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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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姫御子の見えない姿と見えたもの

 空中で風に吹かれ続ける僕。すると社からモブリが外へ放り出てきた。きっと奴が投げてるんだろう。するといきなり体が引っ張られて社へ。そこで僕達はようやうリア・レーゼで信じれる奴と話せることに。

 信じれるって言葉もおかしいけどね。だけど奴と戦って僕達はこいつがリア・レーゼ側とわかってて、その思いの強さもわかってる。だから僕達はこいつを信じて、姫御子様の元へと誘われることに。


 ドカ・バキ・ドゲシャァ――と言う物騒な音が枝の先端部分の社から聞こえる。するとその音に合わせて、社からモブリが数人外へと投げ出されて、クルクル回りながら上昇していった。

 僕もまだ社の外で強風を直に浴びてる状態で、空中に停滞してるから、飛ばされてきたモブリ共とぶつかりそうで危なかったよ。

 てか、やっぱりあのモブリ達はサン・ジェルク側の奴らだったって事だよな。何の躊躇いも無く、外に放り投げてたみたいだもんアイツ。

 そんな事を思ってると、ようやく体が引っ張られる感覚と共に、僕は社の内部へと無造作に投げられた。


「げは! ぶっ!? むべらちゃ!」

「スオウ君!」


 床に投げ捨てられた僕の哀れな姿にいち早くシルクちゃんが反応してくれる。僕は情けない姿のまま「ははは」と乾いた笑いを漏らすよ。

 すると僕の傍にセラ達もジリジリと集い出す。


「アンタ生きてたんだ。まあそんな事どうでも良いけど、アレはどういう事よ? いきなり現れて、モブリ共を投げ捨てたわよ。それにテッケンさんも居るし……信じていいの?」


 みんなアイツに警戒心を持ってるから、僕の周りに来たわけか。だけど最初の一言目、セラの奴ひどくね。いや、まあこいつが酷いのは今に始まった訳でも無いけど、関係改善を目指してるんだからもうちょっと気遣えよ。

 まあ今はそれよりもアイツが気になるってのは分かるけどね。


「どうやったかはわかんないけど、僕もアイツに助けられた。それにここの姫御子様は僕達を所望してる様だし、大丈夫。アイツは今は敵じゃないよ」

「…………確かに、あのモブリ共を倒した訳だし、アイツ等がサン・ジェルク側だったって事よね。逆にこの人は絶対にリア・レーゼ側だと私達は分かってるし……うん、その話信じましょう。

 てかテッケンさんが警戒心無く肩に乗ってるしね」


 なんだよ。セラの奴は僕の話じゃなくテッケンさんで判断するのかよ。確かに彼がそうしてるのは分かりやすくはあるけど、僕の方が論理的だろ。


「いつも直感で行動してる奴の論理なんて……プッ」


 あっ今セラの奴、鼻で笑ったぞ。なんだその失礼さは! 今確信したぞ。こいつとは絶対に親友とかにはなれない。頑張って友達止まりだ!! てか、その論理はみんなで考えた筈の物じゃなかったか。僕だけの拙い物とは違うだろ。


「はいはい、勿論それもちゃんと考慮してるわよ。この目でこの人がモブリを排除したのは見たしね。だけどだからって直ぐに信用ってやっぱり無理でしょう。

 だけどテッケンさんも助けてるし、それにアンタも……それをちゃんと含んでの結論よ。これなら文句無いでしょ?」

「まあ……確かに」


 なら最初からそう言えよ。無駄に僕を傷つけて楽しいか? 別にそれがセラだと思ってるけど、もっともっと素直になってくれないと、僕達のようやく絡みだしてる絆は進展出来ないぞ。

 てか、いつ切れてもおかしくないんだからな。僕とセラってさ。もっとデリケートに扱えよ。そんな事を思ってると僕の直ぐ傍でポタポタとコボレる透明な滴が木の床を濡らしてる。


「スオウ君、本当に良かったです。テッケンさんも無事だったし、私嬉しいです」

「シルクちゃん……ごめん心配かけて。ありがとう」


 ああ~、なんかいいな~って思う。やっぱりシルクちゃんは僕の心をすっごく癒してくれる。トゲトゲしい薔薇がセラなら、シルクちゃんはまん丸フワフワで、道行く人をその姿で癒してくれるタンポポだね。

 棘なんて全くなく、フゥ~と息を掛ければその身を空に飛ばして空を彩って、誰もを笑顔にしちゃうそれがシルクちゃんだ。異論は認めん。

 それに誰かの為に素直に泣ける……それもやっぱりシルクちゃんらしいと思う。


「シルクちゃん!」


 彼女の泣いてる姿にテッケンさんが反応してこちらに来ようとしてる。だけどやっぱり風の影響を受けやすいモブリは下手に動けないみたい。

 どうやたテッケンさんはアイツの肩に居ることで、この強風を耐えてるみたいだな。


「仕方ないな」


 意外な事に、そんな言葉と共に奴が自分から近づいて来た。テッケンさんの思いを組んでくれたって事か? 敵じゃないと今は分かってる筈だけど、僕達はアイツの風体についつい警戒をしてしまう。

 だけどそんなの気にしてないように、奴は正面に堂々と立つよ。


「シルクちゃん、みんなゴメン。心配かけてしまったね。だけどあの時、変な気流に巻き込まれてかなり上の方で落ちたり上がったりしてる所をこの人に助けて貰ったんだ。

 僕もビックリしたけど、大丈夫。敵じゃないよ」


 そんなテッケンさんの言葉に、いち早くノウイがこう返した。


「信じて……良いんすよね?」

「勿論。大丈夫だよ。あの時とは状況が違うだろ? いきなり襲って来たりしないさ。だろ?」


 テッケンさんに振られて、奴は目深に被ったフードの中から声を出す。


「ああ、今はお前達を殺す事はしないさ。もう既にリア・レーゼに入ったわけだし、何よりも我の主が貴様達をご所望だ。

 まあ、その後にどういう対応を取るかは主次第だがな」


 もしもその主=姫御子様が僕達に会った後にやっぱり危険と判断されたりしたら、僕達はこいつに襲われる事になるって事か? 全然安心できない。


「大丈夫だよ。だからこそ今は安全さ」


 テッケンさんがウインクしながらそう言う。確かに今だけは確実だろうけど……後が怖いよ後が。てか、ノウイも全然警戒心解いてないじゃん。アレだよね。ノウイは飛空挺で襲われた事もあるし、人一倍警戒してるんだろう。

 もしもの時はまた自分が……その位思っててもおかしくない。まあ今はミラージュコロイド使えないだろうけど、ノウイはキョロキョロと脱出ルートの選定でもしてそうな位に視線を動かしてるよ。


「ふん、上等じゃないか。姫御子様のお眼鏡に叶えば良いだけの事だろう。このチャンス、リア・レーゼ側もミスミス逃すとは俺には思えん。

 上……とは言わずに対等の関係をずっと望んできた筈だからな。色々と今だからこそ出来ることがありそうじゃないか。

 だからこそ無闇に俺達を殺すことも投げ出す事もしないと思うがな」

「そういう物なのか?」


 僕はあんまりノーヴィスの事情は知らないから、そこら辺は分からん。まあ鍛冶屋が饒舌に喋るときは自信がある時なんだろうから、なかなか頼もしくはある。

 対等か……確か星羅は聖院から派生したから一個下に見られてるんだっけか? だけど今やその力は優劣なんか付けれない程になってて、対等になることを望んでると。

 それを一番嫌ってるのがどこかは何となく想像できる。きっと元老院だろうな。アイツ等自分達の権力が大切なんだろ。それなのに星羅が聖院と同じ位置に来られると、色々ときっと気持ち的にも良くないと思う。

 権力分散だしな。てか、今も十分やっかんでるんだっけ? 僕達が連れてきたクリエは、ある意味元老院を解体するために必要になり得る鍵かも知れない。それをどう使うかを僕達諸とも決めるつもりかもな。

 僕達に利用価値があると思わせれば、生き残れてこっちの目的の為に逆に利用できるって事もあるかも知れない。


「それを判断するのは我が主。この街の守護者姫御子様だ。あの方の目は絶対。ごまかしはきかん。せいぜい、無礼な行いは慎む事だ」


 せいぜい一杯媚びを売って命を助けて貰えと? こいつはちょっと僕達を見くびってるんじゃないか? 確かに死ぬのも殺されるのもイヤだけど、僕達にだって目的があってここまで来たんだ。

 犠牲の上に進んできた。ただ、助けてくださいって縋りに来た訳じゃないんだよ。


「無礼な事かどうかはわかんないけど、僕達にだって伝えたい事はある。その人に聞いてほしい事があるんだ。だからそれだけは言わせて貰うからな」

「好きにするといい。お前の言葉をどう受け取るかは主次第だ。お前はやはり面白いから、主も興味を持つかもしれんしな。

 お前のその伝えたい事がつまらない事で無いことを祈っておこう」


 つまらない事って……こいつは大体想像出来ると思うんだけど。いや、待てよ。こいつに想像できる範囲の事じゃ、姫御子はつまらないと判断すると言いたいのか? だけどそんな親切キャラじゃないよな? どう受け取れば良いんだ?


「さて、ここにいつまでも居るわけにはいかん。主は今は待ってる訳だし、さっさと行くぞ」


 そう言うと、再び床の魔法陣が輝き出す。行くって、またこれで転移するのか? てっきり目の前のデカい社に行くものだと思ってました。


「あそこは一般の巡礼様だ。主の行る場所は更に天に近い場所。普通はこの転移魔法陣ではいけないが、特別に道を繋げる許可を得ているからな。

 心してろ。今から行く場所は、このリア・レーゼで最も尊いお方の住まう場所なのだからな」


 そんな言葉と共に、光が視界全部を覆ってく。そして次の瞬間、上昇する光と共にこのリア・レーゼのトップの元へと導かれる。



 目の前を覆ってた光が徐々に収まり、数回瞬きを繰り返して僕たちは周りを見回す。そして誰もが口をパクパクとさせた。これは余りの驚きに誰もが声を出せなくなったって事だよ。

 いやマジで、これは予想外。あれだけ強かった風が無く、静まり帰った場所。上を見ると無数の星々の光が漆黒の中で輝いてる。そして下に目を向けると、眼下に広がるのは広大な大地――なんて表現を有に越えた、半円位までもう見えちゃってる星という概念を理解できる光景だ。

 えっと……ここは高度何万メートルでしょうか? どう見ても宇宙空間か、その一歩手前に居るよ!! 色々と叫びたい言葉が一杯あるんだけど……なんというか……出てこない。

 いや、声に成らないって言った方が正しいな。みんなも同じ様で、何も言葉に出来ずただ周りを見つめてる。やばい……なんか感動しそうだ。

 だってまさかこんな所で宇宙まで来ちゃうなんて思ってなくて……今、僕たちは人類の夢の場所に居ると思うと、色々と感極まるよね。

 眼下に見下ろすこの美しい星も、見上げた空の輝きも……人類が憧れ続けて来たものじゃないか。実際これはリアルじゃないけどさ、そんなのを超越しちゃう感動があるよ。

 むしろLROの世界だからこそ、こんな綺麗に見えるんじゃね? 的な。てか、この眼下に見える星そのものがLROなのか? それともこの宇宙空間全てをいれてLROなのか……よくわからないな。だけどそんな事さえ、些細な事なんじゃないか、とも思える不思議。


「凄く……綺麗です」


 ようやく聞こえた声は、耳に沁み居る様に響くシルクちゃんの声だった。横顔を見ると彼女は眼下に広がる星を瞬きを忘れて見つめてる。

 やばいな……僕がもしもシルクちゃんの恋人なら、確実に言いたい台詞がある。

「君の方が綺麗だよ」――って思わず言いたくなってる。そんな台詞アホか! と思ってたけど、なんだか今のシチュエーションには合いそうな気がするんだ。

 だけどダメダメ……幾らみとれる位に綺麗なシルクちゃんが目の前に居るからって、流石にその台詞は許されないだろ。僕達そんな関係じゃないし。

 だけどこの光景が、行けるんじゃね? と僕をおかしなテンションにさせていく。


「…………き――」

「確かに綺麗ですね」


 僕がおかしなテンションであの台詞を口走り掛けたとき、セラも周りを見てシルクちゃんと同じ様な台詞を言った。そしてそれに反応した、僕と同じテンションの奴が居ました。


「セ……セラ様の方が自分には綺麗に見えるっす!!」


 言ったあああああああ! ノウイがおかしなテンションで口走ったああああああああああ!! それに対するセラの反応は――


「何おかしな事口走って……その口、縫い合わせてここからつき落とすわよ!!」

 

 と、顔を真っ赤にして罵声を吐いてた。いや、ノウイからのアプローチにしてはナカナカの反応……とか思ってたけど、耐えられなく成ったのはノウイの方だったみたいだ。

 自分の口走った台詞に羞恥心が崩壊。ノウイは「うわ! うわぁ! うわあああああああああっす!!」とか叫びながら、魔法陣から出て木で出来た通路を走り出した。そしてある程度離れた所で、つなぎ目にでも足を取られたのか、盛大にこけた。

 そしてそのままピクピクしたままうつ伏せ状態に。その姿を見て、僕は本当に下手に今の台詞を言わなくて良かったと思った。

 シルクちゃんはもっと悶え苦しむ程の可愛さで反応してくれそうだけど、シルクちゃんが可愛く反応してくれればくれる程、僕は後悔してたと思う。

 きっと今のノウイの比じゃ無いよ。自分でここから飛び降りてかも知れない。ノウイはある意味、それをしなかっただけ、良く耐えたのかもな。


「お前達は……何をやってるんだ?」


 呆れる様な感じでその言葉を口にする奴。こっちは貴様と違ってこんな場所に来たのは初めてなんだよ。だからテンション上がって自爆したんだ。察しろよ。雰囲気に当てられたって奴だよ。

 それ以上追求するな。


「何でもいいが、勝手な行動は慎め。ここは貴様等が思ってるよりも百倍は神聖な場所だ。今から主の元まで案内する。ついてこい」


 そう言って奴はこの大きな大きな世界樹の傘の部分に張られた道を歩き出す。

 てか、こいつら神聖な世界樹に何を建造してるんだよって思うのは僕だけか? この星から飛び出す程の巨大な世界樹の麓だけじゃなく、よりにもよって世界樹その物に建物をへばりつかせて建ててるじゃん。

 青々とした生い茂るこの場所に、ぐるっと回るような木製の通路に、上を見るとそんな青々とした葉の隙間から、少なくとも四つぐらいの建造物も見えるし、ある意味やりたい放題じゃないか? とか思うわけだよ。

 きっと一番重要な場所は天辺間際に建造されてる、清水の舞台みたいな感じのあの社かな? 沢山の鳥居がその道を造ってる様で、青々としてる中に、赤い鳥居が感覚短く並んでるからその道筋がよく見えてる。

 だけど基本なのか、リア・レーゼの社って木の趣をそのまま残してたりはしないんだよね。社は基本赤と白に染められてると言うか……めでたい色って事なのかな?

 まあここで幾ら考察したってわかる筈もない事。僕たちは奴の後を付いて歩き出す。


「おい、大丈夫かノウイ。勝手に走り回るなだってよ」

「うう……了解っす」


 途中で倒れ伏してたノウイを回収しつつ、更に大人しく奴の背中を追う。


「こんな場所があったなんて、やっぱりLROにはまだまだ私達が知らない事が一杯ですね」


 歩きながら、シルクちゃんがそんな事をポツリという。シルクちゃん達クラスで知らないことがまだまだ一杯なら、僕みたいな奴じゃ全てを把握するなんて無理な気がするよな。ホント、余りにも広いよこの夢の世界は。


「普段ならお前達の様な奴らは足を踏み入れる事も許されない領域だぞここは。サン・ジェルクの連中もここの存在を知ってるのは元老院と教皇だけだ。そして一般人で入ったのは貴様達が初めて。

 感謝しろ、我らが主の心意気に」


 心意気ね。それなら牢になんか入れずに最初からここに連れてきてほしかった。そしたらあんな酷い目に遭わされずに済んだだろ。ワンアクションが無駄なんだよ。


「あれは実際ワザとだ。リア・レーゼ側に潜む過激なサン・ジェルク親派を炙り出す為のな。誰がどこまで互いの組織の為に動くか……それを知って起きたかったんだよ」

「僕たちはその過激な連中を炙り出す餌だったって事かよ!」


 まさかいきなりそんな風に利用されるとは思わなかった。


「だが実際あれは必要な事だった。我々の為にも、そしてお前達の為にもだ。お前達はあくまで罪人として扱ってた方がいい訳だが、どこで監視されてるかわからない貴様等をその状態でここまで連れて来るのは危険だろう?

 それに奴らを炙り出してからじゃないと、手を組まれたと大々的に思われても困る。それに奴らが行動するのなら、その価値に我らが気付いてない時だと言うのも当たりだったしな。

 色々と元老院側に都合の悪いことは、こちらにとっては都合が良い。いつだって主は今のシスカ教の現状に悲しんでおられるからな。

 それを払拭する起爆材にお前達が成るのなら、賭けてみるのも面白い」


 面白いって……こっちは面白いで済まない事情を抱えてるっての。まあこいつ等が先にサン・ジェルクの伏兵を見つけて起きたかった気持ちも分かるし、確かにこれで良かったと思うけど……やっぱり一言あっても良かったと思うんだ。

 まあ、信頼が築けてない僕たちが怪しげな言葉だけ受け取って何が出来たとも思えないけどね。


「それって、リア・レーゼは僕達に協力してくれるって事なのか?」


 言葉から察すると、それが結構期待できそうなんだけど。


「それは俺から言うことではない。貴様達の事は我らが主がそれを決めると言ってるだろ」


 そう言って口を閉ざしてしまった変な奴。う~ん、今一良くわからないよなコイツって。何者なの? 姫御子様の片腕って事は分かるけど、あの時飛空挺で見た姿……あれはどんな種族の物でも無かったぞ。LROでの謎は増すばかりだよ。

 そうこう思ってる内に、奴は鳥居が上の方へ続く通路へと入る。薄々気付いてはいたけど、やっぱり姫御子様はあの一番上の社に居るんだな――って思ってたら、案外早くわき道に逸れやがった。


「え? おい、この上じゃないのか?」

「あそこは星の声を聞くための祭壇みたいな物だ。そんな場所に住める訳がないだろう。それに主の館はここでも万が一に備えてある」

「こんな世界の上空に居ることが既に万が一に備えてそうなのに、その更に万が一に備えてると?」


 大層なこったな。


「それくらいは当然だ。あの方の代わりは居ないのだからな」


 そう言って大きな背中を見せたまま、木の枝がトンネルみたいに成ってる道を進む。さっきまでは傘の外側部分を歩いてた訳だけど、今度は内側って訳か。

 外側に見えてる建物はじゃあなんなんだ? カモフラージュ? それともあれはあれで必要な物なのかな? そんな事を思いながら進んでると、次第に暗い中にボンボリみたいな光が見えてきた。

 色とりどりの光が回転しながら僕達を誘う。そしてたどり着いた場所は枝や葉に覆われた建物前。てか入り口しか見えないから、外観を伝える術がないな。まあ取りあえず今伝えられる情報は、何故か古めかしい引き扉の横に変な看板が立てられてるって事だけです。


「なんだこれ? え~と『アトリエ ヴィスペリティア』――なんの事だ?」


 てか何故にこんば場所にアトリエが? そう思ってると、後ろの女子二人が、僕の読んだ文字に反応した。


「え? ヴィスペリティアってマジで? 読み間違えてないでしょうねスオウ!?」

「あのな、読み間違えるも何も、カタカナで書いてあるんだけど……」

「じゃあ……マジで……」


 何だなんだ? 良くわからないから説明求む!


「あのですね。前にも言いましたけど、このLROにもブランドって物が存在してます。腕の良い職人の商品を求めるのはリアルもここも一緒です。

 オホン……それでですね、ヴィスペリティアと言うのも、そんなブランド名の一種なんです。でもこれはそこら辺の流行だしの流行追いじゃありません。別格のブランドなんです。

 幻とまで言われてます。市場になかなか商品を流通させないし、作る物は全てオーダーメイドのみ。だけどその連絡方法も限られた人しか知らず、手に入れる所か、この目で拝む事すら難しいブランドがこのヴィスペリティア何です!

 誰がやってるのか全くの謎でしたけど……まさかこういう事だったのかな?」


 なんだか胸のワクワクドキドキを抑えられない様子の二人。


「では行くぞ」


 そんな声と共にカララと案外安っぽい音と共に開く扉。この先にリア・レーゼの姫御子で、女子二人が興奮しちゃう程のカリスマが……なんだか僕まで緊張してきた。

 第三百話です!!

 とうとう三百話まで来ました!! てか、もう三百。案外早かったですね。いつの間に~って感じです。百・二百と来てなんかあっという間です。この調子なら千ぐらい余裕だぜ! って思うけど、実際それは良い事なのか、そうじゃないのか? もっとまとめて書けよってそろそろ突っ込まれてもおかしくないかもとかビクビクです。

 だけどまあ、頑張ります! 命改変プログラムが完結するまでは! 実際まだまだ先ですけどね。言うなればまだ半分にも届いてないという……構想の中ではですけど。章形式で完結させるなら、半分は来てますよ。

 見捨てられない様にこれからも頑張って行きます! 楽しめて貰えてれば幸いで……誰もが納得出来る形で完結出来れば嬉しいです。

 てな訳で次回は日曜日にあげます。ではでは。

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