自慢の友達
降り注ぐ日差しが肌を焼く中、俺達はカフェから移動して近くの駐車場を目指す。都心だからな、わざわざ駐車場を確保出来るスペースは限られてるんだ。店に並列してあればありがたいんだが、狭い日本じゃそうは行かない。
てな訳で運転手さんは近くの駐車場に車を停めて待ってるはず。
「近くのならこっちかな? 私も停めてるしね」
「天道さんも車なんですか?」
「ええ、私が車に乗るのは変かしら?」
「そういう訳じゃないですけど……」
車って事はそれなりの距離を走ってきたって事だよな? 結構ラフな格好してるし、わざわざカフェとかにしたのは自宅がこの近くだから––と思ってんだが違うのか? てかそれなら何故にあのカフェだったのだろう……
「ねえ……なんか私達注目されてない?」
「そうで…………すね」
そうですか? って言おうと思ったんだが、周囲を見回すとそんな事言えなかった。だって確かに注目されてる。スッゲー見られてる。いや、まあ当たり前なんだけどな。ラオウさんは当然の如くだし、メカブの奴も格好が格好だけにかなり目立ってる。
「全く、下等生物共の羨望の眼差しがうざったいわね。私から溢れるオーラはやっぱり隠しても隠し切れないか〜」
そう言って胸を反らすメカブ。するとそのデッカイ無駄乳がブルンと揺れる。格好もそうだけど……こいつの場合はこの乳で惹きつけてるのもあるな。頭に行くはずの栄養までもきっとこの乳が吸い取ってしまったんだろうな。
だからこんな残念な事に……
「なあメカブ? お前って生きてて恥ずかしくないの?」
「どういう意味よそれ!?」
いや見てたら素直にそんな言葉が出てきただけだけど、確かにちょっと酷い言葉だったかも知れないな。訂正しよう。
「ごめんごめん、何で生きてんだっけ?」
「より酷くなっとるわ!!」
そうか? 文字数的には軽く成ったぞ。
「生きてる事から否定されてるじゃない! より重くなってとるわ!!」
「全く、贅沢な奴だな。じゃあなんで死んでないんだよ? これでいいか?」
「良い訳あるか!」
その瞬間こいつローキックをかまして来た。脛に直撃したけど、何故か屈んだのはメカブの奴だった。
「っつ〜〜〜〜! 何か仕込んでたわね!?」
「いや何も……お前の足が貧弱過ぎただけだと思うぞ」
マジで脛には何も仕込んじゃない。それなのに蹴ったほうが痛がるって……いや、まあ無いわけじゃないけどさ。普通はこっちにもそれなりの痛みは伴うだろう。それだけ自分の体を犠牲にして打ち込んできたはずなんだからな。
それなのに打ち込んできた方だけがダメージウケるって……どう考えても軟弱過ぎだ。まあメカブの奴ってあんまり運動とかしてそうに無いからな。無駄な肉が一杯ついてるし。
「ふん、インフィニットアートを使ってないだけで、使ったらアンタなんてイチコロだから。私の寛大な心に感謝することね」
「いや、それよりもお前は、んなアホらしい格好してる奴と一緒に歩いてやってる事を感謝しろよ。変に目立ってるのはお前のせいでもあるからな」
本当は距離とって欲しいっての。でもそれ言ったら、ラオウさんにまでそうしなきゃいけなくなるだろ。ついさっき色々とフォローしたばかりなのにそれはちょっとあんまりだから、流石に出来ないんだよ。
だけどそんな俺の気遣いを全然察しないメカブの奴は、あっさりとこう言いやがる。
「私よりもどう考えてもラオウさんの方が目立ってるわよ。そうでしょ?」
「お前な……」
ラオウさんはお前とは違うんだ。ラオウさんが目立つのはハッキリ言ってもうしょうがない。あんな風に規格外に成長したんだ、自分ではどうにも出来ないじゃないか。だけどメカブは違うからな。自分ではどうしようもない所じゃない。いや、もしかしたらその美的感覚とファッションセンスが絶望的でどうしようもないのかもしれないけど……でもこいつその格好がイケてると本気で思ってそうだからな。
あれか、美的感覚が狂ってるって事は自分のファッションの異常性にも気付くことは出来ないって事か……厄介だな。そう考察してると、ラオウさんが暗い声でこういった。
「そ、そうですね。私のせいで皆さんに不快な思いを……」
「いや、それはこのアホが勝手に言ってるだけで別にラオウさんが注目されてるって訳じゃ……」
なんとか俺はフォローしようとする。だけどすれ違う人達の声が如実に誰を見てるのか物語ってた。
「ねぇなにあれ? コスプレ? てかヤバイでしょ〜あれ。同じ人なの?」
「てかあれってシスターの格好してるよね? 女? 女なのあの大きさで? 男でしょ? 通報した方がいんじゃ無い? どう考えてもヘンタ––」
もう止めて上げてくれ。分かるけど……その感想分かるけど、それ以上は止めて上げてくれ。聞こえない様に声を小さくしてくれてるんだろうけど、案外嫌な言葉ってやつは遠くに届くものなんだ。
今きっともの凄い勢いで心が削られてる筈だ。戦闘が始まればこんな声なんか気にしない最強の兵士に成るんだろうけど、普通に憧れてるラオウさんは今は普通の女なんだよ。心だけは。
でもそれでもきっと自分が普通じゃないってのもわかってる。だからこそ、どこまで行ったって彼女は銃を持ち、戦う準備をしてたりする。欲張りなんだろうけど、彼女は力を忌み嫌ってるってワケじゃないんだよな。
それを込みにして、その上で普段をもっと普通に溶けこませたいって考えてる。難しいけどなそれ。本当に、難しい。だって日本人は「皆と同じ」が大好きな民族だからな。個性を重視する教育や社会を目指してるけど、それでも長年刷り込まれた同調性って奴はなくなりはしないだろう。
それにそもそも日本人って外人恐怖症な所あるしな……ラオウさんほど外人的体格なら、嫌でも普通の人は最初から引くだろう。けどそれでも、どうにかして受け入れられたいって思っては居るんだよな。
(まあそれならまずは教会に隠し持ってる銃火器を全て撤廃する所から始めても良いと思うけどな)
ラオウさんってどこか火薬の匂いがするんだよな。それもある意味他人を遠ざける役目をしてる。しかもそれが男とか思われる要因でも有るだろう。普通女の人は香水とかシャンプーの匂いとかが香ってくる物だろ。
まあ汗臭かったりする人も居るにはいるけどさ……でも火薬は無いだろ。タバコの匂いともやっぱ違うし……そんなの漂わせてて、しかもその大きさじゃ男と見られるのもしょうがない。
わかりやすくシスターの格好してるけど、その大きさとこの匂いじゃ女と分かれと言う方がなかなか難しい。コスプレ言われるのも仕方ないな……どうフォローしたら良いのか分からなくなってくる。
やっぱりリアルには限界って物が有るんだ。LROみたいに心を汲み取って世界が力を貸してくれる訳じゃない。どうしようもない物理的な事ってあるよな。
「ラオウさん……」
「はは、大丈夫です。この位慣れっこですから。だからどうか少し距離をとってください。私と並んで歩くと、皆さんも嫌な視線に晒されます」
なんて悲しいことを……自分は良いから俺達の事を……そんなの出来るわけ––
「全く、他人の目なんて気にしてどうするのよ? アンタにも私にも他人にへりくだる罪でも有るわけ? 無いわね。そうでしょ?」
「メカブ……」
予想外な事に、なんかメカブがいい事言ってる。そんな言葉にラオウさんはちょっとウルッと来てるようだ。
「大体人間風情が私達の様な存在に向ける視線ってのは懐疑的で恐怖に震えるそれなのよ。それを楽しく優越感に浸るのが上位種たる私達の正しき態度って奴よ。あ〜気持ちいい」
「すっ凄い! メカブの事を見直しました」
「ふふっ、今更って感じね」
やっぱこいつ相当図太い神経してるな。すげー感覚で生きてるよ。まあだけどそう思ってないと、外なんかその格好で歩けないよな。
「なんか色々と凄いのねあの子。日鞠ちゃんとは違う感じで……だけど」
天道さんもちょっと見直した? 感じでそう言った。そして当の日鞠の奴は先行してた足を止めて振り返る。
「メカブは滅茶苦茶だね。でも面白い解釈かも。だけどそれはラオウさんには向いてないかな? メカブだから出来るって感じ。ラオウさんは優しいから……そして普通とは違う」
「それは……」
最後の一言は余計だろう。一番気にしてる所をグサッと付くなよ。別にそこはスルーして励ます言葉で締める––それで良かったと思うぞ。わざわざ上げておいて落とすって鬼畜かお前は。
少し上がってた筈のラオウさんのテンションが再び下がってる。全く余計な事を言わなければ持ち直してただろうに。どうするんだよ。すると日鞠の奴はキョロキョロと辺りを見回して、こっちにスマホを構えてキャイキャイ言ってる女子高生っぽい子たちに声を掛けた。
「貴方達、そんなにこの人の事気になる? それならそんなにコソコソしなくていいよ。もっとこっち来て撮ってよ」
「え? それは……」
「ねぇ……」
「うん……」
日鞠が声を掛けた女子高生達は明らかに逃げ出したい雰囲気を醸し出してる。さっきまで面白がってたのに、日鞠が声を掛けた瞬間ビクッとなったしな。日鞠の事を怖がってる訳はないだろうが、明らかにラオウさんを見てビクビクしてる。
自分達が失礼な事をやってたって認識位は有るんだろうな。だけど日鞠が彼女達に声を掛けた意図はなんだ? みせしめか何か? 失礼な事をやってたらどうなるか教えてやるぞ––的な事をこれからするのか?
だけどボコボコにする訳にもいかないよな。まあラオウさんなら、ひと睨みでこんな女子高生達を蹴散らすなんて訳ないだろうけど……それってなんか間違ってるよな? そんな事をやったって、何も解決なんかしない。それくらい日鞠がわかってない訳……
「どうしたの? 彼女の事が怖い?」
「怖いって……そりゃああんな見た目なら当然でしょ?」
「「うんうんうんうん」」
取り巻きみたいな二人が高速で頭を縦に振りまくってる。身を寄せ合ってね。ラオウさんはますます傷付くばかりだ。これじゃあどっちを公開処刑してるのかわからないぞ。早く止めたげろ。
「まあね。確かにラオウさんはおっきいし、初見じゃ女なんて分からないかもしれない」
「日鞠ちゃん……」
「しょけん?」
おい、なんでラオウさんを傷つけてるんだよお前は。日鞠との事だからどうにかしてラオウさんを持ち上げるのかと思ったけど、何故かデスッてるぞ。そしてこの女子高生達はアホなのか「しょけん」って言葉に混乱してる。
いや、そのくらい分れよな。一体義務教育過程で何を学んできたんだよ。初見もわからないって、親も先生を泣くぞ。
「だからこんな奴等の視線なんて気にする必要ないって言いたいんでしょ? 私と一緒よ」
「そうじゃないよメカブ。気にしないじゃ駄目なんだよ。歩み寄らないと、誰も理解なんて出来ない。自分を見て欲しかったら、自分を晒す事が大事だよ。壁を作ってるのは自分なのか他人なのか……家庭なのか社会なのか……その全てでも、自分に言い訳しだしたら誰とも手を取れなくなっちゃうよ」
そう言って日鞠の奴は笑顔でその女子高生の手を取る。
「ちょっ!? 何すんのよ!?」
抵抗する女子高生を無理矢理引っ張ってくる日鞠。なかなか強引な奴––と思ったけど、強引なのは昔からだった。そして引っ張ってくる過程で日鞠は楽しそうにこんな事言ってた。
「貴方達は知らないの。ラオウさんの素敵な所。彼女は確かに見た目大きいし、威圧感半端無いし、とても女性には見えないのも分かる」
「…………」
おいいいいいいいい! ラオウさんが流石に虫の息になってきたぞ。今のハッキリ言って酷すぎだろ。事実だけど……事実だけどだからこそオブラートに包めよ! ラオウさんはいじけてその場で体丸めてうずくまってしまったじゃないか! マジでどうするんだよ。すると日鞠の奴はラオウさんに近づいてその手に触れる。
「だけどね、ちゃんと見てくれれば可愛い人なんだよ。優しい人なの。大きいけど、ほんとはもっと可愛くなりたいって思ってるし、大きいからこそ、色々と気を遣ってる部分もある。
だけどやっぱり一番は強い所。この体はね恥じゃないし、飾りでもない。彼女が歩んできた道を証明するその物なんだよ。超〜〜〜〜強いからねラオウさんは! ホントにホントにホントだよ!」
「あ〜もう! 五月蝿いわね! なんなのよアンタ! 強いとか脅してるわけ?」
「脅すなんて、そうじゃないよ。自慢してるだけ。私の自慢の友達は、こんなに凄いんだってね!」
「なっ……なによそれ?」
いや、ホントその通りだな。いきなりそんな事を言われてもなんて返していいかわからないだろ。しかも体でかいラオウさんがうずくまったせいで道を占領してるしな。そのせいでちょっとした人だかりが……厳しい視線が増えてるのが現状だ。
「ラオウさん、立ってください。大丈夫ですから」
「日鞠ちゃん……」
「私を信じてください」
その言葉を信じて立ち上がるラオウさん。すると周りの人だかりから悲鳴の様な声がチラホラと……小さな子が泣き出したりまで……これはちょっと悲惨な状況だろ。どうするんだよ日鞠の奴は。
「わ、私達を殴らせる気?」
「そんな事しないよ。ラオウさんはとっても強いからそんな事する必要ないもん。ただちゃんと知ってほしいだけ––ね?」
「きゃ!」
さり気なく女子高生の後ろに回った日鞠の奴はラオウさんの方に彼女をおした。そしてそれを支えてあげるラオウさん。怪物に捕縛された気分の女子高生は青ざめてしまってる。
「た……助け……」
「ラオウさん、彼女を高い高いして!」
「ええ? それに何の意味が!?」
「良いから!」
「……ええ〜〜いわかりました! 行きますよ!」
「やだ〜〜〜〜〜!!」
何故か分からないが体を持ち上げられてしまう女子高生。その年で高い高いって……意味がわからない。めっちゃ泣き叫んでるぞ。誰かが通報してもおかしくないな。
「ほら、しっかり前を見てみて。違う景色が見えるから!」
「前ってそんな……」
女子高生の言葉が止まる。辺りを見て何かを感じてるんだろうか? てか、俺も結構感じてる部分が……全然好みじゃないけどさ……やっぱり女子のパンツが頭上にあるってなんか興奮するよな。スカート短いから諸に見える。
周りの男の人達もきっと興奮してるだろうな。
「ちょ! パンツ丸見えてるし!」
「隠して隠して!」
その言葉に急いでスカートを抑える上の子。なんかパンツ晒されただけの子って感じに思えてきたな。やっぱ見せしめか?
「もういいでしょ? 降ろしてよ! 悪かったから。私達が悪かったから」
まあこうなるよな。そりゃあ降ろしてもらいたく成るだろう。パンツ晒してる訳だしな。流石日鞠、酷いことをやる。
「そうじゃないな〜謝って欲しい訳じゃないもん。私は感じて欲しいんだよね」
「な、なによそれ?」
「さっきちょっと、それを感じてたっぽいけど。違うのかな?」
「…………よく分かんないけど、少し新鮮な感じはしたわよ。そりゃあこれだけ高かったら、見える世界違うじゃない!」
「うんうん、それだよ! いいよ〜降ろして」
なんだか分からないが、日鞠は納得したらしい。降ろして貰った女子高生は足がプルプル震えてる。そんな彼女に対してラオウさんは頭を下げる。
「すみません、恥をかかせてしまって」
「んっ……んん……」
何か言いたそうだけど、先に謝れてしまってどうしていいのかわらないって感じだな。まあもしかしたら文句でも言う気だったのかもしれないが……
「これがラオウさんだよ。私達よりもとっても高い所から見てるけど、彼女はちゃんと私達の目線に立てる人だよ。彼女は私達にいつだって歩み寄ってくれてる。とっても分かりづらいし、第一印象が先にきちゃうのはしょうがないことだけど、私はちゃんと知ってほしい。
私の自慢の友達の事」
その言葉に、悲鳴を上げてたりしてた周囲の言葉が収まる。今の丁寧なラオウさんの対応で威圧感とは違うものを周りも感じたのか? 響き渡るのは通過してく車の音と、けたたましいセミの声くらい。不思議な事に何故か子供の泣き声も止んでた。小さな子は感性で気付いたのかも。
「……ごめんなさい。その……貴女はそんなに怖くないです。良い人だって分かりました」
「!! ––いえ、私なんてまだまだです。これからは誰も怖がらせない様に努力して行きたいです」
女子高生とラオウさんはなんだか和解したようだな。何故か周りからパチパチと拍手も起こってる。その事にホロリと涙を零すラオウさん。確かに、周囲の目が変わったな。それはこの国に来て……いや、もしかしたら人生で初めてなのかも。
俺達はもう慣れてたけどさ、ラオウさんを見る目はいつだって冷たい物があったんだ。それを日鞠は覆した。
「日鞠ちゃん……」
「堂々としててください。私は何もしてませんよ。私は自慢の友達を紹介しただけですから」
その言葉にブワッと涙を溢れさせるラオウさん。だけど必死に胸を張って背を伸ばす。そして何故か皆さんからテッシュをお裾分けしてもらうラオウさんの光景が……まあなんか幸せそうだからいいか。
「全く、結局ラオウも人間って事ね」
そんな風に達観してるのはメカブ。今一番浮いてしまってるのはお前だけどな……でもこいつはそれを望んでるんだろうから日鞠も助け舟は出さない。インフィニットアートなんて無いものを胸に宿して……こいつはいつまでそれを支えにする気なんだろうな。
そんなこんながあって、ようやく到達した駐車場。住宅街だからかそんな広いって訳じゃない駐車場で簡単に車は発見できた。だけどそこに運転手さんは居ない。
「どこに言ったのかな?」
「トイレとかじゃないか?」
日鞠の言葉に俺はそう返す。一番確立高いだろ。きっと待ってれば直ぐに帰ってくる筈だ。だけど五分経っても十分経っても運転手さんは現れない。流石に長すぎるトイレだ。そう思ってると、ラオウさんが車のドアノブに手を掛ける。
その瞬間顔つきが明らかに変わった?
「皆さん、鍵が開いてます」
「鍵が? 不用心だな」
「それだけじゃありません。キーも刺さったままです。これは異常です。私としたことが、幸せを噛み締めてたせいで気付くのが遅れてしまいました」
異常……確かにあの人がこんな不用心に車を放置するとは考えにくいが、流石に深刻になり過ぎでは? そう思ってると周りをウロウロしてた天堂さんが何かを発見した。
「これって? その探してる人の?」
それはネクタイピンだ。確かにそれは運転手さんのかも。なんかそれっぽいのを付けてた気がしなくもない。愛が居れば直ぐに確認取れるんだが……いや、その必要ないか。どうやらピンには丁寧に紙切れが挟まれてる。
日鞠の奴がそれをとって、中身を確認する。そして冷や汗を一つ垂らしてこういった。
「なかなか味な真似してくれるじゃない」
どうやらリアルもスムーズに事を運ばせてくれる気はないようだな。まあ元々スムーズでもなんでもないが……これ以上厄介事を増やしてほしくはないよな。取り敢えず今は運転手さんの身が無事なのかどうかだ。
日鞠の反応を見る限り、本人の書き置きって訳でもないだろうし、状況から考えると……『誘拐』それが妥当な線だろう。
第五百六十四話です。
遅くなってしまいました。色々と考えたらどうしても……でもどうにかなりそうです。うん、きっと! リアルの方にも一展開ありますよ!
てな訳で次回は木曜日に上げます。ではでは。