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会長に言われたから、僕達は鍛冶屋の所を尋ねることにした。スレイプルの国は移動要塞だからな。今どこにあるのか確認……する必要はまあない。だってゲートを使えば内部には一瞬で行けるからね。
でも鍛冶屋は今やVIPである。なにせ今やスレイプルのトップだからだ。なんで? とおマジで思うし、彼だって本意ではないらしいが、でも断ることはできなかったらしい。と、言う事で今や鍛冶屋は鍛冶屋達の頂点である。
そんなVIPにはもちろん簡単に会える……わけはない。アポイントメントというのが必要だ。それに今は大変な時だ。僕達一般人だって慌ただしく動いてるんだよ? ならば一つの種をまとめるトップともなればもっと忙しい……のは自明の理ではないだろうか? いやまあ、イメージでしかないけどね。
『話は聞いてる。こい』
どうやらアポイントメントはとれたみたいだ。
『急げ』
なんだろう? なんか急かされてるぞ? 大変なんじゃないのか? だって今や特需とかじゃないの? ほら戦争が起こると、特需がリアルでも起こる。戦争には色んな物が大量に必要だからだ。
今、起こってることだってこちら側と月側の戦争みたいなものだ。だからこそ沢山の需要が今、起こってるとおもわれる。そしてスレイプルはそれをとくによく受ける種だとおもわれる。だってスレイプルのあの要塞全体に職人が住んでるような物。あれが移動要塞なのも、鉱石とかそんな貴重なものの場所に張り付いてとり尽くしては移動する……とかをするめたらしい。
普通なら鉱石とかはやっぱり山とかにあるから、それを移動するのが大変なんだろうけど、それらは物流でなんとかするしかない。でもLROにはモンスターがいるし、科学だってリアルほどに発展してるわけじゃない。
移動には相応のリスクがあって、命がけでやってるわけだからリアルほどに低賃金では無理だろう。そうなると、輸入とか高くつく。それならば……それならば自分たちで発見して発掘して、その場で加工する。そしてそれを更にその場で作り変えてしまえばいいじゃないか! というアホな発想ともいえる思想で作り上げてしまったのが、スレイプルの移動要塞らしい。
今でもスレイプルたちはものづくりに勤しむ種族だ。NPCだけなら、それは設定として納得できるけど、プレイヤーもそういう職人が集まってる……というのは不思議だ。そんな事を考えながら、僕達は移動要塞にきて、そして鍛冶屋のテリトリーまでやってきた。




