何度も何度も
戦闘は続く。本殿の下で、外周で……そして空で。下にいるモンスター共も世界中を伝って強引にここに来ようとしてるし、まだ聖獣はどいつも健在。まだまだ予断を許さない状況だ。
頭上を通り過ぎるエアリーロとエルフ聖獣。その二人の勢いが激しい風を起こしてる。ここはどうした方が良いのか……魚聖獣はイフリートに任せるしかないとして、僕はテッケンさん達に加わるべきか?
でも実際エアリーロだけで大丈夫か心配でもある。
「一体一体確実になら、エアリーロがアイツを引きつけてくれてる間に、こっちはもう一体を倒す。それで良いんじゃない?」
そう言うのはセラ。まあ確かにそうなんだけど……エアリーロの事は気になるんだよね。そう思ってると、後方のシルクちゃんがビックリしてるみたいな声を上げる。
「きゃあ!」
――ってな可愛い声。
「シルク様?」
セラがそんな声を聞いてシルクちゃんの方へ。するとその時、大きくて野生的な腕が本殿外周の床に現れる。あれは……まさかオイオイだぞ。
腕の次に顔を出したそれは、やっぱりモンスターじゃないか! そいつはシルクちゃん達を見つけるなり、汚い涎をまき散らす様な声を上げる。
「コイツ……落ちろ!」
セラがそう言って、顔を出したモンスターの顔面にその武器を突き刺す。相変わらず残酷な奴。そのモンスターは上がる事無く消えていった。だけど……
「セラちゃん、向こうにも居るよ!」
そんなシルクちゃんの声にその方向を見てみると、確かに端っこの方から上がろうとしてる奴も……って、その逆にも同じようにしてる奴も居る。
「次々と来てる……コイツ等にとっては道なんて元からあってなかった様な物ね」
そう言いつつセラは手元の武器を大きな手裏剣に組み替えてる。そしてそれを下に向かって投げる。すると気味悪い声が次々と聞こえて、端っこの奴を切り裂いて出てきた。
どうやら他の登ってきてた奴らも落としつつやってる様だけど、更にその反対側にまでは手が回ってないぞ。僕はウネリでそいつ等を押し出す。
だけど次から次へと床に手を掛ける腕は増えるんだ。元から大量に居たからな……上から狙い撃ちされる位ならって事でこっちに来てるのかも。
モブリ達を襲ってる場合でも無いしな。てか、リルフィンの奴は何を……そう思ってると、よじ登って来てる奴らを片っ端からそのデカい尻尾で叩き落としていくリルフィンの姿があった。なるほど、一応阻んでくれてたのか。
モンスター共が四つん這いになりながら登って来てるのに対して、リルフィンはスイスイだからな。そのアドバンテージは圧倒的。
だけどモンスター共も何もしようとしない訳じゃない。一応下からの援護はある……けど、元から強烈な風が吹き上げてる場所だ。その援護は殆ど役になんか立ってない。
そう思ってるとリルフィンが下から十数人の僧兵をギュウギュウに乗せて戻ってきた。
「残り半分だ。貴様等は聖獣の相手をしてろ。お前達はここから魔法で登ってくるモンスターを攻撃するんだ。その位出来るだろう」
「は……はい!」
リルフィンの言葉に弱々しくも頷く僧兵の皆さん。確かにそうした方が効率良いかもな。そして再びリルフィンは下へと駆け出す。
もう直ぐそこまでサン・ジェルク艦隊は来てるんだけど、飛べるモンスターに囲まれてるな…ここに一気にこれたら、戦力的に圧倒出来そうなんだけど……流石に世界樹を傷つける訳にもいかないから、砲撃は地面の奴ら限定だしな……ここまで取り付かれたらやっぱり白兵戦がメインになる。
「スオウ君とセラちゃんはリルフィンさんが言うように聖獣の相手をお願いします。こっちは私達が一体もモンスターを上げないようにしますから。大丈夫、ちゃんとみんな背中は守って見せます!」
シルクちゃんはその細くてしなやかな拳を握りしめる。全く、僕達の回復にこの僧兵達への指示と、色々と大変だろうに……本当に彼女こそ僕達を支える幹だよ。
「頼りにしてる」
僕はそう伝える。するとシルクちゃんは「はい!」と元気に笑ってくれる。その笑顔を見るだけで、なんだか少し体が軽くなるような……そんな不思議な力を感じるよ。
「行くぞセラ!」
「私に指示しないでくれる」
何故か仏頂面してるセラ。するとその時、イフリートの出してた炎の柱が大きく膨らんで弾け飛んだ。
【くっ……】
「どうした?」
僕達はイフリートの側へ。するとその焼けただれた中から煙を上げて魚聖獣がその姿を現す。こいつ……あれだけの炎を食らっても大丈夫なのかよ……
【いや、奴は我が炎を食らってない】
「どういう――」
その時、聖獣の持つ盾が目に入る。そう言う事か……確かにアレを使えばイフリートの炎でも関係ないかも。だけど次の瞬間、その盾がボロボロと泥の様に崩れていく。
「――おい!」
【我の炎をなんの代償もなく吸収しきれると思うな】
流石は召還獣だ。まさかあの盾でも吸い取りきれない炎だったって事か。吸収仕切れないと判断したから、魚聖獣は今まで吸収してた炎を放出して、炎と炎をぶつけた――ってとこか。
「げはははは……こんな物無くても……俺たち聖獣は貴様達なんかに、負けはしねーよ!!」
そう言って、魚聖獣は自身の皮膚の周りからドロッとした水なのか粘膜なのか、よくわからない黄色い液体を出し始める。本当に気持ち悪い奴だな。
そして大きく首を仰け反らせて、ボンッ――――ドンッ!! とその魚の頭が膨らんだ。そして一気に噴出される圧縮された水。だけどそれは今までの細いのとは違って結構太い。ようはこれだけの太さを確保する為に、水をその頭に一気に溜めたのか。
するとイフリートが床にその手を付き、その口から炎を吐き出す。目の前が一気に真っ赤に染まった。でもこれって……
「おい、これってさっきと同じじゃないか? こんな広範囲な攻撃じゃ、また一点集中で抜かれるぞ」
僕はイフリートにそう指摘してやるよ。するとイフリートが炎を強める。
【二度も我の炎は抜かれん!!】
その言葉通り、炎は水を押し返して、魚聖獣を包み込む。今や奴にこの炎を防ぐ術はない。これで魚聖獣は終わり――――――――――――かと思ったら、炎の中から奴は飛び出してくる。そして水で作ったであろう三つ叉の槍をイフリートへと投げつける。
イフリートはとっさに腕でそれを防ぐ。だけど突き刺さった三つ叉の槍は、イフリートの腕でボコボコと膨れ上がり、爆発した。
【ぐっぬううううううう!!】
後ろへよろめくイフリート。爆発した腕を見ると、何故か水分抜き取られた様にガリガリになってた。
「イフリート!」
【うるさい……解せぬ。どうして我の炎に耐えられる】
僕の言葉は一言で無視して、そんな言葉を魚聖獣へと向ける。
「この液体は特殊なんだ。熱耐性の技くらいある!」
そう言って口から再び三つ叉の槍を出し始める。ようはあの黄色い液体が炎を阻んでるって事らしい。
両極端にある水と炎。どっちに対しても弱点なんだな。
「お前、別の奴を相手にした方が良いんじゃないか?」
【ふざけるな。我の炎は水程度で消されはしない】
そう言って、イフリートは魚聖獣へと迫る。そしてそのゴツい腕で奴を吹き飛ばす。でも空中でも水弾を放って来る聖獣。そして再びその三つ叉の槍を投げる。
アレを食らうとまたさっきみたいに……流石にヤバいだろ。僕は出ようとする――だけどそれよりも早くセラが出てた。セラは三つ叉の槍をたたき落とすと、武器を組み替えて、聖獣に投げ放つ。
大きな手裏剣が聖獣の体へと食い込んだ。でも、そこで回転止まってるぞ。どうするんだ?
そう思ってると、キラっと何かが光るのが見える様な。するとセラは何かを引っ張る。その瞬間、手裏剣が逆回転しだして、魚聖獣の体を切り刻み始める。
「んがっががが!!?」
そんな声と共に、無理矢理手裏剣は奴の体から離れる。するとそこでイフリートが魚聖獣を地面に叩き落とす。見事な連携をみせたな。我が強そうな奴らで、こんな風に出きるなんてビックリ。
するとイフリートがこんな事を言いやがる。
【貴様など必要ない。エアリーロに助力してろ。奴は我よりも弱いからな】
おいおい、それはエアリーロ聞いたら怒りそうな言葉だろ。でも実際エアリーロ側に助力した方がいいのか……それともテッケンさん達に加わった方が良いのか微妙だよな。
エアリーロは召還獣だし、一体でも大丈夫だろうけど、テッケンさん達はニ対一でも厳しいと思うんだ。そう思ってチラリと二人の方を見ると、今度は鍛冶屋にこんな事を言われたよ。
「こいつはスレイプルの意地に懸けて俺が倒す! 貴様は来るな!」
え~と、僕って実は嫌われてるのかな? ちょっとショックなんですけど。もっとオブラートに包めないのかコイツ等は。
ふん、いいさ。僕は空いてるスペースに向かって走るよ。そして手を挙げてエアリーロを呼ぶ。
「エアリーロ!」
煌めく風とエルフ聖獣の黒い光が空中で何度もぶつかっては離れるを繰り返してる。うん、大変そうだ……聞こえてないのも仕方ない。
僕はもっと大きな声で叫ぶ事に。
「エアリーロオオ!!」
だけど更に激しくぶつかるエアリーロには届かない。なんか自分だけ空しくなるな。そう思ってると、こっちに向かってる様に見えるエアリーロと聖獣。
これはチャンスだ! 僕は再び手を挙げてエアリーロを呼ぼうとする。だけど「エ」を発音した直後に、エアリーロは頭上を通り過ぎて行ったよ。
しかもその後には激しい風を残して。あんの野郎……信じてたのに……ちょっと涙目になっちゃうぞ。僕はセラ・シルフィングに風を集め出す。そして大きく上空に掲げて目一杯叫ぶ。
「エアリーロオオオオオオオオオ!!」
するとウネリを中心に風が巻き込んでくる様な感覚が……なんだ? 風の勢いが強くなり過ぎて、腕がガタガタ震えるぞ。
「おいおい、どうなってんだ?」
そう言ってる間に、僕の足は地面から離れる。そしてウネリと同じ方向に回転し出す。ヤバい、制御出来ない。どんどん体が空に浮いてくぞ。
するとそこになんとエアリーロとエルフ聖獣まで巻き込まれて来やがった。
【何をやってるんですか貴方は!?】
「何って言われても、僕もわかんないだよ! いきなりこんな風になったんだ」
怒られる筋合いないよ。そもそもエアリーロが直ぐに気づいてくれたら、こんな事にはならなかったんだ。
「くっ、また貴様か、つくづく厄介な人間だな!」
そう言って、エルフ聖獣はこちらにその羽を伸ばす。僕は無理矢理、竜巻化してるセラ・シルフィングを動かすよ。すると不安定にうねりが揺れる。そのおかげで、聖獣の攻撃がズレた。
ズレたって言うか、ウネリに巻き込まれてるから、ウネリの動きから聖獣もエアリーロも逃れられないってだけだけどね。
でもウネリが揺れると僕まで大きく揺れるから目が回る。制御出来なくなったイクシードはオカシナ方向に行って世界樹の枝をベキバキと折ってしまう。
「やっべ……」
またローレに文句を言われるぞ。マジで誰か止めて欲しい。そう思ってると、エアリーロの声が聞こえた。
【貴方の風を私に預けなさい!】
「預けるって……どうやって?」
わからない……その術が謎だ。
【何もやるな!】
エアリーロがいつになく厳しい……しょうがないから僕はじっとイクシードの回転に身を任せる事に。すると僕のイクシードのウネリに、エアリーロの風が入ってくる。ウネリの回転の隙間に少しずつ加わってきて、そして一気に内側からウネリが強制的に拡散された。
浮遊感がなくなり、落ち出す自分。だけど直ぐにエアリーロがそんな僕を拾ってくれる。
「サンキューな」
【いえいえ、ここまで手を焼くのは主以外では貴方だけですよ】
うん? それはまさか、僕があの性根悪いローレと同等と? ちょっと傷ついた。すると後ろからこんな声が。
「逃がさん!!」
ズパズパと枝を切りながら迫るエルフ聖獣。そんな姿を見てエアリーロは苛ついてる。
【奴め……世界樹をよくも】
エアリーロは大きく旋回して、世界樹から離れる。どうやら聖獣を世界樹から放したいみたいだな。
【やれますか?】
世界樹から離れるとそんな事を聞いてくる。僕は後ろから迫る聖獣をちら見して、手元のセラ・シルフィングをみる。
さっきの今でイクシードで風を使うのはヤバいかな? てか、一体なんであんな事に?
【不安ですか?】
心を見透かす様にそう言うエアリーロ。不安と言えば不安だよな。原因わかんないし……そう言えば下では使えない時があった。
何か不安定になってる? でもイクシード以外で僕が聖獣に対抗できる技はない。奴らは必ず倒すんだ。リア・レーゼの為にも……そしてあの子を奴らから解放するためにもだ。
「いや、やれる! やらなきゃいけないだろ!」
【そうですね】
聖獣の攻撃を空中で回転してかわすエアリーロ。僕達は聖獣の頭上に廻る。片手でエアリーロの毛をがっちり掴み、片方のセラ・シルフィングを振り卸す。
だけどそれは奴の羽に阻まれる。くっそ……本当に厄介な能力を付け足しやがったな。今まではあの長刀だけを注意してればよかったけど、今やこの羽も立派な武器と化してる。ある意味三刀流みたいな……そう思ってると、羽が大きく広がって両側からハサミの様に迫ってくる。
だけどそれをエアリーロは加速してやり過ごす。エアリーロはかなり速いと思うんだけど……エルフ聖獣はピッタシと後ろを着いてくる。
「ふふ、そんな物か風の召還獣よ!」
すると全身から溢れでる黒い煙。それと共に、エルフ聖獣は波打って消えていく。そして直ぐ横にモヤッとした煙が現れたと思ったら、そこから奴の武器だけが姿を現す。
【くっ……】
エアリーロの翼を貫くその刃。羽根が数枚ヒラリと夜空に消えていく。エアリーロはなんとか方向を変えて自分でその刃を抜く。だけど直ぐに今度は別の所から刃が現れる。
僕はエアリーロにその刃が届く前に弾き返す。だけど本体が見えないんじゃ、攻撃を当てる事が出来ないぞ。どこから出てくるかわからない攻撃が何度も何度も僕達を襲う。
「どうなってるんだ? まるで闇に溶けてるかのようだぞ」
【このままでは不味いですね。少し強引に行きましょう】
そう紡いだエアリーロは口の前に風を集める。そしてその風の玉を数カ所に打ち放った。一体何を……そう思ってるとこう言われたよ。
【しっかり捕まっててください】
するとその瞬間、数カ所に放たれてた風の固まりがそれぞれの場所で解放される。すると一気に暴風が吹き荒れた。ビリビリと体に伝わる風の力。
そしてエルフ聖獣の隠れた姿がその風で露わになった。黒い煙までをその風で吹き飛ばしたんだ。奴は少し離れた場所に行る。そしてエアリーロを上下左右で取り囲む黒い煙のリング。そう言えばアイツ、その影か煙を通して攻撃を遠くに届かせる事も出来た。それを使ってたって事か。
だけどこんな事が簡単に出来るとも思えない。エアリーロを囲む様なこの煙……それの準備が出来たからこそ、使いだしたんだと思う。
普通に地上で戦う分は、移動距離も限られるだろう、準備なんかいらずに使えそうだけど、ここは縦横無尽な空だ。
しかもエアリーロはかなり速い。ただ煙を近くに出現させる……それだけでも難しい筈。それをクリアしたのがあのリングだったんだと思う。
【夜の闇に溶けて、イヤな臭いがすると思ってました。だけどその罠は全て流れましたよ】
罠……風が吹き荒れた範囲をよく見ると、黒い夜空の中に流れる煙が所々に見える。縦横無尽に動ける空だからこそ、所かまわずマーキングみたいなのを打ってたのか。
だけどそんなエアリーロの言葉に、エルフ聖獣は口の端をつり上げて笑う。
「くっくはは!! 問題はない。夜の闇は我の味方だ。心地よい闇を我は幾らでも得られる」
そう紡ぐと、いきなりどこから出したかわからない漆黒のマントが夜空に揺らめいてた。おいおい、あれじゃまるで……
「吸血鬼……みたいだな」
仮面は余計だけど、闇夜に佇むその姿はそう見える。奴には牙もあるし、あのエルフの長い耳も相まってそう見える。影みたいな煙を使うのも、吸血鬼の特徴か?
そう思ってるとエルフ聖獣はその長刀を僕達に向ける。来るか? まあ当然来るだろう。僕は集中するよ。イクシードを暴走させる訳には行かない。
ウネリはなんか不安定だ……もしかしたらこの世界樹周りの気流が影響してるのかも。それに考えたらウネリは奴の盾に持って行かれてしまう。
まあ二対だし、やりようはあるけど、前にメドゥーサ聖獣を倒した時のがきっとベストだと思うんだ。今のイクシードは両方の力を有してる。
ただの雷撃を剣に止めるんんじゃない。イクシードとして溢れてる風と雷……その両方の特性をこの剣に収束させるんだ。
「エアリーロ、お前の風も貸してくれ」
【お好きなように】
更に安定性と威力が欲しいから、僕は自身の風にエアリーロの風を混ぜる。それにエアリーロの風を混ぜてれば、少なくとも暴走って事はないと思うんだ。まあ保険だな。
集中だ……集中……あのときの感覚を思い出して、押さえ込んでたイクシードを解放していく。ウネリが出来出すけど、それを押さえ込んで、雷とのバランスを……
「お前のその自慢の剣、我がへし折ってやろう」
奴の漆黒のマントがこちらに突き出してる長刀に巻き付いていく。そして溢れ出す煙の様な影。すると次第に刀身が見えなくなってく。
おいおい、今度は全身じゃなく、刀身だけ? 範囲が狭くなったのはそれで十分だからとかか? それにしても嫌な感じが肌を突くような……そんな気がする。
それに……イクシードがなかなか上手くいかない。だけど聖獣の奴が待ってくれる訳もないんだよな。エルフ聖獣は刀身が消えた武器を振るう。
すると次の瞬間、全身から溢れる血!?
「なっ……に?」
一振りの筈だった……それなのに……僕達に刻まれた傷はそれの何倍も多い。すると再び聖獣がその腕を横に振るう。
「動け! それしかない!」
その言葉を受けてエアリーロは動き出す。だけどそれでも完全にはかわしきれない。僕にもエアリーロにも新しい傷が刻まれる。
「っづ……」
フラツくエアリーロは高度が落ちる。そしてそんな僕達を追いかけて来る聖獣。ヤバい……完全に何もできないぞ。不完全だけど、僕はセラ・シルフィングを振ってみる。すると確かな手応えはあった。
でもそれでも、通ってくる刃がある。聖獣は後ろに居るのに、色々な所から攻撃されてる……そんな感じだ。次々と通る刃に、僕もエアリーロもHPをどんどん減らしていく。流れ出る血が視界を阻んで、まさに悪循環。飛んでも飛んでも逃げられない。
(どうする……どうする……このままじゃやられる)
闇夜に光る聖獣の瞳。奴のその輝きは増してる。まさに乗りに乗ってる……そんな感じ。
「墜ちろ、召還獣共々な!!」
そんな言葉と共に、突きの動作をする聖獣。その攻撃はまっすぐだけじゃきっとない。だけど……僕は出来る限り、それを叩き落とすしか出来ない。
見えない圧力が壁の様に迫る気がする。だけどやるしかない。エアリーロはボロボロだ。漏れ出てる風と雷。まだ完璧じゃないけど……それでも!!
「うおおおおおおお――ん!?」
でもその時だ。僕達の頭上から大きな光が舞い墜ちる。そして突風と共に、僕達とすれ違うその機体。それが一気に聖獣へとぶつかった。でも聖獣はその機体を腕だけで止める。
だけど直ぐに、一斉に開く砲門。次の瞬間、聖獣に向かってありったけの砲撃が火を噴いた。
第三百八十五話です。
召喚獣まで居るのに、ピンチが続くって……聖獣の奴等は強いですね。まああいつ等の標準装備の盾が曲者ですね。だけどまだまだ戦いますよ。力を合わせて、想いを合わせて、目指すは勝利です!
てな訳で次回は火曜日に上げます。ではでは。