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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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バイオハザード?

 自動ドアがスムーズに開く。やっぱり開いてる事は開いてるようだ。それはそうか。もしも本当にしまってるのなら、駐車場にだって入れないだろうしな。だけどホントどうしてこんなに人が少ないんだろうな?

 メカブが言うようなバイオハザードはあるわけ無いだろうけどさ、どこかおかしいのは確か。少し緊張しながら更に玄関先の自動ドアを抜ける。すると流れてくる冷えきった空気が外に居るときに出してた汗に絡まって寒気を誘う。汗と冷房って相性悪いよな。


 でも夏でも快適に過ごせるってのはありがたいからな。今の時代、冷暖房ないとやっていけないよな。そんな事を思いながら中の様子を見ると、やっぱり閑散としてるってイメージだな。

 毎回来る度にこのエントランスホールって言うか待合室みたいな場所には大量の患者たちがズラッと並べられてる椅子に腰掛けてたのに、今日はそこに誰も居ない。それにせわしなく行き来する人達もいないし、病院で活気って言うのもおかしいのかも知れないけどさ、少なくとも前はそれがあった。

 もっとわいわいがやがやとしたさ、人の雑音が一杯だったんだ。それが今はまさに僕達だけポツーーーーーンって感じだ。デッカイ窓から差し込む日差しを受けて見えるこの場所ってこんなに広かったんだ––そんな印象がある。


「本当に寂しく成ってるわね」

「や、やっぱりバイオハザードなんじゃ……油断してるとゾンビが出てくるわよ」

「それなら外に既に出ててもおかしくないと思うけど。自動ドアなんだし、ゾンビだって堂々と出れると思うよ」


 天道さんやメカブ、日鞠の奴がこの広々としたエントランスを三方向それぞれ見渡しながら歩いてく。てかバイオハザードってゲームの方だったのか? 俺はてっきりリアルな細菌事故とかだとばかり……まあでも結果は一緒……な訳ないな。

 普通死人が動き出すとかないしな。死んだらそこで終わるのがこの世の常だ。例外は漫画や映画、諸々のエンターテイメント+LROで十分。LROは死者達が迷い込んでたが、それも成仏したからな。でもアレこそまさにファンタジーって感じだったかもな。

 LROならそんな事が起きてもおかしくないって認識は実際常にあるんだよ。あそこは誰もが夢見た場所だからな。可能性の広がり具合が半端ない。いつだって俺達の予想の斜め上を行くのがLROだ。

 でもここはリアルなんだよ。リアルには予想出来る事がそのまま返って来ることのほうが多い。堅実なんだよなリアルってさ。驚きに乏しいからこそ、沢山の人がLROに夢を求めた訳だしな。

 バイオハザードもLROではマジで起きておかしくないが、リアルではな……起きないとも言い切れないけど、その可能性は限りなく低いだろ。心躍る事がないわけでもないけどさ、リアルはやっぱりリアルなんだよな。それ以上を踏み越える事はそうそうない。まあ実際、リアルはそれでいいと俺は思ってるけどね。

 そして多分大概の人もそれでいいと思ってるだろ。映画や小説世界の人気は分かるけどさ、それがリアルもそうであれって思う人はそう居ない感じ? その究極を既にLROが実現してるからな。


 リアルはつまらなくても予想外が無くても、この無難な世界だからこそ安心して戻ってこれるとも思うんだよ。戻ってくる場所ってのはそういう安心感みたいなのが大事だと思うんだ。

 LROも映画や漫画や小説の世界も魅力が沢山あって、そこで一生懸命生きる姿は俺達の心を打つけどさ、やっぱり誰もがこの平々凡々なリアルに戻って来てしまうんだ。それはこの世界も捨てたものじゃないって事だからって思うんだよな。

 まあ出来る事なら戻りたくない人も居るだろうけどさ、大概の人はリアルもそしてLROも捨てる事なんか出来ないはずだ。


「バイオハザードなんてそんな妄言どうでもいいから、さっさとジェスチャーコードを知ってる人を見つけようぜ。外来に人居なくても、職員は居るだろ? ナースセンターとかさ」


 俺はそう言って奥の受付の方を見る。ここも普段なら長蛇の列が出来てるはずなんだ。いつもいつも来る度に地元の病院とは大分違うな~と思ってた。まあある程度大きな病院は大抵あんな風に列が出来るのかもしれないけどな。

 そもそもよく考えたら俺は体だけは頑丈だからな。そんなに医者に掛かったことないや。だからこそ、こんな大病院とは縁が無かったから病院がこんなに繁盛してる物とは知らなかったわけだ。医者は儲かるって言うけど、ここに来るように成って納得したよな。怪我人や病気がなくなるわけ無いんだから、医者なら一生食っていけるはずだ。


「じゃあアンタが行けばいいじゃない。ゾンビが出ても知らないけど」

「だから出るかそんなもん」


 俺はそう言って受付に近づいていく。するとどこからから風が吹いてきて「ヒューヒュルルルル」なる音が……


(な……なんだ? まるで昔のホラー映画チックな音と雰囲気が襲ってきたぞ。まさかホントにゾンビが出たり……いや、日本的に幽霊? でもバイオハザードって日本産だったな……)


 妙な冷気と音のせいで変な考えが浮かんでくる。そんな訳ないと思ってるんだが……この物静かな病院の雰囲気も相まってちょっと緊張が……てかこの変な音は一体どこから? 


「おい、なんか変な音聞こえない––」

「ヒュー、ヒュールルルルルルル………あ」


 流れる沈黙。振り返って見ると少し離れた所でこっちに向かっておかしなBGMを口ずさんでるアホの姿が見えた。まあ勿論それはメカブの奴だ。俺は静かにこう言ってやったよ。


「何やってんだお前?」

「ふふ、ビビった? ビビってたでしょ? プークスクスクス」


 超ムカツクなこいつ。俺は頬を膨らませて小馬鹿にしたように笑ってるメカブに近づいてその肩に手を置いた。クエスチョンマークを表示させた顔をするメカブ。俺はそんなメカブに笑いかけて肩に置いた手に力を込めてゴリゴリしてやる。


「イタッ! いたいっいたっ……たったたやめっ! って~~~~」


 俺の肩グリグリに耐えられなくなって涙目になるメカブ。ふははいい気味だ。上機嫌に成ってると頭をバフンと何かで叩かれた。


「はいはい、あんまりイジメない。女の子には優しくしなさいよ秋徒」

「日鞠……おい、その団扇……」

「なに?」


 さっきの風、お前だろ。絶対にそうだよな? ここに入るまで団扇なんて持ってなかっただろ。グルじゃねーか! だけど日鞠の奴は俺が気付いてるとわかってるだろうに、しれっとしてやがる。証拠である団扇を隠そうともしないしな。

 こいつにもグリグリやってやりたいが、なんかこうも堂々とされてると、やりづらい。


「いや、それよりこいつをどうしようと勝手だろ。俺は聖人君子じゃないんだ。ましてやレディーファースト精神のある外人でもない。女だからって男から無条件で甘い顔されると思うなよ」

「まあそれもそうだけど……ここは一つメカブの胸に免じて」

「胸に免じて?」


 なんだそりゃ?


「ほらメカブ、一揉みで許してくれるって」

「だ~れ~が~こんな奴に! 願い下げよ!!」


 どんだけ恨み買ってるんだよ俺は。寧ろこっちから願い下げだっての。確かに興味はあるけどな。だが、こいつの胸を揉みしだく位なら、俺は愛の形の良さそうな美乳を揉みたい! ただデカイだけの無駄乳なんてそんなの––へっ––だ。


「なにその顔ムカツク。人間風情に許してもらおうなんて思ってないけど、まあ童貞がどうしてもって言うなら」

「いや、遠慮するわ」

「じゃあ死ね」


 口悪いなこいつ。頭も悪そうだけど口も相当だ。取り敢えずもう一度肩をゴリゴリしてやることに。


「あうううううう」


 苦しみ悶えながらメカブの奴の態勢が崩れてく。思い知ったか。だれが童貞だ。その通りだけども……だがな、それもあと少しだ。俺には約束された相手がいるんだ。童貞? そんなの気にもならない。

 いつかは分からないが最高の相手と卒業できる事が確約されてるんだからな。俺は大人への階段を一歩ずつ 着実に登れるんだ。


「そういえばメカブってインフィニットなんとかでずっと生きてるんだっけ? 俺達と違うんだよな?」

「そうよ。わかってるのならこういうことは即刻やめなさい。そうしないと私が封印してるインフィニットのその奥のマジヤバイ力が開放される事になるわよ。そうなると世界はきっと今の姿を維持することは出来ない。

 私はその力で何度も世界を消滅させては再生を待ってきたのだから……」


 はた迷惑な奴だな。壊すだけ壊して自然治癒するのを待ってまた壊してるのかよ。やっぱこのままグリグリして取り敢えずなくなせるか。てかマジヤバイ力って……


「なっ!? まさかインフィニットアートを無効化する能力者!? あんたにそんな大層な力があるなんて……でも惜しかったわね。私の封印されし力はアンタ程度の力じゃ抑え切ることなんかできな––イッタタタタタタ!!」

「さあ俺の『物理的』力でお前のその大層な力を抑えこむぞ~~」


 俺はもう片方の肩にも手を置いてグリグリを倍増させてやった。どうだ? 物理が最強だろ。見えない力など効かないんだよ。


「なんかあれだね……秋徒明らかに変質者」

「はぁ!? なんでだよ!!」


 いきなり日鞠の奴は何を言い出すんだ? 俺がやってるのは力による攻撃。そして俺達はバトルってるんだ。変質者など紛れ込む余地なんかない。全くこれだから戦闘を知らない女は困る。


「だって秋徒、メカブを跪かせて今にも押し倒しそうじゃん。それに目が血走ってて息もハァハァ荒いよ。端から見たら少女を襲う変質者その物にしかみえない」

「ははっ……そんなバカな……」


 確かにちょっと目が血走って、息も力込めてたから荒くなってたかも知れないけどさ、それで変質者とか……ちょっと男に厳しい世の中すぎやしないか? てかなんでもかんでも女優遇な世の中になり過ぎなんだよ。

 男は不利しかない。女性限定が世の中に溢れてるのに男が優遇される物なんか殆ど無いぞ。それに女は許されて男は許されないって事も世の中一杯だろ。男尊女卑とか逆転してるだろ既に。

 それなのにまだまだだと女どもは声を上げる。てかよく聞こえる。男はそこら辺全然言わないから逆に女性の声だけが目立つんだろうけどさ……もっともっと先の未来になると男なんて路傍の石みたいな待遇しか受けれなく成るかもだ。

 なんて恐ろしい……強欲過ぎる! そして俺不憫。なにも悪くなんて無いのに! 女は簡単に弱者にも成りすませれるからズルいんだよ! 俺なんか体がデカイからって、いつだって貧乏クジしか引かないのに……俺は助けを求める様に天道さんを見る。

 彼女は大人だからな。大人らしい対応が期待できるかもしれない。ようはこっちの味方になってほしいだけだけどな。女子は徒党を組むと手が付けられなくなるからな。三体一なるのは不味い。せめて二対二の構図にしないとこれから俺の肩身は狭くなる一方だ。愛が居れば無条件で俺の味方の筈だったのに……すると天道さんは俺の視線を受け取ってこう答えてくれる。


「残念だけど……でも二人は仲良さそうにも見えるわよ?」

「だれがこんな奴!」


 まだ言うかこの無駄乳。でも天道さんの言葉は期待したものじゃなかった。どうやら俺は変質者にも見えてるみたいだからな。仲良さそうとかなにも嬉しくない。てかそれ完全に気を使って言った言葉だろうしな。この状況見て仲良さそうとか思うか? 思わないだろ。


「またそう言って……でもメカブちゃん––だっけ? は私が見る限り秋徒君と絡んでる時が一番らしいと思うんだけどな?」

「やめてくださいよ。俺には愛が居ますから!」

「愛ちゃんね。あの子はいい子よね。まあ正しいと思うわ」


 そういう天道さんはメカブを一度見て目を逸らしながらそう言った。正しいだろうな。それは俺が一番良く感じてる。メカブなんて比べ用もないだろ。てか仲いいのか? 俺達にもまだまだ余所余所しいというか、そもそもそこまで頻繁にもあってないからぎこちない感じが出るのは当然なんだが、さっきの愛の名前の呼び方にはそんな感じがしなかったような気がした。

 するとそんな俺の疑問を日鞠の奴が先回りして聞いてくれた。


「天道さんは私達よりも愛さんとの付き合い長かったですっけ?」

「別に付き合いが長いわけじゃないけど、ここ最近は色々とやり取りしてたからね。箱入り感が強いけど、だからこそあんなにお嬢様なのよね~て思うわ」


 天道さんの言葉には俺も同意できるな。愛は箱入り娘って感じがある。世間からそれほどズレてるわけでもないけど、お嬢様感が漂ってるからな。やっぱそこらの––チラ––女とは出来が違うよな。


「ちょっと、何で私を見るのよ」

「別に、気のせいだろ」

「ああ、私もお嬢様って訳ね」

「それは無い」


 誰が見てもお前をお嬢様だと思う要素なんかない。どう考えてもイタイ娘だろ。素質が皆無過ぎてお話にならないレベルだ。だってこいつの今の服装からどんな公式を駆使すればお嬢様という答えを導き出せるのか……ハッキリ言って世界最大の難問だろ。解けねぇよ。だって答えは無いんだからな。

 アホみたいな事言うなよ。だけどメカブの奴は既に調子に乗ってる。


「ふふ、まあお嬢様って枠なんかには私は収まりきる器じゃないけどね。女王様って呼んでいいわよ?」


 やっぱこいつアホだな。世間で女王様がどういう人達を指すかわかってないのか? 本当の女王様に踏みつけられればいいのに。


「天道さんもお嬢様ですよね? 社長令嬢って奴でしょ?」

「そうだけど、でも私はしがない会社の社長令嬢だったから。愛ちゃんとは比べ用もないかな。向こうは本物。だから秋徒君はそれなりの覚悟がないとね」

「覚悟ですか?」


 いや、それはわかってるつもりだ。今まで何度も愛との住む世界の違いは感じてきた。それでもやっぱり一緒に居たいって思うんだ。それなりの覚悟は出来てる……つもりではある。


「私はまだまだわかってないと思うけどね。秋徒君が考えてるよりももっと深くて薄汚いのが大人の世界よ。しかも相手が大金を抱えた大財閥の娘ともなるとね。色んなハードルが二人には立ちはだかると思う」

「うっ……」


 思わず一歩引いてしまう。確かにちょっと今までは漠然とだけだったかも知れないのは確かだけどさ……天道さんという大人でしかもその世界に突っ込んでるような人の言葉は重みが違うな。


「だけど二人はいいわよ。お互いに気持ちを確かめ合ってるんだもの……」


 そう言ってちょっと陰りを落とす天道さん。そっか……天道さんはまだずっと片思いのままなんだもんな。それはやっぱり辛いよな。いくら頑張っても、確実に当夜さんが天道さんを選んでくれるかはわからないんだ。その分俺達はもう既に両思いだ。それだけでかなりの違いはあるよな。通じ合えてるってだけで、力が湧いてくる気がするし、未来を想像できるから歩いていける。

 だけどずっと…ずっと当夜さんの事を気にかけてきたんだよな天道さんはさ……


「大丈夫ですよ。当夜さんだってきっと天道さんの事ちゃんと見てると思います」

「そうかしら? いつだって妹の事しか見てないシスコンなのよ」


 あらら……折角フォローしたのに本人に否定されたぞ。しかもシスコンって……いやそこは否定出来ないけどさ。妹の為にフルダイブシステムにLROまで作った人だからな。妹への愛は確かに半端ない。

 だけどそれは家族愛だろう。たった一人の肉親として頑張ったゆえだと思う。天道さんにはきっと恋愛対象の愛が向いてくれるよ。


「まあそのシスコンにいつまでも拘ってる私も私だけどね……」

「はい?」


 小さな声で何か言った気がしたけど、あんまり聞こえなかった。するといつの間にか俺の手から脱出してたメカブの奴が受付のカウンターにたどり着いてた。


「ようは天道さんも文句の一つでも言ってその当夜って人に入籍してもらわないと今までの分が割に合わないって事でしょ? なら叩き起こしてキスの一発でもしないとですね。まあ私に不可能は無いので任せてください」

「えっと……」


 なんて言って良いのか天道さんはわからなくなってるな。その言葉だけで突っ込みどころが多すぎるんだよ! もっと洗練させろよな。てかアイツ一番最初に受付に近づいたけど、もうバイオハザードの設定は忘れてるな。

 しかも早速「すみませ〜〜ん」って叫んでる。俺達も後ろから覗きこむ。受付の内部の方もガラガラだな。いいのかねこれは? そう思ってると中から一人のナースが出てきた。


「あっ、えっと今日はその外来はやってなくてですね。その色々とゴタゴタしてまして……えっとえっと」


 なんだか見るからに新人っぽい人だ。でも可愛い。白衣の天使と言えるな。流石大病院はナースのレベルも高い。そういえばここ可愛い人が多い気がしないでもないな。


「落ち着いてください。私達は病人じゃないんで」

「お前はどちらかと言うと病人だと思うけどな––––ってったあああああ!」


 直後に足に走る痛みでそんな声が出た。メカブの奴素早く攻撃繰り出して来やがった。丁度真後ろに居た俺の足の脛を踵でゲシッと……容赦もなにもしない奴だよ全く。すると俺の様子を見たナースの人がこういった。


「外来ですか?」

「けっ、結構です……大丈夫ですからご心配なく」

「はぁ……それで病人でも無い方達が何用ですか? 取材はお断りしております」

「取材ってやっぱりLRO関連のですか?」


 ナースの人の言葉を聞いて日鞠の奴が横から入ってきた。でもこのタイミングで取材とかいうって事はそれしかないけどな。するとナースの人がニコッと笑って「それはお答え出来ません」と言った。

 まあこの病院としても後ろめたい部分はありそうだしな……スタッフの口を塞ぐのも無理は無い。


「取材ではないから安心して。私達はジェスチャーコードを探してるの。知らない?」

「はぁ?」


 キョトンとする彼女。無理もない、いきなりジェスチャーコードとか言われても誰もわからないっての。メカブの奴、自分でやりたいのならもっと人様の気持ちを考えて説明しろよ。しょうがないから俺が懇切丁寧にこうこうこうだからって感じで説明した。

 勿論全部を言ったわけじゃないけどな。上手く当夜さんとセツリを出して、彼等の間で使われてた合図みたいな物って感じでね。LROって言葉に敏感そうだから出すのは不味そうだしな。


「そういうことですか。でも私には分かりかねますね。実はこう見えて新人なんです」


 こうみえてもってどう見えてると彼女は思ってるんだ? 新人にしか見えないぞ。なんか変な貫禄っぽいのがある気もするけど、ベテランのそれではない。


「じゃあ知ってそうな人を紹介して。この病院になるべく長く勤めてる人がいいわ」

「そうですね。それならやっぱり婦長とかでしょうか? ですが……」


 歯切れの悪い感じ。伏せられた彼女のまつ毛が瞳を悲しく遮る。なんだ? 何か不味いことがあるのだろうか? 空調機の音だけが響く場所で、その続きを俺達は歯噛みしながら聞いた。


 第五百七十四話です。

 今回は無事に上げれました。めでたしめでたしです。これからも通常通りに上げれるように目指していきます!


 てな訳で次回は土曜日にあげます。ではでは。

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