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「くうーかっこういい!!」
「起きろアホ」
突如頬に走る何かの衝撃。それによって――
「まって! まってくれえええええええええええ!!」
――と泣いて追いかけてきてた王子、いや、それだけじゃなく次々と増えていく男たち。そしてそれは全部がイケメンで、屈強で、あとは獣っぽさもあるような……そんな男たちがドドドドドドドドド! と私を追いかけてきてた。
みんながみんな必死に私に向かって『待ってくれえ! 結婚してくれえええええ!」――と叫んでた。そんな人たちに対して私は「あははは、うふふふふ」――と追いかけっこしてたのに……めっちゃ求められてたのに……
目が覚めるとなんか頬が痛くて視線の先にはなんかかわいそうな者を見る目をしたローレの奴が……
「イケメンじゃない」
「あんたは幻覚に惑わされてたのよ」
「幻覚……」
あれが幻覚? あんなにリアルだったのに? 私のそんなつぶやきを聞いてたローレは「どこが?」とかなんか言ってるが、そんなのは無視だ。あれが幻覚……私の心の奥からふつふつとした怒りがわいてくるのが分かる。
そしてキッと妖精王をにらんだ。妖精王にはなんか野性的な男が戦いを挑んでた。上半身裸で、白い髪がなびいていて、特徴的なのはその耳。犬耳がある。さらには尻尾。でもその攻撃は届いてない。ラッシュラッシュラッシュをしてるが……あの白髪の人の攻撃は不可視の壁? みたいなのに阻まれてるように見える。
「あれは?」
「あれは私の召喚獣。起きたのならさっさと参戦してよ」
「それなら考えがある! 聞いて!」
私は強めにそういってある提案をローレにした。こしょこしょってね。そしてより強く激しくあの召喚獣には攻撃をしてもらうように指示を出してもらって、ローレにも派手な魔法を打ってもらう。ここは月で向こうのホームだからか、どうやらこっちの攻撃はとても通りづらいみたい。はっきり言ってローレの攻撃も、あの召喚獣の攻撃もそんな生易しいものじゃないはずだ。けど、妖精王は余裕をもって防いでるように見える。
そしてこっちにも無差別に空からの絨毯爆撃……さっきまではローレのシールドの中にあったらよかったけど、今はそうじゃない。あの余裕を崩すにはどうしたらいいか。私の気持ちいい夢……それを奪った奴を私は許さないよ!! メーモスの杖、その特性を妖精王の奴も今やわかってるだろう。けど気付いてないことがあると思う。
それはこの戦いの直前で私が気付いたことでもある。彼女のある一言がきっかけだった。
「それって、その輪っかはわっかの空間を通れるのかな? どうなるのかな?」
そんなことを言われて私は「ん?」――と思った。




