131
「大丈夫?」
「えっと……何が起きたの?」
ローレのそんな声。なんかちょっと冷たい声。私は……私は……周囲をみる。何もない。いや、それはここは月だから当たり前だ。月には町なんて一つしかないし、そこにもまだ私たちはたどり着いてないんだからここに何もないのは当然だ。
でもそうじゃない。何もない……じゃなく誰もいない……が正しい。いやローレちゃんとアーシアはいるよ。でも……ね。それだけだ。
(いやいやいやいや、さっきまで百人くらいはいたでしょ? どこ行ったのよ!?)
少なくとも前を見ても横をみても後ろをみても、さっきまでは人がいた。視線のどこを向いても……だ。それだけの人数であの……今も空中に鎮座してる妖精王と相対してた。それなのに……
「全員やられたみたいね」
「あぁー」
そんな残酷な真実を突きつけないでほしい。私は現実逃避してたのに……てかなんで私生きてるの? やっぱりこのメーモスのおかげか? きっとそうだろう。とっさにアクティベートしたもんね。私の背中には杖のわっかの部分と同じような物が回ってた。
「それ、前に見たとき、そんな風になってた?」
「それはいわないでよ。これはとっておきなの」
本当ならもっとピンチに出すはずだったのに……いや確かにピンチではあったんだけどね。でも今じゃなかったんだよ!! こんなしれっと出す気はなかった。ここぞって時に、杖をカーンと音をたててならして注目を集めつつ、「もうお前が最後の希望だ!」――ってところで出したかったんだよ!!
「まだ残ったか。だが、変わりはしない。何度来ても、私は落ちることはないぞ」
そんな宣言と共にまたまた周囲が真っ白に染まっていく。これされると何も見えなくなるんだが? まずいとおもった。けど……
「2度も同じ手が通るなんて、思わないことね」
そんな格好いいことをいうローレはなんか見た目がかわってた。なにそれ私が言いたかった!!




