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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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自分への視線

今回はお休みで。本編をどうぞ!

バクバクガツガツモグモグ----シクラ達が用意してくれた飯を僕はどんどんとその腹にかきこんで行く。実際起きて最初に見た時は、流石に毒でも入ってるんじゃね? っておもったけど、空腹には勝てなかった。

だって血をいっぱい流して、鉄分が足りないんだ。まあ実際どういう料理かなんてそもそもあんまり見ないで食ってる訳だが……でもきっと栄養は取れてるだろ。実際LROでここまで食事を求めた事はなかった。

お腹が減ったって死ぬわけじゃないし、戦闘に入ると大概忘れる。戦闘前に適当な物渡されてたし、それで食事効果だけを付加してた程度。それで全然問題なかったわけだけど、何故か今の僕はただ求める様にその料理や大きな果物みたいな物に自然と手が伸びる。

もうこれを食べないといけないんだって、体が警告してるみたいな……よくわかんないけどそんな感じだ。どこから用意したのか分からない料理は、シクラ達が持ってた遠足で使う様なシートの上に広げられてるから、僕は地面に直座りして、次々とそのシートの上の食事に手を伸ばしてる。

遠慮って言葉を知らないのか? って言われそうな食べっぷりだけど、いやマジで死ぬ気で食ってます。


「ちょっと僕も--」

「うがああああああああ!!」

「--ひっ!?」


僕は涎を垂らしながら料理に手を伸ばしたヒマワリを威嚇する。するとビクッとなったヒマワリは目に涙を溜めながらこう言うよ。


「なっ……なんだよ! なんだよ! スオウのバーカバーカ!」


なんなんだ一体? まあ流石にちょっと今のは恥ずかしかったけど、体が勝手にね。こんなに異様に食事を求めるのってもしかして、僕がLROに完全に落ちた事が原因なのか? よくわからないけど、今は食事を進める腕が止まらなくて考えられないな。

それにしてもどれもこれも上手い! 空腹は最高の調味料ってまさにその通りだね。僕はシートの上に広げらた、料理や果物や果実を全部残さず平らげて行く。ざっと見ただけで、フルーツや果実は盛られる程にあったし、料理だって二十~三十食はあったけど、何故か僕の胃に収まりきる不思議!


「ぷはぁ~~」


僕はそんな幸せ満開な声をだして、後ろに倒れる。まあ地面に倒れ伏すにはシクラの奴が座ってる木の幹が邪魔な訳だけど、食べて寝たら牛になるとか言うしね。丁度背もたれみたいになっていいかも。

そう思いつつお腹をスリスリやってると、横からこんな声を掛けられる。


「ホント、良く食べるわね。やっぱりリアルの人間がこっちに落ちると、それ相応のエネルギーが必要ってことかしらね? せっちゃんも女の子としては良く食べる方だし--でもそれじゃあ眠ってた間のエネルギーはどうしてたのかしら? ってそれこそ冬眠みたいな物だったのかな☆」


うざい星をちらつかせる喋り方に妙に馴れ馴れしい態度。月光色の髪を今はユラユラ揺らして、イタズラな笑みを浮かべるシクラはなんだか嬉しそうだ。まあこいつは大抵、僕が大変だったあとは嬉しそうだよな。人の不幸を笑ってるとしか思えない。

けど……今回はこいつに助けられたんだよな。文句なんて言えないな。しょうがないから普通に会話してやる事に。それに結構都合良いしね。実際聞きたい事は山ほどある。


「それはわかんないけど……セツリの奴ってそんなに食べる方だったか? 確かに食い意地は張ってたけど……」

「せっちゃんは良く食べるわよ。きっとスオウ達には遠慮してたんじゃない? 嫌われたくないとかいう理由でね」

「ム……」


確かにそれは結構あり得そうな理由かも。そんな些細な事を気にする奴だよな。実際その程度で誰彼を嫌いになるとか早々ないのに、そこら辺の経験が圧倒的に少ないあいつは、距離感って奴をいつまでも測れてなかったのかも。

実際僕がムッとする事じゃないかも−−いやでも、やっぱり色々と気づかなきゃいけない部分はあったんだと思う。サクヤが戻ってきてからは、結構色んな一面を見せる様になったっておもってたけど、僕はサクヤに甘えてたのかも。

心を許せる相手ができた事で、逆にセツリは悩みとかを僕じゃなくサクヤの方に……そして僕もセツリの事をサクヤ伝いで見る様になってたのかも知れない。


「とにかく、せっちゃんはちょくちょく良く食べるんだよね☆ 間食って奴。一気にそれ程いっぱいは確かに食べれないんだけど、残した物もその内なくなってたりするもの。せっちゃんはちょっとずつなら永遠に食べ続けるんじゃないかって私は思ってるわよ」

「それは大袈裟だろ。てか--」


僕は周りをキョロキョロと見回す。ヒマワリのアホはサクヤに泣きついて、なにかおねだりしてるみたいだし、僕を回復させてくれた柊は木の下で優雅に読書と垂れ込んでる。リルフィンの奴は木の上で遠くを見張ってるらしい。大丈夫そうだな。

僕は取り敢えず小声でシクラに囁く。


「--お前、どうして僕が落ち切った事をしってるんだ? ついさっきの事だぞ」

「小声にしてなにを言うかと思えばそんなことなんだ☆」


そんな事だと? 僕にとっては大問題だっての。だってこれってあれだぞ……つまりはもう、リアルには戻れないって事なんだぞ!! 満腹感と共に考えると、逆に回るベクトルが凄過ぎる。絶望しちゃいそう。だけどシクラの奴はあくまでも軽いノリで言葉を紡ぎやがる。


「別におかしな事じゃないじゃない? そもそもそれは覚悟の上だった筈でしょ。そもそもこれまで良く持ったほうじゃないかしら? ねっスオウ☆」


星がキラッと煌めくウインクをかますシクラ。同意しろって催促かそれ? でも、確かに良く考えれば持った方なのかもしれない。基準がないからわかんないけど。


「そもそもスオウ無茶しすぎだし☆」

「う……」


それを言われると返す言葉が見つからな--いや、あるな。こいつ等にだけ言える事がある。


「お前達が……それもこれも全部お前達が滅茶苦茶過ぎるからだろ。反則でしかないお前達に対抗するには、神にだってすがるしかない」

「ゴミの用に棄てられて、挙句の果てにはコテンパにされてたけどね☆」


本当にムカつく言葉のチョイスをする奴だなこいつは。するとシクラの奴はいきなりまた腕を伸ばして来る。僕は再び身構えるけど「ジッとしててよ☆」ってな声と共にあっさりと唇の横ら辺に人差し指を突き立てられる。別に痛くはないけど、簡単にやられた事が屈辱的だ。

てか、なんの為に? って思ってたらその指が僕の食べこぼしを拾ってた。なるほど、それをとってくれたって訳ね----で、どうするんだ?

なんだか少しだけドキドキしてる。


(いや、これはただ単に普通の反応ってだけで特別な感情はないよ! まあシクラの奴は大嫌いだから、ある意味特別だけど、反転したって好きにはならないから!)


自分の中で変な言い訳してると、その食べカスをジ~~と見てたシクラの唇が少しだけ開く。整った綺麗な唇で、艶っぽい色をしてる。くっそ……なにを考えてるんだ僕は。こいつは敵だぞ。しかもきっと最大の敵。

そんな奴に女の子を感じるとか死亡フラグだろ! でも言い訳をさせて貰うと、LROが悪いと思う。もっとシクラをブスにしててくれればこんな事には……美女しかいないからって、見飽きるとかないからな! 美人は三日で飽きるとか言った奴だれだよ!

三日もすれば『慣れる』かもしれない。でも『飽きる』とか失礼過ぎだろ。実際、LROに居ると女の子のちょっとした仕草とかに目を奪われる事なんてしょっちゅうだ。ハッキリ言っちゃうとだな。どんなに性格悪くても--そしてそれをわかってたとしても、目を背けれない何かが美女にはあると断言しようじゃないか!

だから今のシクラにちょっとくらいドギマギするのは男として普通だな。近くで見るとやっぱりこいつも神々しいもん。なんて透き通るような肌! 長いまつげに、柔らかそうな頬は血流が良いのか、ちょっと紅い。唇はさっき言った通りだし、その瞳も月の様。そして日光を反射してキラキラすする月光色の髪。


てか、よく見たら、なんだか普通の服きてるな。シンプル・イズ・ベストを体現するような服だぞ。白いTシャツに大きな青いハートが一つラメ入りの輝きを放ってる。そして下はチェック柄のミニ。だけど主張する程強いチェック柄じゃない。近くでみて「ああ」ってわかる程度。靴はブーツとかのしっかりしたものじゃなく、なんだかサンダルちっくなのを履いてる。生足丸見え。てか、僕の角度からだとシクラのミニの中身が見えそうで見えない絶妙な位置だ。

こいつ狙ってやってんじゃないか? って疑わしくなるレベル。間近に見える太腿とか、健全な男子にはちょっとした凶器だな。てか、もっとゲームらしい服きろよ。どうみてもリアルのそれにしか見えない。


「何スオウ☆ 私の行動に興味ある?」


そう言ってシクラは食べカスが着いた指を唇の方に持っていく。ええ? まさかやっちゃうのか? いや、日鞠とは何度もあったけど、あいつとは良くある事だ。だけどシクラとなると、なんだか背徳的じゃなかろうか?

まるで禁断の関係……みたいな。するとどんどんその指が唇のへと迫る。なんだか見てられないぞ。なんでこんなにドギマギするか自分でもわかんない。そう思ってると、その瞬間シクラの顔にフッと黒い一面が浮かぶ。そして息をわずかに吸って、唇をわずかに尖らせる。

そんな態勢を整えた--と思ったら、さらに予想外な事が。これはきっとシクラにも予想外だったこと。


「あ~~~~~ん」


そんな声と共に、パクッと横から飛び出して来たバカがシクラの指を丸呑み--じゃなかった。丸かじりした。あれ? あってる? 目の前の光景がただのギャグと化した事で、一気にどうでも良くなったよ。


「ちょ!? ヒマ、あんた何やってるのよ!」

「チャパ~チュ~チュ~ジュ~~~~~!!」

「吸うなあああああああああああああああ!!」


そんな叫びを上げて、ヒマワリを振り解こうとするシクラ。だけどヒマワリの奴は、まるで何かの執念にでも取り憑かれた様に頑なにシクラの指をしゃぶってる。一体何があそこまでヒマワリにさせてるんだ?

実際、あんな食い掛けをそこまでしてたべたいか? って感じだし、とっくに胃に入ってるだろ。それでも離さないって……まさかシクラの指はスイーツみたいに甘いのか? そんなアホな事を推察してるとようやくギュポッってな音と共に、シクラの人差し指は開放される。


「うげっ……」


青ざめた声を上げて指を見つめるシクラ。その指はヒマワリの涎でべったりと成ってる。


「うう~全然足りないよシクラ!」

「あんた、人の指を食べようとしたでしょ? その頭は食べ物とそうじゃない物の区別も出来ないわけ……」


ゴゴゴゴゴ……と変な地鳴りが聞こえる様だ。だけどバカでアホなヒマワリはアッケラカンと笑いながらこう言うよ。


「あははは、だってシクラの指がなんだか甘く感じて--サトウキビ感覚でしゃぶっちゃった!」

「指が甘いわけないでしょ。どんだけハッピーな頭してるのよあんたは」

「でもでも、本当に甘かったんだよ。もしかしてシクラの指は十本全部に違う味が付いてたり……ハァハァ」

「ちょっ……なによその目?」


お仕置きの準備でもしてた感じだったシクラの奴が、ヒマワリの発言に軽く怯えてる。なんて珍しい反応だ。でも怯えてるっていうか、引いてるのかも知れないな。だってヒマワリの奴、今の発言と今の態勢から考えるに、シクラの指を全部舐める気でいないか?

まさに味をしめた……みたいなさ。それにシクラは引いてる。


「シクラ~しゃぶしゃぶさせてよ~」

「しゃぶしゃぶって……熱湯に浸けさせられるなんて絶対に嫌よ」

「?」


コテンと頭を傾げるヒマワリ。理解してないなこいつ。しゃぶしゃぶって言うから、料理の方で返したんだろシクラの奴は。でもヒマワリの貧弱な頭じゃしゃぶしゃぶなんて思いつかない。こいつはきっと感覚だけで喋ってるから。

思いついた言葉をポンポン口に出してるだけ。


「なんだか良くわかんないけど駄目なの?」

「ダメ」

「残りの味は明日以降?」

「そもそもあんたが期待する様な味は私の指にはない!」

「あっぷっぷぅ、シクラのケチ~。お願い確かめるだけ! たのんまっす!!」


こう言う時だけ、なんて綺麗に頭下げるやつだ。シクラの味が相当気に入った様だな。でも流石に、十種類の味は無いと思う。頭を下げると、ポニテを結んでるヒマワリの髪飾りがよく見える。まあチラチラ見えてたけど、ヒマワリだからヒマワリの髪飾りなのか? 安直だな。似合ってるけどね。ヒマワリの髪色よりも少し赤みがかったヒマワリだ。だから埋もれずに済んでる感じ。


「良いじゃない、指くらいしゃぶらせたって。ヒマは赤ちゃんみたいな物なんだから、口が淋しいんでしょ?」

「むむ、ならヒイちゃんがやってあげると良いんじゃない?」

「私はほら、妹だし。それに保護者はシクラでしょ?」

「うむむ……」


本のページを捲りながら、柊の奴がシクラを追い込む様な事を言う。あいつはあいつで楽しんで無いか? 無関心そうにしながらも、実はしっかりチェックしてそうだ。


「ヒイちゃんの言うとおりだよ--ハッハッ--」

「ちょっ、なんか近いわよヒマ」


ヒマワリの奴は目を爛々と輝かせがらシクラに迫ってる。しかもそれだけじゃなく、何故か短めのポニテがくるくる回ってる。一体どうなってるんだあれ? ジュルジュルと涎を垂らしそうにもなってるし、なんだか完全に犬っぽいぞ。

あのポニテはきっと犬で言う尻尾の役割果たしてると思う。柊が後ろ盾についたことで、ヒマワリの奴は引く気なさそうだ。


「指をしゃぶらせるだけで、そのバカが大人しくなるんだよ。お得じゃない。きっとしつこく迫ってくるよ。しゃぶらせないと」

「物は考えようって事ね。確かにこのままじゃこの駄犬がウザ過ぎるわね」

「わんわん!」


ヒマワリの奴は人としてのプライドをあっさり捨ててそう鳴いた。マジでバカって恐ろしい。目的の為なら、どんな屈辱も受け入れるか……まあヒマワリの場合、何も考えてないだろうから、屈辱とも思ってなさそうだけどね。

だってすっごく嬉しそうだもん。ご主人様の体を舐めたいなんてマジで犬だな。いや、ご主人様はセツリの筈だけど……今のこいつにはどうでも良い事か。シクラはため息一つつく。すると覚悟を決めたのか、恐る恐る右手をヒマワリの方へ差し出し始める。すると「はむっ」と五本の指を全部口が含むバカ。そのスピードたるやもの凄い早さだった。

わずかに自分の方に指が来たと同時に、脊髄反射みたいに食いついたぞ。


「ひっ! ちょっ……いっぺんには----ひゃあ!!」


シクラの表情が面白い程にコロコロ変わる。きっと指を舐められるのがとっても変な感じなんだろう。堪え難い表情してる。でもなんだかこういう顔は普通のプレイヤーや同年代の女の子と変わらないなって……見てて思った。


「だから--やめ----なさいってば!!」


その瞬間、シクラは思いっきり腕を振り上げる。すると一緒に手をしゃぶってるヒマワリも持ち上がって、そのまま地面にズドン!! だよ。まあ、ようはそんな音と共に減り込んだ。だけどヒマワリの奴は直ぐに穴から顔を出して文句言って来る。


「舐めて良いって言ったのに!」

「言ってないわよ!!」


確かに言ってはない。ヒマワリの奴はなんの声を聞いたんだ? きっと勝手に脳内補完したんだろ。そしてそれを実際に言ったと錯覚する。恐ろしい自己肯定能力だぜ。


「じゃあダメなの?」

「それは……ダメじゃないけど」


そうシクラが呟くとパアアと表情が輝く。そんなに美味かったのか? 僕は涎まみれのシクラの手を見る。実際こいつの手とか恐怖の対象でしかないけど……良く見ると普通の女の子手だな。どうやら僕もこいつには邪悪なイメージを植え付けてるらしい。

でもそれはしょうがない事だろう。なんたって敵だし。こうやってる事が寧ろ不思議な位だ。まあ確かに、シクラの手は綺麗だった。細長い指もしなやかだし、傷や怪我一つないし、骨張ってない女の子のしなやかな手。

美味しそう……と確かに言えなくもないかもね。すると斜め横から唸り声が聞こえてくる。


「ウルルルルル!!」


何事かと思ったら、ヒマワリの奴が僕に向かっていかつい顔でそんな声を発してた。まるで自分の餌を横取りしようとしてる輩でも見るような目。まさか心を読まれた? いやいや、そんなまさか……だけどマジでこっちを威嚇してるからな。

動物的第六感で察したか? けど別に美味しそうとは思ったけど、実際舐める訳ない。そこまで自分は変態じゃないぞ。シクラとヒマワリはまだ女同士で、しかも姉妹だからいいけど、僕が「指を舐めさせてください!!」って頭を下げたらそれはもう変態確定だろ。


「なに唸ってるのよヒマ? そんな声ださなくてもしゃぶっても良いわよ。ただし一本づつだからね。それと取り敢えずお座り」


シクラの声にしっかりと答えてお座りするヒマワリ。もう犬にしか見えない。そして一本だけ伸ばした指を差し出すシクラ。今度はしっかりとそれが目の前に来るまでまって、ヒマワリは口を開けて舌を伸ばして咥えようとする。

うわっ、姉妹だからまだ良いとかいったけど、なんだか舌を伸ばして指に迫るヒマワリは背徳的だな。見てるこっちが恥ずかしい。だけどカプっと加えてしまえば、何故か犬にしか途端に見えなくなる不思議。

逆に咥えられた後は、シクラがエロいな。微妙にピクピク反応してるし、恥ずかしいのか、モジモジと足をさせてるのもなんかやらしい。ミニスカから見えてる太腿をこすり合わせるとかエロ過ぎ。すっごくお邪魔なんじゃないかと思う。


「んっ……ねえスオウ。これからどうする気?」

「そのまま真面目な話!?」


ギャグにしか見えないんですけど。なんで指をしゃぶられてる奴と真面目な話しなきゃいけないんだ?


「しょうがないでしょ。これやっとけとばこのバカは大人しくしてるんだから、邪魔されずに済む」

「そうだけど……すっごく気になる」

「気にしないで」


なんだかいつものシクラと違う。星も出さないし、寧ろ照れた「///」こんなマークがつきそう。


「で、どうするのよ? 落ちたんだから、もう私達の所にくれば? そしたら生きれるわよ」

「それは……しない。それに今は先に助ける奴がいる」

「クリエだっけ? でもあんたじゃあの神には勝てないわよ」

「……」


無言の沈黙……だけど直ぐそこでペロペロ聞こえるから、落ち込ん出る筈が、イヤラシイことを考える様な絵図に--なんて迷惑な音だ。頭がピンク色に染まりそうだよ。頭のピンクを振り払う為に、僕は気になってたことを聞く。


「そういえばセツリは来てないのか? サクヤまでいるのなら、来てそうだけど。てか、ノンセルスで見た気がしたんだけど……」

「せっちゃんは来てないわよ。そもそも今、あんたに関わらせる様な事をさせたくないし。幻覚でも見たんじゃない? 恋しく--ひゃん!」


恋しく--ひゃん! ってなんだよ!? あまりの不意打ちに吹き出しそうになったよ! なんだか妙に鼓動がドキドキ--って、おかしいな。落ち着け僕。でもやっぱりいないのか。あれは気のせい……


「全く、はいはい次は中指ね。スオウ……言っとくけど、もうあんたはどこにも戻れない。居場所があるとするなら、私達の場所だけよ。誰もがリアルに帰ってく。どっちを取るか、早めに決めた方がいい」

「帰る場所が……ない」


もうリアルには戻れない……その事実を突きつけられた。いや、僕には希望がまだある筈だ。


「命改変プログラム……それがある」

「不確かな物ね。それにそれは発動しない。私達がいる限りね。スオウもこっちで暮らしてくれたら、全部丸く収まるんだけどな。せっちゃんもそれなら大喜びするだろうし、私達だってそうなったら敵じゃない。

可愛い女の子に囲まれた生活ができるんだよ?」


なるほど、そういう見方も--ってダメダメ、受け入れらる筈がない。だって僕はセツリとは違う。


「僕には……捨てたくない物がある。セツリにだって」

「せっちゃんには何もない。それはあんただって分かってるでしょ?」

「だけど、作れる。生きてれば、誰かと関わるんだ。自分から投げ出さなくたった良いんだ」

「それは寂しくない奴の台詞よ。それにもう、この問答はやり尽くしたでしょ。落ちたんだから、考えが少しでも変わるかと思ったけど、相変わらずね」

「当然だ。セツリをリアルに連れ帰る。それが僕の最終目標だ」


僕は真上を見てそう紡ぐ。横見たら雰囲気崩れるからね。それに空を見るってなんだかかっこ良いとおもわない?


「やっぱりあんたは私達の敵ね」

「その敵を助けたのはお前等だろ?」

「そうね。だけど無駄になるかも。このままじゃ結局邪神に殺される」


言い返せないな。もしかしてって思ってる方法はあるけど……それは流石に。そう思ってると、見透かした様にシクラはこう言う。


「協力してあげよっか? 自分が死んだら不味いのはこっちも同じ--だから協力しろとか言うのかと思ったけど? 」

「それは……確かにそれが唯一の方法かも知れない。でも、それをしたら僕はもうセツリを助けれない気がする」


良くわかんないけど、そんな気がする。するとシクラは「ハァハァ」と艶っぽい息を漏らしながらこう言うよ。


「ふふ、確かにそんな事をいう奴はどこで死んでもいいって思うわ☆ 協力なんて嘘だしね。確かにここで死んで貰っちゃ困るけど、敵である私達にまで縋る様なヘタレなら、きっとせっちゃんも愛想尽かすだろうしね。

そもそもノンセルスであのままあんたが諦めてたら、私達は助けにも入らなかったわよ。ただそれまでの奴で終わりなだけ。わかる? 私達が求めるスオウは、せっちゃんが憧れる対象でないといけ……うんっ! ……ない。

ハァ……そんなあんたを自身で倒すことで、リアルというしがらみを完全に断ち切る事が出来る。今のせっちゃんは恋に恋してる乙女なのよ。その恋の相手にあんたが相応しくないなら、勝手に時間が解決してくれるでしょう。

恋って誰かに終わらせれる物じゃない。自分で決着つけないと……あんたがあの子に見せた、そんな恋に恋する恋心は、あの子が思い描く理想のあんたでなくちゃ意味なんてない。それ以外は用済みなのよ」

「ははっ、言ってくれる……」


ようは自分の力でたどり着いて見せろって事だろ。次、もしも神に殺されたら、それはやっぱりそれまでの僕でしかないって……そういう事だ。ここでシクラ達を最初から頼っての再戦ももちろん論外。

セツリが思い描く僕が、そのままかそれ以上でその前に立つ……じゃないとこいつ等は謁見も許さないと……条件厳し過ぎだろ。


「でも少しだけなら協力してあげない事もないわ。流石にここから大逆転なんて、天地ひっくりかえっても無理だろうしね☆ 私達がきっかけになるかはわかんないけど、せっちゃんまで辿り着きたいのなら、引き寄せてみなさい。

ここから大逆転出来るかも知れない何かを」

「何か……」


そんな事を急に言われてもな。いや、待てよ。頭に浮かぶのはノンセルスで最後にローレが耳打ちした言葉。仲間も世界も敵に回した僕には、あの性悪女の残した情報に頼るしかない……か。


「あっ、だけど協力って言っても、代わりに戦うとかは無しだからね」

「分かってるっての。そんなの論外だろ。それよりも思い付いた。お前達に協力して貰いたい事」

「ふ~ん、なにかしら?」


チュパチュパチュパチュパ--そんな音が響いててイマイチ締まらないけど、僕は気にせずにいう事にするよ。緑色の光に包まれた様なこの場所で、敵のこいつ等にたった一つのお願いだ。


「お前等、僕の脚になれ」

第四百二十二話です。

なんだか今回もドタバタ劇でしたね。何故何故コーナーは最近書くのがちょっと大変で。時間も、もっと別の奴に割かないといけない時期なので、書ける時に書きます!

てな訳で、次回は土曜日に上げます。ではでは。

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