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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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嫌な感じ

「はっはっはっは--」


 上を見るとまだまだ続く階段。なんとも嫌気がさす光景っす。だけど背中に掛かる重みと、キュッと握られる服から伝わってくるか弱い力……それが自分の棒のようになってる足を前へ進めるっす。


「大丈夫っす。少しでも早く上に行ってあげるっすよ。だからクリエちゃんも頑張るっす!」


 そんな自分の声に彼女は答えてくれないっす。それだけ弱ってるって事で、辛いんすね。どうしてか、スキル全般がこの道の上では使えない今、自分が物理的にこの子を運ぶしかないっす。

 実際、どこがゴールかなんてわかんない。この道はどこまでもどこまでも続いてるように見えるっす。終わりがない道程、辛く感じる物はないっす。でも自分は頼られたんっす。みんなに……そしてセラ様に。その期待に応えたい。

 みんなが自分を信頼してクリエちゃんを任せてくれた。下ではきっと激しい戦闘が繰り広げられてる筈っす。みんながその身を挺して自分がこの子を上へ上げる時間を稼いでくれてる。

 一秒だって、無駄に出来る訳--


「むぎゃっす!?」


 階段から足が踏み外れて顔面ダイブ。大切な所だったのに、自分はいつもこんなんす。


「でも……諦めないっすよ。ここは仮想の世界っす。この足の重みも体の痛みも、システムが作り出してるに過ぎない事。本当は足は棒になんかなってない……痛い事も苦しい事も、全然ないっす!!」


 無理矢理そう思い込んで体を起こす。額から滲み出る汗も、カラッカラに乾いた喉も無視して、階段の続きを見据えるっす。そして目一杯叫んで、走り出す。


(時間がないっす!! 止まってなんか居られないんすよおおおおおおおお!!)




 黒い靄を纏ったテトラが少し手前でその拳をこちらに向けて振りかぶる。すると突如壁にでもぶつかった様な衝撃が僕に伝わって後方に吹き飛んだ。だけど直ぐに背中のうねりを利用して体勢を整える。でもその時にはどこにもテトラの姿がない!?


「上よスオウ!!」


 そんなセラの言葉で上を見る。だけど奴の濃くなってた黒い靄のせいで夜空にとけ込まれてよくわからない。するとなんだか夜--というか、闇が広がってる様な?


「いや、違っ--」


 広がってるんじゃない。迫ってきてるんだ!! 闇が広範囲から僕に迫ってきてる。どういう事だこれ? テトラの奴は一体どこに? 迫る闇が僕の全方位を覆おうとしてる。そしてそれはどうやら、僕だけじゃないようだ。


「ちょっ? なによこれ!」

「スオウ君! セラ君! リルフィン君!」

「くっ、こんなもの!!」


 どこからか聞こえるそんな声。とりあえずこの闇を退けないと……僕はジワジワと迫ってくる闇に向かって風の刃を放つ。だけどどうだろうか、なんと風の刃は何にもぶつからずに闇の中に消えていった。そして直後に誰かの悲鳴が響く。

 なんか嫌な予感がするな。


「今の攻撃……まさかスオ--いや、みんな注意してくれ! この闇、なにか仕掛けが--ぐおおお!?」


 ええ? テッケンさんが続けざまに悲鳴をあげる。よくよく考えると、彼の今の状態はなんと呼べばいいのかわからない。だから口がぱくぱくするだけで、言葉が出てこない。なんて不便な。

 てか今叫ぶまえに僕の名前が出そうになってた様な……まさかさっきの風の刃がテッケンさんの所で? そう思ってると、闇の向こうで何かが光る。それは複数あってしかもどんどんこっちに向かってきてる様で--


「--ってうお!?」


 黄金色の光が四つくらい僕の体を掠めていった。まさかあれは聖典の攻撃か? 


「おいセラ! 闇雲に撃つなよ。危ないだろ!」

「何言ってるのよ、確かに撃ったけど私は上へ向けて撃ったわ。あんたに当たる訳ないでしょ!」


 なんだって? 上へ? だけど今確かに真正面の軌道で聖典の攻撃はきたぞ。どういう事だ? この靄に秘密があるんだろうけど……突っ込んでみるか? 攻撃が素通りするのなら、これ事態に力はない--筈だよな。

 するとリルフィンの力強い声が聞こえてくる。


「攻撃が駄目なら、俺の声で掻き消す!!」


 その直後、耳を覆いたくなる程の雄叫びがこの空間に広がる。確かにこれなら--この叫びにはスキル強制解除や、怯む効果がある様だからもしかしたらと期待した。

 だけどその直後に闇の向こうから大きな水の揺れが伝わって来て、リルフィンの声は止んだ。


「おい! リルフィン!?」

「ちょっとどうしたのよ? あんたの唯一の特技が効いちゃないわよ」

「セラ君! それを言っちゃ駄目だ!」

「はあ? てかそもそも誰よアンタ? テッケンさんはどこ?」


 おい、今更だろそれは。てか、セラはこのテッケンさんの事を知らないのか? いや、変身スキルの事は印象が不味いから誰にも言ってないのか。今回だって仕方なく……だもんな。でもどうするか--彼をテッケンさんだと言うのは駄目だ。

 ローレやテトラにそれを知らせる訳には行かない。


「彼は頼もしい味方だよ。それでいいだろ。それよりもリルフィンだ! 一体何が?」


 いや、考えられる事は一つある。この状況を作り出したのはテトラだ。それなら一番可能性が高い事は……


「始めから、こうするべきだったな。見せ物の為もあったが、神的には一人一人潰すなど面倒なだけだった--が、今は状況が違う」


 テトラの声。やっぱり奴の仕業か。この闇に姿を紛らせての攻撃。厄介な事を。元から出来たんだろうけど、正面から潰す事が神としてのプライドでもあったんだろう。でもシスカのせいで力を抑えられてるから、なりふり構わずに来たか。

 このままじゃヤバいな。正面からやってようやく戦えるようになった程度なのに、裏を欠かれたりするのは不味い。そこはもっとプライド高く持ってほしかったな。

 でもそもそも、テトラって「神」って所にそんなに拘ってないのかも。神という存在が一番じゃなく、奴にとっての一番は最初からシスカ。それの為には神というプライドなんてどうでもいいのかもしれないな。


「二人とも気を付け--」


 その瞬間、再び声が消えた。まさかテッケンさんまで? でも今度は揺れも何もおこってないぞ。流石に衝撃を出さずに葬るなんてそんな真似が出来る訳……いや、テトラなら可能なのか? あいつの可能性や、力の底を僕達はまだ全て見た訳じゃない。

 てか、そもそも神に底なんて物があるのかすら疑問だよ。こうなったら、この闇を晴らすしかない。このままじゃあまりにも不利過ぎる。手元から放した攻撃じゃ駄目--なら手元から放さずにこの場で闇を祓う。そもそもこの闇はテトラが出した靄の筈。

 それなら一度僕の風で払えてるんだ。出来ない訳がない。僕は意識を集中してウネリを操る。そして周りの風を掴んでいってさらに強大な風にしていくんだ。風に巻き込まれて闇が空に舞い上がる。だけど……


「なんだこれ? 幾らやっても切りがない」


 靄だけに? いや、現象が似てるだけだけど……すると舞い上がる靄からこんな声が聞こえて来た。


「お前の力に限界があっても、俺の力に限界は基本無い」


 そして次の瞬間、巻き上る水柱。くっそ、黒い背景のせいで奴の闇を使った攻撃が認識しづらい。僕は危険と判断して、この場から後方に跳んだ。すると直後さっきまで居た場所が大きくはじける。

 勘が冴え渡ったな。でも油断は出来ない。煙じゃなく靄だからか、細かな闇の粒子がそこら中に漂ってる感じの中で再び水面に着水。その時、風を操ってる僕に風達の声が聞こえる。

 

「っつ--だらああ!!」


 上へ向けてセラ・シルフィングを振るうと、重たい感触が刀身に伝わった。僕はその攻撃を後ろへ流す。後ろで激しく巻き上る水柱。でもこれだけじゃない。次々と襲いかかる攻撃。二本のセラ・シルフィングで僕はそれに対応してく。繋がる風が教えてくれる!


「しぶといな」


 そんな声が間近で聞こえた気がした。振り返るとそこにはテトラの姿が。靄を使った移動? 直接攻撃に打って来た。でもこれはチャンスでもある。靄の中じゃ全然位置が把握出来ないからな。

 繋がれる風にだって限界あるし、余裕で限界がないとか言える奴とは違うんだ。だからこの時を待ってたよ。射撃が通じないと分かれば接近戦を仕掛けるしかない。

 その時が、こっちの攻撃チャンスでもあるんだ。黒い力が収束してる拳を突き出して来るテトラ。だけどそれを捻りを加えてかわし、僕はセラ・シルフィングをテトラに叩き込む! だけどセラ・シルフィングはその体を刻む事が出来ない。

 テトラには確かに届いてる……なのにその体の感触がない。セラ・シルフィングが届いてるテトラの体が黒い靄そのものでまるで実態じゃないみたいな……振り抜いたセラ・シルフィングと共にその姿が消えていく。その向こう側から何かが光る。

 直後黄金色の光が僕を吹き飛ばす事になった。


「づっ!? これって--」


 明らかに聖典の攻撃。さっきも気をつけろって言ったのに……セラの奴何やってるんだよ。


「セラ! だから闇雲に撃つなって--」

「こっちは確かに闇雲だけど、そんな何回もアンタに向かうっておかしいでしょ! 私の所為にするな!」


 うぐっ、逆ギレされたぞ。でも確かにこの視界の悪さで僕だけに二回もちゃんと向かって来るなんて考えられない。テトラの奴、何か仕掛けてるな。でもこの視界の悪さじゃそれを見破るのも至難の業だ。さっきから風を幾ら操ってもこの闇が晴れる気配はないし、本当に無制限に生成してるのか? 一体どうすればいい?


「とりあえずバラバラなのは危険よ。合流した方がいいわ。声のする方に走りなさい!」


 走りなさいって……でも、確かにバラバラなのは不味いな。そのせいでリルフィンやテッケンさんはやられた(?)んだ。


「よし、わかっ--」


 その時、耳を覆いたくなる様な爆発音と共に、水面が大きく揺れた。巻き上った水が全身を濡らす。嫌な予感がする。


「おい! セラ!!」


 僕は何度か叫ぶけどいつもの小生意気な声が返って来る事は無い。まさか……いや、やっぱりと言うべきか。テトラの攻撃を受けたんだ。僕の方に来てると見せかけてセラを襲った訳か。


(でも、まだ!)


 もしかしたらまだ無事かも知れない。僕は走り出す。声じゃなく、大きな爆発音の方へだ。その方向を間違う訳ない。すると突如、黒い靄が晴れて行く。幾ら風で巻き上げても晴れなかった闇が、まるでもう必要なくなったかの様に薄くなってた。


「これは?」

「限界はない。あの程度の術にはな。だがやはりお前は、公衆の面前で叩き潰したいからな」

「テトラ……」


 視界を巡らせると奴は居た。その周囲に黒い靄を纏って、そしてその腕の先には動かないセラの姿。


「セラ! おい!」


 僕のそんな声にセラは僅かに反応するけど、テトラが解かれた髪を握りながら無造作にこちらに向けて来る。まるで見せつけるかのようにだ。


「少しやる気になればこの程度だ。絶対的な力の差。それはお前達が考える程に埋まってなどいない。どの道、後は貴様一人だ」

「……くっ」


 そんな言葉と共に、完全に晴れた靄の中からリルフィンとテッケンさんの姿が現れる。二人とも水面に漂ってる。やっぱりやられてた……でも二人とも完全にやられた訳じゃない。意識を奪われてるのか、その程度。HPはかろうじて残ってる。

 まだ今なら回復できる。それにセラだってまだ……


「淡い希望など、お前にはない。それを今から見せてやるよ。なんでわざわざ止めを刺してないか--それは俺の優しさなんかじゃない」


 そう言ってテトラはセラを空中に放り投げた。そして片足を後方に下げて、体勢を落とす。片側の拳に収束する黒い光。まさか!! 僕は咄嗟に前へ出る!


「お前に絶望を与える為だ!!」


 伸ばされた拳から黒い光がセラに向かって放たれる。夜空に伸びて消えてく光。だけど次の瞬間、僕はセラを抱えて水面に着水する。


「っつ……」


 僅かに擦った。背中側がジリジリする。でも……なんとか助けれた。この程度の傷は助けれた物に比べたら安い物だ。


「ふん、今更そんな足手まといを庇ってどうする? その状態でどうやって俺と渡り合う!!」


 そんな言葉と共に迫って来るテトラ。確かにセラを抱えた状態じゃまともに剣も振れない。僕はとりあえずテトラとの間に風のウネリを作り出す。少しでも道を阻めれば……そう思った訳だけど、やっぱりそんな甘い相手じゃない。


「ふん!!」


 たった一発だ。テトラの奴はたった一発で作り出した風のウネリを掻き消す。攻撃がある程度通るようになったからって攻撃力自体はそこまで落ちてないのかも知れないな。

 女神も僕達の攻撃が全く通らない事が一番不味いと思って、防御力の阻害に力を入れたのかも。まあそれでも多少はやっぱり落ちてると思うけど……一発でそれぞれをノックダウン出来るんだからやっぱりどんだけだよ。

 まあ無茶なのは最初から承知してた訳だし、これでもこっちに戦局はちょっと位は傾いた。だから弱音なんて吐いてられない! 僕はセラを片手で抱えて、一本のセラ・シルフィングで応戦する。

 テトラの奴は両手に纏った黒い光でラッシュを掛けて来る。それを一本の武器でなんとか凌ぐけど、これじゃあ反撃までおいつかなっ--


「--いっ!?」


 ガゴン--っと頭に響く衝撃。突き刺さる様な痛みはテトラの頭突きのせいだ。神様にしては随分荒っぽい攻撃をして来るじゃないか。


「俺は神は神でも邪神だ。お上品に戦う必要などない」


 そう言って右腕が今度は迫る。僕はとっさに武器で防御体勢をとる。だけど闇の光を纏ったその拳は、何故かセラ・シルフィングを超えて僕の横顔をぶん殴る。


「ぐがっ! ああああああああああ!」


 勢いよく吹き飛ばされる僕。水面に弾かれて何度も跳ねる。そして勢いがなくなった所でゴボボボと水中に招かれる。だけどこのまま沈む訳には行かない。僕はウネリを使って強引に水面にあがる。


「ぜはっ--はあ……ハアハア」

「どうだ? そろそろ絶望が這い寄ってきたんじゃないのか?」


 言葉責めまでしてきやがるテトラは直ぐさま僕に近づく。そして再び、今度は腹にその攻撃が深く突き刺さった。


「ぐぼっ……」


 口から溢れ出る黒ずんだ血。それが澄んだこの湖に落ちて鮮明な色を表す。衝撃が後方に抜けて言ったのか吹っ飛んでは居ないけど……また防御を超えて来た。これは一体? そう思ってると、ギュンギュンと腹に刺さった奴の拳が震えてるのに気付く。そして時間差で僕の体は大きく弾け飛ぶ。

 夜空に舞って、そのまま岸まで吹き飛んだ。


「っつ……」


 土埃の向こうでは沢山の声が聞こえてる。ヤバいな、このままじゃこの場に居る人達まで巻き込みかねない。さっさと移動を--そう思ってると土埃の向こうから光が迫って来た。そしてそれは迷わず僕に当たった。

 だけどそれほど威力のある攻撃じゃない。覚悟してたのに結構拍子抜けな感じ。けど今の攻撃……この威力……テトラじゃない? すると土埃の向こうから「よっしゃ! やってやったぜ!」とか聞こえる。まさか今の……もう何度味わった事かこの感じ。言うのもいやになるけど……嫌な感じがする。


「世界の敵なんだよな。ここでやれれば、何かもらえるかも知れないのか!」

「いや、それよりもアイツを倒すってことが大きいだろ。今なら弱ってるし、俺たちにだって楽に出来る。そもそも平和になる事を邪魔されてたまるかよ」

「そ、そうだよな。俺たちはこの世界に平和を与える為にやってるんだ。ここでこいつを倒せれば、一躍英雄扱いじゃね?」

「そ……そうなのかな?」

「やれる?」

「いいのかな?」

「英雄か……」


 不穏な空気が蔓延してくのが見えなくても分かる。いや、しょうがないのか……この人達が間違ってる訳じゃない。世界に発表された僕の立場は敵だよ。そうなんだ……この人達にとっては僕が悪者。攻撃を受けたって文句なんて--そう思ってると沢山のスキルの輝きが光りだすのが見える。

 いや、ちょっと待てよオイ!


「お前等そんなに手柄が欲しいのか!!」

「「「「おう!!」」」」


 なんと言う団結力。僕という敵に向かって一致団結するプレイヤーの面々。もしもこの立場に自分が居なかったら、美しいと思える光景だったんだろうけど、今はこの糞野郎共としか思えない。

 僕はなんとか体を起こして、ウネリを使ってこの場から一気に上にジャンプする。その刹那の瞬間、さっきまで居た場所に大量の魔法が叩き込まれる。まさに間一髪だ。するとそんな僕の前に再び現れるテトラ。


「愚かだな。相変わらずお前達は愚かしい。だが面白い事を思いついた。貴様はあの馬鹿な奴らに殺させるのもいいかも知れないな! 人の本性を知れ」


 そんな言葉と共に、膨らむ黒い光に僕は地上に押し戻される。激しく地面に叩き付けて消えてく光。すると周りに沢山のプレイヤーの姿が目に入る。不味いな、せめてセラだけでもどっかに投げとくべきだった。このままじゃセラまで巻き添えだ。


「アンタ達、ただの野次馬なら……邪魔しないで欲しいんだけど?」

「邪魔する気なんか無かったさ。だけど目の前に宝箱が落ちて来たら開けるだろ? それと同じだよ。お前は名声への架け橋だ」


 僕は宝箱なのかよ。それよりも飢えたオオカミの群れの中にでも迷い込んだウサギの気分。


「誰もが平和でいいと思ってる。それを邪魔しようとしてるお前は悪なんだよ! プレイヤー全員の敵だ!!」


 っていう建前だろうが! だけどそれに伴って動き出す周りの奴等。誰もが我先にと手柄が欲しいんだろう。目が血走ってるぞ。僕は取りあえず、風の刃をぶつける。遠慮なんてしてられない。

 こいつ等が間違ってるなんて言えない。確かに僕はこの世界に、お前達にとっては敵だろう。でも世界を敵に回したって諦められない事はある! 遠慮はしないぞ!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 高速移動で数人を一気に斬り飛ばす。そして続けざまに魔法を詠唱してた奴等をウネリで吹き飛ばして、近づく奴等の攻撃をかわし際にこちらの攻撃を入れる。そもそもこんな奴等相手になんかしてられないんだ。やってられるか!


「この人数を一人で相手取れると? 舐めるなよ小僧!!」


 その瞬間体に巻き付く鎖。そしてその鎖に振り回されて目が回る。でも僕はウネリを使って遠距離のプレイヤー自身に攻撃を当てて緩んだ所を脱出。でも地面に着地した瞬間に足に矢が刺さる。


(っつ……狙われた?)


 片膝をついた所で光を帯びた矢が大量に居るプレイヤーの脇を通って現れる。どういう事だこれ? なんでそんなに縦横無尽に動ける? それに複数。セラでも矢は一本だけだったよな。

 弓の扱いに特化したプレイヤーがいるのか。僕はその矢を直前でたたき落とす。だけどその間に槍を持った複数人に囲まれた。そして距離をある程度取っての攻撃の始まり。こいつら……チームか何かか?

 他の栄光目的の奴等は、そのせいで徒党を組む事も連携も成しにめちゃくちゃだったけど、こいつ等は違う。明らかに連携をとってるし、その連携の質が即席なんて物じゃない。

 基本リーチが剣よりも長い槍だ。微妙に距離を取られてはやり辛いったらない。しかも両手使えないのは痛いな。厳しい。だけど弱音なんて吐いてる場合じゃないんだ。

 僕はセラを思いっきり上へ投げる。そしてその僅かな時を無駄にしない為に、二本のセラ・シルフィングを構える。


「一本が二本になったくらいで!」

「二本になったくらい? 確かめてみやがれ!!」


 目の前の奴の槍を弾いて後ろからの追撃は背中のウネリで防ぐ。そして目の前の奴を斬り飛ばし、均衡を崩して周りの奴等を一気に斬る。そして最後に落ちて来るセラを掴む。なんとか……上手く行ったな。空気を求める肺の動きがおかいし。でもこんなので根をあげちゃ居られない。目の前にはまだまだ無数のプレイヤーがいる。

 するとザワザワと変なざわめきが起って道があく。そこから現れるのは騎士を引き連れたアギト。少しだけ心がホッとした。だけどそれは勘違いだった様だ。


「スオウ……セラを渡して貰おうか。エルフの不始末は、エルフがつける。それが約束だ」

「アギト……お前!」


 つまりはこいつはセラを殺す為にここに来たってそう言う事か! すると別の方向からこんな声が聞こえた。


「エルフはその女を求めるか。ならスオウはこちらが処理しようじゃないか。俺はお前とやってみたかったんだ!」


 現れたのは人の軍勢。そしてそのトップのオッサンが物騒な顔してそう言ってきた。おいおい、どんどん強敵が集って来てるぞ。これはどう考えても不味い。戦いはどんどん厳しくなっていき、そしてその時は迫ってる。

 第四百七十一話です。

 実はですね、この前の回からなんと新型のMacBook Proで書いてます。iPadにキーボード接続するのが面倒で……それになんだか触ってみたくなったんですよね。無理して買っちゃいましたよ。ローンだけど。金ないですからね。

 でも流石最新網膜液晶は奇麗ですね。けど自分の使い方ならメモリは8Gで十分だったかな? 16Gは凄いオーバースペック! まあ絵も描く気ですけどね。でもPhotoshopは流石に高過ぎるから、なんかソフトさがします。動画編集とかはした事ないですね。

 アプリ開発とか出来たら楽しそうだけど……興味はあるけど、やる気が問題ですね。

 とにかく今は毎日これを書く事をやめる訳にはいかないですしね。

 てな訳で、取りあえずの報告でした。次回は水曜日にあげます。ではでは。

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