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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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飛空挺奪還作戦

 僕達はリア・レーゼへと戻る為に、この飛空挺を取り戻す。その為にはこの飛空挺を乗っ取ってるモンスターを排除しないといけない。だけどどうやら思った以上にモンスターは多い。

 甲板から内部に入り、大部屋へ。するとそこには部屋を占拠するように木が枝を這わせてた。


 降り立ったのはリア・レーゼ側の飛空挺。守備してたモンスター共をケチらして、雨で濡れた甲板に僕達は居る。そしてそこに次に迫りくるのは強化版ウッドールの軍勢だ。

 飛空挺の内部からこれでもかと言うくらいに次々と出てくるぞ。


「ちょっ……どういう事ですかこれ?」


 引いた声でそんな声を上げる僧兵の一人。どういう事と言われてもね。僕達がそれを知るわけない。


「まあ、色々と考察出来る事はあるけど、今はそんな事をやってる場合じゃないだろう。その疑問はこの飛空挺をモンスターから取り返してリア・レーゼへと向かう道中でしようじゃないか」

「そうですね。それがきっと良いです」


 テッケンさんの提案に僕はのっかる。今は一刻も早くこの飛空挺を取り戻す事が先決だからね。ウッドール共も迫ってきてるし、身を入れて話せる状況でもない。


「二人もそれで良いよね?」

「そうですね。確かに貴方の言うとおりです。自分達は援護に徹します!」


 その言葉の後に、僧兵の二人は詠唱を開始する。そして補助魔法をかけてくれたよ。よしよし、やっぱりこう言うのはあるのと無いのではやっぱり心持ちが違うよね。


「「回復と補助は我らにお任せを!」」

「お願いするよ!」

「僕も、頼りにしてる!!」


 そんな言葉を交わしあって、僕達はウッドールの軍勢に突っ込む。木の根が絡み合って出来た様な刀を振り回してくる奴らの攻撃をかわして、両の剣で高速で切り刻む。

 こいつらは普通のヒョロイウッドールよりも頑丈になって立派な武器も持ったけど、その動きと武器の使い方はどうやらなっちゃない。

 連携って奴が別にとれてる訳でもないし、どこまで行っても結局はドールってことか。頭がいないと動きが大分違うぞ。

 僕は手数で数人分、そしてテッケンさんはその分身スキルで本当に数人になって相手をするから、実際この程度の敵ならなんとか出来てる。

 扉の前の奴らをけちらして僕達は内部に一気に突っ込むよ。


「どうりゃあああああああ――って、げっ!?」


 折角扉の前の奴らをケチらしたのに、中にはまだまだウッドールが居る。まさに大量生産品だな。まだまだ倒せるけど、無駄に頑丈になってる分、時間はかかるんだよな。それがネックだ。それに外と違って内部は、自由に避けれるスペースがあるわけでもない。それを考えると、この数は厄介だな。


「かといって止まるわけにもいかない……よな」

「何か言ったかいスオウ君?」


 僕がボソッと言った事に反応するテッケンさん。丁度良いや、聞きたいことがあったんだ。簡潔にね。


「思ったんですけど、中に入る意味あったんですかね? 操舵室ってこの上の部分ですよね」


 そうなんだよね。敵が居るから勢いでぶっ潰してここまで入ったけど、すぐ上が実は操舵室です。わざわざ内部の敵をくまなく纖滅する必要あるかな?

 まあ……なんか勢い削いじゃってなんだけどね。


「いや、操舵室だけを取っても意味はないよ。この調子だと動力炉にだってコイツ等はいる。もしも放置して、動力路がやられればどのみちこの船は使いものにならなくなる。それに、戦場に敵の増援を送り届けるのもどうかと思うしね」

「…………確かに」


 それは非難殺到されるよね。流石テッケンさん、納得です。それならさっさとコイツ等を纖滅しないとな。力任せに振られる刀をかわしてすれ違い様に次々と剣線を当てていく。そして抜けきった所で「ライジング・ブレイク」を解放。これで一気に倒せるから便利! 

 だけど本当に次から次へときりが無く出てくる。積載要領には限界あるはずだけど……僕はそう思いながら、階段を下りて大部屋に入る。

 するとその光景に驚いたよ。だってなんだか木の根で一杯な感じになってた。


「こんな装飾……だったわけじゃないよな」

「スオウ君アレを!」


 追いついてきたテッケンさんの指さす方を見ると、部屋の奥に何かある。それは大きな木の幹みたいに見える……気がするな。なんだか表面がボコボコ動いてるようにも見える。

 アレは赤い宝石みたいなのも埋まってるな。そう思ってると、木の幹から分離するようにウッドールが姿を現すじゃないか!


「まさか……アレがウッドール共を生産してるのか?」

「そのようだね。だけど逆に言えば、ここでアレを潰して置けばこれ以上増えることはないって事だよ!」


 そう言って迫ってきてたウッドールに別のテッケンさんが攻撃を加える。短い短剣での攻撃。だけどその威力は凄かった。ブスブスとイヤな音を立てて溶けて行ってるよ。

 更に別のテッケンさんの短剣は刀身が無いようにに見えるんですけど? でも振り抜くとスッパリ切れてる。まさか分裂したそれぞれに別の特性を帯びた武器を持たせてるのか?

 そうしたほうが、自信の豊富なスキルの使い道が広がるって事だろうか? 凄いなテッケンさんは。どんな所でもどんな場面でも応用出来そうだね。

 そもそも前から思ってたけど、この分裂したテッケンさん達は、どうやって動いてるんだろう? やっぱりAIかな? 


「行くよスオウ君!」

「は――はい!!」


 余計な事を考えてたからちょっと出遅れた。僕達は他のテッケンさん達が道を作ってくれてる間に一気に大部屋を駆け抜けて例の木へと迫る。アレを打っ叩けば戦闘が楽になる。

 だけどその時だ。


「ぶっ!?」

「づあ!?」


 僕達は見えない壁に阻まれる様に弾き飛ばされる。勢いがあっただけに結構効いたぞ。尻餅ついてると、そこに生み出されたばかりのウッドールが武器を降りおろしてきた。


「うおっ!? あぶなっ」


 僕はとっさに転がって緊急回避。そして足めがけて剣を振って、足を無くして地面に倒れた所に止めをさす。


「テッケンさん、これって……」


 僕はもう一度近づいて、その場所に触れてみる。するとバチッと静電気のかなり強力版みたいな衝撃が腕に伝わる。その瞬間その光がうっすらと周りにも広がる。どうやらここから部屋の三分の一を占める範囲をこの膜が覆ってるみたいだな。


「障壁だね。いや、あんな貴重な物を野ざらしには流石にしないか」


 ちっ……こっちが障壁の前で話してる間にも目の前の木はどんどんウッドール共を生み出してる。しかもどうやら下からも他のウッドールが迫ってるようで、出入り口を僧兵さん達が必死に押さえてる。

 これじゃじり貧だな。この目の前の木を潰さない限り無限に増えるんじゃ、いくら何でもこの船を取り戻す事なんか出来やしない。

 僕とテッケンさんは迫ってくるウッドールを切り伏せて、二人同時に視線を合わせて頷いた。そして一カ所に同時に互いの武器を向ける。

 この障壁をぶち破る。それしかないだろ!! セラ・シルフィングとテッケンさんの武器の短剣の先端が障壁にぶつかり火花を散らす。

 僕はさらにもう一方の剣を追い打ち掛けるように突き刺した。そして互いを少しずつ広げてく。すると小さな穴が見えてきた。


「行ける!」

「うん、このまま障壁を突き破ろう!!」


 障壁は絶対じゃない。守護以上の力で押し切れるんだ! 勢いづいてきた僕達。だけどその時だ。幹の中央部分に埋め込まれてる赤い宝石みたいなのが輝きを増して、強烈に光った。

 すると内側から僕達の武器を弾く障壁がもう一枚形成された。


「なっ――ぬあ!?」


 僕とテッケンさんは同時に吹き飛ばされる。地面を滑って、体を起こしたときに幹の方に目をやると、赤い宝石から赤黒い障気みたいなのが見えた。

 くっそ……行けると思ったんだけどな。まだ出力が向こうも限界じゃなかったって事か。


「大丈夫ですかテッケンさん?」

「ああ、だけど更に堅くなったみたいだね。それにウッドールを生産するペースも早くなったような……あの木のエネルギーは底なしか?

 障壁だってウッドールを生み出すのだって何かの力を使ってるだろうに……無尽蔵なんてそんなのは滅茶苦茶だ」


 そうかな? 僕には別にあまりそこら辺違和感無いけど。だって魔法だって無尽蔵じゃんLROは。MP無いし。撃とうと思えば何発だって打てる。ただ詠唱とか、精神がすり減るのが厄介なだけだし、それを苦にしないああいう生きてるかどうかわかんない存在なら、永久機関であっても別に……ってな印象だ。


「あれもいわばモンスターだよ。魔法を使う条件も生きる条件も僕達と代わりはしないはずだよ。MPはないけど、僕達はちゃんと精神を削ってるわけだし、動けばちゃんと体力をその分消耗してる。

 それはモンスター達だって変わらない。だからあの木だってその筈だ。ただ見えないだけ。草木や花だって生きてる事にかわりはないんだよ」


 それはそうだけど……


「元々、こういう事にだけ徳化させた存在とかならどうですか? それしか出来ないのなら、そこだけ破格でもおかしくないですよ。

 あの木はウッドールを生み出す事と、自身の守護しか出来ない。だからこそ、生産に制限はないとか……それかここが特殊な条件下で、制限がなくなってる……とか」


 あり得なくはないよね。普通はこんな飛空挺にあるものじゃないし、これを聖獣がやったのなら何かしててもおかしくないよ。

 そもそも奴らの存在であの森のモンスター共は活気づいてるしな。


「確かに、それも考えれる……けど、何か納得いかない気がするよ。ウッドールの生産はそれでも良いけど、でも障壁まで最強はゲームとして矛盾が生じる。

 その大前提を忘れちゃいけない」


 ゲームか……僕はよく忘れそうになるんですけど。だって既にゲームって感覚じゃないし。それに色々と既に破綻してるような気もする。シクラ達の存在とかさ。


「アレはもとがLROの存在じゃないよ。だからこそ、ゲームとしての世界を無視してるんだろう。だけどこのモンスター達は違う。

 弱点は色々と補えるかもしれないけど、なくなる訳じゃない。攻略出来ない敵なんて、作られる訳がない」

「じゃあ、それを確かめる為にももう一発かましてみますか!」


 僕はそう言って、セラ・シルフィングに雷撃をまとわせて攻撃を仕掛ける。だけど振り卸した刃は障壁に阻まれる。だけどまだまだあああああ!!

 僕は同じ場所を何度も何度も切りつける。だけど砕けない。


「ちっ」


 ウッドールの軍勢が迫ってきたから一度引く。だけど諦めた訳じゃない。散々攻撃して傷つけたんだ。それにはちゃんと意味がある。

 傷つけた分だけ威力を増すこのスキル「ライジング・ブレイク」を僕は発動させる。青い雷撃が一斉に膨張して弾け出す。

 目が痛くなるほどの光が数十秒間うねる。周りのモンスター共も巻き込んでくれたこのスキル。光の収まりと共に、必死に目を凝らすけど煙が発生してて確かめられないな。

 周りには沢山のウッドールの残骸がエフェクト化していってる。威力は申し分なかった筈だ。


「破壊出来たか?」


 そう思ってると、煙の奥に煌めく物が見える。そして一瞬大きく輝きを増した。その瞬間煙が僕達側に押される様に流されてくる。

 こちらに流れてきた煙を盛大にかぶって、そして通り過ぎて前を向くと、僕達と幹の間には変わらずに障壁が隔たってた。


「ダメ……だったって事か……」


 僕がそう呟くと同じ方を向いてるテッケンさんがこういった。


「いや、ダメだった訳じゃない。スオウ君の攻撃は障壁を破壊できてた筈だ。でも直ぐに張り直したんだよ。それも、より強力に変えた障壁を」

「どうしてそんな事わかるんですか?」


 破れたかどうかは見えなかった筈だけど……それにより強力にって、見た目はあんまり変わってないよ。


「今、煙がこちらに流されたのは魔法発動の影響だよ。そしてあの幹の宝石部分が輝くのはきっと魔法発動の時。しかもさっきよりもより赤黒い障気みたいなのが増してる。

 よりそのエネルギーを使ったと言う事だろう」


 なるほど。確かにあの宝石から沸き立ってる様な障気は増してる様に見える。それに輝きもいっそう強かったし、そこら辺で判断したって事か。

 それになんだか今気づいたんだけど……あの宝石が光る度に、この部屋中に広がってる枝が成長してるような……しかも急速に。

 壁際のとか葉をつけてるぞ。


「これってどういう事でしょう。普通、力を使えばそれだけヘバる筈ですよね。それなのに、このおかしな木は逆に元気になってるように見えます。

 枝が伸びて葉を付けたのがその証拠でしょう。成長なんてエネルギーがあるから出来る事の筈……やっぱりこの木に制限なんかないんじゃ……」


 無限にウッドール共を生産出来、無限に自身を守る盾を生成出来る……これじゃあ倒しようがない。確かにゲームとしては破綻してるけどさ、今のLROはどこまでゲームとして縛れてるのかが疑問なんだ。

 チートな奴等が居てもおかしくないかもしれない。


「確かにもしかしたらなんらかの形でゲームとしての枠を外れてる……その可能性もあるのかもしれない。だけど、良く見てくれスオウ君。奴の宝石部分を」


 ピシッとテッケンさんはその短い腕で宝石部分を指さす。僕は注視して赤い宝石を見るよ。だけど赤黒い障気みたいなののせいで見づらいんだよね。


「その障気が出てる所だよ。注目すべきは」

「出てるところ……あっ!」


 僕はテッケンさんの言葉で気付いたよ。なるほど……テッケンさんが攻略方法を信じる理由はこれか。まあ、テッケンさんも初めから気付いてたんじゃなく、今ので気付いたんだろうけど……なるほど確かにこれは希望が持てる事だ。

 つまりなんだと言うと、どうやら赤黒い障気は宝石に入った亀裂部分から漏れだしてるって事。障気の出具合が大きくなったのは、より宝石に亀裂が入ったからだ。

 そして単純に考えると、あの宝石がこの木のコア……中核だろう事は間違いない。それに亀裂が入ってる……力を使う度に……それが何を意味するのか……


「無理をしてるって事ですよねあれ。だけどただ単純に無理してるだけで、他の部分の成長が促される……なんて事はあるんでしょうか?」


 僕がそう言うと、テッケンさんは周りを一通り見回してこう言った。


「スオウ君、僕はまたまた気になる事があるよ」

「またですか。流石テッケンさん。一体何が気になるんでしょう?」


 是非に聞きたいね。僕的にはもう一回攻めて、更に無理をさせればどうだろうか……という提案をするつもりだったんだけどね。

 だってこのまま攻撃を続ければ無理がたたって砕け散るかも知れない。その可能性が見えてきたじゃないか。だけど気になるのはただ自身の力を限界まで引き出しての無理なのか? って事だよ。

 実際そんなの何度も出来る分けないし、それならエネルギーをかなり使うし、周りの木々が成長するのはおかしい。

 でもやってみる価値はあると思う。でもテッケンさんの気になる事ってのは聞いておいて損はないし、この頭に引っかかる何かを解消するかも知れないから耳を傾ける。


「スオウ君、宝石が埋まってるあの部分は木の幹だ」

「ですね」

「そして周りの壁を突き破ったりしてるのが葉をつかせる枝だろう」

「そうですね。葉がついたのもあります」


 成長の仕方的におかしいけどね。なんでこんなに枝がうねってるんだよ――と。


「それじゃあ……根は一体どこにあるんだろう?」

「それは、下の階に続いてるんじゃないですか?」


 枝が壁を突き破ってるのを考えるとそうなるよね。今見えてる幹の部分はきっとほんの一部なんだろう。


「スオウ君、僕はゲームとしてあの木が永久のエネルギーを持つのはおかしいと言った。例え無限にウッドール達を生産出来たとしても、障壁まで無限なんてないと。

 いや、もしもどちらも無限であっても、限界って物はあると思ってた。障壁はある一定の耐久力の物しか生成出来ないとか……それなら数に制限が無くても、どうにか出来る可能性……攻略方法は見いだせる。

 でもこの木は無理をしてでも更に強力な障壁を作ったんだ。これじゃあ、プレイヤーが絶対に壊せない障壁だって作れてしまうかも知れない」

「でも、それなら作る前に倒せばいい。イクシードの三段回解放なら、あの木の予想を超えて行けるはずです」


 僕は武器を握りしめて力強くそう言うよ。自身あります!


「そうだね。確かにそれならここから僅かに強化してきた程度の障壁は破って、幹まで達せれるだろう。だけどそれはリスクが大きすぎる。

 イクシード3は君の体が耐えきれないスキルだ。こんな程度の相手に使うべきじゃない。ここはまだ終わりじゃないんだ」


 確かに……でも出し惜しみしてる暇は……


「大丈夫、攻略方法はある。多分あの木は、ある方法で自分のエネルギーを底上げしてるんだ。自身の力以上のエネルギーを供給してるからこそ、本体だけでは受けきれないダメージを受けてる。だけど砕けないのはそのエネルギーを周りの枝まで回してるから。

 だからこそ周りの枝は成長が促されてるんだ」

「確かに、そう考えれば宝石が無理な力を使ってるから亀裂が入ってるのも、それなのに周りは元気一杯なのも説明は出来ますね。

 でも……そんなエネルギーどこに? それにどうやって供給を?」


 そう言った瞬間後ろから「「うああっ!」」てな声と共に、二人の僧兵さんが弾かれて来た。どうやら扉が破られたみたいだな。おいおいこれじゃあ、退路も進路も無いじゃないか。大部屋への扉は一つなんだぞ。

 外の通路にアイテムを多少買えるお店と、甲板に続く道。そして階下へと行ける道があるのにどうするんだ。いやよく考えたら真っ先にここに入ったのが追いつめられたと一緒だね。

 彼らに責任は無いよ。


「うう……すみません」

「大丈夫なんとかなるよ」


 ションボリする僧兵に優しく声をかけるテッケンさん。彼はどうやら、かなり自分の推理に自信があるようだ。ぞろぞろと大部屋に入ってくるウッドールの軍団。僕達はあっと言う間に八方塞がり状態に。


「これは……流石に出し惜しみなんてしてられない状況では?」

「スオウ君、君の今言った疑問を解決するよ」

「いやいや、だからこの状況でそんな!」


 僕が悠長な事を言ってきたテッケンさんに激しい言葉をぶつけてると、テッケンさんの武器がなんだかメッチャごついのになってた。短剣だったのが、自身の体位に大きい……ナックル? 

 どうやって付けてるんだろう? いや、中に握る場所があるのかな? てか、それで一体何をする気ですか? そのデカいナックルで周りのウッドールをけちらす。普通はそう思うよね。

 だけど何故かテッケンさんは自身の足下にデカい拳を向けてる。


「テッケンさん?」

「行くよみんな!! 衝撃に備えてくれ!!」


 えええええええ!? 行くってどこに? そんな返事を返す間もなくナックルの隙間から吹き出す激しい炎。だけどそれはメラメラとじゃなく、まるで飛行機のエンジンみたいに甲高い音を響かせてるような……何か不味いと感じ取ったのか、周りのウッドール共が一斉に武器を構えて迫る。だけど次の瞬間「ゴーー!!」そんなテッケンさんのかけ声と共に、蓄えられてたエネルギーが解放されて噴出。床を突き破って僕達は階下へと落ち出す。


「「「うあああああああああああああああああああ!?」」」


 だけど一階下に行くだけじゃ終わらなかった。更に次の床もぶち破って最下層までまっしぐらだ。どんだけ無茶な事をするんテッケンさん!!

 暗がりの中、最下層にからは青く光る光りがボンヤリと見えてた。そしてそれは近づくに連れて何かわかる。そうだ、これは飛空挺のエネルギー核。だけどなんだか木の根が盛大に巻き付いてる。

 第三百五十九話です。

 まんまサブタイトル通りの展開ですね。超強力な敵がいないから、頭を使う感じでやってます。まあ、単純だったかも知れないけど、あんまり複雑にして時間をかける訳にもいかないですからね。

 早くリア・レーゼへと戻らないといけないのです。だから本当はこの一話で終わらせる予定だったけど、ちょっと間伸びしちゃいましたね。だけど次でまた話は動きます。

 その筈です。

 てな訳で次回は土曜日に上げます。ではでは。

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