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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
442/2705

種を巻きたい 2

「はぁはぁはぁ……」


荒い息を吐いて、肩をいっぱい上下させて空気を求める。するとコツコツと近づいて来る足音が聴こえて来るから、クリエは体を小さくして、物陰に隠れこむ。周りの物と同じ様にクリエも物に成りきる。


(クリエは物。クリエは物だよ)


ドキドキしながら心でそう唱え続ける。近づいた足音が近くで止まる。それだけで心臓が飛び出るかと思う位に激しく鳴ってる。


(バレたのかな?)


そんな考えも浮かぶけど、下手に動く事も出来無いからクリエは必死に目を閉じて祈るよ。


(行って、行って)


そう言い続けてると、止まってた足音が再び動き出した。そして次第に遠ざかって行く。クリエはホッと胸を撫で下ろして、物陰からゴソゴソと這い出る。


「ふぅ〜、これからどうしよっか?」

【そうですね、出来ればテトラを誘い出したいところです−−が、流石にそれはクリエには荷が重い事ですね】


むむむ、頭の中に響く彼女の言葉にちょっとクリエはご立腹だよ。クリエは子供だけど、赤ちゃんじゃないんだからもっと期待してくれてもいいんだよ。


【ですが、相手はあのテトラですよ? 出来ますか?】

「それは必要な事なんだよね? 」

【そうですね。出来るのなら……上手く出来れば気付かれずに彼の力を抑えれるかも知れません。彼はまだ、私の存在に気づいてませんから。ただ弱く、力の制御も出来無い子供だと、思ってもらってる今はチャンスです】

「なんだかクリエがバカにされた気がする〜〜」


ブ〜〜と膨れてみせる。だって今の言い方はちょっと傷ついちゃうよ。クリエだってもっと大きかったらきっとこんなんじゃないの。もっともっと強い筈だもん。スオウの役にだってもっと立ててる筈だもん。


【そんなつもりはなかったのだけど……ごめんなさいクリエ。でもだからこそ彼は油断をしてる。見くびってる。それはクリエが対抗出来る僅かな隙ではあります。やってくれますか?】

「それがシャナやスオウの為になるのならやりたい! どうすればいいの?」

【さっき言った様に彼に怪しまれずに追い込まれたと見せかけて、ひと気の無い場所へ逆に誘い込めれば良いです】

「ええ??」


ごめん、何を言ってるのか良くわかんなかった。えっと、追い込まれながらテトラに追い込まれる? あれ、これじゃあクリエが追い込まれてるだけだよ!


【クリエが追い込まれてる振りをして逆に、テトラを都合の良い場所へ移動させると思ってください】

「なるほど」


分かったわかった。だけど同時に疑問も出て来ちゃった。だけど聞いて良いのかな? ウザがられたりしないかな?


【どうしました?】

「えっとね、聞きたい事があるの。良い?」

【ええ、遠慮する必要なんて無いんですよ。クリエの年頃には世界には知らない事がいっぱいですからね】

「うん!」


優しくそういってくれた彼女はやっぱりとっても優しいね。どっかの性悪女が嫌味な事を言ったから変な心配しちゃったよ。この人みたいな対応が普通だよね。ローレとか本当意地悪なんだから。最低だよね。

だけど今はローレの最低具合を確かめてる場合でもないから、遠慮なく聞いちゃうよ。


「えっとね、クリエおもったんだけど、なんで人気のない所に行かなきゃダメなの? お姉さんがクリエと変わればいいんだよね? 直接触れるのも、ワザと捕まっちゃえば良いんだよ」


そしたら捕まった時にベタベタ触れる。それで力を使えば良いのに。どうしてダメなの? そっちの方が圧倒的に簡単だし、確実だよね。


【確かに、最終的にはそうやって力を使います。だけど今回はカーテナにしたのとは違うの。あの時は魔法を使った訳じゃない。カーテナに上乗せした形なの。だけど今度は少々派手に私の力が溢れる事になる。それを他の誰かに見られるのは嫌なんです】

「どうして? 結局テトラにはバレバレだよ?」


うんうん、誰かよくわからない人に見られるよりも、彼女に取ったらテトラにバレる方が問題じゃないのかな? よくわかんないけど。


【テトラの方はなんとか出来ます。直接触れて力を使うのですから。それに私達の力は相対してるから、油断してくれてるのならきっと掛けやすいでしょう。ですが他の誰かに後からその事を言ってもらうと少々厄介なんです。ですから、誰にも見られたくない】

「う〜んそう言う事なら頑張ってみる!」


クリエは気合を込めるよ。取り敢えず、クリエが逃げた事で慌ただしくなってるから、色々と大変だ。ローレは沢山の人を使ってクリエを探してるみたいだし、この中でテトラを探してひと気のない所に誘うってどうすれば……取り敢えずトコトコと歩くと、直ぐに別の足音が聞こえてくる。

なかなか動けないよ。ずっとここに居たんじゃきっといずれ見つかっちゃう。でもでも動けない!


「ど、どうしよう」

【少し、魔法の練習をしてみましょうか? モブリであるクリエにはその才能があるはずです】

「でもでも、クリエは一度もマトモに魔法出来た事ないよ……」


クリエの恥ずかしい事実なんだよ。みんながきっと簡単に出来る魔法も一度も上手く出来ない。それで良くシスターに泣きついてた。モブリは魔法が得意な筈なのに……いくらやっても出来ないからクリエは魔法に背を向けたのです。

そんなクリエが付け焼刃の魔法なんて……ハッキリ言って、モブリなのに魔法だけには自信が持てないよ。だけどそんなクリエに彼女は優しく言ってくれる。


【大丈夫、ちゃんと使える筈だよ。きっと誰もがクリエの力を理解出来なかったら魔法に触れさせなくなったんでしょう。クリエはどういう風に失敗してた?】

「それは、ドッカーーンって感じかな」


なんでかいつもそうなっちゃうの。本当に魔法には困った物だよ。言う事聞いてくれないもん。


【やっぱりそうなんだ。クリエは相反する二つの力を持ってるから、魔法の制御がきっと難しくなってるんだよ。それにどっちも神様の力だからね。ドッカーーンって成っちゃうのは力の込め過ぎかも】

「でもでも、そんなに力入れてなくても成っちゃうよ」

【元々私とテトラの力は相性悪いですから。必要以上の拒絶反応でも起きてるのかもですね。でも大丈夫、クリエは普通の人達よりもうんと繊細に力を操れば、その分きっと出来無い事はない程に成れる。私が保証しましょう】

「本当に?」


今までそんな事を言ってくれた人はいないから不安だよ。シスターもお手上げ状態だったんだもん。本当に大丈夫なのかな?


【信じてください。シャナやスオウの為に頑張るのでしょう? 私じゃなくて良いです。自分の中にある力を信じて】

「クリエの中にある力……」


胸の辺りに手を置いてみる。クリエの中には途方もない力があるんだよね。それが二人の神様の力。クリエは普通のモブリじゃないし、普通の命でもない存在。正直それはショックだったけど、スオウはそんなの関係ないって言ってくれた。嬉しかった……それにきっと救われたって思う。

この力のせいで辛い事もいっぱいで怖い事も沢山あった。そもそもクリエって存在のせいでおかしくなった事もきっと一杯あると思う。だけどそれでも、ここに居て良いんだって言ってくれた事で、クリエはまだいつものクリエでいれるの。ただの神の力を宿した道具じゃない、今まで生きてきたクリエでみんなに恩返しを。

嫌な力だって思ってたけど、これでそれが出来るかも知れないなら、やってみる価値はあるよね。


「信じてみる。教えて!」

【ええ、勿論。ではまず集中です。息を深く吸って吐いて、意識を表層から深層へ」

「すぅ〜はぁ〜すぅ〜はぁ〜んんっ」


頑張ってみる。感じるのは、大きな皮の流れみたいな物。


【もっと深くへ行ける筈です】

「むむむっ」


更に頑張ってみる。するともっと色々と見えてきた。二つの力の河が回ってる。その交差点で混じり合ったのがクリエの全身を回ってるのかな? ここから力を掬い取って魔法を使えば良いんだよね。


【待ってください。全身を巡る表層の力は混合されてます。ここまで意識を沈めたのは、源流を知ってもらうため。混じり合った力だと、またドカーーンと成っちゃいますよ】

「うぐっ……じゃあ真っ黒いのか、白いのを直接使えば良いんだよね?」

【そうですね。今回は白い方に……いえ、やっぱり黒い方にしましょう】

「どうして言い直したの? 白いのじゃダメなの?」

【ダメじゃないですけど、誰しも自分と同じ力には鈍感になる物です。白い方を使うと勘付かれる危険があるんですよ】

「そっか、なるほど」


魔法は色々と覚える事が一杯だよね。クリエ向きじゃないって思う。クリエはなんでも直接したい派だもん。だから実は密かにテッケンさんとか憧れちゃう。でも魔法も使えるに越した事はないよね。強くなれるかもしれないって言われたら、調子付いちゃうもん。


【じゃあ、黒い水を掬って知ってる魔法を使ってみて下さい】

「え? え〜と……」


必死になってシスターにちょっと教えてもらった初歩の呪文を唱えてみる。


「天から零れる光の雫を分け賜え、 テア!」


そう唱えて目を開けるとそこにはなんだか黒い歪な何かがあった。光……なのかな? 真ん中には光が見えるけど、その周りが黒いよ。そしてなんだかぼたぼた落ちてるよ。これは良いのかな? クリエがしってるテアと違う。もっと優しい光が出来る筈なのに、こんなの光って言うか闇が出てきたみたいだよ。

ドッカーーンては確かになってないけど、とっても複雑な気分。


【成功ですね。おめでとうクリエ】

「ええ!? これって成功なの?」


彼女の言葉に思わず声を大きく出してしまって、直ぐに自分で自分の口を覆った。危ない危ない、誰にも聞かれなかったみたいだ。でもそれにしてもこれで成功って……優しさ……かな? 出来の悪いクリエへの。


【違いますよ。本当に成功です。確かにちょっと光りって感じではないですけど、それもしょうがないんです。使った力が闇に通じる力ですからね】

「力で魔法の形が変わるの? みんな共通じゃないの?」

【力の根底が違いますから。普通の人達は世界樹が世界に通してる何の色も持たない魔力を自然と取り込み、自身の内で適合出来る分を魔法へと昇華させる。ですから決まった手順を踏めば、同じ様な現象を発生出来る。だけどそこにも強弱はあります。それが才能とかと呼ばれる物ですね。

同じ手順を踏んでも必要以上に強く現象が発生するのは魔力が普通よりも多く適合出来るから。それで言うとクリエは破格級にその力と相性が良いんです】


それって、クリエが世界樹から生み出された……からだよね。適合って言うか、クリエ自身がそんな力の塊だから。でもそれならもっと上手く使えて良いと思うの。だけど実際はこんなだよ。クリエは目の前の気持ち悪い魔法の結果を見てそう思う。


【クリエも外からの魔力だけを感じるのは凄いんですけど、結びつける力が私とテトラの力が混合された特殊なものですからね。そこで弊害が出てる感じです。まあ元を辿れば世界樹も多少は混合された様なものですけど、基本世界樹が世界に巡らせる力は色を透明にして行った様な物ですから。それに世界によっても分けられてる。ここと暗黒大陸。

だけどクリエに宿る力は、相対してる世界樹の蓄えて来た純粋なそれです。ですからクリエの魔法には自分の色じゃなく、力の元の色が強く出てしまってるの。今回はテトラの力を使ったから、普通とは違う形で魔法が発生してる。

でも魔法は魔法です。ちゃんと害もなく発生してるのなら成功ですよ】


う〜ん、そういう物なのかな? クリエは自分が出した魔法を見て「やった成功だ!」って素直に言えないのが微妙に悔しんだよ。これじゃあハッキリ言って胸を張れないよ。


【私の方の力を使えば普通に出現したとおもいますけどね】

「ならそっちが良かったよ」

【ですけど今は−−」

「わかってるよ。でも始めて成功したから、もっと素直に喜びたかったなってだけだもん」


人生初の快挙なんだよクリエにとっては。それがこんな微妙な出来なんてそこはかとなくがっくりなんだよ。


【きっと他の、それこそスオウとかに見せてあげればビックリしてくれますよ】

「そうかな?」

【ええ、きっと】


クリエの触手がピクピク動いちゃう。クリエの成長にスオウは目ん玉を丸くしちゃうわけだね。確かにそれは良いかもしれない! やる気が出て来たぞ。


「一応成功だし、次は?」

【それよりも体は大丈夫ですか? クリエはまだ小さいですから心配です】

「大丈夫だよこれくらい! 寧ろなんだかこんなものだったかな? って感じだよ。前はもっとこうんんん! ってやってたと思うけどそんな事なかったよ」

【上手く力を選択したからでしょう。大丈夫そうで何よりです】

「うん、だけど前は集中してもこんなハッキリとは感じなかったんだよ。どうしてだろう?」


もっと前から出来てたらいっぱいいっぱい魔法の事をシスターに教わる事も出来たのに。きっとクリエが魔法に背を向けてたからだよね。


【クリエの身体的成長はあるでしょう。それにここ最近は色々と魔法や力と言う物に触れる機会も多かったでしょうし、きっとそれも影響してるでしょう。他人の力に影響を受けて自身の感性が感化されると言う事はあります】


なるほど、やっぱりね。クリエ自身の成長の賜物ってわけだね。途端に胸を張りたくなってきたかも。


【ですが実は私がクリエの感覚を導いたのもあります。深層に至る道を示したという感じですね】

「それは言わなくて良かったのに……」


ズガーンだよ。クリエはとんだピエロだったんだよ。何が成長だよ。彼女のさり気ない協力のおかげだったんだ。それに実際は彼女の協力が大きいんだ。クリエの成長なんてきっと微々たるものだよ! 彼女は優しいからそう言わないだろうけど、絶対にそう。

だって今までだって「魔法は集中が大切」って一杯言われてたもん。だけどあんな深い所まで行った事ないよ。


【クリエ、誰の手を借りてもこれは貴女がした事です。それにこれから頑張れば、誰の手を借りずとも良くなります。それが本当の意味の成長で、それこそ貴女の努力なくしてはあり得ないことなんです。まだクリエは小さい。今はまだ、誰かの力を借りたって良い】

「クリエはそれがもう嫌なのに……」

【今は一人では何も出来ないでしょうけど、生き続ければ一人で歩ける様になる。その時に少しづつ返していけば良いんです】


生き続ければ……その言葉はクリエには結構重いよ。自分という存在の意味を知って、明日へ続く道が細くなってる気がするもん。クリエはこのドタバタな日々の後も、普通にここに入れるのか、正直わかんない。

そもそもクリエは一度諦めたんだよ。だけどスオウがそんなクリエを否定してくれた。クリエは生きたいって思ってるけど、何処かに小さな諦めはあるかもしれない。クリエが今頑張ってるのは、スオウやシャナの為なの。それが終わったら、クリエはそれはそれで満足しちゃうかもしれない。

生きたいのだってみんなと共にいたいから。でもこの後はどうなるかわかんないよ。シャナはきっといなくなっちゃうだろうし、スオウにずっと着いてはきっといけないと思う。クリエが本当に望む生きたい未来は、あり得ないの。

だからこそどこか自分にちょっと冷めてるかも。でもそれは考えたくない事。だってそれを考えたら、シャナの願いを叶えたいって思う自分が弱くなっちゃいそうだもん。クリエはずっとみんなと居たい。だけどみんなの幸せはそれぞれ違う。

それが本当は一番悲しいなって思うんだ。


【クリエ?】


クリエが黙っちゃったから彼女は心配そうな声をだす。いけないけない、ちょっと深く考え過ぎちゃった。先の事なんかわかんない。だけどシャナの事、幸せにしてあげたい。悲しいけど、それが一番だって思うから。

その先の事はきっとその時になってからでも遅くないよね。生きてるかとか死んでるかと考えるのはクリエらしくないもん。クリエはいつだって楽しい方に向いてくの。


「うん、きっとクリエは大魔法使いとか呼ばれちゃう日が来るよね?」

【そうなれるかも知れないですね】


お世辞だろうけど、そういってくれた事は嬉しいよ。端から見るとクリエは一人物陰でブツブツ言ってるおかしな子だよね。とっても今更だけどそんな事をふと思う。でもクリエは良く草とかと喋ってる事を考えると、あんまりいつもと変わんないかも。

あれ? クリエってもしかして普段から端から見ると痛い子かも知れない。衝撃の事実。


【どうしました? 打ち震えてますよ? まさか体に反動が?】

「ううん、違うの。クリエはとっても悲しい事に気付いただけ。それよりも次の行動に移ろうよ。魔法を使ってテトラをおびき寄せるんだよね?」

【そうですね。正確には誘い込むですけど、どっちでも構いません。取り敢えずしっかりと意識を集中させて、私と同じ言葉を紡いで下さい】

「わかった」


クリエは息を整えて、瞳を閉じる。紡がれる言葉を聞き逃さない様にしながらゆっくりと後に続いた。すると何時の間にか足元に黒い魔方陣が出ててそこからは逆に銀色の光が上がってた。そして気付くと、クリエと同じ姿をした子がいっぱい居た。


「これって……クリエがいっぱい」

【分身ですよ。そこまで難しい魔法ではないので、成功してよかったです。取り敢えず分身達を散らばらせて、陽動に使いましょう】

「陽動?」

【囮ですよ。その隙に私たちは本命のテトラを狙います。だけどこれも時間は掛けられないです。同時に目撃されるクリエの姿で、魔法を使ってると察せられるのも時間の問題ですからね】

「なるべくそう言うのは知られたくないんだっけ?」

【そういうことです。効率良く行きましょう】


効率か……確かにそう行きたい所だけど、そもそも考えたらテトラが今どこに居るかとかわかんないよ?


【それなら大丈夫です。私にはテトラの位置がわかりますから】


なるほど、そんな力があるんだね。もう流石って感じ。でもそれだけで大丈夫かな?


「他にはわからないの? だってクリエを探してる人達はまだ一杯だよ? 一杯この分身達を散らばらせてもはちあったりしたら不味いよね?」

【確かにそうですけど、後はもう運に頼るしかないですね。こういう時に全てが準備万端なんて事は殆どないですから、しょうがないですよ。運を味方につけましょう】


結構アバウトなんだね。でも確かにそれが勝負って感じかも。ドキドキが高まってきた。取り敢えず先に分身達を散らばらせて−−って思った矢先に、何処かからガンガンと響く音が。


「きゃっ!」


そんな音に驚いて私達は一斉に小さくなる。みんな私と同じリアクションとってるよ。なんだかちょっと恥ずかしい。そう思ってると、聞き覚えのある声が何処かから聞こえてくる。


『ちょっと、ここ開けなさいクリエ』

「……セラ? どこにいるの?」

『ここよ、ここ」


再びガンガン響く音に、再びみんなで小さくなった。もう何なのよ。どうやらクリエを探してる誰かじゃないみたいだけど、傍迷惑な。そう思いながら窓の方に目を向けると、そこには聖典が一つ飛んでた。なるほど、あれがセラの声の出処なんだね。

クリエは分身を使って窓へと届く土台を作って、窓をガゴションと開ける。すると聖典がフワフワと廊下に入ってきた。


「セラ、なんだよね?」

『そうよ。なんだか慌ただしいとおもったけど、なにやってるのアンタは?』


呆れた様な声をだしてるセラ。むむむ、セラもクリエには厳しいんだよね。てか、セラもローレと同じで子供嫌いそう。だけどこれは使えると思った。


「ねえセラ、協力してよ! 聖典なら外から見てどこに兵士がいるかわかるじゃん。だからそれを教えてほしいの!」

『あんた私の質問無視して、言いたい事だけ言わないでよ。何やってるの?』

「そんなの決まってるよ。スオウやシャナの為になる事! だから協力して! お願いセラ!」


クリエは必死にお願いする。すると少し声が聞こえなくなったと思ったら「しょうがないわね」って言葉と共に、OKを貰った。流石セラはローレと一味違って実は優しい。これで兵士の位置もわかる。作戦は完璧に近づくよね。


【良い判断ですクリエ】

「うん、絶対に成功してさせるんだもん!」


気合を入れて、クリエはクリエに出来る事を始める。

第四百四十二話です。

今回もクリエ視点でお送りしました。小さな子が一生懸命頑張って小さな種を撒く。その結果は近い内にきっとわかるでしょう。クリエの頑張りが無駄に成らない事を祈ってて下さい。


てな訳で次回は月曜日にあげます。ではでは。

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