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「よくやったぞスオウ!」
「いてーよ」
そういって僕の背中をバシバシと叩くのはアギトの奴だ。ついでにあの後、リア・レーゼまでいって、どのくらいでそこらの石が月の残骸になるのか調べておいた。まああの怪しい奴から聞いてはいたんだけど、やっぱりただ言葉を信じるって危険じゃん?
いや、あいつの事は一応信用はしてる。確かにこの月の残骸となった石を装備することで世界樹の加護が少しだけ戻ってる。そこが一番重要なところだからね。数分とかでなってくれるのなら、とても簡単で良かったんだけど……流石にそこまで簡単ではなかった。
まああいつからも一日はおいてたほうがいいって言われた。五分とかそのレベルなら大量に生産できたんだけどね。自分たちが使う分を自分たちで作る……ならまあ問題ないんと思うけど……でもこれをやるために沢山のプレイヤーがリア・レーゼへと殺到する……となったら、それだけで月側を刺激しそうではある。
とにかく月側にはセツリがいるからな。こっちの状況とか簡単に把握できるわけで……まああいつも完全に月側って訳じゃないんだけど……でも完全にこっちに実はついてるって感じにもしたくないらしい。
それでも普通に頑張ってる人たち、LROを普通に楽しんでるプレイヤーたちを裏切ってることになるってことでね。一応ガチンコだよってことになってる。だから最近は「そっち側どう?」とか家でも言わないようにしてる。なんでもないような事はちゃんと話すけど、こっちの動きも月側の動きもお互いには聞かないっていうね。
でもセツリの情報収集を妨害なんてできない。それはあいつの権利だ。
だってこれをつき側が知ったら、なにかしてくるだろう。それに……だ。世界樹の加護がないから、月側はこっちの戦力を侮ってるともいえる。上限があるんだからね。それに対して月側にはその上限がきっとない。月人がどうなってるのかわかんないが、こっちにあった加護は月側のそれこそセツリとか妖精王とか姉妹たちにいってるはずだ。
「これで上限はある程度緩和されるんだな」
「ああ、けど一日は必要だからな。もう日数もあんまりないし、一度にどれだけ作れるかもわかんない。インベントリがあるから沢山もって行けるけどさ、ちょっと面倒なのは確かなんだよな」
「そんなのは情報を公開しそれぞれにやってもらえばいいだろ?」
それをしたら月側にこのことが知られるじゃん。掲示板で公開したらそれこそ速攻でセツリに筒抜けだ。まあもしかしらセツリは見逃してくれるかもしれないが……正々堂々というか公平性を気するならなにか対策をされるかも……まあ対策といっても、これの対策は思いつかないが……これから沢山のプレイヤーがリア・レーゼでこれを作るだろうから、それを阻止する? でもそこらに石ころばらまいてたらいいだけだからね。
プレイヤーじゃなかったらただの石ころとの違いはわかんないし、やってくるプレイヤーを無差別に攻撃するしか月側はできない。ならば知られても向こうは対策のしようがないのかもしれない。
「この件、私には任せてもらえないかな?」
それは会長のやつの言葉だ。




