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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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競い合えるの?

すみません、ちょと立て込んでてまだまだ無理かも。とりあえず本編どうぞ。

シクラ達がスオウを連れ去って既に数時間。あいつを裏切り、見捨てた私達は今もう一度動こうとしてる。それを率先してやろうとしてるのがシルク様。あの人も意外と行動的だ。いやでもあの人らしいとも私は思う。

ヒーラーなんて実際大変なだけで、見せ場なんてほとんどない役割を文句もなく、むしろ笑顔でこなしてくれる人だ。誰かの力になりたいと、支えになりたいと、シルク様は本気で思って私達を縁の下で持ち上げてくれてる。

そんな人だからこそ、そんな優しい人だからこそ、助けたいと思う気持ちに素直に行動出来るのかも。


「勇気を分けて……ですか」


私はシルク様のメール見てそう呟く。シルク様は勇気を持ってると思うけどな。寧ろ私にその優しさを一握りでも分けて欲しいかも。今だから思う。一緒にいて、一緒に戦って来た時はあんまり感じなかった事。

ボロボロになってくスオウを見てて、絶対に勝てない戦いにそれでも身を投じるあのバカを端から見る事しか出来なかったあの時……もどかしくて悔しくて、私は直視出来なかった。あの時後悔した。もっと素直に、もっと優しくどうして出来なかったんだろうって……そう思った。

それまで私はきっと、あいつの死って奴をそこまで感じてなかった。だって側には私達が居たもの。ここぞって時に頼りになってたかわかんないけど、なんとかなってたし、実際スオウがあんなにただ負けていく所なんか、見たことなかった。


アルテミナスではシクラとそれなりの勝負をしてたし、世界樹の傘でやられた時は、最後まで見れなかった。私達は下で倒れて、スオウは一番上の方で戦ってたもの。私達に状況を知る術はなかった。

だけど今回は違う。一言で言うと……とても生々しかった。命が削られる様が……燃え尽きていく様が……目の前で見えてた。肌で感じる事が出来た。そして私達はまだ戦えた……のに、何も出来なかった。何も出来なくされた……あのローレによって。

腹わたが煮えくりかえる思いだ。でも後悔はそこじゃない。今回感じた、スオウの命の希薄さ。危うさ。それをもっと理解してたら……


(理解してたら、私はもっと素直になってたのかな……)


わからないよ。やっぱり今と何も変わらなかったかもしれない。ただもっと早くから、こんな風にビクビクしてたのかも。


「セラ? どうしたの?」


耳に入ってくる親友の心配する言葉に私は無意識にこんな事を口走ってしまう。


「告白ってどうやったら良いのかな?」

「え?」

「セ……セラ様??」


はっ! そう言えばもう一人いる事を忘れてた。ノウイの奴が目をシバシバさせながら私の方を見てる。


「告白っすか……」

「ちっ、違う! 今のはホラ、そのえっと間違いって言うか!」

「セラもようやく素直になる決心が出来たのね。うんうん良かった。ライバルは強いですけどね。でも両方とも友達の私はどっちを応援したら良いのかしら?」

「アイリ様まで何を勝手に想像してるんですか! そんなんじゃないですよ。私の告白って言うのはですね……え〜と−−」


ヤバイヤバイヤバイ、ここは誤魔化さないと! アイリは良いけど、ノウイにこんな話を聞かれるなんて自殺したくなる。どうにか告白って単語の核心を別の事にしないと!


「え〜とえ〜とえ〜と……」


焦りすぎてて全然出てこない!! どうしようどうしよう!


「なんなんっすかセラ様の告白って! 自分とっても気になるっす!」


なんでそんなに気になってるのよ! もうそっとしとこうって気はないの? だけどノウイの奴は引く気はなさそうだし、妙な食いつき見せてるから、何も言わない訳にはいかない。


「セラ様! 本当は今の告白って心付く漢字を受け取ってください的な事なんじゃ!?」

「ちがっちがっ……」


混乱しすぎて目の前の風景がぐるぐる回ってるように見える。てか何が「心付く漢字」よ。そんな言い回し始めて聞いたわ。だけど案外間違ってない! 私はもう訳がわからない。そしてヤケクソになって絞り出したのがこの答えです。


「私……実は、こんなキツイ性格してる癖にファンシー趣味なの。このメイド服だって実はとってもノリノリで着てるってのをいつ周りに告白……しようかなって」


何アホな事を言ってるんだろうって自分でも思ったわ。だけど口をついて出て来たのは本音だったのよ!! 私は手で覆って隠す。それくらいしか逃げ道がない。すると二人は「何を今更」的にこういった。


「知ってたっすよ」

「ええ、とっくに周知の事実ですね」

「……………………………………………」


頭から湯気立ち上らせて、私はテーブルに額を打ち付ける。ゴン!! っと結構重厚な音がした。なかなかに立派なテーブルらしい。


「だ……大丈夫セラ?」


私の異常な行動に流石に心配になって来たのかな? アイリが心配そうな声をかけて来る。まあ流石にここまでの私の異常行動を「いつもの事だ」とか思って貰っても困るけどね。


「セラ様……」


うう……アイリは百歩譲っていいよ。諦め付く。女同士だし、親友だもん。だけどノウイの奴は……殺したい。だけどここでそれは口封じにはならないんだよね。


「いつから?」


私は顔をあげずにそのままアホな態勢のままそう呟く。だってそれは知っておきたい事だ。


「いつからっすかね? 自分が軍に入った頃には定着してたっすよ」

「そんな頃から!?」


衝撃的過ぎて思わずがばっと起き上がった。だって−−え? ノイウっていつから居たっけ?


「自分が軍に入ったのは領土戦争が収まった後っす。てか、誘ってくれたのはセラ様じゃないっすか!」

「そうだったっけ?」


よく覚えてない。すると目の前のノウイが今度は愕然として床にへたってた。えっと……そんな重要な事だったの? すると横に座ってるアイリがため息一つこういった。


「スオウ君もそうだけど、セラも大概なのよね」

「な……何よそれ? そんな事よりもいつからなの? いや、なんですか?」


あまりに焦ってるものだから、ついつい二人きりの時の口調が混じる。でも今は私達はしかいないし、別にいいのかっても思う。


「そうね、いつからって言うのなら、最初から? じゃないのかなと思うけどな」

「ど……どうして?」


最初からってどこで道を間違えたか聞く上で、一番言っちゃいけないんじゃないの? そんなの死んだ方がマシって言われてるようなものじゃない。やり直せない。


「う〜ん、私は今までセラは頭が良いと思ってた。だけどこんな残念な部分もあったんですね。ある意味よかったと思います」

「そんな事は良いから、理由を!」


もう一国の姫様に向ける口調じゃないから。そこら辺よろしく。


「理由はハッキリしてます。それはそのメイド服だよセラ」

「これが? 可愛いじゃない」

「はいそれです。セラはそもそもどうしてメイド服を着てるの?」

「侍従隊だもの。軍の騎士の様にゴツイ格好でアイリ様の側にはいられないわ。私達は常にアイリ様の傍にお使えするのも役目だもの」

「うん、まあそうですね。私としてもそれはありがたいです。セラはそれを表向きの理由として使ってるよね」


表向きって言うか、その通りだと思ってるけど。疑問なんて湧く理由がわからない。侍従隊といったら、メイドでしょ。


「でもねセラ。思い出してみて。軍の再編の時に、セラが進言して私直属の護衛を作る事になったじゃない」

「そうね。それで私が侍従隊を作ったんだもの」

「その翌日……セラはそのメイド服を着た部隊を一夜で作ったわ」

「一夜でメイド服を十五着も揃えるのは大変だったわね」

「あの時、セラのイメージが変わった人は実は結構居たよ。誰もが無言で納得してたけど、違和感なく着こなしてるセラを見て、その当時のみんなはセラはそういう趣味なんだって思ったんです」

「……そんな頃から?」

「そんな頃からですね。だからそれは告白にはなりません。エルフなら多分結構誰もが知ってます」


そんな……まさか私はピエロを演じてたと言うの? 私の秘密は秘密でもなんでもなかったって……ショックだよ。それもそんな頃からって……何この恥ずかしさ。これは当分アルテミナスには帰れない……ってか、よく考えたら直属の部下である侍従隊は来てるじゃない。

ついさっきもあったわけだけど、彼女達だって私の秘密を知ってる。もしかしたら影で「この恥ずかしい奴が!」とか思われてると思うと、顔を合わせづらいな。

そう思って落ち込んでると、アイリが更にこう言ってくれる。


「そんなに落ち込む事はないと思うよ。それで誰かの態度が変わった? そんな事はなかった筈です。それに今や侍従隊は三十人を超える大きな部隊ですし、その趣味は別にセラに不利益はないと思う。きっと誰もが可愛い娘だなって思ってくれてるよ」

「それはそれでなんかヤね。すれ違う奴らを片っ端からぶっ飛ばしそう。誰もがそう思ってるとしたら」

「はは……怖いよセラ」


笑ってるけどちょっとだけ引かれたかも。でもまあ確かにアイリの言うとおり、別に態度が変わった人はいなかった。それに今更よね……今更気にしだすと逆に痛い様な気がする。それに受け入れられてるのなら、考え様によっては楽かもしれない。

そう思ってると、アイリが私に耳打ちして来る。


「それはそれとして、スオウ君に思いを伝える気はないの?」

「ぶっ!!」


吹いた。何をいきなり。


「だからさっきの告白はそう言うのじゃ……」


そう言うと、アイリは私の耳から離れてく。そして優しい顔してこう言うよ。


「こんな事を言うのはなんだけど……いつまでもずっと同じなんていられない。それを今日、セラは感じたんじゃないのかな?」

「それは……」


どうしてわかるのよ。アイリは私の事をまるで見透かしてるみたいに……本当に明るくなった。いや、周りを良く見る様になったって事なのかも。良い事だけど、今の私を追い詰めないで欲しい。


「私はねセラ……経験者だよ。ずっと変わらないなんてないの。私は上手く出来なくて、随分落ち込んじゃったけど、セラにはそうなって欲しくない。だから私は、応援してます」

「さっき、どっちを応援したら良いのかわかんないって言ってなかった?」

「そうですけど、やっぱり親友の方が重要度が高いかな? と。それにあの子は世界に愛されてるみたいだから、私の協力とかきっと必要ないと思うの」


世界に愛されてる? なんだか随分と大袈裟な言い方ね。そんなに大層な資産家の令嬢とかなのあいつの幼馴染って?


「う〜んそうじゃないです。そういう事じゃないんだよね。日鞠ちゃんの家はごくごく普通の一般的家庭だよ。まあ確かに世界は言い過ぎだったかも……けど、あの子は誰からも愛される素質・素養って物を持ってると思う。

誰かの特定の協力なんかいらない。あの子は周りを自然と味方につけるっていうのかな? そんな感じ」

「よくわからないわね。つまりは八方美人ってことでしょ?」

「う〜ん、八方美人とはちょっと違うと思ってます。それはもともと、自分を良い様に見せるため、人間関係を荒らさないために、誰にでも愛想を振り撒くのが八方美人。でもあの子はそうじゃない。言いたい事は言うし、その行動力だって凄い。

きっとたくさんの人に迷惑を掛ける事だってやると思う。でもそれでもあの子なら……許せしてまう何かがあると思うの」


迷惑を掛けても笑って許せる奴って事? でもそれは迷惑の度合いによるわよね。流石に度が過ぎれば幾らその子だって煙たがれるでしょうし、嫌われると思う。


「それは……そうですね。まあ私もそんなに長い付き合いじゃないですからね。と、言うか知り合ったの最近だし、度合いのところはよくわかりません。でもアギトの話では彼女はとっても人気者らしいですよ」

「私、人気者って嫌いなんですよね」

「セラはひねくれてるからね」


そうです。自分でもそこら辺は自覚してます。私はひねくれ者ですよ。セツリみたいに純粋じゃないし、その幼馴染みたいに誰からも好かれる性格をしてないのもわかってる。私はリアルに染まった薄汚い女です。


「しょうがないです。今更この性格はどうしたって……」

「でも、私はセラの可愛いところ、魅力的な所、いっぱい知ってる。それはきっとスオウ君だって、口にしないだけでそうだと思うよ」

「いっぱい?」

「……うん、多少かな?」


随分減っちゃったよ。でも流石アイリ、そこら辺を正直に言ってくれるのは実際ありがたい。変に話し盛られても捻くれ者の私は心で文句を言うだけだもん。そんな事ないじゃんって疑う性格悪い女だから。

私達は沈黙する。なんだか話が途切れてしまった。ノウイはまだショック受けて丸まってるし……まさかここまで気にしてるのを見るとちょっと悪い事をしたかなとも思う。でもフォローしてあげるのはもうちょっと後にする。

自分のファンシー趣味の露呈はこのさいどうでもいい。てか、既に手遅れだしそこは諦めるしかない。それにアイリの言うとおり、別にバカにされた事なんかないし、誰もがソッと胸に閉まってくれてるのなら、別にそれで。

変な被害妄想とか切り捨てる事にするわ。だけど……最後に確認したい事がある。実はずっと聞きたかったんだけど、怖くて聞けなかった事。アギト様でもそれは良いのかも知れないけど、やっぱりこう言う事は女同士でしかも友達以上でないとって思う。

しかも私の周りでリアルにその日鞠って子を知ってる女友達はアイリだけ。だからこそ、今しかないって思う。自分は大切な事はどうしてもじゃない時は、メールとかよりも直接派なの。でもこれを聞くのはやっぱり……私はモジモジしてしまう。壁に掛かってる古臭い時計の音がカチカチ聞こえてた。

時間が過ぎていく。なんだか凄く個人的な事で悩んでるけど、早くシルク様にメール返さないといけないのよね。きっと待ってるだろうし。それにこんなのはきっと私の……セラのキャラじゃない。意を決して私は口を開く。


「えっと……じゃあこの話題の最後にこれだけ聞かせてアイリ様。アイリ様は私の味方……なんだよね?」

「勿論。私は親友に肩入れします。安心して。それが最後に聞きたかった事?」

「いいえ、これはただの確認」


そして私のずる賢い策略。味方って所を再認識してもらう事で、少しはオブラートをアイリにきかせて貰おうって魂胆なの。まあそんな事しなくて、気を使える子でもあるけど、それでもたまに無邪気に心に刺さる事を言ったりもするのよね。

今から言う事の後にそんな事があったらって思うと、流石に怖いからね。普段はいつも自信を見せてる私だけど、本当の自分はこんな感じ。私の自信なんて切って貼り付けたハリボテ程度なのよ。戦闘とかならLROのシステム補正とか今までに得て来たスキルという物を貼り付けて、それを自信にしてる。でも、こういう事を有利に出来るスキルなんて流石にない。結局こういう事は、自分でいかないといけないのよね。

それこそ完全に別人を演じれたら、そこら辺ももしかしたら違うのかも知れない。でも、私はやっぱりこのキャラに自分を引っ張ってる。セラという一人の人物じゃなく、私の中のセラというもう一面。それはやっぱり『私』なのよ。

息を吸ってゆっくりと吐く……心を決めて私は紡ぐ。


「私は……私には、その……えっと、勝つ……までもいかなくてもその……渡り合えると思う?」


意を決した筈なのに、出てきた言葉はしどろもどろだった。情けない。だってこの事に関してだけは、どうしても強気になんかなれない自分がいるのよ。だって……どう考えたって私負けフラグしか立って無いと思う。てか、そんなフラグさえ、スオウからしたらきっと立ってさえいないと思う。

だからこそ、自信なんて持ち様もない訳で……でもリアルの二人も知ってるアイリにはそこら辺がどう見えるのか、教えて欲しい所なの。


「それって日鞠ちゃんにセラが対抗出来るかってことだよね。でも私はアルテミナスの時の二人しか知らないし……きっとここまでで少しは進展したですよね?」

「……ほんの少しは、そんな事もあったかも知れない……かな?」


待遇を少しは改善する出来事もあったし、自分の気持ちを少しだけ素直に伝えた事もあった。進展は確かにあったかも。でもそれが効果的だったかって言ったら……頭を悩ませる。そもそも私はどこまで行けば幼馴染と肩を並べられるかもわかんない。だからそこら辺をアイリには教えて欲しいというかね。


「ほんの少しなんだ……その場に居れたら、スオウ君の反応とかわかったかも知れないけど、しらないですからね。私が知ってる範囲で言うと……セラはやっぱりもっともっと頑張らないといけないって思います」

「……」


口を詰むぐ私。わかってるよそんな事は……でも心ではわかってても、どうしていいかなんてわからない。素直になってくれないもの。


「病院で−−、病院でスオウ君と日鞠ちゃんを見た時思いました。二人は近くにいる事が、側に居る事が自然でそれが当たり前なんだなって。それは過ごして来た時間が圧倒的にセラは不利なんだから仕方ないかも知れない。

でもそれなら、もっともっと自分をアピールして、スオウ君の印象に残らないといけないです。二人の出来上がった空間を一度壊すくらいしないと、正直厳しいかな」

「壊す……」


でもLROとリアルで私達は違う場所に居る。どうしたら良いのか全然わからない。そもそも同じステージに立つには私もリアルで知り会わないといけなくない? だけど……その自信はちょっと……聞いてる話だと、日鞠ってかなり容姿も良さそうじゃない。

人気者ってそういう所も入ってるでしょ。それに比べて私は……


「頑張ろうセラ。言ってくれればなんでも私は協力します!」」

「……うん」


私は弱々しく返事を返す。今はまだ流石にね。前向きにはなかなかなれない。でもアイリの言葉はありがたいよ。正直支えになる。取り敢えずまだまだこれからって事がいっぱいある事が再確認出来た。

始まっても居ないのに終わったわけじゃなくてよかったと思う事にするわ。アイリがいうのなら、まだ頑張れる。だからこれからの為にもスオウにはまだ生きて貰わないといけない。これから死んでもらっても困る。

今の私たちには出来る事は限られてるけど、まずはその行方を見つける事が先決だ。あのバカ、幾らメールしても返さないし。


「よし、じゃあここまででこの話題は終わりにします! ここからはこれからのについて考えましょうアイリ様。それにノウイ。いつまでいじけてるのよ?」

「うう……自分は……自分は……あの思い出を支えに……」


なんだかブツブツと言ってる。しょうがない嘘だけどこう言ってあげるか。嘘だけど。


「ごめんノウイ、あれは嘘よ」

「嘘? じゃあ覚えててくれてるっすか?」

「勿論。忘れるわけないわ」


全く記憶にないけどね。本当にあった事で落ち込んでるんでしょうね? 記憶を脳内補完してるとかじゃないわよね? まあ流石にそれはないと思うけど……でも本当に覚えてないのよね。けど、流石に可哀想だし、覚えてるフリをしてあげる。


「セラ様……自分安心しましたっす!!」


元気にそう言ってくれるノウイ。私の言葉はなんでもホイホイ信じるわね。楽だけど、なんだか少し心が痛む。まあ本当にあったんならふと思い出すかも知れないでしょう。


「それで、これからって何ですかセラ?」


そんなアイリの言葉にメールの事を伝える。


「確かにあの小竜の探知能力ならあるいは……だけど彼女一人では厳しいのではないでしょうか?」

「そうですね。だけどピクを逃がすだけなら、条件さえ揃えば……」

「とにかく、一人で勇み足にならないように伝えましょう。後は状況を報告してもらいましょう」

「じゃあ自分は他のみんなにもこの事を伝えるっす!」


そう言って各々動き出す。とりあえず私はシルク様への返信メールを作成。アイリはこのノンセルス1の地図を出す。そしてノウイは残りの仲間へのメールを打つ。今の私たちの希望はピクただ一つ。失敗は許されないミッションの始まりね。


「よし、じゃあテッケンさんと鍛冶屋君にメールを送るっす」


送信を押すノウイ。空中に現れてた便箋に紙のエフェクトが入り、そして綴じられて光となって消えていく。私達はバラバラだ。だけど、繋がりまで断ち切れた訳じゃない。

第四百二十四話です。

今はちょとしたサイド視点をお楽しみください。


てな訳で次回は水曜日にあげます。ではでは。

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