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結構な隠し玉だったんだけど……そのお披露目がこんなに早くなるとは思ってなかった。けど……出し惜しみなんてしてられないって思ったのも確か。相手は妖精王だ。全力をぶつけないといけない。
そうしないと、やられるのはこっちだ。
手応えは充分にあった。確実に当たったし、新たな剣によって奴はわずかながらも動きを封じられてたはずだ。だからこの一連の攻撃は全て確実に叩き込んだ。そのはずだ。最期の一撃で切り裂いたあと、妖精王の体の内側からバチバチッ――と雷撃の放電が起こる。そしてそれが臨海にまで達すると、空にほとばしる龍のように雷が昇った。
雷帝武装で攻撃を繰り返していくと、敵の内側に雷撃が溜まっていく。そしてそれが臨海を超えた時、雷帝武装は追加ダメージを与えるんだ。それが起こった。空へと昇った龍は内側に溜まった雷撃そのもの。それが強制的に内側から外側に溢れ出すそれは、防御力無視のダメージを与える。
「がっはっ……」
妖精王の体が海老反りして白目をむく。流石に内側から雷が暴れ出したような今の攻撃は効いたようだ。けど……
「ふふ、ははははははははは!!」
そんな風に口元をにやけさせて妖精王は笑い出した。その笑い声とともに、どんどんと視界が薄くなっていく? 僕はコードを見る方の目にしてる。それは情緒なんてまったくない、ただコードを見るための視界だ。
だからこそ、スキルとか、外の状況とか、そんなのに全く影響されないんだ。それなのに……そのはずなのに、視界が白くなっていく?
(まずい!)
そう思った時、僕は動いてた。でも今度は妖精王の方じゃない。僕は一緒についてきてたアーシアを目指した。だってこれは……このままじゃ……ダメージが入ってる。徐々にHPが削られてる。きっと妖精王が包んだこのクレーターの範囲、それに作用してる。このままじゃ、全員やられる。
でも僕達はまだいい。だって僕達はプレイヤーだ。やられたって本当に死ぬことはない。僕は一瞬で理解した。これは逃れられないってね。僕はスピード自慢だが、この妖精王の攻撃は広範囲に及んでる。だってここにいるプレイヤー全員を巻き込んでる。
じゃあどうするか? 妖精王を? 間に合わない。そうなると、ここにはプレイヤーじゃない存在がいる。そうアーシアだ。彼女はプレイヤーじゃない。だったら……まずいと思った。せめてアーシアだけでも助けないと!!
僕はそのために全てを出すことをすぐ様選択する。風を雷を、炎を土を、水を氷を、光を、闇を――




