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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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神の料理

「はっ!」


 ガバッと上体を起こすと、水のせせらぎと火に枯れ木をくべる音が入って来る。周りを見回すと木漏れ日が眩しい森の中で、小川が妙に涼しさをくれる場所で僕は寝てた様だ。息を吸う度に体の中が美味しい空気で満たされる……そんな気持ちいい場所だよ。

 でも……一体いつこんな場所に? 記憶はすっぽりと抜け落ちてて、なんだか変な感じ。そう思ってると、後ろから声が聞こえた。


「ようやく起きたか」

「リルフィン……」


 あれ? 思ったけど、なんだか色がまともだ。戻ってると言っていい。なんだかホッとするよ。


「ここは?」

「ルーガルフの森だ。妖精の森とも呼ばれてる神秘的な場所だな」

「ふ~ん、てか良く生きてたな僕達」

「だから言っただろ。俺のこの白銀の毛は伊達じゃないと」

「そうだったな」


 自慢げに自分の毛を掴むリルフィン。するとジッとこちらを見つめて来る。


「な……なんだよ?」

「いや、もう大丈夫なのかと思ってな」

「大丈夫?」

「その様子だと覚えてない様だな」


 覚えてない? 一体何を? いや、なんとなく……なんとなく分かるんだ。だけど思い出したく無い様な……そんな感じ。でも、このまま記憶がすっぽ抜けてるのも変な感じなんだよな。モヤモヤすると言うか……だから僕は聞くよ。何があったのか。


「なあリルフィン……」

「知りたいんだろ。自分に何が起こったのか?」


 僕の雰囲気から察したのか、リルフィンがそう言った。こいつこんな察しのいい奴だったっけ? まあありがたいけどね。


「まあ実際はお前に何が起こったのか……俺達には良くわかってない。ただいきなり苦しみ出して、そしてパタッと気を失ったんだ。かなりヤバい光景だったぞ。とうとうおかしくなったのかと思った位だ」

「とうとうってなんだよ」


 それじゃあいつか僕がおかしくなる兆しでもあったようじゃないか。


「お前は無茶ばかりやってるだろう。その内、心が壊れてもおかしく無い。そんな懸念があった訳だ」

「ああ、なるほどね。でもその心配はないな」

「どうしてそう言える?」


 リルフィンが傍に置いてある枯れ木をくべながら聞いてくる。そんなの簡単。僕は木漏れ日が適度に眩しい所を見て遠い日を思い出す。そしてこう言うよ。


「もうとっくに壊れてるからだよ。今の僕の心は継ぎ接ぎだ。まともに見えるのは、僕の心を繋ぎ直してくれた奴が居たから」

「……どういう事だ? ってのは聞かない方が良いのか?」

「別に……ただ話しても良いけど、気持ちの良い物じゃないからな」


 これを知ってるのは日鞠しかいない。アギトだってそこまではなかなか踏み込んでは来ないからな。まあだから付き合い易いってもある。図体がデカくいつもは強引な感じのくせに、時々妙な気配りを見せるんだよなアイツ。

 まあ勝手に変な地雷認定してるっぽいってのあるけど……さて、どうする?


「貴様には興味がある話せ」


 あっさりとそう言われた。折角脅しを掛けたのに、意図も容易くその壁を登ってきたな。実際あれは「まだ話すには抵抗があるな~」って事だよ。察しろ。だけどリルフィンの奴は召還獣だし、そこら辺に気使うのは精々ローレに対して位なのかも。

 てか、ローレの奴も人のプライベートにズカズカ入って来る様な奴だからな……あの主あってこの犬ありか……納得。


「分かったよ。まあ簡潔に言うと、僕は必要とされない子供だったって事かな?」

「必要とされない。クリエみたいな感じか?」

「お前は後でクリエに謝った方が良いぞ」


 その印象最悪だろ! そんな風にクリエの事見てたのか? てか、寧ろクリエは色々と逆じゃね? 一杯必要とされてたろ。それが必ずしも幸せな物じゃなかったけどさ……愛してくれる存在は居てくれたろ。

 まあ不幸自慢なんかする気は無いけどね。クリエだって辛かったろうし、僕にだってそう言う時期があったってだけ……そう、ただそれだけだ。


「お前が簡潔に言いすぎなんだよ。肉付けしろ」

「肉付けね……それじゃあ--」

「あっ! スオウ!!」


 別方向から聞こえたそんな声の後に、飛び付いて来たクリエ。こいつは復活したばかりで元気いっぱいだな。こっちはテンション下がってるんですけど……


「もう、心配したよスオウ。いきなりグデーって成るんだもん」

「はは……まあそこら辺はあんまり覚えてないんだけどな」

「何を見た?」


 自分ペースで歩いて来たテトラが僕を見下ろしながらそう言って来る。こいつは何かを知ってる? 神だしな。


「何を見た--と言われてもな。何かを確かに見た気はする……でも何を見たのか良く思い出せない。お前は何か……」

「俺がお前の視覚を共有出来る訳でもない。知らんさ、何もな」


 そうなのか? なんだか怪しく感じるのは考え過ぎ?


「おい、食料は確保して来たのか?」

「犬の癖に狩りも出来ないとは、お前はなんの為に居るんだ? 存在価値を示してみろ」

「俺は犬じゃない狼だ。尻尾を振るだけの駄犬じゃない。それにわざわざ気を使ってやったんだがな?」


 そう言ってリルフィンの奴はクリエに視線を移す。気を使ったって……そう言う事か? てか、まだ二人っきりにするのは早計だろ。もうちょっと時間をかけた方が良かったと思うのは過保護なのかな?

 てか実際、この二人が一緒に居て会話とかがあったのか気がかりだな。


「お前テトラと二人きりだったのか?」

「そうなんだよ! リルフィンが無理矢理行かせたの。気まずいったらないよね」


 やっぱ気まずかったのか。まあ予想通りだけどな。流石に時間が足りないよ。もうちょっといろんなイベントを消化するべきだろ。一緒にいる時間が長くなれば、きっとどこかで割り切れる……と思うんだ。

 だけどふとクリエはこう言うよ。


「でも……ちょっとは優しかったかな」

「へぇ~」


 僕はテトラの奴を見上げるよ。すると照れてるのか木の実やら獣やら魚やらをぶつけて来た。


「何するんだよ」

「ふん、貴様の為に狩って来たんだ、いらんのか?」

「そりゃどうもだけど……お前はどれ採ったんだクリエ?」


 照れてるテトラをからかっても良いけど、なんだかウズウズしてるのがクリエに見て取れたからそう聞いた。するとクリエはえっへんと胸を張って赤紫色した木の実を指差すよ。


「クリエはねこれを採ったんだよ。一杯一杯採ったの。腕に入らない位い~~~っぱいだよ!」

「はは、そっか。ありがとうなクリエ」


 頭なでなでしてやると気持ち良さそうにこっちにすり寄って来るクリエ。ネコか何かかお前は。でもこれ食って腕治るかな? まあ腹も減ってるし、そこら辺の足しには成りそうだけど……食事にはいろんな効果があるけど、回復をもたらす物は数少ないからな。

 流石にずっと腕が使えない状態はつらいぞ。まあこの面子なら早々やられるなんて思えないけど、シクラ達が完全に諦めた--とも限らないしな。追っ手でも差し向けられてたら、キツい物がある。

 取りあえず木の実を口に含みながら僕はこれからどうするかを聞く。


「なあどうするんだ? これからの事……プランはあるか?」

「………」


 リルフィンの奴は沈黙する。要は何も無いってことなんだろうな。まあしょうがない。テトラはどうなんだ?


「そうだな……まずは腹でも満たせ。それからでも遅くは無い」

「そうは言うけどさ……ハッキリ言って僕は調理出来ないぞ」


 だって調理スキルとか全く上げてないからな。そんな戦闘に直接関係無い分野はからっきしなんだよ。だってそう言うのって、余裕がある人が上げるものだろ? 僕にはその余裕が皆無だから無理。


「リルフィンは……」

「俺は別に生でも食える」

「さいですか」


 流石狼。聞いた僕が間違ってた。クリエはなんだか胸を抑えてドキドキしてる演出をしてるけど、華麗にスルーするよ。だってこいつが料理出来るとは思えない。なんだよ、結局材料があっても誰一人調理出来ないじゃないか。

 魚や木の実は火さえあればまだ良いけど、獣は流石に直で焼けないぞ。LROはスイッチ一つで肉の塊になったりしないからな。いや確か出来たかも知れないけど、調理スキルが低いとかなり悲惨な肉の塊に成るとかシルクちゃんに聞いたかも。

 美味しい部分は削げ落として、骨張った所ばかりが残るとか。調理スキルが上がれば簡単に綺麗な肉に出来て、それが価値ある肉ってことに成るんだろうな。だから実際僕がやったら、悲惨な事にしか成りそうも無い。

 このウサギっぽい獣も、それじゃあ可哀想だしね。最後くらい気持ち良く逝かせてあげたいじゃん。まあもう逝ってるけど……


「まったく、貴様等は料理の一つも出来ないのか?」

「え? テトラ出来るのか?」


 まさか意外な所から声が上がった。てかそれなら料理した奴渡せやって思ったけど、そこはなんとか抑えた。でもマジで意外なんだけど……神が料理? 規格外だったりするのかな?


「料理くらい普通誰でも出来るだろう? あんな簡単な事」

「簡単って、丸焼き程度じゃ料理とは呼ばないぞ」


 オチが見えたな。どうせそんな所だと思ったよ。どうせ豪快な手抜きを男の料理とか言う気だろ。はいはい、見えた見えた。


「ちょっと材料寄越せ。--ほらこれでもか」

「んあ? ----ってなんじゃこりゃあああああああああああああ!?」


 一瞬だ。一瞬で何故か皿に綺麗にもられたステーキが! しかもそこらのファミレスみたいなのじゃなく、高級なフレンチみたいに周りにさっきの木の実? のソースとかが綺麗に飾られてる。おいおいなんだこれ? てか時間がおかしいだろ。

 いや、最悪LROだし時間短縮の術があるのは別に良い。別に良いけど……それって適用されてるのプレイヤー位じゃなかったっけ? 神だから良いのか? てか調理の短縮って言っても、流石に今のは早過ぎだろ。もっとシルクちゃんは色々とやってたぞ。

 エプロン姿に萌えた記憶があるもん。


「はは……まあアレだよな。見た目だけだよな? どうせ味はゲロまずとか……」

「なら自分の舌で確かめてみろ!」

 

 そう言ってテトラの奴が強引に僕の口にステーキを突っ込む。アッチアッチ! 口の中が絶賛炎上中! なにすんだこい--


「うめえええええええええええええええええええええええええ!!?」


 何だこれ? 思わず大声を上げてしまったじゃ無いか。噛む度に肉汁が口の中で踊り出すし、沢山油を感じるのに、何故か口全体が油っぽくならない。しかもそこらの獣の筈なのに、めっちゃ柔らかい。一噛み毎に歯切れ良く噛み切れるから口を動かすのだけで何故か楽しくなって来る。

 これが本当に上手い物を食べた時に感じる幸福感? 生きてて良かったとさえ思える。油断するとこの感動に涙が溢れてきそうだ。


「神を舐めるなよ」

「ふふぁんふぉんほうにふぃみふぁへんふぇふぉた!」


 僕はそう言って思わず平伏しちゃったよ。いや、これだけ上手いもの食わせてくれたんだ、しょうがないな。胃袋を掴まれるともうこうズルズルッといっちゃうよね。訳としては「本当にすいませんっした!」って言ったんだ。

 こいつ調理の神か何かなのかな? そっちの方が似合ってる様に思うんだけど。すると周りのクリエやリルフィンが変な声を出す。


「おい、なんだそれ?」

「スオウなにか光ってるよ?」

「ゴックン----へ?」


 肉を飲み込んで体を見ると確かに変な膜が体を包んでるな。幸福感が遂に視覚化されたとか? 実際、今の僕の満たされた気分なら、そんな事が起こりえても不思議じゃない。だってLROの演出って過剰だったりするしな。


「幸福感は無いだろ? 食事効果じゃないのか? そんなあからさまなの見た事無いがな」


 ふむ……リルフィンの言う事も一理あるな。僕はウインドウを開いて確かめてみる。するとあらビックリ、一杯補助効果のマークがHPの下に現れてる。てか今気付いたけど、なんか腕治ってるし……凄いぞテトラの食事の効果。


「何だこれ? 物理耐性に魔法耐性に、HP増加に状態異常無効にスピード加算に攻撃力増加にスキル待機時間短縮、運補正まで……オールスターじゃないか」


 しかもHPも回復してる……これは料理人が涙目に成って逃げ出すレベルの効果の嵐。反則級だなこれ。


「凄いのそれ?」

「凄いって物じゃない。凄過ぎだろ」


 普通はどういう効果を付ければ良いかとかを悩んで食事をするものだけどさ、これなら取りあえずでいける。てかほぼこれで良い位だ。これ以上の食事効果なんかあるのか? って位。


「テトラって料理出来たんだね」

「いや待て、そう言えばどうやって調理したんだ? 異常に早かったろ?」

「料理方も知らんのかお前達は? そんなの突っ込むだけだ」

「「突っ込む?」」


 僕とクリエは同時にクビをかしげるよ。突っ込むって鍋に材料を突っ込む--的なあれか? でも鍋とかどこにも無いぞ。出した所さえ見てない。そう思ってたら、テトラは材料をまた掴んで「見てろよ」って言った。


「突っ込むって言ったら自分の力の中に突っ込む--しかないだろ」


 そう言ってテトラは黒い靄の中に次々と材料を入れて行く。そして最後にパチパチと火が出てる枝を取って、それも中に入れた。するとボッと一瞬、黒い靄の中に赤い灯りがともるとテトラの添えた手に靄が集まって、晴れていくとそこには川魚のムニエルが出来上がってました。


「おかしいだろ!!」

「あり得ないよそんなの!!」


 僕達は二人してテトラを批判する。だってハッキリ言って「なんだそれ!?」 だよ。今のは料理なのかおい?


「何だお前等? 文句あるなら食べてみろ」


 そう言って差し出されたムニエルは上手そうだ。香ばしい魚の香りと掛かってるソースのパッショナブルな色彩が自然と喉と腹を鳴らす様だ。もしかしてこいつの料理の事前効果に空腹とか幻惑が含まれてるんじゃないのか? 

 だって僕はさっきステーキ食べたばかりだけど、これも食べたくて仕方ない。でも食べてみろって言われても、僕達が言ってるのは「おいしい」とかじゃないんだよ。作り方に疑問があるっていってるん--


「いただきま~す!」

「ちょっと待てクリエ!」


 こいつ目の前の料理に意図も容易く疑問が吹っ飛んでるぞ。なんて恐ろしい料理だ。まあでも確かに食べてみないと危険があるかわかんないしな……


「せめて箸とか使えよクリエ。行儀悪いぞ」

「は~い」


 僕はクリエにも箸を渡して二人して手を合わせる。命には感謝しないとね。まあLROなんだけど。


「おいお前等、そう言う事じゃないだろ?」

「安心しろリルフィン。僕達がちゃんと味を確かめてやるから」


 ワクワクしながら僕はそう言った。リルフィンの言いたい事はさっきまで考えてたけどさ、やっぱりさっきのステーキの味を知ってると、これをスルーするに訳にはいかないんだ! 僕とクリエは身を一掴みして口に運ぶ。


「ん~~おいしい!」

「うん上手い!!」


 白魚らしく淡白なんだけど、この身のふっくりとした感じと、ソースが良いアクセントを演出してる。さっきのステーキとは違ってスッキリさっぱりしてるな。どこぞの高級料理かって感じ。僕はたちの箸が止まらない止まらない。

 「うまいうまい」言いながら食べまくる。


「おいお前等……おい……」


 なんだかリルフィンの物欲しそうな声が聞こえるけど、それどころじゃない。上手過ぎだろこれ。


「お……俺にも食わせろ!!」


 必死に我慢してた癖にとうとうそれも限界に来て、割り込んで来るリルフィン。だけど残念、一足遅かったな。白い皿はソースも残さずに綺麗になってる。まあ骨は残ってるけど。狼なら骨もイケルんじゃね? 


「てめえ……」


 胸ぐらを掴まれてクビを絞められる僕。ヤバいぞこいつ本気だ。プライド的に食いたく無いのかと思ったのに……そこまで欲しかったのかよ。


「やばい……落ちる……マジで落ちる……」

「ふん、食い物の恨みは恐ろしいからな」


 そう言いつつ解放してくれたリルフィン。それは今度は殺すってことか? 僕はケホケホしながらリルフィンを見上げる。


「そんなに食べたかったらテトラに頼めよ。まだ材料はあるだろ?」

「頼む? 奴にか?」


 眉をヒクヒクさせるリルフィン。やっぱりそこは抵抗があるんだな。するとテトラの奴もこう言いやがる。


「犬には犬専用の方が良いか? それとも犬皿に乗せて盛った方が良いか?」


 ニヤニヤ笑いながら言うテトラはおもしろがってるな。完全にからかってるし。お前等もうちょっと仲良くしろよな。


「俺はそもそも貴様等となれ合う気はないな。願いを叶えるまでの付き合いだ。それまで奴隷として働けよ」

「奴隷だと?」

「止めろよリルフィン。そんな言い方しか出来ないのが邪神を演出してるテトラの可哀想な所なんだよ。察しろ」


 もう色々と分かってるだろ。照れ隠しなんだよ。いちいち目くじら立てる事じゃない。


「貴様も主も、随分と邪神には甘いな」

「てか、お前ももう昔の事は思い出したんじゃなかったっけ? なんでそんなに忌み嫌ってるんだよ?」


 良くわからんぞ。そんなに毛嫌いする理由はもうない筈だけどな。


「忌み嫌ってる訳じゃない。ただムカつくだけだ」

「質悪いぞそれ」

「俺よりも貴様の態度の方が謎だがな。ついさっきまで敵対してたんだぞ。お前が一番そいつに痛めつけられた筈だろ。なのにどうして、そんな普通でいれる? どこかおかしいぞ貴様」

「う~ん、そうは言われても全部解決したじゃん。それに僕は引いてくれたテトラに感謝もしてるしな。別に悪い奴でもないしな。根本的にって意味で」

「それが……気に食わん」


 なんだ? 嫉妬か何かかそれ? リルフィンだってもう分かってるだろうに、その事実を必死で受け入れようとしてない感じだぞ。何がそうさせるのか、僕にはそっちの方が分からないんだけど……召還獣にも複雑な思いがあるのかな?


「まあ取りあえず、頼むよテトラ。リルフィンにも何か作ってやってくれ」

「俺のは料理じゃなかったんじゃないのか?」

「いや、この際方法なんてどうでも良い。超絶旨いし! でもホント意外だな。テトラが料理って……神が作ってるから神的効果が’得られるのか?」

「そこら辺は知らんな。誰かに作った事などないからな」


 なるほど。確かにそれはそうだろうな。プレイヤーがこいつと仲良くなる……なんて想定無かっただろうしね。ラスボスだったらしい。てかそのラスボスとこうやって一緒に居て会話して食事まで用意させるとか、やっぱLROは色々とおかしいな。

 ホントそう思う。するといつの間にか出来てた料理は肉をふんだんに使ったまさに肉バーガーみたいな物だった。ハーブの葉みたいなので材料と肉を挟んでる。これはこれは……テトラは案外易しいな。リルフィンが肉好きそうだからこんなふんだんに使っちゃって。

 やっぱり新しい肩書きが必要じゃないか? 邪神は僕の中ではイメージ崩壊してるぞ。


「入るか?」

「…………」


 口を開く事が出来ないリルフィン。だけどその時雷かと思う程の音が腹からなった。僕とクリエはそんなリルフィンをおもしろがって小突いてやるよ。


「あれあれ~今の音は何かな何かな~?」

「無理はしない方がいいんじゃないかなリルフィン? 超旨いぞあれ、きっと超旨いぞ。お前の鼻はそれを感じ取ってる筈だ」


 ゴクン--と喉が動くリルフィン。こいつの鼻はいいからね。良くわかるだろう。だけどリルフィンはまだテトラに対してどこかで抵抗がある。だからこいつの精一杯は頭を下げて手を差しだす事だけだった。


「面倒な奴だな全く」


 そう言いつつ渡してやるテトラ。すると目にも止まらぬ早さでそいつを口に運ぶリルフィン。どんだけ食いたかったんだ……するとやっぱりこいつも体から光が湧いて来る。そしてその白銀の毛がネコみたいにぶわあああああっと逆立ち揺れた。そして僅かに震え出して、その拳が握られた。


「やばっ!?」


 僕には次のリルフィンの行動が何か分かる。そしてまさに思った通りに奴の咆哮が激しく響く。だけど今は全快でしかも状態異常は無効だ! でもうるさいにはうるさいから僕とテトラは二人してリルフィンを殴り飛ばす。


「「うるせえええ!!」」


 ってね。

 第四百九十八話です。

 今回はちゃんと絵描いたんですけど、あんまり納得できる出来じゃないし、イメージも微妙だから、使わない事にしました。

 本編はテトラのとんでも料理でみんな全快して、次からは世界に目をむけるかな〜って感じです。まあ次はリアルの方なんですけどね。


 てな訳で次回は月曜日に上げます。ではでは。

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