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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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風の止み時

 ローレの仕込みを見破った僕達。これでなんとか厄介な時魔法を逐一くらう事を回避できる。僕とリルフィンは協力してローレ達に再び挑む。風を吹かせて、最大速度で武器を振るう。

 それが僕の戦い方だ。


 怖い! ローレの奴、今なんて言ったよ。この問題が終わった後? あの時から、そんな事まで考えてこんなもん仕込んでやがったのか。

 まあ今の状況はその時には思って無かったんだろうけど、一体これをどう使おうと考えてたのか……まさかコイツ、僕をリア・レーゼに縛り付けるつもりだったんじゃね?

 コレならそれが出来るよな。


「お前……本当につくづく恐ろしい奴だな。その姿に反して……」


 僕はお札を破り捨ててそう言うよ。するとローレが悪びれる様子もなく言葉を返す。


「何を言ってるのかわかんないな。こんな可愛い女の子が恐ろしい事なんかするはず無いじゃない? 愛だよ愛」


 そう言ってクスクス笑うローレ。


「何が愛だ。お前のは押しつけだろ。てか、なんでそんなに僕にこだわる?」


 実は前々から気になってた事だな。どうして僕なんかにこだわるんだよ。何かしたっけ?


「裸を見せあった仲じゃない」

「誤解を招く言い方するな」

「じゃあ、スオウが私の裸を覗いたから、責任をとって貰おうかなって」

「もっと誤解を招く言い方だろそれ!!」


 より悪い方向に向かっとるわ。するとどこかからかこんな声が……


「今の発言、詳しく聞きたい所だな」

「なんでお前がそんなドスの利いた声でこっち睨むんだよ!」


 リルフィンの奴、殺意芽生えた様な目をしてるよ。ああ~もう、結局ローレの事大好きなんだからな。すると更に激しく猛る炎と共に同じ怒りが聞こえる。


【我らが主を辱めるとは、許せん所行だ!】


 そして僕を囲む様に展開する黄土色の魔法陣と一緒に今度はノームの声が頭に響く。


【やれやれ、まあ……なんというかのう、その………………うらやましいのう!!】


 そっちかよ!? ノームはエロ爺だったのか! その瞬間魔法陣に囲まれた範囲の床が一気に緩くなる。しまった。てっきりまた突起物が出てくると高をくくってたら、文字通り足下を掬われた形に成ったぞ。

 抜かるんだ地面に足を取られて、イフリートの炎を避けられない。まあ風の衣があるからどうにか成りそうではあるけど……そう思ってると、いきなり炎の勢いが増した? ってか、大きくなった。


【重要な事を貴様に教えてやろう。風でそもそも炎は消せん! 流れを与えてるだけだろう? ならばそんな余地すら無く、押しつけてやろう!!】


 くっ……確かに風で炎を消してた訳じゃない。風の流れに炎は逆らえないから、自分に当たらない様にしてただけってのは正しいさ。直前で風の盾が発動すれば、そこで炎は風に巻き込まれて体までは届かないってのが原理だろ。

 まっ、熱気は多少くるけど……でも確かに今度のは随分気合い入ってる。腕一本切られたからって、怒りすぎなんだよ。召還獣なんだから一度戻って、また出てくればどうせ元通りなんじゃないのか? 

 プライドの問題なのかね。僕なんかに腕を一本切られたのがイフリートとしては……召還獣としては屈辱とかさ。


「まったく!!」


 僕は炎に向かって恒星から風のウネリを放ちぶつける。だけど流石気合いが入ってるだけあってかなり重い。しかもなんだかズブズブと体が沈んでいくし……ふんばりが効かないって時点で不利だな。


【そのまま首まで埋めろイフリート。そうすれば捕獲完了じゃて】

【ふん! 捕獲など考えて攻撃なんかしてない! コイツは殺すつもりでやって丁度良い!!】


 おいおい、イフリートの奴荒ぶり過ぎだろ。殺すつもりとか……召還獣が私情で動いてるじゃん。


「スオウ耳を押さえてろ!」


 そんな叫びと共に、この場に響くリルフィンの咆哮。よし、これなら! ――って思ったけど、今回は別段何も起きない。


「何?」

「バカねリルフィン。私たちは手の内を知り尽くしてる。その咆哮の対策だってしてるわよ」

「当然ですぅ~。フッフ~」


 ローレの後の小生意気な声はあの小さな光から……どうやらアイツがリルフィンの咆哮を防ぐ何かをしたみたいだな。

 折角、リルフィンの数少ないアドバンテージ……今までも何回も有効に作用してた技だったのに……それさえも取り上げるなんて、ますます召還獣としての存在意義が薄れるじゃないか!


「おい、貴様失礼な事思ってないか?」


 リルフィンの奴……僕の思いを敏感に察しやがった。いや、もしかしたら薄々自分でも……


「まあいい、なら一体ずつ相手にしてやるだけだ!」


 そう言ってリルフィンはイフリートへ向かう。確かに今のイフリートは僕への攻撃へ全力投球してる。他はきっと無防備だろう。するとその時、ドスンドスンと言う音が聞こえた。

 そちらに視線を向けると、ノームの奴がリルフィンの方を向いてるのが見えた。きっと魔法か何かで阻む気だろう。

 僕はもう一本のセラ・シルフィングを奴へ向けて、恒星からウネリを放つ。


【ぬう!?】


 ノームの側面を直撃するウネリ。その間にリルフィンがイフリートに武器を持って迫る。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 そのまま勢い良く突っ込んだリルフィン。白いトゲトゲした武器がイフリートの腹に突き刺さる。


【ぐっ……】


 ガクリと膝が折れるイフリート。すると炎の軌道が僅かだけど僕からズレる。勢いが他へズレて流れてる間に、僕はウネリを解いた。

 そして一旦セラ・シルフィングを鞘へ納めて、両手を解放。僕は両手をおもいっきり下へ伸ばす。すると宙で確かに感じる感触。両腕のリング状のウネリと小さな羽根が淡い光を震わせる。

 そして次の瞬間、空気がはぜる! その勢いを利用して足を一気に引き抜くよ。


【この……役立たずか!】

「ぐあああ!?」


 リルフィンがイフリートの腕に飛ばされてる。流石に変身してないと、対等の力って訳にはいかないようだな。だけど――


「役立たずは酷いだろ。同じ存在だろお前等!!」


 僕は一瞬でイフリートの頭上へ現れて、そこから一気に両方のウネリをぶつける。床に叩きつけられるイフリート。僕はリルフィンに向かって叫ぶよ。


「おい、なんとかコイツを拘束出来ないのか? HPを0にしてる暇なんてないんだ!」

「よし、任せろ!!」


 僕の言葉にそう頷いたリルフィンは、自身の足下に魔法陣を表した。青紫色した魔法陣は、床に叩きつけてるイフリートの下にも現れる。するとリルフィンは自身の白銀の毛を数本むしり、足下の魔法陣に押しつける。

 するとイフリートの下に輝いてる魔方陣から細い糸みたいなのが出てきて、奴の口や腕や足、体全体を縛り上げて地面に固定する。


【ぬぐぅぅぅぅ!!】

「無駄だイフリート。幾らお前でも俺の毛の頑丈さは知ってるだろ? お前の炎でも切れはしない」


 おお、なんだかこの戦闘で初めてリルフィンが決めちゃった感じだ! でもイフリートの熱にも耐えれるとかなかなかにスゴいじゃないか。

 でも嬉しがるにはまだ早い。僕はリルフィンに質問するよ。


「おい、あの黄金の棺は二人掛かりなら砕けるか?」

「難しいな。その進化した貴様の武器でも無理だったんだろう? 今の俺は万全でもない。元の姿に戻れればやれたかもしれんが……今は厳しい。

 元からノームは守りの要。その役割を担うって事は伊達じゃない」


 つまりは無理って事だろ。――って事は、自ずとやるべき事は決まる。やっぱり狙いはあのフィアって奴になりそうだ。


「おい、あのフィアって奴は何なんだ? 召還獣か?」

「フィアテールは自由と光を司る召還獣だ。あんな形してても、その力は絶大に強いし、あんなアホな喋り方でも実は賢い」

「そうなのか?」


 イマイチそんな実感わかないんだけど……強いのかあれ? 


「そうなんだよ。油断は絶対にするな。あいつは純粋なんだ。恐がりだし、戦いだって好きじゃない。直ぐに泣くし引きこもったりもするが、泣きながらやってくる事はえげつないぞ。

 一瞬で消されたくなかったら、一撃で決めるしかない」

「一撃なんてそんな……普通無理だろ?」


 最初の頃の雑魚モンスターなら、一撃で今なら倒せるだろうけどさ、そんな召還獣が一撃とかあり得ないだろ。そう思ってたけど、リルフィンはさらにこう言うよ。


「あいつは特殊だ。言っただろ、あいつは戦いが好きじゃなく恐がりなんだ。体力が幾ら余ってようと、フィアテールは一撃当てたら消える。そういう召還獣だ」

「なるほどね」


 そう言う仕様って事か。それなら納得。だけどそれは逆に怖くもあるよな。その一撃を当てられないと一体どうなる事やら……そんなおかしな仕様になってるって事は……かなり危険だって事が想像つく。

 でもそれだけ滅茶苦茶な存在だからこそ、こんな事が出来てるって事なんだろうな。そもそもこの儀式は聖獣用だろ? それを召喚獣が代わってやってるって……召還獣は便利だな。


「一撃……外せないな」


 ローレの奴がやけに必死にフィアを守ってたのはこういう事だったって訳だ。別に儀式が妨害されるのがイヤってだけじゃなく、フィア自身が居なくなるのを避けたかった。


「お前、さっきのイフリートを縛ってるのと同じ魔法……他の奴らにも出来ないのか?」

「出来ればやってる。だがあまり効率よく運用出来ないんだ。動かれれば大体外れる」


 動かれれば……か。イフリートは僕が地面に叩き付けた隙に掛けたからな。でもそれなら――


「ノームはいけるんじゃないか? アイツ殆ど動かないだろ?」

「アイツは確かになかなか動かないが、言っただろ……守りが得意な奴だ。ただ縛ろうとしてもきっと防がれる。イフリートと同じように、少しでも意識を飛ばす位の攻撃をしないとダメだ」


 それじゃあ厄介だな。わざわざノームに構ってられない。


「んじゃあやっぱり狙いは――って!」


 足下に現れる黄土色の魔法陣。とりあえず下から出てくる魔法か、地面を緩くするのかどっちかだろうってことで、上へ飛ぶ。

 すると床がなんだか激しく振動してるのような? すると魔法陣から、とっても逞しい腕がゴゴゴゴ!! って伸びて来た。


「んな!?」


 僕はとりあえず空中を蹴ってその腕をかわす。だけどリルフィンはその腕に捕まえられてた。獣姿なら、自由に空中を闊歩出来るのにな……人型でしか居られないのが仇になったな。


「リルフィン!!」


 僕は空中を移動してリルフィンを捕まえてる土の腕を切り裂く。細切れになった腕の中からリルフィンを捕まえて目指すはフィアの元だ!!


「このまま一気に行くぞ!」

「気を付けろ、メノウとローレの位置取りは何か意味があるぞ」


 リルフィンの指摘は僕も感じてたことだ。フィアを中心に添えて、内側にローレ、更に感覚を空けた外側にメノウが居る。

 でもアイツ等の場合、妙に勘ぐらせて行動を取らせないって考えも有りうるんだ。だって時間は奴らの味方。進めば進むほど、目的達成へと近づく事になる。

 だからこそ、僕たちは止まれない。本当になにかあるかも知れない。だけど飛び込まないと、手をこまねいてるだけじゃ、奴等の思う壺だ。


「うおおおおおおおらぁっ!!」


 空中で力を貯めて、それを一気に解放して、フィアを目指す。空気の振動が脚に残り、ちょっとピリピリするよ。そして体全体に受ける風の衝撃。

 一瞬にして僕達は、メノウを越えてローレ……そしてその後ろのフィアを見据える事が出来る位置に。僕はこの時、既に手を打ってた。

 掴んで持ってきてたリルフィンを、メノウへと超高速でぶつけるって強攻策を何の相談もせずに実はやってました。

 だって確実にメノウは何か対策を講じてるだろう。その確信が心の中にあったんだ。確証はどこにないけど、メノウの奴が何も出来ない……なんて楽観視は流石の僕もしないよ。

 僕はメノウとすれ違う瞬間、リルフィンをメノウの方に投げたんだ。だから今頃、二人は仲良くぶつかって吹っ飛んでくれてる筈。

 まあもしかしたら、二人が吹っ飛ぶよりも速く僕は動いてるのかも知れないけどね。すると普段よりも大きく展開してた恒星の動きが鈍くなったような感覚が!

 ローレは反応できてない……っていうか、自分じゃ反応できないと既にローレは分かってる筈だろう。だからこそ、自分の範囲内に入った対象の時を遅くするような、魔法を周りに張ってるのかも知れない。


(それなら!)


 僕は二個の内の一個の恒星をうねりを放ち自身の周りから解き放つ。そしてそのまま僕は前へと進む。すると案の上、自身の動きが不自然に鈍くなるのが分かる。

 鈍くなったからか、後ろで聞こえるリルフィン達のふっとんだ音。そして少しずつ進む事で分かった事があった。ローレの時魔法はメノウが使う奴程に強力じゃない。メノウはマジで時って奴を操ってるみたいだけど、ローレはその範囲が極端に小さいし、離れてる相手には体感時間に誤差を生み出す位の事しか出来ない。それに時間を操るのは事前に準備を必要みたいだしな。

 僕がテッケンさんから受け取ってたお札とかさ……あれで素早い時魔法の発動をしてたらしいローレ。でも今回は杖を叩きつけての発動さえ、出来ない速さ。

 それなのに僕の時が遅くなってるのは、ローレの奴、事前に大量の札を透明化させてフィアを囲む空間に張り巡らせてたみたいだ。

 そして触れた場所から時が遅延させられてる。しかも一つが反応すると、連鎖的にお札はその場所に集まって来る様になってたみたいで、僕の体に次々と大量のお札が張り付いて来る。


(意識が……止まる)


 その感覚があった。ローレの奴、数で自分の魔法の欠点を補いつつ強化までしてるんだ。完全じゃない魔法を、完全にまで昇華させてる。

 やっぱりこいつ……口だけじゃない。僕は時が完全に止まる前に念じる。


(行け!!)


 そして一瞬全てが見えなくなった――――――――――――と思った次の瞬間、僕の肌を撫でる風を感じた。時が動き出してる。一つだけだった恒星のもう一方が遠くから戻ってきて僕の周りに再び加わってた。

 ようは……上手く行ったって事だろう。風の流れの先に吹き飛ばされたローレの姿。風のウネリと共に解き放った恒星はその命令を遂行してくれた。

 時魔法をローレがどこかで仕掛けるのは絶対だった。てか、メノウも居るんだしどっちかは使うだろうって踏んでた訳だ。


 メノウの時魔法は範囲内全ての時間を停止させるからどうしようもないけどさ、ローレのは二回受けた中でなんとか自身でなんとか出来そうな方法を考えてたんだ。

 ローレの時魔法は周囲の干渉を容易に受ける。リルフィンに殴られただけで解けるくらいだしな。だけどそれが自身だとどうにも出来ないってのも確かだ。我が身一つじゃ時魔法を攻略するのは難しい。

 どうやら体に触れてる部分は全部対象になるみたいだったしな。触れてない恒星も自身の周りを回ってる間は僕の一部と同じ扱いだった。


 だけど完全に離れさせる事が出来れば? って思った。イクシード・アウラのウネリは恒星から自由に出したり出来る。それに飛んでるんだし、もっと有効に使う術を考えた結果が、これだ。

 セラの聖典を参考にしてみたよ。自分の時が止まった時を想定して予め恒星に簡単な指示を「思い」として組み込んで分離。そして時が完全に止まる前にそれを実行に移した。

 実際ちゃんと出来るかなんて不安だった。だってセラの聖典は、自由に動いてる様に見えて完全にセラが頭で全機を操ってるからね。

 もしもそういう仕様なら、自分の時が止まった瞬間に、恒星も止まるかも知れなかったからな。だけどそこら辺はやっぱり違ったみたいだ。


 聖典みたいに複雑に動かす事は出来ないけど、簡単な命令なら事前の思いの通りに動いてくれる。だからきっと、恒星は僕の時が完全に止まって、勝ち誇ってたローレに直撃したんだろう。

 完全に勝てたと思って良い状況だった筈だっただろしうな。でもこっちだって新しい力まで得たんだ。そうそう簡単に負けられるかよ。

 出来ることの可能性って奴をまだまだ模索してるんだよ。


「っつ……」


 ローレは床に倒れたままだ。これでフィアを守る物は何もない! 僕の周りに緑色の風が集い、服や髪を靡かせる。思いを組んでくれてるみたいだな。

 一撃……あと一撃だ!!


「いっくぞおおおおおおおおおおおおおお!!」


 回転とひねりを加えて空中を蹴る。空気が弾けて、僕は光の召還獣フィアテールの元へ迫る。決まった――完全にそう思える状況。


【加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速加速】


 頭に響くそんな声と共に、目の前に現れたのはメノウ!? こいつそんなに速くなかっただろ? そして目の前に現れたメノウは僕の頭を両手で鷲掴みにする。

 この速さの僕をいとも簡単にだ。


(おかしい、こいつ何やった!?)


 そう思ってると、頭に直接流れ込んで来る惨たらしい映像の数々。


「や……っめろ!!」


 僕はメノウの両腕を切って脱出。だけど足下がふらついて、今の映像がフラッシュバックする。そして胸から喉に掛けて何かがせり上がって来る感覚。

 口元を押さえつけてなんとか堪えるよ。


【フィアテール 守護 絶対】


 いつもは全然感情の起伏なんか感じさせないメノウだけど、この時ばかりは力強さを感じた。決意って奴か? だけど……それはこっちも同じだ!! 僕は怯まずにメノウに向かって直進する。

 だけどやっぱりメノウの奴は僕の動きに反応してる。一瞬の筈なのに、まるで僕が向かう場所が分かってるみたいに、そこに手が向いてる……いや違う、これはまるで僕が自分でメノウの手へと突っ込んでるみたいだ。

 僕は地面を蹴って、斜め上へ。そして空中を蹴ってそこからメノウの頭上を通ってフィアを目指す。だけどどこをどう迂回しても、何故かメノウの腕がそこにある。


(どうなってるんだ!?)


 すると遠くからリルフィンの声が聞こえた。


「洗脳だ! 精神支配を受けてるんだスオウ!!」


 精神支配だと? 一体いつ? 洗脳なんてされてる気はないぞ。すると後方から更にこんな声が……


「洗脳って気づかせずにやるものよねスオウ?」

「ローレ!」


 まさか……本当に僕は既にメノウに犯されてるのか? たった二度、あいつの精神攻撃食らっただけだぞ。それで洗脳なんて……いや、あり得ないだろ。

 でも確かにメノウは僕の攻撃を読んでるが如き速さで対応してる。てか、これは速いなんて言えない。僕が動き出してから、メノウが間に合うなんてあり得ない。

 奴のさっきの加速はそれを有りにしてしまってたけど、それからはメノウ自身は実は一歩も動いてないんだ。僕に追いつける加速はあるけど、多様は出来ない……そしてこれが加速じゃなかったら……考えられる事は精神を読んでるとかだ。

 支配じゃない、僕の心を読む準備をあの二回で奴はやったんじゃないのか。僕は試しに、複雑に動きまくってフィアを目指す。だけどやっぱりフェイクには一切メノウは惑わされない。

 僕が「行く」と思ったときに、必ず奴も来る。だけどそれならもう小細工なんかしないだけだ!! 精神攻撃の辛さに避けようとしてたけど、こうなったら覚悟を決める。メノウに僕を止める力はない! それに時魔法を発動させるよりも僕は速く動ける。

 なら後は覚悟の問題だろ!! 僕はその腕に突っ込んだままフィアを目指す。頭に流れ込む絶望や終焉を伝える映像。だけど僕は前だけを見る。


 だけどその時だ。大きく黒い光の柱が脈打った。そして響いてた聖獣の叫びが完全に消え去る。ニ体の聖獣は光と共に消えていく。そしてこの場所をその黒い光の柱が包み込む。

 何故か一瞬で一人になった。精神攻撃を受けすぎたかも。何も見えない……だけどどこかからか聞こえる足音。そして闇の中から遂にアイツが姿を現す。

 第三百九十九話です。

 とうとう、とうとう奴が復活? の所まできましたね。まあまだ確定してないですけど。この流れだと……って感じですね。でもそれじゃあパワーアップの意味が……って気もしますね。

 まあどうなるかは次回です。

 てな訳で次回は火曜日に上げます。ではでは。

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