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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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フクカエサレル

 ローレとドタバタやってる。いつまでもいつまでも……何でこんな風になってるんだろうって思うけど、きっとローレが悪いな。いつまでも裸で、しかも美少女が踏んづけてくるんだから悪質だね。もうまじ最高じゃないか!

 勿論外見だけの話だけど……

「ねえ、アンタの呪い……なんか引いてない?」


 そんなローレの言葉がこのきらきらと眩しい空間に控えめに響く。鏡の様に光を反射する水。そんな水が木から木へと落ちて来て出来た泉。

 そこで僕は少女の姿してるローレに押し倒されて、服をメクられた状態。ついでに足蹴にもされてる。もうなんか色々と終わりそうな構図だよね。

 しかもローレは裸だしさ。ヤバいんだけど。ここから見上げたら……もうバッチリといろんな場所がその……丸見えちゃってるよ。

 まあローレは気になんかしないんだろうけど……こっちはそんな風には出来ない。たく、自分が気にしなくたって

周りがそうじゃないって気付よ。そんな配慮くらい……出来る訳ないか。だってローレだもん。

 どうせなら端にも引っかからない外見にしてれば、僕だってここまで気にしたりしないのに……無駄に華やかな見た目だから幾ら少女だからって気にしないなんていられない。


「ちょっと聞いてるの? ちゃんと見なさいよ」

「見れるか! てか、さっきまで見るなとも言ってなかったっけ? どっちだよ!?」


 僕は横暴なローレに抗議するよ。幾ら弱み握られてたって言いたいことは言うんだ。訴える事って大切だと思うんだ。


「はあ? 私は自分の腕を見なさいって言ってるのよ。まあ、別に見たければ幾らでも見て良いんだけど……」


 そう言ってローレの奴は服を強引に伸ばしてはだけさせた部分にムニュっとした柔らかい部分を当ててくる。おいおい、地肌は不味いだろ。体温も柔らかさもダイレクトだよ! ワンクッションも置いてない。

 しかもやっぱりコイツやわらか! 何これ? 胸って直接ならこんなに柔らかい物なの? って感じ。マシュマロってよく言うけど……なんかその比じゃないよな?

 良くあの形を維持できてるねって思うくらいにムニョンムニョンしてるぞ。てか、これって胸だよね? 育ち初めの胸……そう考えると余計にドキドキするな。

 なんか貴重そうだし。


「堪能した?」

「まあ……それなりに……」

「なら百万出しなさい。私の体にはそれだけの価値があるわよ」


 いやいや、幾らなんでもボッタクリ過ぎだろ。なんだよ百万って、まともに触っても無いっての。


「それはアンタがヘタレだからでしょ? 私は何してもいいよってこれ以上無いくらいに妥協してたのに。何をしたって料金は百万一律」

「高級娼婦だな」


 吉原もビックリだよ。こいつは一体どこを目指して――って、世界の頂点だっけ? 神を越えるというか、神にすげ変わりたいんだよね。

 シスカ教をローレ教にしたいらしいからな。


「私は体じゃなく、存在に価値があるから娼婦なんて言い方は止めてほしいわね。そんな易い存在じゃないのよ。お金で買える女じゃないの」

「お前今百万って言ったじゃん」


 買えてるじゃん。


「百万はあくまで私の体を愛でたかったらの最低額。それにそれは私的に考えた自分という存在の体の価値。この美しい容姿にはそれだけの価値があるでしょ?」


 そう言ってローレはその足下まで垂れる程の長い金髪を根本から掻きあげる。

 細くしなやかな髪が一本一本煌めいて流れた。本当に……本当に、その瞬間は見とれる位に綺麗だったよ。だからこそ、コイツがローレだと思い出すとなんかとっても残念な気持ちになっちゃう。

 なるべく顔以外はみないようにと思うけど、流れ落ちる髪を追いかけると、ついつい視線が全体へ行っちゃうな。


「まあ、確かに容姿にはあるかもな」

「うんうん、それに私自身が欲しいなら、百万なんてはした金じゃ全然足りないわ。それこそカグヤ姫が願った無理難題クラスの宝物でも持ってきてくれないと割に合わないわね」


 どれだけ自分が特別だとコイツ思ってるの。しゃべらないで欲しい。それならこの姿だけで満足出来るのに。ここまで声出すことで残念と思える奴もそう居ないぞ。


「月に中身だけ帰れば良いのに……」

「なんか言った?」


 ドゲシって少女の足に踏まれてる。なんだろう、この背徳感……エロいな。


「なんでアンタは踏まれてるのにそんな幸せそうに笑えるのよ。流石変態ロリコン紳士ね」


 ローレの気持ち悪がる声。どうやら僕は思わず不気味な声でほくそ笑んでたらしい。少女に踏まれてニヤケるなんて、ローレが言ってる変態ロリコン紳士を否定できないぞ。


「それに月に帰るとか、実際普通そうでしょ? LROから見える月は地球なのよ」

「え?」


 おいちょっと待て。今聞き捨てならない事言ったぞ。どういう事だ?


「だから私たちが見上げるこの世界の月は私達の現実。実際ちゃんとそういう設定ってどこにも書かれてないけど、この場所からその姿を見れば一目瞭然よ。

 私達が地上から見上げてた星が、宇宙船地球号だってね」


 そうやって得意気にほくそ笑むローレ。マジで……そうなのか? 僕たちはまだここから月を見てないんだ。それにローレの奴がこの場所の事秘密にしてるしで、そんな情報出回ってないだろ。

 それってかなりの衝撃だぞ。


「まあだけど本当の地球がある訳じゃないわよ。実は私達が月の大地に作られたLROという世界に居るわけでもない。あくまで地球によく似た星をLROという世界の外側に作り出してるだけ。

 どんな意図があるのかは知らないけど……」

「どんな意図か……」


 月が実は地球って、何か意味がある気はする。何だろう……相反する二つの世界……的な? 鏡の中と外……みたいな? そんな感じかな。

 それもまた、あの人――当夜さんしか知らないんだろうな。


「あれ?」


 そこで僕は気づいたぞ。


「クリエは月に行きたいって言ってた。それがアイツの望み。でも実は地球に行きたいって事か?」


 そういう事になるよね。だけどそんな僕の言葉をローレは否定するよ。


「それは違うわね。NPC――っていうか、この世界に生きる人々に地球なんて概念はない。だから純粋に月に行きたいってそういう事じゃないの?

 てか、なんであのお子さまはそんなことを思ってるのよ? まあこのろくでもない世界から逃げ出したくなった……てのもわからなくないけどね」


 ろくでも無くはないと思うけど。ローレの言うことは極論すぎる。


「ろくでもないわよ。だってクリエには親も家族もいない。ずっと幽閉されて、知り合いはたった一人のシスターだけ。そんな世界を素敵って言う奴が居るかしら?」


 むぐ……そう言えばコイツもある程度はクリエの事知ってるんだよな。一応リア・レーゼのトップ。ノーヴィスと言う魔法大国の二大双璧を成す一つの街の一番上に立ってる訳だしな。

 でも……逃げ出したいからとかの理由で決めつけるのはどうかと思う。確かにクリエのこれまでは素敵って程じゃ無かったのかもしれない。でも、僕たちが思うほどに最悪だったとも思わない。

 だってそうだとしたら、クリエはきっとあんなに明るくなんて居られないよ。僕は知ってるし、ちゃんと見たんだ。アイツが育った場所。そしてクリエをずっと支えてた人達。

 確かに端から聞くだけじゃ酷い。なんて事を子供やってんだ! ってなる。けれど、幸運な事に、アイツの側には優しい人達が一杯居たんだよ。

 シスターを筆頭に、アンダーソンのおばさんや、教皇だって言い奴だった。いかんせん権力がないけど。それにちゃんと友達だって……


「アイツは、そこまで世界を悲観なんてしてない。それだけは言える」


 僕は真面目なトーンでそう言うよ。


「ふ~ん、じゃあなんで月に行きたいなんて言うのよ?」

「それは……う~ん、そう言うクエストとかがさ……」

「そんなクエがアンタには発生してるわけ?」

「……」


 そう言えばそんなクエあったっけ? いや、確かテトラの呪いを解く為に必要なんだ。そう思う。その過程だろ。


「それにしてはどっちがメインかわからなくなってきてない? 金魂水だっけ? を使ってテトラの望みを叶えてアンタ自身の呪いを解くのがそのクエの目的なんじゃないの?」

「仰る通りだけど……」


 僕はふてくされ気味に言ってみるよ。だってなんかローレに正論言われると腹立つ。てか、色々と後回しにして勢いで突っ走ってきたから、整理し出すと色々とおかしな所が見えてくるな……

 そして少しおとなしくなったと思ってると、とんでもない事をこいつ言いやがった。


「ねえ、アンタがやってる事って必要な事なの?」

「今お前は、僕のここまでの全てを否定したぞ」


 なんて事言うんだこの野郎。必要に決まってるだろ!


「別に全ては否定してないわよ。きっとクリエとかと出会うことはそのクエ的にも必要だったと思う。そしてやっぱりクリエはこのクエストのキーだとも思うわ。

 だけどそこに月に行くって目的が加わると、途端にどっちがメインなのかわかんなくなる。だって月よ? それだけで物語一本出来るわ」


 確かに言われてみれば……だけど、無くはないとも思う。なんたってここはLROだしな。


「LROだから……その言葉で片づけて来たから、アンタは巻き込まれ体質が身に染みてるのよ」

「うるせえ!」


 僕は勢い良く立ち上がって、背中に乗ってたローレを落とす。そして上着を脱いで、それを素っ裸のローレに投げつける。


「いい加減に服着ろ。マジで」


 ホントそろそろ理性が限界だからな。チラッと見ただけでなんか鼻頭が痛くなる。そう鼻に血が上ってきそうな……そんな感覚がするんだ。


「こんな汚い服を私に着ろと? ふん!」


 ああ!? ローレの奴、僕がわざわざ脱いでまで与えた服を無慈悲にも力任せに破りやがった。信じられん。人の善意とかわかんないのかこの女。


「今のは善意じゃなくて、ただ単に私が可愛すぎるのを自分で我慢できなく襲っちゃうから、その対応策でしょ。善意って言うなら無償の愛をやりなさいよ。

 文句なんてつけるな」


 ダメだこいつ。確かに言ってることはまさにその通りだよ。僕は自分の理性を保つ為に服を与えた。けど破るなんてどうかしてる。

 無償の愛って……そんなもんホイホイとやれる物じゃないだろ。こいつは人の善意を平気で利用出来そうだよ。てか、もうきっと色々としてきたんだろうなって思う。

 てか、服破いたから結局裸だし……上半身裸の僕と、全裸の少女……端から見ると犯罪臭が強くなった様に思えるな。


「まっ、流石にそんな汚い布切れなんて着れないけど、いい加減寒くなってきたし何か着るわ」


 そう言ってローレはウインドウを操作して、なんかスケスケの服を取り出したぞ。そしてそれ着て「これでいいでしょ?」とか言ってくる。

 いや……なんだろう……ある意味見えそうで見えてないけど、でもやっぱり見えそうで、体のラインだけはハッキリなのが逆にそそるんですけど……


「変態ね。じゃあどうすれば良いのよ」

「普通の服着ろよ! その服じゃあ寒さ対策にもなってないだろ!」

「全く注文の多い奴ね。自分の人生経験の浅さを私にぶつけないで欲しいわ」

「どういうことだよ?」


 何でそこで人生経験とかが出てくるわけ? それならお前こそこれまでの人生で常識って奴を学ばなかったのかって言いたい。


「だから女性経験の浅さを私にぶつけないでって事よ。言っとくけど、どんな美少女だって一人で部屋に居るときはだらしない物なのよ。

 どこまでも身勝手な妄想を押しつけないでくれる。息抜きって大切なの。ここは私のプライベート空間なんだから、どんな格好しようと私の勝手よ」


 そう言って頬を膨らませてそっぽ向くローレ。別に押しつけてる訳じゃ……てか、人前くらいは気にしろよと言ってるだけ。


「私、他人に合わせるって大嫌いなのよね」

「だろうな。まあ僕だって多少はわかるけど」


 昔は僕もそうだったし。自分は他の子とは違うんだ……そう思ってた時期が僕にもありました。だけどそれは間違ってたんだ。

 自分が違うんじゃない。違おうと思いこんでたって言うか……そうしようとしてたって言うか……まあ一番の原因は本当に誰よりも違う奴が身近に現れたから……なんだけどね。

 そんな事言ったってローレは知らないし、説明も面倒だから曖昧に頷いとくだけにしとく。


「何よ。偉大な私の事が庶民に理解できる訳がないじゃない。勝手に近づいてこないでくれる」


 この野郎……こっちはちょっと位親しくしてやろうと気を使ってやったのに……そろそろ学んだ方がいいな。こいつに甘い顔をしても無駄だと。

 マジでこいつと無駄な話してても不毛だよね。なんか全然親しくなれた気がしないし。やっぱり重要な話だけ振るか。一応服は着たし、これで堂々と面と向かって話せるって物だ。


「たく、もう良いよ。お前とは友達になれそうにないし……それより話を戻してクリエの目的が必要ないってのはどうかと思う」


 月に行くことを切実に願ってるぞアイツ。そのために箱庭を抜け出して一人で外の世界に飛び出した奴だ。なかなかそんな事出来ないぞ。


「まあ、庶民と友達とか無いし……そうね。あの子にはあの子の他のNPCには他の目的や思惑があるのは当然。だけどいつもそれらを全て満たして、クエストやミッションはクリア出来る訳じゃないわ。

 それこそLROは同じミッションやクエストでも、完全に同じ攻略法なんて存在してないってのが常識でしょ」


 なんだそれ? そんなの知らないぞ。てか、攻略情報とかでてるじゃん。あれはどうなる。まあ個人の情報提供程度だけど。


「そういう個人の情報は役に立つわ。同じ方法が全く使えないって訳じゃないもの。しかも誰かがクリアした物なら、最低でも目的はわかるわ。

 それって重要なのよ。今のアンタみたいに右往左往しなくて良いしね。過程が同じとは限らないけど」

「その過程が変わる事がおかしいだろ? 同じクエはいろんな人がやってるのに、変わったらダメじゃん」


 僕がそう言うと、ローレは長い髪を魔法で一気に乾かして、アイテム欄からゴムを取り出して、頭の後ろで一つにまとめた。

 いわいるポニーテールって髪型だな。反則です。なんだこいつ? 僕のツボを知り尽くしてるのか? しかもメガネまで装備しやがって赤い縁のメガネが良く似合ってるじゃねーか。

 そして指示棒と空中に現れるちょっと大きめのウインドウ。何する気だ? そう思ってると、そのウインドウの内に赤いリンゴが現れる。TVみたいだな。


「いい、ここに一個のリンゴがあるわ。アンタの目的はこのリンゴをどうにかして手に入れる事。クエストの目標はリンゴの入手よ。さあどうする?」

「バカにしてるのか? そりゃあ、買いに行くのが手っとり早いだろ」

「まあそれも一つの手段ね。だけどここはゲームの中。モンスター虐めに繰り出してリンゴを手に入れる手段もあるし、普通にフィールドの木から取ってきたっていい。

 わかった? 別に目的が同じだからって手段まで同じ必要なんてないのよ」


 それはわかるけど……その説明の為にわざわざ別ウインドウで説明する必要はあったのだろうか? そこまで難しい話じゃないぞ。


「アンタの理解力が足りなかったときの為の保険よ。二度同じ話はしたくないの」

「さいですか……」


 もう良いよ別に。別にこれは無駄って訳でもないしな。言い方は気に入らないけど、ローレと付き合って行くにはこんな事で目くじら立ててられない。


「でも、今の話は簡単すぎるだろ。リンゴはいいよ。どんな状況でも手に入れる方法はある。だけどそれなりに難しくなったクエとかは、ルートだって限られるだろ?」

「まあ確かにね。だけどその時々によって事情ってのは変わるわ。それにこれだけ広い世界でたった一つの道しか選べないなんておかしいでしょ?

 攻略法があるならその通りにまずはやってみるのは合理的な手段。だけど全てが同じに進む確率なんて、五割もないわ。その時は、臨機応変にやるのよ。

 リンゴは確かに簡単過ぎたけど、もっと難しいやつ……例えばもっと貴重なリンゴを何とか入手しないといけないってなったとき、攻略法にはどこのモンスターが落とすとかの情報があったとするわ」


 うんうん、あり得そうだな。それなら勿論、そのモンスターを集中的に狙うだろう。


「だけど幾ら倒せどアイテムは出なかったりする」

「ドロップ率が悪いんだろうな。流石レアリンゴ」


 だけどそこでローレは「果たしてそうかしら?」っていうよ。どう言うことだよ。


「もしかしたら攻略法を書いた人のモンスターはたまたま倒される前に商人を襲ってたのかも知れないわ」

「そんな無茶な……」


 どんな設定だよ。あり得ないだろ。


「それか直前の彼の行動に、ドロップ率を引き上げる何かがあった。それをやってないから今回は出にくいとも考えられるわ」

「それなら……まあ……」


 なんとか納得は出来るかな。さっきの商人の~よりはあり得そうだ。


「でもそんなの本人は攻略情報見ただけじゃわかんないだろ? だって書いた本人ですら気付いてない要素だろ?」

「そうね、幾ら倒しても出てこない。ここは一度街に戻りしょうがなく情報収集するしかないわ。そんな中、その貴重なリンゴがなんとオークションにある情報を入手。

 だけどその出品額は彼にはとても手が出せない。さてどうするかしら?」

「それは連絡を取って譲り受けるか、それかまた別のルートを探す?」


 それかまたモンスターに挑むってのもあるな。気軽に使える筈のオークションも貴重な物となるとね……どこでだってお金は貴重なんだ。


「まあ色々とやれる事はある……だけどここは一番手っとり早く、闇討ちね」

「どうしてだよ!?」


 なんで一番荒っぽい方法を選ぶんだ?


「だって、LROはPK出来るじゃない。なんの為にあると思ってるのよ」

「だからって闇討ちを直ぐに選択はしないだろ」

「相手の実力にもよるわね。勝てそうになかったら下僕を呼んでぼこるって手もあるわね」


 そこが友達じゃなく下僕って所がローレらしい。まあ取り合えず言えることは――


「お前は最低だ」

「うるさいわね、例えよ例え。だけどもしかしたら先に闇討ちされててリンゴは他の手の物に……って事もあり得るわ。するとまたルートが色々と増えていく。

 ほら、同じ目的の筈なのに、随分難易度が変わるわ」


 最終的にはその彼がどうやってリンゴを手に入れたのか気になるんだけど……まあ言いたいことはわかったよ。


「ようは、やることを絞らないと余計な手間が増えていって攻略の難易度は上がってくって事か?」

「まあそう言う事よ。月に行くって目的は独立させた方がいいわ」

「そうかな? 僕にはこのテトラとクリエの依頼は切り離せないんじゃないかって思うんだけど……」


 だって、二人はお互いをそこまで知らないけど、密接に繋がってる。それは確かだろ。寧ろ余計だと言うのは、この今のリア・レーゼの状態だと思う。

 聖獣との戦いは正直余計だろ。


「見捨てる気? アンタのせいなのに」

「見捨てないけど……クリエの事だって見捨てられるか! てか本当に呪いの進行止まってるのか?」


 僕は自分の腕を見る。あんまり変わってない様に見えるけど。だけど自信を持ってローレは言う。


「厳密に言うと止まってはないわ。だけど私は魔法系の動きとかを肌で感じる事が出来るわ。だからわかる。止まってはないけど、進行が鈍くなってるのがね」

「そんな能力まであるのか? それともある程度経験を積めばわかるようになるとか?」


 僕のそんな言葉にローレは「心外ね」というよ。


「そんな易い能力じゃいわ。私が特別だからが答え。それよりなんで鈍化してるのかわからないの?」


 どうして呪いの進行が遅れてるのか……か。でもそれに気付いたの今だしな。それに心当たりも別に……って、あっ。

 僕は手の甲を見るよ。そこには黒い模様に浸食された中に一点の白い模様がある。


「これは? 関係あると思うか?」

「それって、白の模様? どう言うことか説明しなさい」


 相変わらずの偉ぶりだな。僕は聖獣戦の事を話してやる。


「なるほどね。今のクリエは力を半分失ってる状態……白の力が戻る時にアンタの腕を通ってその模様が出来た。もしかしてその時、クリエのシスカの方の力が僅かだけどアンタに移ったのかも知れないわね。

 だから相反するテトラの力の進行を阻んでる」


 なるほどね……確かにあり得そうではある。この模様は女神の模様らしい。


「でもどうして力が移ったんだ?」

「そんなのたまたまじゃない? アンタの腕を通ったから、残滓がアンタの腕に集まっただけ……どの道そんな一点の力だけじゃ、いつまでも進行を阻むなんて事は出来ないわね。

 二日だったタイムリミットが五日程度になったと思った方が良いわ」


 五日か……それならまだ良いよ。それだけあればまだ足掻ける。


「なあ、そもそもどうして聖獣はどっちの力も取らなかったんだ? 神の力なら多い方がいいだろ?」


 アイツ等力を欲してた訳だしな。


「さあね、そんなの知らないわ。だけどこの世界のモンスターを作ったのは邪神の力だと言われてるわ。だから邪神の力は純粋に相性がいいけど、女神の力は相性が悪いんでしょ?

 アンタの腕の状態を見ればそう思える。純粋に力として取り込めないから、クリエに返したんでしょ」


 なるほどね。力もただ集めるだけじゃ意味ないか……それは今回の戦闘で僕も味わったな。ただの風よりも、質の良い風は良い武器になってくれる。


「あっ、そうだ」

「ん?」


 何かを閃いた様に、そう呟くローレ。そして僕を見てなにやらニヤニヤしてる。何だろう、イヤな予感しかしない。

 第三百四十三話です。

 今回は色々と重要な話をした……かもしれないです。まあこの二人の場合は、そこまで重要って感じがでないですけどね。でもようやく話が動きそうな所まできたなって感じ。

 全くローレの奴は、好き勝手やってくれます。さっさと最後の台詞を言えよって言いたいですね。

 てな訳で次回は火曜日に上げます。ではでは。

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