めてる。


「だけどこれで終わりになどしない。必ず守ってみせる。我々はまだ完全に負けた訳じゃない」

「それを言うならあいつらは後五人位居るわよ」

「なっ!?」


 その言葉を受けて足元がふらつく彼。その事実に驚きと絶望を隠せないようだ。


「それは……本当なのかい?」

「ええ。ね」


 そう言って僕に話しを振ってくる孫ちゃん。なんだよ止め刺せってか? こんな子供に酷い事を押し付けるなよなよ。だけどなんだか彼まで純粋である筈のクリエに一縷の望みを掛けてる様な視線を向けてる。

 いやいや、純粋だからこそ子供と言うのは残酷なんだよ? ここで僕––ことクリエが空気を読むのは不味い気がする。それはクリエの行動じゃない。あのガキ、ズバズバ言うからな。

 元に戻ったの時の考えても今はクリエで通す事が正解だろ。残酷だけど……隠した所で仕方ない事だ。もしかしたら他の奴等もここに来るかも知れないし……そもそも来ない理由も無いしな。覚悟はいつだって先に決めとくに限ると思うんだ。

 最悪の事態ってのは、想定してないよりも想定してた方がその時の心の持ちようとか色々と変わると思うし。僕はその縋るような目には悪いけど、ケロッとした調子で答える。


「うん、そうだよ。だって六人姉妹だしね。そいつら全員反則なんだよ!」

「全員反則的強さということかな……ははは」


 ヤバイ、彼の口は笑ってるのに、目は全然笑ってないぞ。なんか作ろうとしてる表情に感情が付いて行ってないから変に不気味な感じに……てか気持ち悪い。そう思ってると僕は地面に下ろされた。

 まあもう地上だし、よくよく考えたらここからは同じ行動を取る必要はないかもね。


「困ったな。君達の仲間なら彼等をなんとか出来るのかい?」

「それは……」


 僕はなんて答えていいのか迷う。「なんとか出来る!」と簡単には言えないよな。だけど「なんとかしよう」とはしてるんだ。上手く行けばもしかしたら……万が一の可能性でなんとか出来るかもしれないけど……その保証はどこにもない。

 だけど……ここで上手くやれれば、もしかしたらこの街の人達を味方に出来るんじゃないか? そうなればコソコソ探る必要もなくなるような……人々を纏める一番の指導者は何か……それは明確な敵の存在だと昔日鞠の奴が言ってた。

 きっと何かの受け売りなんだろうが、確かにそれはあるよな。僕達に取っての明確な敵はあの黒い奴と外側の姉妹。それを共通の敵に出来れば……この街と組める。そのメリットは大きい。

 上手くやろう。子供だと思わせて、自分の事を悟られず、純真さを装って腹黒く立ちまわるんだ。大丈夫、腹黒い事はそれなりに慣れてるさ。僕は日鞠程聖人君子じゃないからな。そう思って心の中で「ぐへへ」と笑ってると、孫ちゃんが台無しにすることを言った。


「無理ね。そもそも私達だって逃げてきたんだもん。てかそもそも私だって巻き込まれた側だからね。それも無理矢理!」

「そうなのか……君は率先して行動してるように見えるが?」

「それは、興味ある事があったからよ。錬金は異教だけど、その力に興味が無い訳じゃないしね。使えそうじゃない」


 何か孫ちゃん怪しいこと考えてそうだな。もう十分な地位に居るくせに、何を狙ってるんだろうか? やっぱり元老院の実質的な支配とか? 考えられるのはそのくらいなんだが……でも既に元老院事態が弱体化したような物だよな。

 なんとか形はノエインの配慮で残ったけど、権限とかは流石にこれまでの様に……って訳じゃないだろう。もう教皇は奴等の傀儡じゃない。象徴であった教皇が自立し始めた今、表立った権力は教皇が持ってるんだ。

 だからこそ元老院はヤバイヤバイ言ってる訳で……その一員の孫ちゃんは実際どう思ってるのか……よくよく考えたら聞いたこと無いな。僕は孫ちゃんを少し見つめる。すると目敏くそれに反応してきた。


「何?」

「ええっと……孫ちゃんって––」


 ここまで言って「しまった」と心の中で思った。この後元老院の事とか続けるとおかしくないか? だって今の僕はクリエだ。そんな事を考える奴じゃない。てな訳で急遽口に出す言葉を変える事に。必死に絞り出して僕はこう言うよ。


「––ええっとあののののの、なんか変だよね!」

「とんでもなく失礼なガキね」


 スッゲー睨まれた。だってだってしょうがないじゃん。もうそんな言葉しかひねり出せなかったんだよ。それに変なのは案外間違ってないだろ。まさか自分の事マトモだとかトチ狂った事思ってる訳無いよな?

 孫ちゃん相当変だよ。


「たく、私のどこが変なのよ。私は夢も希望もそして野望も持ち合わせてるただの女子なのに」

(なんか物騒な物が混じってたで嬢ちゃん)

「そだね。聞き流しとこ」


 なんか面倒そうだったし、それに今はそれどころじゃないからね。今から僕たちは直ちに森の方の研究所に向かわないと行けない。この目玉の情報解析とか必要だしね。


「いや、君のおかげで色々と助かった事は事実だ。僕は感謝をしているよ」

「ふん、まあ庶民を助けるのは上に居る者の気紛れだから、別に感謝される様な事でもないけど。それにアンタを助けた訳でもないし」

「それでも僕がこうして生きてるのは君達のおかげだ」


 全く、憎まれ口しか言わない孫ちゃんにもちゃんと礼を尽くすとかこのイケメン半端ないな。マジ所長勝ち目ないよ。それよりも、孫ちゃん「気紛れ」って……ノブリス・オブリージュの精神はないのかよ。それくらい持っておいていいような気もするけど……まあ結果的に助けてくれただけ良かったんだろうけど。なんか気持ちよくないよな。


「ただ、君達でも彼等を止めることは出来ないと言うのは痛いな。ここにはそもそもマトモな実戦を経験した者自体が少ない。奴の本気の殺意に当てられると、それだけで戦意喪失の恐れもある。

 しかももしかしたらまだ増援がくるかも知れない……対策を早めに打たないと手遅れに成るかも知れない」

「ご自慢の錬金があるじゃない。魔法を超える便利な物なんでしょ? その実力、私としてはもっと見てみたいんだけど?」


 おおい! 孫ちゃんなに挑発する様な事言ってんの? やめてよ。ここで重要なのは対立じゃなく、共通の敵を見つめての協力関係だよ! 三つ巴とかハッキリ言って無理だよ。そんな戦力ない! 

 ここは僕達もさりげに協力関係を築くべき……だろ? 僕は色々とジェスチャーを駆使してその意志を伝えようとする?


「ちょっと、変な踊りやめなさいよ。私の残り少ない魔力が抜け落ちそうだわ」


 まてまてそんな効果発揮してる訳無いだろ。ただのジェスチャーだっての。察しろよ。そう思ってると僕達のやり取りを見てちょっと心緩んだのか、表情を柔らかくして彼はこういう。


「小さい君達と別れるのは気苦しいが、錬金の底力はこんな物じゃないと証明しよう。だから君達はどうか仲間達と合流してくれ。そして出来る事なら、協力してほしい。我々はそれが出来る筈だ」


 喧騒の中に漏れては流れてくそんな言葉。それは僕が願ってた筈の言葉だ。返す言葉は決まってる。喧騒の中に埋もれない内に、それを掴んでハッキリと伝えよう。だけどなるべく純粋に、案外何もわかってない感じがクリエらしい。

 僕は頭の中で言葉を整理して、クリエというイメージを作り上げて声をだす。


「うん! きっとなんだか良い事だねそれ!」

「ああ、君達だけでも、我々だけでも駄目なら、力を合わせればあるいは––」

「そう簡単な物かしら?」


 盛り上がろうとしてた僕達の間に冷水を掛けるようにそんな事を言ったのはやっぱり孫ちゃんだ。なんでそんな事をこの娘は言うんだ? 一致団結––良い事じゃないか。僕は不満気な目を向けて抗議するよ。


「孫ちゃん、なんでそんな事言うの!? 一緒にやれれば、そっちの方がきっといいよ!」

「ちっ」


 え? 何? 今舌打ちしたこの娘? 僕の不満気な目なんてなんのその、向こうは蛇が睨みつけて来るみたいな感じでこっちを見てる。超怖いんですけど。ヤバイヤバイ、なんかスッゲー怒ってるよ。

 僕が若干引いてると、目玉の奴がハァハァと荒い息を吐きながらこういった。


(嬢ちゃん……あの娘ええで。あの目、捕食者の目やで。堪らんのう!!)


 たまらんのはお前だけで十分だっての。この変態目玉は全く……だけど一体どうしてここまで睨みつけられなければいけないのか……不満だ。するとポツリと「きもっ」とか聞こえた。

おい、まさか孫ちゃんが舌打ちしたのって、僕のブリっ子振りにって事か!? そんないちいち反応しないで欲しいよな。こっちだって正直自分に引いてるんだぞ。それをどうにか心に閉じ込めてるんだから、抉じ開けて抉ろうとしないでくれない? 

 いらない所でダメージなんて受けたくないんだよ!


「そうだ。クリエちゃんの言う通り、一緒に協力態勢を築くべきだ。それは彼等の強さを知ってる君達の方がわかってるだろう? 逃げてきたと君達は言った。それなら、この選択肢しかないと思うんだが?」


 確かに彼の言う通りだな。僕達は逃げてる。正面からぶつかっても勝ち目なんて今はないとわかってるんだ。だけど今は無理でも未来なら……そう思ってここまで来た。まあ来たって言うのはちょっと違うけどさ。

 なんて言うか、偶々……だし。でもどこか導かれた感みたいな物もあったり? そもそも今まで全く見つからなかったブリームスにどうして入れたのか謎だしな。もしかしたらと思う原因は幾つかあるけど、それが原因と証明は出来ない。

 僕達にはさ、今もう時間がないと思うんだ。こっちに法の書があるとはいえ、場所まで見つかってるんじゃ、次逃げる事は流石に出来ないだろう。向こうがまだお遊び程度だから僕達は生かされてる……そんな状態だ。どうしてそんな昔のゲームの魔王さまみたいに、勇者の成長を待っててくれてるのか……きっとこっちの都合じゃなく、向こうの都合なんだろうとは思うけど、いつ本格的に動いてくるかはわからないからな。

 既に二人送り込まれて来たって事を考えると、その時はもうすぐなのかも知れない。やっぱり猶予なんて……それに奴等が来たからこそ、ここからは連携した方がいい筈だ。もう既にだけど、ブリームスは厳戒態勢に入ってる。

 混乱に付け入るって選択肢もあるんだろうけど、黒い奴等の狙いが僕達である以上、それは現実的じゃない。そういう漁夫の利的な行為は、こっちに意識を向けられてないからこそ出来るものだ。

 完全にこっちに焦点を絞ってる敵がいる以上、そんなコソコソ作戦は奴等の存在で消えてしまう。どっちかが睨み合ってくれてないと成立しないんだよな。今は僕達がこの街の秘密を探りたくて、だけどそこに明確な敵である奴等が来た。そしてその被害を受けたブリームスが奴等の排除に当たろうとしてる図式だ。

 睨み合って火花を散らすんじゃなく、それぞれがそれぞれの背中を追ってる感じ。これじゃあ僕達に行動の選択権がない。’敵’が現れた以上、ブリームスはどこも警備が高まるし、街の人達の視線も変わる。怪しい動きはし難くなる。そうなったら僕たちは終わりだ。

 幸いな事に全ての情報がある……かも知れない目玉が既に手の内にあることが救いだな。でもこの体のままじゃ……せめて元に戻るまででも、協力態勢は必要だと思う。孫ちゃんにも分かって欲しいんだけどな。


「確かにそうかも知れない。けど……心の闇がね」


 そう言う孫ちゃんは大通りの方の喧騒を眺める。ゾロゾロ大衆が一定方向に誘導されてるのが見えるけどあれは、避難してるって事だろうか? 一般人が町中に居たら色々とやりづらいだろうしな……脅威を排除するまでは一箇所––は無理でも数箇所の避難区域にでも集めとくのが無難だな。


「心の闇?」


 そう呟く彼。だけどその時人の並が突然崩れて悲鳴やら怒号やらが飛び交い始める。そして見える黒い影。アレは奴だ。多分迷宮に成ってる地下を移動するのが面倒に成ったんだろう。無理矢理天井を突き破って地上に出てきたって所か。

 混乱の中に飛び交う声は、お兄さんと同じ治安部の人達だろうか? でも違う制服っぽいような……考えたらこの体だといつもの視力じゃないのか。通りでやけにハッキリ見えないと思った。

 そう思ってると、お兄さんが走りだした。


「君達は仲間と合流するんだ! 奴に見つかったら不味いだろう」

「お兄さん! そんな怪我じゃ無茶だよ!」


 僕は取り敢えず深刻そうにそう言ってた。なんか心が体に慣れてきたのかも知れないな。ちょっと怖くなるな……このまま定着しちゃったらとか考えるとね。大丈夫だよな? そんな不安を抱えてると、治安部のお兄さんは剣を抜きつつこう言うよ。


「自分は行かないといけない。仲間が戦ってるんだ。それに街の人達を守るのが我等の勤め。大丈夫、今度はそう簡単にやられたりしないさ。だから君達も無事で逃げおおせてくれ!」


 そう言って彼は喧騒の中に消えてく。その姿を見送ると直ぐに僧兵と孫ちゃんが移動を進める。僕はそれに従って走り始める。


「せっかく、協力態勢結べそうだったのに……曖昧になったよ。主に孫ちゃんのせいで」

「ふん、アンタそれが本当に最善だと思って言ってたの?」

「どういう事だよ? 最善じゃなかったかも知れないけど、必要ではあったろ?」


 今の状況良く考えろよ。最善だけが答えじゃないぞ。でも孫ちゃんはどうしても受け入れられない事があるようだ。


「確かに必要ではあったかも。けど、それをあいつ一人との会話で決めるのは早計でしょ。私達にはそれが必要でも、この街にはそれが本当に必要な事なのか……アンタ考えた?」


 そう言われると困るな。確かに考えてなかったかも。でも治安部がやられて、力が足りないことを彼等も自覚したはずだ。だからこその共同戦線な訳だろ? 何も矛盾なんてしてない。当たり前の思考じゃないか?

 僕が黙ってると、孫ちゃんは更にこう続けた。


「この街には手っ取り早くいつも通りの平和を手にする方法がある。それはアンタを差し出す事よ」

「っ!!」


 確かに。どうして考えつかなかったんだ? 三つ巴とかなんとか言ってたけど、それなら僕達とブリームスじゃなく、奴等とブリームスだって成り得るんじゃないか。しかも後者の方がブリームスにとっては簡単だ。

 力を合わせても勝てるかわからない相手と戦ってボロボロに成るよりも、僕達を差し出す方がブリームスにとっては何倍も魅力的だ。共通の敵は最大の指導者に成り得る……だけどそれは力が拮抗してたり、明確な目標とかがあった場合か。今のブリームスに無理して外側の姉妹や黒い存在と対立する理由はないんだ。


「確かに……あの人だけが僕達との協力に賛成でも、守るべき大衆はそれを許さないかもな」

「上の連中だって許さないでしょ? そこら辺はよく分かるわ」


 流石元老院の関係者。なんか説得力がある。協力態勢を築くなんて鼻から無理だったって事か……


「無理とは言ってないけどね。状況に流されないでもっと”流れ”を見極めなさいって事よ」

「流れ……」


 なんか似たような事を前にも言われたな。風を掴むときにエアリーロに散々同じような事を言われた。でもあれは風の流れを感じなさい––だったかな? いや、どっちでも同じようなものだろ。

 だけどその時を見極めるって難しいよな……


「流れは待ちわびる物でもあるけど、つくり上げる物でもあるわ。ようはここの連中に奴等を明確な敵にすればいい。突発的な台風みたいな存在じゃなく、憎むべき相手にすればいいのよ」

「なんか……マジで孫ちゃんが頼もしく見える」

「今までの私の何を見てきたのよ? 私はいつだって頼もしいわよ。まあ本当は目立ちたくないから裏でやるのがいいんだけど……けど、それもそろそろ潮時みたいだしね」


 なんだ? 能ある鷹は爪を隠すって奴か? まさか孫ちゃんが鳶じゃなく鷹だったとは驚きだ。でも否定するところはないな。確かに流れは作るものでもある。それが出来るのなら……だけど。

 けどやるしかないか。僕たちは急いで森の研究所を目指す。背中側で激しい爆音と、悲鳴が無数に聞こえる。どうなってるのか……ちゃんと渡り合えてるのか僕達には窺い知ることも出来ない。今の僕たちはただ必死に逃げることしか出来ないんだ。だけどこの先にきっと反撃のチャンスはある。それを信じないと……そして引き寄せないと行けない。


「孫ちゃん、その流れを引き寄せるためにも必要な物があるよね?」

「ええ、そうね」

「え? うん?」


 僕と孫ちゃんの会話についてけてない僧兵。でも実際これだけで伝わったのがちょっと驚きでもあるし、マジで通じてるのか疑問でもある。けど次の言葉がそれを証明してくれた。硬い地面をタムタム跳ねながら、僕達の発した声は重なる。


「テトラに––」

「邪神に––」

「「––そろそろ目覚めてもらわないと!!」」

 第五百八十八話です。

 遅くなってしまいました。ちょっと悩んでる事があってですね。まあこの小説の事じゃないんですけど……どうしようかなって感じです。もしかしたらもう一作位投稿するかもです。わかんないですけど。

 ずっと考えてた話しがあるんですけど、どっちの設定がいいのか……どっちも自分の中ではありなんですけど、う〜んです。だから投稿して反応を確かめようかどうか……


 取り敢えず次回は木曜日に上げますね。ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ